昭和10年 1935 久三郎23歳;志ん25歳
満州(現在の中国東北部)で警察業務を行なう巡査が募集される。
久三郎は「このまま日本で暮らしていても先が見えている」と考え、それに応募。
なにしろ「海外赴任」はこれが初めて、じゃないから、ちょっと自信もあったのだろう。
この巡査募集、給与が内地(日本国内)に比べ七拾円と高かった。
また、当時不景気で職のない若者が新天地を求めて満州を目指したこと、などから応募が全国から殺到、
15人の募集枠に対して応募者は200人にも及んだ。
久三郎は高倍率を勝ち抜き、試験に合格、渡満した。
所属は外務省職員で、「在満州国大使館関東局警察部」である。
昭和11年 1936 久三郎24歳;志ん26歳
久三郎との結婚の意志を固めていた志んは、「そんな遠いところへ行って、帰ってこられなくなったらどうする!」と泣いて止める両親を振り切って彼を追い満州へ渡り、結婚する。
いわゆる「押し掛け婚」てやつか?
にしても、年上・高学歴・職業婦人という超リスキーな物件を、久三郎もよく選択したもんである。
このころ久三郎は関東局警察学校教官の職にあったが、世帯を持つことになったので特に希望して駐在として異動した。