省庁交渉トップページへ

1999年度
厚生省
運輸省
環境庁
建設省
通産省
労働省
 
省庁交渉 省庁交渉の記録


1999年度 

建設省
建設省側出席者
@住宅局建築指導課 課長補佐 北村重治
A 住宅局建築指導課建築物防災対策室 課長補佐 明石達生
B 住宅局建築指導課 川元
C 建設経済局建設業課 課長補佐 河村賢二
D 建設経済局建設業課 かんばら
E 河川局治水課 課長補佐 高橋定雄

(窓口: 大臣官房文書課 東健太郎、TEL 5251-1803/FAX 5251-1921)

全国連側出席者
10名: 古谷杉郎、野沢実、老田靖雄、信太忠二、永倉冬史、名取雄司、西田隆重、外山尚紀、川本浩之+1名



2000年6月14日(木)15:30〜16:30 建設省1階共用会議室


1. 昨夏EUが2005年までのヨーロッパにおけるクリソタイル全面禁止を決定し、アスベスト産出=輸出国であるブラジルもEUの決定にならう意向を発表している。アスベストの禁止に向かう国際的潮流はもはや確定したと言える。
アスベスト禁止に向けたこのような国際的な情勢を踏まえ、日本においてもクリソタイルを含めたアスベストの輸入・製造・使用等の禁止を早期に実現するようイニシアティブを発揮されたい。国際的な情勢に関する貴省としての認識もお聞かせ願いたい。

【回答】
建築基準法を所管する立場から主としてお答えする。現在建築物で一般的に使用されている石綿含有建材というのは、スレート板とか成形材である。こういう成形材については昨年もお答えしたが、通常に使用する状態では繊維等が飛散するおそれはないということだろうと思う。御指摘のとおり国際的な動向については引き続き興味を持って注目していきたいと考えているが、現在わが国が建築基準法でどのような措置をとるかということになると、建築材料として通常使用される状態での顕著な有害性は確認されていないと思うので、建築基準法で禁止することが必要な状況にあるという認識にはいたっていない。

* 建設省直轄の改修・解体工事対策や建設リサイクルがらみで廃掃法の網がかかっていない以外の非飛散性アスベスト廃棄物も含めて一定の対策をとろうとしている一方で、そういう余計な負担をかけることにもつながるアスベスト建材を新規に使用することについては言わば「野放し」にしているかのような建設省の姿勢は理解できない。とくに他省庁では禁止が必要かということではわれわれと意見が違っても、代替化を促進するという方針は明言しているのに、建設省ではその方針すらないのか?

「建築基準法というのは建物の性能を満たすための最低の基準ということであって、これは誘導策ではない。ノンアス化を促進しようということに対して、建築基準法の観点から異を唱えているとか、そういうことではまったくない。それは、ノン・アスベスト化を進めることはやるべきだと考えている。ただ、構造強度の規定の中で、こういう製品についてはこういう強度があるということを規定してきた。それを強度がないということであれば、建築基準法の構造強度の点から禁止できるが。強度があるものを構造強度の点から禁止することはできない。ノン・アス化に反対ということでは決してない。」
「ノン・アスベストで使えるものがあればそれをどんどん使っていこうという方針である。」

* 解体・改修や廃棄あるいは健康被害関連の費用も含めればアスベスト含有建材は決して安価ではな いという情報が一般消費者に正しく伝わる必要性がある。

「たしかに正しい情報としてそういうものが提供されるということは、おっしゃるとおりだと思う。ただその場合にメリット・デメリットをつけるという場合に構造強度でつけるというのはたぶん難しいことと思う。」

2. 従来から建築基準法・関係政省令等から、石綿スレート板および石綿パーライト板等仕様例示規定におけるアスベスト含有建材指定の記述を削除するよう要請してきたが、48年ぶりの建築基準法の抜本改正のもとでどのように対応されたか注目しているところである。

@ パブリック・コメント手続段階で、建築基準法施行令案に関しては、第115条(建築物における煙突)第1項の3のイ(1)に「煙突の小屋裏、天井裏、床等にある部分は、金属製又は石綿製とし…」との記述が残されたこと、また、「不燃材料に関する建築材料を定める件」(法第2条第9号関係、告示改正?)で「石綿スレート」が例示されていること、は確認しているが、施行令、省令、告示等で他に「石綿製」ないし石綿含有建材の記述が残された部分があれば、お示し願いたい。

