続・お金を払って言う意見


** 公開文書に加えるには? **



13日の金曜日は比較的穏やかな日だった。
5号機増設にかかる意見を言うための「審査書」を見るためには。

科学技術庁の(原子力安全調査室の)担当者が、県のサービスセンターでは「審査書」は配布しないこと、同時に、「チェルノブイリ」という本は希望があれば配布するということを、わざわざ知らせてくれたのは水曜日。

その時に、「審査書は配布はできないことになったけれども、公開文書には加えていつでも見れるようにします」と言ったのだった。
せっかく言ってくれたのに、昨日は行かなかった。
そして今日、午後1時過ぎにサービスセンターに行った。

ない、いくら探してもない・・「おかしい、おかしい」とぶつぶつ言っていたら、不審に思った(「おかしい」と思った)怖そうな担当者の女性が(そちらこそ怖そうな女性だと思って?)尋ねてくれた。

「何がないの?」「実は・・・」一生懸命説明したら、他の人のところに連れて行かれてしまった。
その人は「よくわからない。何がどうしたの?」と聞く。それはそうだろう。「科学技術庁が置くと言っていた書類が置いていない」と県で言っているのだから。

「内線・・の・・さんを呼んで下さい。」うわごとのように担当者の名前を言う。

運良く(悪く?)担当者はいた。「審査書がまだ置いてないようですけど」「それはまだ科学技術庁の方から届いていないので、届き次第置きます。」「でも置くって言って下さったのは、もうおとといのことですが。」

セールスの電話もそうだが、嫌な電話はなるべく早く切る方がいい。
「置くかどうかということも含めて、浜岡の事務所に連絡を取っていただいた方がいいと思いますので、直接話をしてもらえませんか。」所長のお名前を教えてくれた。
いろいろと知り合いが増えるのはいいことである。早速電話してみた。

浜岡の、科学技術庁の出先機関の事務所長のお話。
「科学技術庁から今日届いたので、これから県に送付する事務手続きをするところです。月曜日頃になりますがいいでしょうか。」 金曜の昼に考えると、月曜日はけっこう遠く感じる。

「科学技術庁の担当者は、渡せないが公開する、と水曜日に言っていました。今日は13日の金曜日です。意見の公募は3月5日でしたね。」「なるべく急いで送りますが、なにぶん今日届いたばかりなので。」

(なぜそっちに届くのか?)「なぜ、他の資料は高価なものでも無料でどんどん送ってくれているのに(内緒だが、実は4千円もする本も送ってもらったことがある)、意見募集用の資料は有料になっているんですか?」「それは予算の関係もあるし、政策上の問題だと思います。」・・とかなんとか。

「県の担当者は審査書をお持ちなのだから、それを公開資料の方に回して下さればいいのではないのですか。」(このあいだ持っていると言っていた。持っていないと言えば「えっ、持っていないんですか?」と言われるに決まっている。しかし、本当に持っていたのだろうか?その時確かめておけばよかった。)

「少し検討してみますので、4時過ぎにお電話を下さい。」「私は公開されると聞いてもう見に来ているのですけど、それでは一度うちに帰らなければなりません。もう少し早くしてくれませんか。」「何時間くらいならお待ちいただけますか?」「30分後にお電話します。」

30分は有意義にすごせた。
昨日の朝、電話で県にお願いしたばかりの「チェルノブイリ」が、科学技術庁からもう届いたと言う。ちょうどよかったと持ってきてくれた。「上下5部づつになってしまいました。」(まあ、なんて早いんでしょう、審査書に比べて・・・)違いを説明したがやっぱりわかってもらえなかった。もちろん、ただである。意見募集はついていないから?・・・かもしれない。

時刻は2時20分になっていた。もう一度電話。
所長というものはたいへんである。すぐに出てくれた。

「どうなりましたか?」「確かに月曜日では公開資料としては遅すぎるので、こちらから持ち込むことにします。」「持ち込む?持って来るんですか?一冊だけ届けるんですか?浜岡から?」「そうです。ですから4時半頃には公開する資料になっていると思いますので、そのころもう一度来て下さい。」

(なんてこと、私が暇ってどうして知っているんだろ。)「どうせ届けるのなら、そちらで配付している資料を一冊ついでに持ってきてくれませんか?」「それはできません。」「じゃあ、そちらから公表資料をこちらに届けて、私はそちらまで取りに行けなければならないんですね。」「そうです。これはあくまでも公開用の資料として送られてきたもので、それを届けるということです。」「それなら2,3冊ついでに持ってきてこちらにも置いてみたらどうでしょうか?」

「560円くらいを負担してくれればいつでもすぐにお送りしていますので、そのような方法を利用していただければと思います。」(私が貧乏なのが見てわからないのだろうか?・・・電話だった。)

「わかりました。4時半に来ればいいのですね。」
穏やかな日は、穏やかなドライブ日和になった。
浜岡から県庁まで、一時間か1時間半くらい、一冊の本を届ける担当者にとって。

もう一度、4時半に行ってみた。 公開用のシールを貼った審査書は中の机の上に置いてあって、入っていったらすぐに受付の女性が出してくれた。貸し出しカードを添えて。

心配になって聞いてみた。「これ1冊しかないんですか?」「そうです。」優しく答えてくれた。

別の人が借りに来たらどうするんだろう。
人ごとながらとっても心配になった一日。   

(1998.3.14)     
     

つづく

前に戻る


このホームページに関する御意見、御感想は
ヘパフィルター(E-mail:hepaf@ag.wakwak.com)
までお願いします。

(C) 1997 HEPAFIL

メール 前ページ 次ページ ホームページ