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1999年度 

厚 生 省
厚生省側出席者
@生活衛生局企画課 課長補佐/医学博士 大森豊緑
A 生活衛生局企画課生活科学安全対策室 室長補佐/厚生技官 吉田 淳
B 児童家庭局保育課 予算係長 渡利賢司
C 水道環境部産業廃棄物対策室 係長 馬場康弘
D 水道環境部水道整備課 上水道係長 田中裕彦
E 水道環境部水道整備課 技術係長 日置潤一
F 保健医療局国立病院部経営指導課 建築専門官 阿部泰則

(窓口: 大臣官房総務課 課長補佐 小林耕三―欠席、TEL 3591-9574/FAX 3580-5355)

全国連側出席者
7名: 古谷杉郎、永倉冬史、名取雄司、西田隆重、飯田勝泰、外山尚紀+2名


2000年6月5日(月)14:00〜15:15 合同庁舎第5号館共用第2会議室


1. 昨夏EUが2005年までのヨーロッパにおけるクリソタイル全面禁止を決定し、アスベスト産出=輸出国であるブラジルもEUの決定にならう意向を発表している。アスベストの禁止に向かう国際的潮流はもはや確定したと言える。
アスベスト禁止に向けたこのような国際的な情勢を踏まえ、日本においてもクリソタイルを含めたアスベストの輸入・製造・使用等の禁止を早期に実現するようイニシアティブを発揮されたい。国際的な情勢に関する貴省としての認識もお聞かせ願いたい。

【回答】
厚生省としては昭和63年2月1日付けで環境庁(大気規制課長)と厚生省(企画課長)の連名課長通知(「建築物内に使用されているアスベストに係る当面の対策について」)を出しており、これは大気汚染防止法の改正に伴い、平成9年2月24日付けで一部改正して除去工事の適切な対策について追加したところである。これらの内容については、厚生省で実施している建築物環境衛生管理者講習会の中でも徹底する、あるいはいろいろな機会を利用してアスベストによる健康影響を防止するために、アスベストを使用している建築物等については適切な対応がなされるように、都道府県を通じて指導している。

2. 国際疾病分類の改訂(ICD-10)により、人口動態統計により「中皮腫」による死亡件数が把握できるようになり、1995-98年の4年間に2,243人にのぼっていることは新聞でも報道されたとおりである。
@ これらの死亡者数と職業上、環境上のアスベスト曝露との関連についてどのように認識されているかお聞かせ願いたい。

【回答】
わが国における中皮腫による死亡件数は人口動態統計の死亡統計に国際疾病分類ICD-10が適用されて以来、平成7年度より集計が可能になった。平成6年以前は、中皮腫は「その他の悪性新生物」に含まれていたので把握できていない。
しかし、アスベストが中皮腫の発生と密接に関係しているということは言われているが、これらの死亡統計上の死亡者数について、職業上あるいは環境上のアスベスト曝露の関係に関する情報はないということで、因果関係については何とも言えない。

A 肺がん、石綿肺等によるものを含めたアスベスト疾患による死亡者数の現状および今後の予測をどのように認識されているかお聞かせ願いたい。

【回答】
中皮腫と同じく肺がんによる死亡者数は死亡統計によって明らかになってはいるが、アスベスト曝露との関係ということについては、明らかではないということで、現在のアスベスト疾患による死亡者数の現状あるいは今後の予測ということについては、不明であるとしか申し上げられない。
しかし、御指摘のとおりわが国では昭和30年代から50年頃にかけて建築物にアスベストが採用されているという経緯があるので、今後引き続き中皮腫などの発生についてはその動向をフォローしていく必要があると考えている。

B 以上の認識を踏まえた厚生省としてのアスベスト対策に対する考え方をお聞かせ願いたい。

【回答】
前述のとおり厚生省としては昭和63年の通知とその平成9年の改正でもって、建築物内に使用されているアスベストに関する対策、あるいは後者においてはその除去工事についての適切な対策ということを指示したところであるので、今後ともこの通知に基づいて都道府県、保健所等を通じて指導を行っていきたいと考えている。