【回答】
建築基準法の改正がなされ、昨年はちょうど途中だったので今後のこととしか答えられなかったが、パブリック・コメントを行い、今年6月、先日から施行されている。「石綿」という文字が残っている箇所は以下のとおり13箇所。
柱の小径(令第43条)/固定荷重(令第84条)/煙突(令第115条)/耐火構造(平成12年建設省告示第1399号)/準耐火構造(平成12年建設省告示第1358号)/防火構造(平成12年建設省告示第1359号)/法23条外壁(平成12年建設省告示第1362号)/不燃材料(平成12年建設省告示第
1400号)/令109条の3屋根(平成12年建設省告示第1367号)/令109条の3床(平成12年建設省告示第1368号)/木造の軸組(昭和56年建設省告示第1100号)/枠組壁工法の壁材(昭和57年建設省告示第56号)/遮音構造(昭和45年建設省告示第1827号)

A 前記施行令改正案第115条第1項の3のイ(1)から「石綿製」との例示を策すべきという意見(パブリック・コメント)に対して、「未だ、国内においては、工場等で石綿制(ママ)のものが成形されており、多く使用されているという実情を踏まえ、従来どおりの規定としました」との回答が示されているが、他に残された部分があれば、その理由についてもお聞かせ願いたい。

【回答】
なぜこれらの規定に「石綿」という言葉が入っているかということだが、これらの規定において改正後においても「石綿」の例示があるわけだが、現に通常一般的に使用されている材料である。そういう材料であって、かつ、各規定が要求する性能は満足するものであるので、例示に記載することが不適当ではないという判断を、あらためてしたということである。

B 今回の改正法の施行が、アスベスト含有建材の使用状況に与える見込みについて、お聞かせ願いたい。

【回答】 これはわからないが、われわれは、前の規定から今回の規定に変わったことによって、特段の影響はないだろうと思っている。

3. 建築基準法第12条第1項では、「特定行政庁が指定する」建築物の「敷地、構造、建築設備について」、特定行政庁への定期の調査報告を義務づけ、同条第3項において「特定行政庁、建築主事、建築監視員は、施行の状況に関する報告を求めることができる」、第4項において「都道府県の吏員は、(中略)建築材料、設計図書、検査、質問ができる」としているところである。

@ 建設省においては、吹き付けアスベストの除去が問題となった1989年度、劇場、病院、百貨店等公共的性格をもつ施設について、建築基準法第12条に基づく検査とそれに伴う処置をとるべく指導するとしたと聞いているが[別添『公害と対策』Vol.25, No.10の記事参照]、どのような検査を実施したのか。また、都道府県の実施状況について、お聞かせ願いたい。

【回答】 御指摘にあるのが1989年の論文(山崎千太郎「アスベスト問題の現状と対策技術・最近の動向」 公害と対策Vol.25,
No.10)の記述だが、建設省ではこれより以前に昭和63年6月に特定行政庁宛ての通達を出している(建設省住指発第230号)。これは「既存建築物の吹付けアスベスト粉じん飛散防止対策の推進について」というタイトルで、昨年要望が出された(財)日本建築センターの「既存建築物の吹付けアスベスト粉じん飛散防止処理技術指針」を送付したものであるが、「民間建築物の吹付けアスベスト対策については、建築基準法第12条第1項及び第2項に基づく特殊建築物、昇降機及び建築設備に関する定期調査・定期検査等を活用し、その指導に努められたい」と書いてある。こういう指導がなされていることはわかったが、しかし、御指摘の平成元年についてどうだったかについては調べてみたのだがちょっと把握できなかった。

A 静岡県安全協会作成の「特殊建築物定期調査報告業務標準」には、衛生関係の調査書に「吹き付けアスベスト」の欄があり、(1)吹き付けアスベストが施工されているか、(2)吹き付けられている 部分のおおよその面積、(3)吹き付け表面の損傷の有無(概況欄に、繊維の崩れ・垂れ下がり、剥離等の損傷がみられるもの)、が調査項目としてあげられている。
この静岡県の吹き付けアスベストについての調査項目は、他の特定行政庁の定期調査にも共通のものかどうか、お聞かせ願いたい。 また、アスベスト含有建材の有無、面積、損傷の有無についても、調査項目に入れるようにされたい。

