高等教育を受けた労働者ほど強いストレス

精神衛生の悪化、仕事によるストレス度と高い教育との関連性
By Jennifer Warner
WebMD Medical News

監修 Brunilda Nazario, MD

【4月18日】知識があるほど、精神衛生が損なわれているとはどういうことであろうか。これはカルフォルニア州北部における高等教育を受けた労働者の精神衛生に関する調査研究の驚くべき結論である。同研究者らは、高い学位をもつ労働者ほど、全米平均と比較してストレスが強く、精神衛生が不良であることを見出した。

同研究の目的は、ある職場の被雇用者の間で精神衛生が悪化する因子を検討することであった。しかし、最も驚くべき知見として、高学歴の労働者ほど、総合精神衛生の試験の平均スコアが非常に低かった。実際、同労働者のスコアは、それ以外の国民と比較して3段階に分類されたスコア群のなかで最下位群に相当した。

同研究は主に高学歴の労働力間における精神衛生状態を調査した最初の研究であると同研究者らは述べている。その知見は、『American Journal of Health Promotion』3月/4月号に掲載されている。

研究者であるスタンフォード大学のCheryl Koopman, PhDらは、「高学歴の労働者が米国労働力に占める割合は大きく、さらに増加傾向にある」と記述している。同研究者らによれば、米国では約1,100万人の労働者が修士以上の学位をもつほか、2,200万人が学士号をもつという。

「その労働力の大きさと経済的な重要性からいって、このような労働者人口の精神衛生状態を十分に理解することは不可欠である」と同研究者らは記述している。

同研究者らは、カルフォルニア州北部のある職場の被雇用者460名からなるグループを調査した。調査対象の51%は、修士号または博士号を得ていた。参加者は、精神衛生状態のほか、家庭および仕事での生活満足度、抗うつ薬の使用、飲酒習慣、諸問題や仕事でのストレスへの対処法に関する質問に回答した。

精神衛生スコアが最も低かった人々では、年齢が低く、家庭または仕事でのストレス度が高かったほか、危険な飲酒習慣、抗うつ薬の使用、未熟な対処技能などが認められた。

「おそらく高年齢層の労働者では、現在の生活上のストレス因子が過去に上手く乗り越えたものと似ることが多いことから、対処できる自信がある点で有利になる。一方、若い労働者では、比較的経験が浅いことから、生活上のストレス因子に対処する自信に欠ける」と同研究者らは記述している。

あるいはまた、若い労働者は、職業の選択など特に対処が難しいストレス原因に直面している可能性もある、と同研究者らは述べている。

同研究者らは、女性では高学歴と良好な精神衛生との関連性が認められ、男性では異なる結果となった点に驚いたという。さらに、高い教育が女性にもたらす利点は、他の生活上のストレス因子を相殺する可能性があるか、もしくは高い学位を得た女性ほどもともと精神衛生状態が良好であるという。

以上の知見が他の職場にもあてはまるかどうかを観察し、適用するためにも、高学歴労働者間の精神衛生の向上を図るための職場での治療プログラムや対策を生み出すために、さらに研究を続ける必要がある、と同研究者らは述べている。


参考資料
American Journal of Health Promotion, March/April 2003

心の病が3割でトップに 国家公務員の長期病欠原因

 二○○一年度に国家公務員が取った一カ月以上の長期病欠の原因で、うつ病などの精神疾患が29%を占め最も多かったことが、人事院の調査で二十五日、分かった。

 人事院は「国家公務員も心のケアが大きな課題となっている。相談窓口利用のPRや関係職員の研修拡大など対策を講じていきたい」としている。

 調査は五年ごとに実施。○一年度に病気やけがなどで長期間休みを取ったのは、六千五百九十一人(男性四千三百七十五人、女性二千二百十六人)で全職員の1・36%。一九九六年の調査に比べ、四百三十五人減少している。

 原因でみると、精神疾患が千九百十二人(男性千四百八十三人、女性四百二十九人)で、前回調査の千五十人に比べ大幅に増加した。前回トップだった「ガンなどの腫瘍(しゅよう)」は、千四十五人(15・9%)で二番目。

 女性では「妊娠、出産」が四百十二人で前回より三十七人増えたのが目立った。

毎日新聞から(2002年1・13朝刊)


厚労省、ストレス休職者の職場復帰支援へ



 厚生労働省は12日までに、うつ病などで休職したサラリーマンの職場復帰支援を行うことを決めた。各都道府県に設置されている障害者職業センターで、復職後の職務の見直しを含めたカウンセリングや訓練を行う。来年度からモデル事業を行い、数年後の実施を目指す。

 計画によると、各センターに配属されている専門のカウンセラーが、本人や主治医、所属企業の産業医、上司らの意見を聞きながら復職後の職務内容を検討。新しい職務内容にあった訓練を行ったうえ、復職する職場での実習も支援する。

 モデル事業は、日本障害者雇用促進協会の障害者職業総合センター(千葉市)で実施。対象は、在職中にうつ病や精神分裂病などを発症して休職し、病状が安定したため復職を希望しているサラリーマン10人。期間は4―6か月を予定。

 不況で職場のストレスが増える中、ストレスで休職後、同じ職場に復帰したため休職を繰り返し、そのまま退職を余儀なくされるケースが多い。一方、休職者を職場に復帰させるノウハウは企業側にも乏しく、日経連などからは専門的な支援を求める声が出ていた。

 同省によると、うつ病など気分障害の患者数は、継続的に治療を受けているだけでも1999年現在で推計44万人。職業生活でストレスを抱える人の割合も増加し、「大企業の社員の1%程度は何らかの精神障害を持つ」と言う産業医もいる。旧労働省は一昨年、職場のメンタルヘルスケアについての指針を出すなど、対策を実施している。

(1月13日03:05)