* かなりの部分がアスベスト曝露と関連があると言われている(医師国家試験にも出ている)疾病で年間
500-600人の方がなくなっているのに、「動向をフォロー」ということだけでなく、もう一段踏み込んだ把握をする対策を図るとか、専門委員会を考えていく、などのお考えはないのかとの問いに、

「中皮腫と(アスベスト曝露と)はかなり関係が深いということは言われているところで、われわれもそれは認識している。しかし、500名のうちのどの方がアスベスト曝露があるのか、あるいは曝露の量とか期間ということについては全くわからない現状で。そういう中で、例えば500名についてアスベストの関係をどうこうということは申し上げられない。」 等と繰り返すだけで、一歩踏み込んだ対処の必要があるのではないか再三質しても、 「おっしゃることはわかるが、いざ分析しようとすると難しい。しかも個々のケースの因果関係となると、これは労働省の方(の所管)になると…。」 厚生省の仕事は個々のケースの因果関係を確認するところにあるのではなく、また、個々のケースの因果関係がわからなければ動き出せないということではないのではないか?
「決して後ろ向きということではなく、これからの発生を防止するという観点からすると、発生源対策
―発生源である建材等があったとして、飛散防止とかの対策は少なくともとれる。ということで通知に基づいた指導を行っているのであって、決して後ろ向きではない。」
「対策としては曝露の防止につきる。職業上曝露であれば、職業上曝露しないような対策がきちんととられるということだが、ここらへんはやはり労働省の方の話なので厚生省は申し上げられない。また、禁止ということについては、そもそも現在量はかなり減ったものの、建材などで一部まだ使われているところがあって、これは建材サイドで通産省なり建設省の方でどう規制していくか…。」

3. 建築物内の衛生的環境の保持に関して、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」第 3条「保健所の業務」により、「1. 多数の者が使用し、又は利用する建築物の維持管理について、環境衛生上の相談に応じ、環境衛生上の正しい知識の普及を図ること」、および、「2. 多数の者が使用し、又は利用する建築物の維持管理について、環境衛生上の相談に応じ、及び環境衛生上必要な指導を行うこと」とされているところである。

人体にきわめて有害な吹き付けアスベストやアスベスト建材を多用した1960-70年代の建築物の改修・解体工事が増加している。昨年7月には東京都文京区立の保育園で、園児を保育しているすぐ脇でずさんな吹き付けアスベスト除去が行われ、問題になっている。ともに厚生省の管轄における保育所および保健所として、どのような指導を行うべきであったか、また、今後どのようにすべきか、お聞かせ願いたい。

【回答】 文京区立の保育所においてアスベストがむき出しのままに改修工事が行われたという事件があり、この事件については東京都を通じて聞いている。具体的には区の営繕課が管理しているもとで行われたことで、こういうことが起きないようにということで、今年3月9日に全国児童福祉主管課長会議の時に行われた保育所の所管の担当者会議において、こういう事件があったこと、今後こういうことがないように注意していただきたいと申し上げたところである。

* 文書による指示等があるかと聞いたところ、文書はとくになく、厚生省のホームページに同会議の報告として児童家庭局企画課長の発言が掲載されているとのことであった。関係箇所は以下のとおり。