【回答】
こういうことはわかってはいなかったのだが、特定行政庁は実際228ありその全部にはできなかったが、全都道府県に問い合わせてみたところ、回答がわからなかったところが3つか4つかあったがあとはわかって、10の都道府県で定期調査報告の項目に「吹き付けアスベスト」に関するものを入れているとの回答があった。
定期調査報告で何を見るべきかということは建て前からいうとそもそも特定行政庁の権限に属している。その地域でどんなことが安全上問題になっているかということで必要最低限義務を課しているということになるので、特定行政庁の権限。それまでもいろいろな指導していたが、先に地方分権推進法ができたのでかなりはっきりしてしまい、国が指示をしてという関係にはないということである。
ただ次のBとも関係するが、アスベスト含有建材の調査が定期報告でやることとしてどの程度までやれるというか適当かということになろうかと思うが、建材の有無とか面積とかですが…。少なくとも通常使用されている状態であれば危険な状態にあるとは思わないので、建築基準法第12条の調査というのは言わば建築物の現状の使用状態で建築基準法の規定に適合しているかどうか。厳密に言えば建築基準法の規定どおりになっているかどうかというところが対象となる。ただ、もう少し広く安全衛生の確保ということも行政の中ではみておられるので、特定行政庁がアスベストのことを見ていることをただちに違法だと言うつもりはないが、厳密には建築基準法がきちんと適合しているかどうかという趣旨なので、所有者の金銭負担によって行われているので、アスベスト含有建材の使用量がどれだけあるかというところまで把握をさせるのはちょっと無理があると思う。

B この定期報告義務は、一定規模以上の建築物のアスベスト使用状況、劣化状況等の把握のための非常に有効な機会である。これによって、建設リサイクル法による工事の事前届出の際にアスベストの有無をチェックすることも可能である。また、これによって把握された情報をもとにアスベスト・マップを作成すれば、震災等に備えて吹き付けアスベストをノンアスのものに切り替えていく指導に役立てることもできると考えられる。ぜひ、そのような施策を実施されたい。

【回答】 Aで回答。

4. 『既存建築物の吹き付けアスベストアスベスト粉じん飛散防止処理技術指針・同解説』(監修:
建設省住宅局建築指導課、建設大臣官房営繕部監督課、発行: 日本建築センター)の11頁では、「吹き付けアスベスト層に関する事前調査・調査票」が示され、「修繕・改修歴」や「別添建築物内アスベスト対策フローチャートに基づく管理・記録の必要性」、「維持保全計画書封じ込め及び囲い込み処理後の1年1回行う点検」が求められている(38、131頁)。
この優れた内容をまったく実施していない地方自治体が認められるが、吹き付けアスベストの解体・改修工事が増加する時期にあたり、地方自治体(具体的には営繕担当部署)への指導を強化されたい。

【回答】
大臣官房営繕部監督課で、直轄営繕工事に適用する「建築・改修工事共通仕様書(平成10年版)」を作り、その中で「技術指針・解説」の内容を継承した「吹き付けアスベストの除去及び封じ込め工事」という章をたて、これを契約条件とすることによって、改修工事における適切な対応を確保している。この内容については、地方公共団体の営繕工事においても広く活用されるように、地方公共団体に対しては参考送付し、その活用を指示している。われわれの具体的な権限は実質的にはおよばないが、いろいろな会議等を通じて、この仕様を参考にして地方公共団体でも適切に工事を実施するようにと言っている。

5. 「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」について

@ 同法制定の動向についてお聞かせいただくとともに、以下の点にご回答いただきたい。
・ 同法のもとで、アスベスト含有建設廃棄物はどのような取り扱いをされる予定かお聞かせ願いたい。

【回答】 建設リサイクル法は設経済局建設業課になるが、建設リサイクル法についてはおかげさまで4月
25日衆議院本会議で可決いただき、引き続き5月24日に参議院本会議でも可決いただいた。5月31日に公布済みで、今政省令を作っているところ。まだ、本格的に動き始めたばかりなので、十分お答えできないところも多いかもしれないが、その中で方向性について答えられるところを答えておきたい。

