(論文の内容を紹介しています)
〜岩波「科学」 1997年10月号 をご覧下さい〜
論文は、「地震列島日本で、原子力発電所の原子炉が、現在51基運転されている」とはじまる。
通産省は、「原子力発電所の耐震安全性(1995年)」で、原発は建設から運転まで十分な地震対策が施されているとしており、その中では
活断層の上にはつくらない、岩盤状に直接建設、最大の地震を考慮した設計、大型コンピューターを用いた解析評価、自動停止機能、大型振動台による実証、津波に対する対策、などの項目があげられているという。
氏は、最大の地震を考慮した設計について、通産省が「活断層がなければ直下のM7級最大地震は起こらない」という考えにもとづき、原発は活断層の上に立地しないから、その直下でM6.5を越える地震が発生することはないと言っていることをあげ、このような考え方が地震科学的に完全に誤っていると説明する。
M7〜7.5の地震が、本震と同時か直後に浜岡直下で発生する可能性もあるという。
また、
・地層が軟岩であることから、1,2号機の耐震設計の450ガルを越える、600ガルの地震がおこる懸念があること
・浜岡は1メートル以上隆起すると考えられること
・大津波がおそう可能性も否定できないこと
・原子炉建屋とタービン建屋配管の揺れ方の違いが配管に及ぼす影響
・制御棒が大地震時に挿入できない可能性があること
・気泡がつぶれることによって核暴走が起こる危険性があること
・冷却水喪失事故などによって、炉心溶融が生じる可能性があること
など、多くの問題点を指摘している。
このようなことから、「正常な安全感覚があるならば、来世紀半ばまでには確実に発生する巨大地震の震源域の中心に位置する浜岡原発は廃炉を目指すべきであり、まして増設を許すべきではない」と主張し、結論部分では、「地震科学が、原発の直下で大地震が起こらないという楽観論を否定し、原発震災による破滅を避けるための具体策の必要性を示している」と言っている。
岩波書店「科学」11月号には、
「“原発震災”回避をめざす市民グループ―静岡県知事と中部電力に公開質問状」
という関連記事が出ています。
この11月号の記事は、岩波書店「科学」のホームページにも掲載されています。
(‘科学’ホームページ http://www.iwanami.co.jp/kagaku/)