「3. 保育所の整備について」です。御承知のとおり、第2次ベビーブームの世代のために多くの保育所がつくられ、改築期を迎えているというのが現状でございます。トンネル崩落事故というほどの立派なコンクリートで固めた建物ということはほとんどないわけではありますけれども、やはりあの段階から海砂を使ったりでありますとか、工期の関係とか、50年前後といいますものは、結構それ以前のものに比べまして、やはり実態的な老朽度というのは結構進んでおるかと認識しております。そのあたりをうまく建替えるとともに、多機能化といいますか、先ほど申し上げたような一般家庭対策ということも十分念頭に置いた、ここにも(1)の下から2行目に書いてございますように、「一時保育など地域の需要が高い」もの、真に需要が高いもの、場合によっては隠れているかもしれませんけれども、よく地域の状況を見ていただいて、一時保育などに積極的に取り組むところから整備を進めていくという形にしたいと思っております。とは申しましても、待機児童対策も大変大事であり、あるいは老朽度も進んでいるということで、皆様方から御協議いただいたものについては、基本的にはほぼ全部賄える程度の予算を確保してあるところではございますけれども、整備に当たりましては、単に従前のもののリニュアルということだけではなくて、これからの時代に向けて地域の子育て支援センターとしての保育所がどういう役割を発揮すべきか、地域にどういう需要があるのかということを見定めながら、保育所の整備というものをやっていただければなと思っております。

(2)にありますように、先ほど見ていただいたような教育関係の施設、余裕のあるものについては転用ということも、これは双方にメリットがあるわけでございます。そういうことで、教育委員会あるいは学校関係者などとの連携を、各々のレベルで、県は県、市町村は市町村で図っていただきたい。あるいはトップの下で堂々の正論を展開していただきたいと考えております。また、木材の活用の件、あるいはついこの間、昨年でありますが、アスベストをむき出しのまま取り壊して、そばに園児がいるというような事例もあったわけでございますが。そのあたり当然のこともなかなか守られないということもあるかもしれません。細かいことですけれども、御留意を賜れればと思っております。
http://www.mhw.go.jp/search/docj/shingi/s0003/txt/s0309-1_18.txt

* 以上は保育所を所管する児童家庭局企画課としての対応であるが、保健所を主管する部署では何らかの対応をしていないのか質したところ、「していない(?)」

「対象を保育所に限ったものではないが、保健所については環境衛生監視員[次項回答]を置いて、建築物の環境衛生管理という観点から、昭和63年の通知とその平成9年の改正に基づいて指導を行っている。」
「保健所を所管しているのは保健医療局地域保健・健康増進栄養課であり、そちらでどのような対応をとったか承知していないが、さしがや保育所を所管する文京区については、対策競技会においてこの問題の経緯なり原因究明、対策についてまとめ、今後こういうことがないようにということで、当然その中で保健所としてもこういうことが内容に対策をとっていくということで…文京区の対応はまとめられていると(聞いている)。」

* 厚生省の昭和63年通知等も受けて、多くの地方自治体等と同じく文京区、さしがや保育園においても、
1980年代後半にアスベストの所在が確認されていた。アスベストがあることはわかっていたのに、今回はアスベストをいじらない工事だという認識がなされてしまったために、関係者に知らされず、対策もとられないままアスベストが除去されてしまった。
さしがや保育園の事件を教訓化するのなら、このようなすでにアスベストの所在が確認されている建築物については、どのような工事を行う場合であってもチェックをする、工事にあたっては4.で問題になったような関係者、地域住民等とのリスク・コミュニケーションはこのようにしろ、というような具体的な指導等ができないか。
また、1988年、89年の文部省の通達で小中学校の吹き付けアスベストはある程度調査されたが、保育所は文部省の管轄ではないということでここからは漏れている。川崎市、神奈川県で問題になったが、当時吹き付けアスベストだけに調査を限定していたため漏れていたアスベスト・フェルト材が問題になっている。目で見てわかるところはその時確認されていても、天井板で隠されている部分などは漏れている場合もあるようなので、工事前のチェックが必要だ。等々と指摘した。
「保育所については御指摘のとおり調査から漏れているということもあって、担当課長会議、担当者会議においても、この件を踏まえていま点検するようにということで指導したところ。それから、保健所における指導については、繰り返しになって恐縮だが昭和63年の通知に除去工事の際に留意すべきことも含めて指摘していて、これを踏まえて指導を行うようにと都道府県あるいは保健所の役割についても、ここらへんを踏まえてきちんと業者等を指導するようにとなっているので、まさにこの内容を徹底させるということだと思う。」
また、今後、同法第6条による「建築物環境衛生管理技術者」の業務として、同法施行令第2条の「粉じん、CO、CO2、気流」に「アスベスト濃度」を追加し、東京都アスベスト対策大綱(1989.5.26)の「吹き付けアスベストに関する室内環境維持管理指導指針」で示されたような、同法による「立ち入り検査による指導・啓発」が必要と考えるが、お考えをお聞かせ願いたい。

