浜岡原発差止裁判に参加して−こんなことがよくわからない−(目次)
(5):津波?
(2002.10.5)
10月になってしまった。それももう5日である。
どうしたらいいだろうと思いながら、月日のたつのに任せている私・・・軟弱なのは、相良層か掛川層なみである(手で持つとぼろぼろと崩れるという浜岡原発の地層)。
それにしても、津波のことはいろいろとわからないことが多い。
現行の耐震設計審査指針では、原子炉施設の耐震設計に用いる基準地震動を、S1とS2の二つにわけている。
基準地震動S1は、過去に起こった地震と、1万年前までの間に活動した影響力の大きい活断層を考慮して想定された、将来起こりうる最強の地震(「設計用最強地震」)をもとにして決められている。
これに対して、S2は、5万年前までの間に活動した活断層や、地震地帯構造、マグニチュード6.5の直下型地震を考慮して想定された、可能性は低いが起こりうると考えられる限界的な地震(「設計用限界地震」)をもとにして決められている。
地震の大きさについては、このように2段階の強さの地震を想定して耐震設計をすることになっているのだが、津波の大きさとなるとどうなのだろう?
中部電力の答弁書に出てくる、津波の最高水位+5.8メートル(6メートル)、最低水位−8.8メートルというのは、5号炉の公開ヒアリングで、国の担当者が説明した数値と同じだから、これは、安政東海地震津波のシュミレーションに基づいたもののようだ(*)。
もしそうだとすると、津波については、過去の津波のうち最大のものは想定されているが、それを上回るような限界的な津波は想定されていないことになる。
本当にそうなのだろうか?
取水トンネルや取水管は、一つの原子炉に一つずつしかないと思う。
共用ができないのなら、地震でひとつのトンネルや配管が壊れれば海水はその原子炉には届かなくなる。
原発の安全設計の原則と言われる「多重防護」の思想は、取水トンネルや取水管には適用されていないのだろうか?
この夏、浜岡海岸では、地中に埋設された農業用の排水路から砂が突然落下し、中で遊んでいた中学生が被害にあうという痛ましい事故も起こっている。
沖合600メートルにある取水塔まで、海底の岩盤の下を通る取水トンネルは、マグニチュード8.5にもおよぶ巨大な地震に本当に耐えることができるようにつくられているのだろうか?その耐震性は、どのように確かめられているのだろうか?
さらに、隆起の問題もある・・・。
そんなことが、次々と津波のように押し寄せてくるのだ。
−つづく−
*参考:
公開ヒアリング状況報告[中部電力株式会社浜岡原子力発電所の原子炉の設置変更(5号原子炉の増設)]
−平成10年9月 原子力安全委員会 207頁
→
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