オザスコ世界会議トップページへ

到着
第1日目
第2日目
第3日目
第4日目

終了 
Osasco アスベスト世界会議報告−2−

世界アスベスト会議
―過去、現在、未来―

(第1日目)

第1日目: 2000年9月17日(日)


記念コンサート: オザスコ工芸学校[FITO]野外ステージ

15:00 「ネグリチュード・ジュニア」と、子供と若者たちのための社会プロジェクトである「ファミリア・ネグリチュード+100% COHAB」による、アスベスト被災者に捧げる記念コンサート


本番の会議がはじまる前日17日の15時から、オザスコ工芸学校[FITO]の野外ステージで、「ネグリチュード・ジュニア」と、子供と若者たちのための社会プロジェクトである「ファミリア・ネグリチュード+100% COHAB」による、「アスベスト被災者に捧げる」記念コンサートが開かれました。
会場は会議期間中の私たちの宿にしたオザスコ市内のホテルのすぐ近く。前夜のうちに到着した私たちは、オサスコ市内を探索した後、早めに会場に到着。事前のアナウンスでは「FITOアリーナ・シアターで抗議デモと記念コンサート」とあり、どんな場所で何が行なわれるのかさっぱり検討がつきませんでしたが、野外ステージでコンサートの準備が進められているのを見て、これはデモはなさそうだと了解。


定刻前から演奏が始まり、いくつかのグループが登場したものの、「ブラジルで最も人気のあるグループのひとつであるファミリア・ネグリチュードによる記念コンサート」という事前の触れ込みとだいぶ様子が異なるし、雨が降ってきそうな雲行きで寒さも身にしみてきて、定刻を過ぎても主だった主催者も外国からの参加者たちも一向に現われる気配なし。「ホテルに引き上げようか」とも話していたのですが、どうもこれは前座に地元のアマチュア・グループなどが出演していたようです。
この場に来れば会えるだろうと、この時まで会議の実行委員会とコンタクトをとっていなかった私たちは知らずに参加できませんでしたが、記念コンサートに先だって、「ファミリア・ネグリチュード・プロジェクト」を訪問するプログラムが設けられていたようで、外国からの参加者を中心にしたこの一行が会場に着いたのは定刻をだいぶ過ぎてから。「ブラジル時間」の洗礼を初日から受けたわけです。

いよいよ記念コンサートの本番で、司会のドゥイゼッティ氏も著名人らしく、コンサート自体「ドゥイゼッティ・ショー」として、FM放送局の収録も行なわれていたようでした。司会から、このコンサートが世界アスベスト会議を記念したものであることが紹介され、「ファミリア・ネグリチュード+100% COHAB」の子供たちによる、アスベスト製品製造工場で劣悪な労働条件で働かされ、そこでアスベストに曝露したことによって多くの人々が亡くなっているオザスコの現状を象徴したパフォーマンスも演じられました。

「ネグリチュード・ジュニア」(前頁写真上)が登場すると、若者たちはステージにかけよって歓声を上げ、ラテンの乗りで踊りまくり(前頁写真下)。いつの間にか会場には千人を超す観衆が集まっていました。最後には、舞台中央正面に柵で囲われた特等席(安全対策か?)の私たち外国人参加者たちも総立ち。仕上げは、ステージの舞台裏から花火の百連発(花火に気を取られているうちにステージから誰もいなくなったのは、アンコールの連呼を避ける手段だったのでしょう)。コンサート終了と同時に雨が強く降ってきて、送迎バスでホテルに退散しました。
ブラジルのアスベスト問題の活動家たちは、被災者の補償やブラジルにおけるアスベスト禁止の実現をめざしているだけでなく、子どもたちの未来の健康を守るということを非常に重視しているようで、カラー漫画の子供向けリーフレットも作成しています。このコンサートも若者を中心に住民たちに関心をもってもらおうという趣旨で開催されたようで、世界会議に出席しなくても、写真展や模擬店も出ているからぜひ会場に一度足を運んでほしいと訴えていました。また、子どもたちを対象にしたアスベストの危険性を訴えるポスター作成のコンテストも行われ、1等、2等賞には各々自転車とビデオデッキが贈られたとのことです。

後に空港の売店にCDが平積みされていたことからみても、「ネグリチュード・ジュニア」が「ブラジルで最も人気のあるグループのひとつ」という宣伝に偽りはなかったようです。このグループが子供と若者たちのための社会プロジェクトである「ファミリア・ネグリチュード」というプロジェクトを進めています。「ファミリア・ネグリチュード(Familia Negritude)は、直訳すれば「黒人家族」とでもなるでしょうか。Negritudeは辞書によると、「黒人の文化的遺産に対する自覚と自負; 黒人の特質、 黒人性」です。会議のパンフレットでは、以下のように紹介文されていました。
× × ×
「ファミリア・ネグリチュード」社会プロジェクトは1993年に設立されました。これは、リスクにさらされた子供たちと若者(ティーンエイジャー)たちの権利を促進することを目的としたものです。ファミリア・ネグリチュードは現在、およそ350人の子供たちを直接に、間接的にはさらに500人を援助しています。
メディア、市民団体や社会運動に支えられて、私たちは、今後の活動を強化、発展、前進させることを可能にするファミリア・ネグリチュードの新しい本部を建設したいと考えています。


● 主要な目的
・ 必要性のあるコミュニティの子供と若者たちの権利を促進すること
・ シチズンシップ[共同社会性]への関心を再構築し、文化活動を組織すること
・ 専門知識技能の修得を促進すること
・ 子供たちの栄養不良と闘うこと
・ 年少者犯罪をなくし、ドラッグ使用防止プログラムを実施すること
・ 社会の自覚を増進すること

● 当面の目標
・ 寄贈された25,000m2の広さの土地の上に、教育コースや文化・スポーツ活動を可能にする新しい本部建物を建設すること
・ 2交替制で1,500人の子供と若者たちの世話をすること
・ 食堂
・ 徹底した社会的流動化
私たちの新本部プロジェクトの詳細をお知りになるには、ウエブサイト: www.familianegritude.com.br をご覧下さい。


続く


このホームページの著作権は石綿対策全国連絡会に帰属しています。
許可なく転載、複写、販売等を行うことを禁じます。