@については具体的なことはまだ未定ということだが、少なくとも再資源化を目的とした法律の中で、建築解体廃棄物から出てくるものを再資源化しましょう、再資源化できないものについてはやはり適切に処分しましょうと。こういうのが基本的な考え方になるので、少なくともアスベスト廃棄物の中には廃掃法の中で特別管理に指定されているものもあるので、そういったものは廃棄物処理法等関係法会令に基づいた適正な処分という方向で対処していくことになろうかと思う。
・ 建設リサイクル法のもとで「解体工事業者の登録制度」が創設される予定とされるが、吹き付けも含めアスベスト使用建築物の解体・改修工事等はどのように取り扱われる予定かお聞かせ願いたい。従来要請してきたとおり、それらの工事を実施するものの資格要件の導入を検討されたい。

【回答】
再資源化と合わせてもうひとつの大きな柱となっているのが「解体工事業者の登録制度」。こちらについては、皆様がおっしゃるようなアスベストをどうするとか個々具体的なことを定めることとはしてないので、その資格の要件としてどういう資格を課すか、具体的には[聞き取れず]国家資格であったりあるいは(社)全国解体工事業団体連合会というところが民間資格として解体工事施工技士という資格を―これは非常に難しい資格だと聞いているが―こういったことを活用するとか。そういう方法で、解体工事のやり方、それから当然廃棄物の廃棄の仕方、そういった一定の知識をもっている方々に「技術管理者」というかたちで、解体工事業者の登録にあたって設置を義務づける、というかたちにしていこうとか。

* 政省令の目途は、「まだはっきり確定していないが、政令クラスは半年以内、省令クラスは1年以内」。

A この法律の目的は、「…廃棄物の適正な処理を図り、もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与すること」とされているところである。
現状においては、解体・改修工事現場でアスベスト含有建材の取り扱い、廃棄は適正に処理されているとは程遠いと言わざるを得ない。同法において、解体・改修工事におけるアスベスト含有建材の取り扱い、および、廃棄の取り扱いを明確に定めるとともに、以下のような措置を講ずべきである。
・ 同法は分別解体等の実施を義務づけているが、破砕することによってアスベスト粉じんが発生するアスベスト含有建材は再資源化に適さないことから、分別解体の前にアスベスト含有建材の有無を確認し、存在する場合には養生内において負圧をかけ、一括して除去し、適正に廃棄した後に、再資源化のための分別解体を行うこととすべきである。
これは具体的には、「解体工事の施工技術の確保」(法律案第30条)や「技術管理者の職務」(同前第32条)等の具体的内容として定めるべきである。

【回答】
Aはアスベスト廃材を具体的にどう取り扱うかということだと思うが、まだこれからの作業である。アスベスト廃棄物対策と解体施工の方法についてご提案があるわけだが、まさにこの法律の省令で分別解体の手順を定めることとしているので、その手順にあたっては当然アスベストも含めていろいろな有害物質がおそらく建築物のなかには混入されてくるおそれがあるので、そういった事前調査をまずやったうえで、再資源化できるものをうまく分別して再資源化できるような手順を考えている。飛散性アスベストが仮に調査の結果発見された場合には、当然それは関係法令に基づいて適正に撤去するという方向で、そういった内容を定めることになろうと思っている。
ただ、ご提案にあるように30条、32条で施工技術の確保あるいは技術管理者の職務というところの具体的内容というところではなくて、分別基準というところで書けるものについては書いていく。分別基準の目的はあくまで分別解体の再資源化に関する要件だから、どこまで書けるかは今後の検討課題になるが、もし省令に書けなかったことがあったとしてもガイドライン的なもので、行政指導的なかたちになろうかと思います。現在でもアスベストの処理については、行政指導的に指針みたいなものをつくって事業者に対して指導を行っているわけで、そういうかたちで指導していきたいと思う。

* 建材によっては製造年代によってアスベストが含まれていたり、含まれていなかったりするが、そういうものについての調査は?製造業者に一覧表を作らせ一般に配ることはできないか?

「どういう調査をというのは細かく規定できないと思うが、少なくともそういった情報については何らかのかたちで提供すれば…逆にご提供いただければそういう情報をまとめて、こういう年代のものにはこういうおそれがありますよと。」
「(一覧表については)それは調査の1方法として有効な手段だと考えているので、考えてもらおうかとは思っているが。アスベストに限らず、できるだけ幅広い情報を集めて提供できるようなかたちを考えていきたい。ただどこまでできるかということは、この場ではちょっと保障できないが…」