【回答】 ビル管理法施行令第2条には建築物の衛生管理基準ということで、浮遊粉じん、CO、CO
2、気流に関する基準値が定められ、また、ビル管理法第11条には、都道府県知事が必要と認める場合には、特定建築物等に対し、環境衛生監視員による立入検査等を行うことができるということになっているのは御指摘のとおり。建築物の衛生管理については、建築物に起因する健康影響を予防するという観点から規定されるべきと考えており、今後衛生管理基準に盛り込むべき事項については検討したいと考えている。
現状では、厚生大臣指定建築物衛生管理技術者講習会等の中ではアスベストの問題、それから、建築物管理を行っていく上でアスベストの健康影響を勘案してその対策についてもビル管理の観点から行っている。

* (財)ビル管理教育センターの「厚生大臣指定建築物衛生管理技術者講習会 参考資料〔アスベスト関係〕を提供していただいた。内容は以下のとおり。
・ 建築物内に使用されているアスベストに係る当面の対策について(通知)(昭和63.2.1環大規第26号、衛企第9号)
・ 建築物の改修・解体に伴うアスベスト(石綿〕による大気汚染の防止について(昭和62.10.26環大規第225号)
・ 建築物の解体又は改修の工事における労働者の石綿粉じんへのばく露防止等について(昭和61.9.6基発第34号)
・ アスベスト(石綿)廃棄物の処理について(昭和62.10.26環水企第317号、衛産第34号)
・ アスベスト(石綿)廃棄物の処理について(通知)(昭和62.10.26衛産第35号)
・ 当面の建築物内アスベスト対策について(中間報告)
・ アスベストおよびその他の天然鉱物繊維(WHO 1986, 抄訳)

4. 貴省近畿医務局管轄の国立大阪南病院の建て替え工事が1997年から行われている。隣接する大阪府立長野北高等学校の教職員や住民らがアスベストについての情報開示を要望しているが、いまだに測定データなどの情報が示されず、工事業者である竹中工務店は、今年4月に「情報開示を拒んでいるわけではなく、厚生省とのやり取りをしている最中。本省の承認待ちである」旨回答している。

この経過は、1997年9月以降、病院の当初の「アスベストについては公表しない」という回答にはじまり、アスベスト調査結果を学校の管理職、自治会役員、市議に限って開示するなど、学校関係者や近隣住民の不安を取り除くようなリスク・コミュニケーションを行ってこなかったために、ことさらに不信感を募らせ不安を増大させている。このような姿勢は、環境庁の「建築物解体等におけるアスベスト飛散防止対策マニュアル」に示されている近隣への環境情報の推奨(60頁)とも矛盾するものである。

前回、貴省が所管または関係する保健所、医療機関等の施設・設備等におけるアスベスト使用状況および除去、改修、新築にあたっての方針(使用等)についてお聞かせいただくよう要請し、(このような全般的な要請には)回答できないとのことであった。
あらためて貴省としての方針をお聞かせいただくよう要請するとともに、少なくとも、この具体的事例に対する対応についてご説明いただきたい。

