浜岡原発差止裁判に参加して−こんなことがよくわからない−(目次)


(2):4分間?

(2002.9.29)

徴候と言えばこんなことだった。

中部電力広報部のエネルギー環境広報グループの田中さんは、私にかかってきた電話の中で、確かに、「あなたには答えられない」「裁判に参加している債権者とは直接やり取りはしない、それが社の方針だ」と言った。

9月18日の午後2時頃のことだ。

その前の週に「原子力テレフォン質問箱」に質問してみたのだけれど、「答えられないから、直接中部電力にお聞きください」と言われて、中電本社の電話番号と担当者を教えてもらった。

気が進まなかったが、言われたとおり電話して聞きたいことを伝えて、何日も待ってやっと聞いた答えがこうだった。

質問したのは、総会で私が裁判の争点として紹介しようしたことの一つ、原発と津波の問題だった。

原子力発電所は大量の水で動いている。
水で中性子を減速させて連鎖反応をおこすから、水がないと原発は動かない。蒸気でタービンを回して発電することもできない。水で冷やしていることでかろうじて安全を保っているから、水がなくて冷やすことができなくなれば、原子炉はメルトダウンを起こす。この水はどこからくるのかと言えば、海から引いてくるのだ。

でも、地震で大きな津波がくると、その前に水が引いてしまうから、原発から海に伸びている取水口から海水が取れなくなることがある。

その時間を、国や中電は「4分間」と説明している。

正確に言うと、「最初の引波の間、約4分間程度の間、水位はこれ(取水口)より下がることになりますので、取水槽まで海水が行かないおそれがあります。しかしながら、その場合であっても、取水槽には20分間程度以上の原子炉を冷却可能な海水を確保されるという設計となっておりますために、その間に当然水位が回復しますので、原子炉の安全性が損なわれることはないと判断しております。」と説明しているのだ(*)。

この「4分間」が心配に思えた。

本当に4分間で水は戻ってくるんだろうか?、取水槽の水は本当に20分間分溜まっているんだろうか?地震で取水槽が壊れたりしてないんだろうか?

水をためている取水槽まで、海底の下を通る取水トンネルの長さは、4号炉でも600m以上ある。取水槽から原子炉までの配管も、そのくらいの長さがある。長い、海底トンネルや配管が地震で壊れてしまうことはないんだろうか?

それに、浜岡は東海地震では隆起すると予測されている。1メートルくらいは隆起するのだろうか?この「4分」には、1メートルの隆起は計算に入っているんだろうか?合計すると1キロメートル以上にもなるトンネルや配管は、地面が1メートル隆起する時に、うまくまとまって隆起してくれるんだろうか?

そんなことが心配になったから、浜岡原発の取水槽と、取水トンネル、取水管の耐震性と長さや構造、耐震検査の記録がどのようになっているか、それを中部電力に聞いたんだった。

でも、「あなたは債権者(≒原告)だから、あなたにはお答えしない」と直接言われてしまって、私は思わず「だったら債権者をやめます」と答えてしまった・・・。

−つづく−



*参考: 公開ヒアリング状況報告[中部電力株式会社浜岡原子力発電所の原子炉の設置変更(5号原子炉の増設)]
−平成10年9月 原子力安全委員会−211頁


「浜岡原発差止裁判に参加して〜こんなことがよくわからない〜」発表レジュメ


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