浜岡原発差止裁判に参加して−こんなことがよくわからない−(目次)


(4):「良」?

(2002.10.1)

中部電力の広報部の担当者から「そういう問題ではない」と言われて、すっかりしょげてしまった私・・・電気を購入しているというのに、暗さを与えられた。

浜岡原発の1号機と2号機は、1971年と1974年に建設がはじまっている。 今から約30年くらい前の出来事になる。

まだ今の耐震設計審査指針ができる前で、設計用地震動が300ガル、安全余裕検討用地震動が450ガルとして設計された(ガルは加速度の単位)。

1976年に東海地震説が発表されて、78年に耐震設計審査指針がつくられた。その後に建設された3号機と4号機は、施設の重要度に応じて、450ガルと600ガルの2種類の基準地震動に耐えるように設計されている。

この時、基準に合わなくなった1号機と2号機はどうなったのか?

設計当初は、建物が地盤に埋め込まれていることを考慮しないで、単純なバネでモデル化して耐震性を計算していたが、埋め込みを考慮して、多数のバネでモデル化してもう一度計算し直してみたら、450ガルと600ガルの揺れでも耐えられるようにできていたので、耐震安全性は確保されていることが確認できたのだという。

こんなことはよくわからない。よくわからないが、それで耐震性は確認されたことになっているのだ。

今年はじめ、「念のため」現時点で耐震性が確保されていることを確認するため、1号機と2号機の耐震検査が行われた。

検査対象には、「耐震上重要な建物、構造物」が選ばれ、海水を引くポンプがある貯水槽ポンプ室のコンクリートの強度測定も行われた。ポンプ室側壁の上段、中断、下段など十数ヶ所である。常時水中の場所もあった。

海水の取水量は、1号機が毎秒約30トン、2号機が毎秒約50トン、3号機と4号機が毎秒約80トンもある。大量の海水を引いているのだ。

30年近くが経過して、大量の海水が通るこのような場所は、今どうなっているのだろう?

そして、長い取水トンネルや取水槽、取水管のうち、ポンプ室の壁のわずか十数ヶ所を選んで、コンクリートの強度検査とか、目視点検や打診点検を行った結果、判定が「良」と言われて安全が確認できたと思える人は、いったいどのくらいいるのだろう?

この耐震検査は、「地元行政、議会をはじめ、一般公募見学会も開催し、総計約1000名の人に実際に浜岡1、2号機の建屋内で、耐震チェック実施状況を見学、体験して頂いた」という。

それはそうだろう。
目的には「浜岡1、2号機の耐震性について一層のご理解とご安心をいただけるよう、耐震チェックの実施状況を公開し、地元をはじめ静岡県民の方々に広く見学・体験して頂く」とある。

しかし、10月に私たちが原発を見学する計画は、「債権者だから」という理由で断られたという。もう、私がこの貯水槽を見るチャンスはないのかもしれない。

−つづく−



*参考
「浜岡原子力発電所1・2号機 耐震チェック報告書」(平成14年4月)


「浜岡原発差止裁判に参加して〜こんなことがよくわからない〜」発表レジュメ


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