【回答】
今回具体的に国立大阪南病院の建て替え工事ということで、長野北高校の職員、それから地域住民からのアスベストに対しての情報開示ということで、施工者である竹中工務店を含めた共同企業体と何回か打ち合わせをもっている。その中で、開示をするしないは現場としては回答ができないということで、厚生省にそれを求めてきて、ついこの間回答した。要するに開示を行っている。これまでの住民それから学校職員との打ち合わせの中で、開示の内容は2点に絞られている。「アスベスト含有建材の調査報告書」、それと実際に解体・撤去したときの「環境濃度測定結果報告書」の2点について開示を行うということで決まった。開示を行う閲覧対象者としては府立長野北高校の職員ということで、大阪南病院と住民と学校側で決定して開示をしている。開示の時期については、「アスベスト含有建材の調査報告書」については平成12年5月22日から6月9日の期間とし、「環境濃度測定結果報告書」については、作業の途中も含めて、平成12年5月22日から8月31日までの間、作業を行った後に開示をしていくということで順次開示をしているところ。対象になるところはあくまで高校の職員ということで、病院側の方も高校からの依頼によって開示をしている状況である。

* この点については、当該の長野北高校の職員がひとり個人としてこの場に参加していることを紹介したうえで確認的なやりとりが行われた。

教職員や保護者による近隣有志として竹中工務店を通じて、あげられた2点以外に「アスベスト除去工事計画書」、「解体する建物の設計図書の中の内装表」、「アスベスト建材の保管搬出状況を示す写真」の3点の開示を求めているがまだ開示されていないという点については、「準備はできているが、高校からの要望がないので開示していないということ。関係法令にしたがって処分をしているということで隠す必要はないので、そういう書類もすべてそろっている。各住民個人からの依頼、要望は厚生省としては動けない。高校から要望を出していただければ病院の方できちっと対応して開示を行う」との回答。

・ アスネットからは民間の解体工事の場合においては、工事の施工書も含めてほとんどの情報が開示され、一般の人が要望してもみせてもらえるケースが実際に多く、それが不安の解消や対策の徹底にも役立っていることも指摘した。

・ このケースについては、「5月19日にはじめて病院側の方から説明会を学校側にもった。その説明会の時に開示の内容と今後どういうかたちで開示していくかというやり方が決定された」という経過から学校を窓口にするという対応になったとの説明であったが、5月19日の現地での事実経過も、病院と学校が約束したということではなく、情報開示を要望したのはあくまで学校とは別に近隣有志であり、竹中工務店等と何か月も話し合ってきたもので、竹中工務店から情報をもらうときに個人の家に来るよりも、学校のFAXに入れたもらった方が話が早いので送り先をそうしていただきたいと立ち話をその場[5月19日に]でしたという事実経過であるという指摘もされた。

・ いずれにしろ、一般的には学校が窓口になる方が異例と思われ、「特定の機関だけに限定する」という一般方針ではないことを再三確認した。病院に要望したらまた厚生省に相談されるということになったのではスムーズにいかないのであらかじめ病院側に伝えておくように求めたが、後日、近隣有志が情報開示を求めたところ開示されたとの報告があった。

・ 昨年の要望において、保健所、医療機関等の厚生省が所掌または関係する施設・設備に関する統一見解を求めたのに対しては回答が得られなかった(「回答できない」との事前回答)。今回、国立病院部に限ってだが、今回回答したような情報開示の方針は大阪南病院だけに限定したものではなく、すべての国立病院に適用されるものであることを確認した。生活衛生局に対して、厚生省全体の方針として確認できないか質したが、「例えば保健所は都道府県、政令市の設置するものなので、それぞれの方針もあり、一概に回答できない」ということであった。7.の回答で出された「リスク・コミュニケーション」の重要性という観点からも、基本方針を確立することが重要であることを要望した。

5. 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)関係

@ 建設省、通商産業省で検討されているの「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」との関連で廃掃法の見直しを検討されていないかお聞かせ願いたい。

【回答】
今国会で廃棄物処理法が改正された。リサイクルとは直接関係ないが、排出業者責任の強化として、ひとつはマニュフェスト制度を強化して、ゴミを出す人は最終処分に埋められるまでいちいち確認する制度を確立し、それをきちんとやっていない、つまりマニュフェストを確認しなかったり出さなかったりしたような排出業者、適正な処理委託費用を出さない排出業者、そういう排出業者にももしゴミが不法投棄された場合には措置命令をかける―ゴミを撤去するお金がかかってくるという大幅な排出業者責任の強化をしたことによって、ゴミの不法投棄を減らし適切な処理を促進できるのではないかと考えている。

