−COP3と原発−
アスベストについて考える会より質問
1997年10月3日
気候フォーラム事務局 御中
私は、気候フォーラムに参加させていただいている、「アスベストについて考える会」と申します。
常日頃は、機関誌などお送りいただきましてありがとうございます。
数日前、COP3に向けた、我が国の温室効果ガス排出量の削減目標について、90年に比べ原則5%削減するなどの案が発表されました。
この、CO2などの削減目標に関連して、次の3点についてお尋ねしたいので、教えていただきますようお願い申し上げます。
もし把握されておられない場合、次の点について、環境庁などを通じて確認していただくことはできますでしょうか。
「政府は、世界における日本の二酸化炭素排出割合(5%)を認識し、CO2排出増に直結する、火力発電所の新増設は行わないなど、当面、毎年4%ずつCO2排出量を削減するよう、政策を転換しなければなりません。太陽光や風力などの、自然エネルギーやコジェネレーション(電気・熱併給)などを合わせた比率を、飛躍的に高める効果的な推進策をとるべきです。放射性廃棄物や安全性に問題のある原子力発電は、代替エネルギーにはなりえません。」
と書かれています。
このようなことからすると、気候フォーラムが、政府に、排出量の削減目標を高く設定するように、今まで一貫して求めてきた経過では、今以上、原子力発電への依存を強めることなく、CO2の削減目標を設定することが前提とされていると考えられます。
しかし、その一方、先日送られた「緊急署名のお願い」には、二つの要請項目の一つに、「地球温暖化防止に実効性のある具体的な削減目標と達成期限を提案すること」とありますが、その削減目標の設定にあたり、原子力発電に今以上依存しないことは、前提とされていませんでした。
さらに、「気候フォーラム通信」第9号(8月25日発行)4頁には、通産省の桜井氏の発言として、
「エネルギー消費の伸びを毎年0.9%に抑え、原発(2010年までにあと20基新設)を中心とした非化石燃料への移行を実現した場合でも、2010年でのCO2排出安定化は困難です。」
とあり、それに対する反論などが見られないことなどからすると、気候フォーラムは、原子力発電に今以上依存する方法によってCO2の削減に取り組むことも、やむを得ない場合の一つの選択肢としてならば、認めておられるようにも見受けられます。
このようなことから、気候フォーラムが削減目標について考えるとき、原子力発電の新設を、目標達成のための方法の一つとして認めているのか認めていないのか、はっきりとわからないので、気候フォーラムの皆様方においては、CO2の削減のために、原子力発電の推進も、やむを得ない手段としては受け入れる考えがあるのかどうか、教えて下さい。
このようなお願いをする理由は、私を含めて、地球温暖化防止のため、COP3の成功に向け、いろいろな活動に参加協力をしている個人および団体の中には、原子力発電の問題を、温暖化問題と同じか、それ以上に、身近で、深刻な問題としてとらえている参加者も少なくないと思われること、また、フォーラム参加者以外にも、温暖化防止に取り組んでいる人たちの中には、原子力発電の問題を重要視している人もかなり多いように見受けられることから、気候フォーラムが、このような大勢の人たちに参加や協力を呼びかける以上は、COP3の成功のために協力することが、どのような政策決定に結びつく結果になるのか、判断するための情報を、できる限り提供する必要があると考えるからです。
もし万一、CO2削減のために原発への依存が推進される結果になる場合、多くの参加者の協力が、参加者の意図に反した方向で使われてしまう可能性があるということを、強く懸念しています。
これについての回答は、次頁にあります。