感想
しかし、これからの一ヶ月あまり、COP3に国民の関心が高まっていくことを考えれば、COP3の後、「地球温暖化のためには原発推進はどうしても必要だ」という意識を残すか、それとも、「CO2の削減のために原発の推進をすることは認めない」という共通認識を残すのか、今大事な局面を迎えているというとらえ方もできる。
その意味では、代表的なNGOとして考えられ、現在、全国的なネットワークとして多くの人を結集させる活動をしている、気候フォーラムの、社会や世論に与える影響はけして少なくない状況にあると思う。
どちらかと言えば寄り合い所帯的な、一時的な団体になるらしいNGOに対し
て、このような役割を求めることは場違いな気もするが、参加者に、「原発を代替的エネルギーとして認めない」という一致点があるのであれば、それをもう少しはっきりとした形で表明することを求めるのは、さほど大きすぎる期待であるとも思わない。
気候フォーラムに参加する各団体や個人が、もう少し大きな声でこのようなことを求めてゆけるなら、気候フォーラムが、一歩踏み出して、「原発はオプションにしない」ことを、もう少し強く発言することはできるだろう。
そうすることによって、特に政策に対する大きな影響は考えられないとしても、参加者の中に「原発はこれからのエネルギーとしてとらえない」という、はっきりした一致点が持てるという点において、とても大きな意味があると考える。
それはこれからの、原発に対する国民全体の意識を変えることにつながってゆく可能性があるし、新たな原発建設に反対する意識を高めて行くことにも結びつく。
わずかとはいえ、そのような可能性が考えられるので、今後も、気候フォーラムの、地球温暖化を防ぐための活動に大きな支障が出ないように注意しながら、この点について、はっきりした見解を出して行くように求めることは必要だと思う。
具体的には、今後、今までと同じように、政府が、削減の方法として原発推進を考えるような態度を取り続け、気候フォーラムが、正式な見解を出すときに、原発にはいっさいふれないやり方をし続けるのであれば、意見を出すなどの方法を考えてゆくことになる。
これまで、COP3や原発問題に関心のある友人や身近な団体などに、この点についてもう少しはっきりと意見を出して行く必要があるのではないかと呼びかけてきている。
それに対する大まかな印象としては、「自分たちは原発には反対している、気候フォーラムも反対していると言っている、誰も原発を推進することを考えてはいない、そして、増設することができるなんて誰も思っている人はいない」・・「だから」・・「今言わなくても、みんなわかっているんだからいいのではないのか」、という考えのようだ。
「みんながわかっている、みんながそう思っている」・・「だから」・・「今こそ言う時なんだ」、私はそう考える。
そこに、ものすごく大きな違いがあるようだ。
(順接の接続詞)「だから」の後に続くのは、まっすぐの一本道ではない。
言っている人にとって、まっすぐであるように見えるだけで、「だから」の後には、まったく正反対の、右と左の道がある。どちらの道を取るのか、そこが分かれ道だ。
その分かれ道に立たないことが、アスベストが、日本で今もなお大量に使い続けられながら、ほとんど有効な対策が取られないままでいる理由だし、わが国の環境政策(運動)が、欧米に比べて、10年も20年も遅れていると言われる理由ではないのかと思う。
日本人は、自分の意見をはっきりと言わない国民性を持っていると、よく指摘される。
そんな「無言の日本人」が「無言」でなくならない限り、誰も望んだわけではない原発が、「地球温暖化のために」20基作られる日も、そう遠くない未来に実現するのかもしれない。
それが果たして私たちの望まなかった未来なのかどうか。
そうなって行くからには、私たちのどこかに、それでいいと思う気持ちが残されているからなのだと、私には思えるのだが。
・・今のように通産省が原発の推進を言っていることからすれば、今までのように削減値だけを問題にしているわけにはいかないということは考えている。(そういうことも言っていかなければならないと思っている。)
・・はじめに気候フォーラムを立ち上げるときに、すでに原発のことは議論している。
原発は前提にしないということは、その時に確認して始まっているから、それは出してゆけると思う・・・
と表向きは言っている。
しかし、文書による回答になるとこのような形になってしまうことからすると、気候フォーラムには、原発推進をオプションにしている団体はないということは確かなまでも、「原発推進はオプションにしないこと」をはっきりと前面に出してゆくことに対しては、何らかの抵抗を感じる団体も少なからず参加していて、そういった人たちの力も、けして小さくはないということのようだ。
原発に反対している団体と、そうでない団体が、一緒になって地球温暖化に取り組んでいる、そして地球温暖化のために原発を推進する政策に対しては、直接は意見を出さない方向で、やっている。
そんな中で、地球温暖化防止という「大きな目標」のために、原発増設を温暖化防止の手段にしないという「小さな前提」は切り捨てられようとしているようだ。
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