A アスベスト含有建材は「再資源化」には適さないが、現行廃掃法ではアスベスト含有建材を廃石綿と規定していないために、中間処理場に流入し、分別の際にアスベスト粉じんの飛散を防ぐことができない状況が予想される。また、安定型の廃棄物処理施設にアスベスト含有建材が廃棄されることによって、周辺環境がアスベスト粉じんに汚染されている。すべてのアスベスト含有建設廃棄物を特別管理廃棄物としての廃石綿等として取り扱われたい。

【回答】
アスベスト含有建材を分別のために破砕したときにアスベストが簡単に飛散するものであれば、もちろんそういう規制をするべきと思うが、現在の規定では、アスベストを飛散するおそれがあるものはすでに特管物になっている。2-@であった職業上、環境上のアスベスト曝露との関連というか、まさにアスベストがどういうところで、何を原因に事故(?)が起きているのか明確にならないと。廃棄物処理の解体現場で起きているのか、それとも運搬で起きているのか、それとももともとの除去というところで起きているのか。そういう中でもしも廃棄物の解体のところで起きているのであれば、その時は(必要な措置をとりたい)。

B 昨年、廃石綿等を受け入れている処分場の数、年度別・都道府県別の処分量等に関するデータについておうかがいしたところ、厚生省としてデータを集計していないとのことであったが、ぜひとも現状を把握するようにされたい。

【回答】
都道府県ごとの処分量についてのデータは厚生省としては集計していない。これは従来から産業廃棄物処理については、都道府県の方で責任をもってやっていくということになっているので。もちろん、都道府県においては、事業者からの報告を受けて、必要があれば集計してやっている。

C 特別管理廃棄物としての廃石綿等に関する規制の周知・徹底を、関係者全般に対して強化されたい。

【回答】
ひとつは廃棄物処理法の施行令の中で廃石綿等を特管物に指定し、その処理基準も明確に法令に書いてあるということで、それについては明らかな話であるし、その具体的な内容についても少し古いものだが『廃石綿処理マニュアル』(1993、化学日報社)というものをつくり、廃棄物部局とかには周知を図っているので、今後新たに周知をするということは今のところ考えていないが、これまでで十分できているのではないか。

6. 水道用アスベスト・セメント管について

@ 水道用アスベスト・セメント管の種類、含有アスベストの種類・含有率、製造会社、敷設状況、取り替え工事の状況、廃棄状況(地中に埋められたままになっているものやリサイクルに回されるものを含む)等に関して、把握されていることをお聞かせ願いたい。

【回答】
水道用アスベスト・セメント官については、日本工業規格の中で公称水圧から4つに区分されていたが、この規格は1988年1月1日に廃止されており、現在はもうない。含有アスベストの種類については、日本工業規格では特に定められておらず、まあ品質良好であればといったようなことが…。製造会社については、われわれの把握しているところでは日本エタニットパイプ社といったところがかつて製造していたことは承知している。このアスベスト・セメント管は1985年に製造が中止されている。
現在の敷設状況は、平成9年度のデータだが、日本全国全体で39,431kmあり、これは総延長の7.6
%に相当する。平成9年度中に3,701kmが敷設替えされている。
★ 過去のデータ提供を要請。

A 厚生省が出している補助金(水道水源開発施設整備費国庫補助事業―水道管路近代化推進事業)等においては、水道用アスベスト・セメント管のノン-アスベスト水道管への代替、取り替え工事における環境、労働安全衛生、廃棄対策等はどのような取り扱いになっているのかお聞かせ願いたい。

