懐かしのレーシングカー:My Dear Old Racing Cars

KE F1 PROJECT

KE F1 PROJECT

*09:本番1(KE007)*

1976年ワールド・チャンピオンシップ・第16戦
F1世界選手権イン・ジャパン
1976年10月24日、富士スピードウェイ
公式入場者数
22日:1万4000人
23日:1万6000人
24日:1万7000人
(車両台数)
5000台
7000台1万
6400台
天候:雨にち曇り 気温:18.2℃ 湿度:91% 気圧:949.3mb 風力:0.2m 風向:東 (午後1時現在)


10月22日、ついに日本初のF1・GPが始まりました。『日本GP』の名こそは付きませんでしたが、日本レース界最大のイベントでした。(日本GPの名は、鈴鹿にて行われたF2000にすでに決まっていたためです。)

KE007

予選1日目、22日の午前中、最も観客を湧かしたのがKE007でした。走りはじめてすぐ、1分13秒台に突入しました。一説によれば、13秒台に突入したのは、長谷見選手が1番早かったそうです。ここ一発に、気合の入った長谷見は、1分13秒88をたたき出しました。その時までのトップは、J・ハントの1分13秒76で、長谷見は4番手の堂々たるタイムでした。

午後に行われた2回目の予選、長谷見選手はマクラーレンのスリップストリームに入り、13秒台前半をめざしアタックを開始しました。ヘアピンを抜け、300Rを通過し、最終Rに差しかかる時、フロントのコントロールを失い、まっすぐ外側の土手に激突してしまいました。さいわい、長谷見選手には大きな怪我はありませんでしたが、KE007はフロンと部分が潰れてしまい、モノコックも、大きく波を打ってしまいました。

KE007

予選でクラッシュしたKE007。モノコックまでつぶれていて、使える代物ではなかった。

エントリー/プラクティス
エントラント1日目2日目
ドライバーマシン1回目2回目3回目
1N.ラウダフェラーリ312T-21分13秒771分13秒741分13秒083
2C.レガゾーニフェラーリ312T-21分15秒011分13秒641分13秒907
3J.シェクターティレルP341分15秒171分14秒261分13秒315
4P.デパイエティレルP341分15秒521分14秒151分14秒5713
5M.アンドレッティロータス771分13秒911分13秒291分12秒771
6G.ニルソンロータス771分15秒591分15秒431分14秒3516
7L.パーキンスブラバムBT451分15秒301分14秒381分14秒7317
8C.ペイスブラバムBT451分13秒811分13秒431分13秒656
9V.ブランビラマーチ7611分15秒291分13秒721分13秒888
10R.ピーターソンマーチ7611分14秒881分15秒481分13秒859
11J.ハントマクラ―レンM231分13秒761分13秒951分12秒802
12J.マスマクラーレンM231分14秒071分14秒171分14秒0512
16T.プライスシャドウDN81分16秒271分14砂231分14秒5014
17J.P.ジャリエシャドウDN51分16秒221分16秒121分14秒7715
18高原敬武サ―ティ―ズTS191分16秒711分17秒251分15秒7724
19 A.ジョ―ンズサーティ―ズTS191分15秒921分14秒941分14秒6020
20A.メルツァリオウイリアムズFW51分16秒161分15秒281分l4秒4119
21桑島正美/H.ビンダ― ウイリアムズFW51分17秒901分19秒271分17秒3625
24H.ア―トルヘスケス308D1分53秒111分16秒511分15秒2622
26J.ラフィ―リジェ・マトラJS51分14秒901分14秒451分13秒8811
28J.ワトソンべンスケPC41分14秒671分14秒671分13秒294
30E.フィッティパルディコバスカ―FD-041分16秒201分15秒711分15秒3023
34H.スタックマ―チ7611分22秒111分14秒801分14秒3818
51長谷見昌弘KE0071分13秒881分18秒4210
52星野―義ティレル0071分14秒941分14秒951分14秒6521
55T.トリマ―マキF102A1分36秒841分30秒91NC
(21)のタイムは1、2回め桑島正美、3回めはH.ピンダ―による

24日、長谷見選手とKE007がサーキットに現れました。クラッシュしたシャーシは、もちろん使えるわけもなく、小島エンジニアリングは、モノコックを新たに作り直してきたのです。1日半で新しいモノコックを作ってくるなど、どのチームにとっても信じられないことでした。ロータスチームのコーリン・チャップマンは『これは奇跡だ。』と言ったそうです。

KE007
雨中のホームストレートを疾走するKE007

KE007
ピット風景