* 非飛散性アスベストの取り扱いについては、「分別基準」自体に入るかどうかも「まだ現時点ではわからない」。
「ただ基本的な考えは、分別基準として書くと、その分別基準にしたがって工事が施工されなければならない。するとしたがった工事について発注者に負担していただくお金が確実に増加する。法の目的はあくまでも再資源化するためということだから、木材等を再資源化できるかたちで取り出す施工基準を規定しようと思っている。有害物質を除去しなければ再資源化できないというような場合には入りやすいと思うが、除去したうえで除去したものからさらに除去するというのまでは再資源化のための分類基準ではないので、これは期待されてもなかなか難しい。アスベストの除去についてどこに位置づけられるかということはこれから検討しなければいけないので、今の段階ではまだわからない。」

・ 同法は発注者等による工事の事前届出を義務づけている。都道府県知事に分別解体等の計画等の届出を行う際に、吹き付けアスベストおよびアスベスト含有建材の使用状況等の調査票を提出させ、適正な除去工事を義務づけるべきである。なお、届出は「7日前」では監督が困難であるから「14日前」とし(同前第10条)、発注者から建設工事業者への説明事項には「その他主務省令で定める事項」も含めるべきである(同前第12条第1項)。

【回答】
これは分別基準の記載内容とも関係するが、基準の中でアスベストの取り扱いについて今の説明のように廃掃法にしたがって適正な処理というようなことがおそらく書かれて、書かれた段階で廃掃法とこの法律の役割分担とか今後どういう方向でやっていくのが一番いいのかということを検討したうえで、必要な対応をしていくことになる。届出の時期については、すでに法律で7日前と決められたので法律を変えないと変えられない。しかし考えかたとしては、一般の人の届出を想定しているので国民負担ということも考え、各法令のそういう届出の例も参考にしながら、7日前とさせていただいた。説明事項に関しても、法律の方で入っていないところだが…。法の運用状況を見ながら、この法律は5年後には見直しをすることがうたわれているが、そういう機会に必要があれば。

・ 「解体工事の施工技術の確保」は肝心なところであり、努力義務ではなく、罰則付きの義務規定とすべきである(同前第30条)。合わせて、違反したときには、解体工事業者の登録の取消し等ができることとすべきである(同前第35条、第31条〜第34条違反も対象とする)。

【回答】
これは努力義務になっているが、解体工事をやるうえで業者の施工技術を確保することが重要ということでこれに努めてくれというものであるが、最低限これを守ってくれという部分は別に分別解体の基準があり、そこの方で義務化する。義務を履行できるように、ちゃんとした工事ができるように技術管理者がいることを要件として、実際に現場でその人が技術的管理をするという規定を盛り込んでいる。

・ 再資源化をするための施設としては中間処理施設を予定していると思われるが、現状での東京都内や近郊の中間処理施設建設の住民説明会では、現行の廃掃法では持ち込みを防ぎきれないアスベスト含有建材からのアスベスト粉じんに対する住民の不安が大きな争点になっている。さらに、含有建材だけでなく、民間の解体工事では吹き付けアスベストの除去も十分適正に行われているとは言えず、廃石綿が中間処理施設に持ち込まれ、高濃度のアスベスト粉じんを再飛散させることは確実である。中間処理施設のアスベスト対策について、厚生省と協力して、ガイドライン等を策定すべきである。

【回答】
たしかに中間処分施設を含めて施設に何が搬入されているかということについては、ある意味ではモラルのところになろうかとも思う。例えば安定型処分場に安定型以外の廃棄物が入ってくることをどう防ぐかということは非常に難しい問題だが、それと同じような問題ではないかと思っているので、われわれとしてはできるだけ適切に分別することをお願いしているところであり、建設省として建設業者に対しては、特別管理産業廃棄物として飛散性アスベストについては法律に基づいた適正な処理を行うようにという指導を当然行っていると同時に、非飛散性アスベストについては、法律の適用除外にはなっているが、破砕して飛散性になる可能性もあるということで、安易に再資源化という方向にまわすのではなく、そういったものはできるだけ直接埋立処分するように、これは行政指導になるが、そういうかたちでこれまでもやってきたところである。

* 非飛散性アスベストについての指導は、「建設副産物適正処理推進要綱」によるものであり、一昨(1998)年12月に改正されたもの(「改訂版建設副産物適正処理推進要綱」(株)大成出版社、1999)。
「法的位置づけは行政指導だが、例えば建設省の直轄工事なんてのはこの推進要綱に基づいて廃棄物処理をこうしなさいというような位置づけで、特記仕様書とか共通仕様書とかの仕様書に位置づけているので、契約事項として守らなければならないことになる。」

