浜岡原発差止裁判に参加して−こんなことがよくわからない−(目次)
(7) :不信?
(2002.10.8)
何となくあわただしくなってきた。もしかしてこれが忙しいということだろうか?普段がのんびりしているので、忙しいという感覚がよくわからない。だから、活断層のように活動度をA級、B級、C級で表すなら、やっぱりC級だ。
耐震設計審査指針に基づいて、1万年前までの活断層の活動性について議論するなら、マグニチュード8を上回る巨大な震源断層面(震源域)の真上にある浜岡原発が、なぜ、審査指針によって認められるのだろうか?
想定東海地震の震源断層面は、総面積9400平方kmにも及ぶ巨大なもので、数万年に1回活動するかどうかという活断層とは、地震の規模も、予測される被害の大きさも格段に違っている。
それは、巨大なプレート同士がぶつかり合いながら、沈み込みと反発を繰り返す地球の生々しい営みの場である。ここでは、100年から150年位の周期で巨大地震が繰り返し起こってきたし、これからも必ず起こると考えられている。
その直上にあるということは、いってみれば、活断層の中にあるということと全く同じではないか?
それをまずはじめに除外できないような指針であるなら、指針としての意味がないのではないか・・・浜岡原発差止訴訟に参加している、1500人以上もの大勢の債権者の思いは様々だろうが、この疑問は誰もが強く感じていることだろう。
原子炉立地審査指針では、原則的立地条件の一番初めに、「大きな事故の誘因となるような事象が過去においてなかったことはもちろんであるが、将来においてもあるとは考えられないこと」をあげている。
ここでいう「事象」とは、台風、洪水、津波、地震、陥没、地すべり等の自然条件や、火災、爆発、航空機事故等の社会条件を指すのだという。
だが、マグニチュード8を上回る巨大な地震が反復して起きているという歴史的な事実があっても、「大きな事故の誘因となるような事象が過去においてなかった」と判断することができるなら、この指針があることに何の意味があるのか?
今朝の朝日新聞では、原発事故の不安を感じる人、国の説明に納得できないと思っている人が、9割にも達しているという。
専門家は、相変わらず、一般の人が理解できる形で情報を提供していないことをあげる。しかし、原発に対する不信感は単なる無理解にあるわけではない。
立地審査や耐震審査の考え方の中から、安全性についての最も基本的な視点が抜けているということ、立地や耐震に関する審査指針そのものに重大な欠陥があるということに、私たちは気づかずにはいられない。
それが、この不信感を生み出す一番の原因になっているのだ。
債権者が1500人を超えて、2000人にも達しようとしているのには、それなりのわけがある。本当に重大なわけがあるのだ。
−つづく−
*参考:
原子炉立地審査指針及びその適用に関する判断のめやすについて
http://nsc.jst.go.jp/anzen/sisin/sisin001/si001.html
原子炉安全基準専門部会「原子炉立地審査指針」を報告(昭和38年11月2日)
http://aec.jst.go.jp/jicst/NC/geppou/V08/N11/196302V08N11.html
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