【回答】
アスベスト工事の実施については、労働安全衛生あるいは先ほどの廃棄物処理の観点から、関係法令を遵守して適正に処理するよういろいろなところで指導しているところ。
水道事業に係る国庫補助金の部分については、石綿セメント管を早期に回収して漏断水の被害の防止、水道の安定供給を図ることを目的として、その実施に必要な経費の一部を国庫補助している。その石綿セメント管の取り扱い、運搬、廃棄処理にあたっては、労働安全衛生法や廃掃法等々の規定を遵守するように都道府県に対して指導しているところである。

★ 要綱、実績等のデータ提供を要請。

7. 「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化学物質管理促進法)」が2000年3月30日に施行された。石綿対策全国連絡会議の意見(パブリック・コメント)が採用され、第1種指定化学物質(PRTR―排出量等の把握・届出等の対象)にアスベストが指定され、「製品の要件」に「アスベストを含有する製品であって、取扱いの過程で精製や切断等の加工が行われるもの」が加えられたことは歓迎する。

@ クボタのコロニアルの製品パンフレットにアスベスト含有の表示がなされていない。「天然無機繊維」と表示されているが、これでは、アスベストが含有されていることを隠し、消費者を欺くものと言われてもやむを得ないだろう。アスベスト含有建材については、一般消費者向けにも、アスベスト含有率や有害性情報等を表示すべきである。本来法律によって対処すべきと考えるが、それを待たずにも、行政指導を行うようにされたい。
A 同法施行に関連した通達・通知等があればお示し願いたい。
B 対象事業場の業種および数の見込みを示されたい。大気汚染防止法の「特定粉じん発生施設設置工場」との関係(重複状況等)についてもお聞かせ願いたい。
C PRTR対象事業者によるアスベストに関する排出量等の具体的把握方法についてお聞かせ願いたい。
D PRTR対象業種に含まれないこととされた建設業等、対象業種であっても裾切り要件からもれる事業者(常用雇用者20人以下、年間取扱量0.5トン未満)、アスベスト含有ブレーキ・ライニング等装着車輌の道路走行等や自然界に存在する非点源の排出源等から環境中へのアスベスト排出量について、状況をどのようにお考えか、また、どのように把握されるかお聞かせ願いたい。
E 化学物質管理促進法に基づくMSDS(化学物質等安全データシート)は、発がん物質については指定化学物質を0.1質量%以上含むものとされており、一方、労働安全衛生法に基づくMSDSは発がん物質についても1%超含有するものを対象としており、現場で混乱が生ずることが懸念される。労働省に対して、発がん物質については0.1質量%以上含有でそろえるように働きかけられたい。
F アスベストに関するMSDSには、肺がん、悪性中皮腫等を引き起こす発がん性があることを明示し、アスベストの含有率を表示させるようにされたい。

【回答】
まず、化学物質管理促進法については厚生省と環境庁、通産省の3省がからんでおり、厚生省の所管は対象物質の選定のところであって、それ以外のところは環境庁、通産省の所管である。

* 従前のMSDS(化学物質安全データシート)制度が通産省と厚生省との連名告示による行政指導(労働省も別途に行政指導)であったものから厚生省が所管を外れた理由を聞いたところ次のような説明であったが、化学物質管理促進法の改正によるか別の手段によるかを問わず、一般消費者への情報提供に関して厚生省がイニシアティブを発揮されたいと要望しておいた。
「この法律のMSDSは製品の流通の段階での情報提供―例えば製造業者が物を流通業者に出す、あるいは流通業者が小売業者に物を出す場合の情報提供、を焦点においたもので、消費者への情報提供という観点が入ってこない。」
「アスベストに限らず、リスク・コミュニケーションというか、一般消費者への情報提供も非常に大きな問題になってくると思うので、他の省庁も含めて考えていかなければならない問題だと認識している。」
「また、PRTR法自体は7年後を目途に見直し条項があるので、その際にまた幅広く意見を聴くことになると思うので、その際に積極的に意見を出していただきたい。」



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