* 神奈川県で廃プラスチックを圧縮して燃料を作るという中間処分場の建設問題で住民がアスベストも入ってくるのではなどと不安がって話し合いが行われているが、業者がどう説明しているかというと、廃掃法上アスベストは入ってこない、万一入ってきたとしてもバグ・フィルターでとれるから十分と説明している。まずバグ・フィルターではアスベストがとれるということはないし、廃掃法で入ってこないというアスベストは「廃石綿」だけで、廃プラスチックのPタイル等は入ってきてそこで粉砕され、溶融されることになる。Pタイルにはアスベストが入っていたわけで、ここでアスベスト粉じんが飛散する可能性がある。廃掃法上の「廃石綿」以外のアスベスト含有建築物も入ってくる可能性がある。廃掃法が守られたとしてもこういう状況である上に、現実には「廃石綿」の吹き付けアスベスト等も違法に持ち込まれている実態がある等と指摘し、抜本的対策の確立を求めた。
「現状としてPタイル(ビニール床タイル)を含めて非飛散性アスベストだということで法規制がかかっていないことはご指摘にとおりである。われわれとしては、石綿セメント板、珪酸カルシウム板等も含めて、やはり破砕して粉砕することによって飛散するおそれがあるから、できるだけ環境施設にもっていくのではなくて、直接埋立処分してくれと指導している。ただ行政指導なので守られていない場合があるということはご指摘のとおり。」
「今回の法律によってどうなるかということだが、今回の法律のもうひとつの大きな要素というか、発注者という登場人物を設けて、ここに役割を期待している部分。建築届で解体工事の内容を一般の施主の方が自ら書いてというのは当然不可能なことだと思っているので、建築工事をする方はその建物の解体工事計画を事前に発注者に説明しなさいという義務づけをかけた。当然その中には自らが行うべきアスベストの除去とか必要であれば当然それも計画に盛り込んだうえで工事が行われることになる。これをせずに違法な計画をたてて違法な解体が行わた場合には、まあ状況によってだれが罰せられるかということになるかと思うが、場合によっては発注者にも罰則がかかる仕組みになっている。解体工事に関する虚偽の報告をした場合には発注者にも罰則がかかるという仕組みがあるので、具体的にこれがアスベストに関してうまく作用するかどうかというのは今後もう少し検討が必要だと思うが、そういう意味で発注者に対する解体工事に理解、これまでまったくなかったと言っていい状態だったと思うので、それについては仕組みの中で解体工事にはこれだけの内容があって、これだけのコストがかかりますよということは契約の中で示して、適正な費用についても負担していただく。契約の中で解体工事に要する費用についても明確に記載しなさいということも今回の法律の中で記載してある。元請業者がさらにそれを解体工事業者に下ろすときにも同じ仕組みとして、届け出た内容を説明しなければいけないし、解体工事に要する費用も契約書の中に書かなければいけないということになっている。そういう意味では、元請、下請の重層構造になっているが、一定の仕組みができた。」

・ 同法の目的からして、「解体工事の施工技術の確保措置」(同前第30条第2項)を含め、省令等の主務大臣として、建設大臣だけでなく、厚生大臣や環境庁長官も積極的に関与するようにすべきである(同前第44条)。

【回答】
この法律の解体工事業の部分は、解体工事業自体が今の建設省のひとつのテリトリーであり、建設大臣のもとで監督指導を行っているということもあるので、建設大臣の方で今後とも監督していくことにしているが、それ以外に分別解体とかは廃棄物の適正な処理ということも関係するので厚生大臣と一緒に行うことになっており、厚生省の廃棄物関係が環境庁に移ることから環境庁長官。

6. 昨年行われた渡良瀬川遊水池の越流堤のアスベスト含有アスファルト切削工事の、残りの越流堤の部分の工事の予定について、お聞かせ願いたい。また、今後の同様の工事のアスベスト対策についてもお聞かせ願いたい。

【回答】 [聞きとれず]
河川ではここ以外は使用していない。河川に限定しなければ、河川局関係では三栗川ダム(六日町)のかりしめ機の堤防部分に使用されているだけとのこと。



このホームページの著作権は石綿対策全国連絡会に帰属しています。
許可なく転載、複写、販売等を行うことを禁じます。