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安倍首相の靖国神社参拝に強く抗議する(談話)


2013年12月26日

安倍首相の靖国神社参拝に強く抗議する(談話)



社会民主党幹事長
又市 征治

1.本日午前、安倍首相は、靖国神社への参拝を強行した。憲法第20条「信教の自由」、第89条「政教分離の原則」などに抵触し、憲法違反であることは明白である。また、多くのアジア諸国の懸念や反発の声を無視した靖国神社参拝の強行であり、断じて許すことはできず、強く抗議するものである。

2.靖国神社は、神道の儀式にのっとって、処刑されたA級戦犯をも「祭神」と位置付け合祀する宗教団体である。戦死者の霊が神となるということそれ自体が、国家のための戦死を美化し、戦意を高揚させるものであり、とうてい容認されるものではない。

3.かつて大日本帝国憲法の下で、天皇制と国家権力が富国強兵政策の一環として神道を国家神道とし、帝国陸・海軍によって管理されていた。その反省に立って、日本国憲法は、戦前の国家神道とそれによる信教の自由の侵害を反省して信教の自由と政教分離原則を定めたのである。安倍首相の靖国参拝は、政教分離原則を緩和し、靖国神社への公式参拝を合憲にしようとする自民党の憲法改正草案を先取りした行動であり、「戦後レジームからの脱却」、「強い日本」を訴える安倍首相が靖国神社を参拝することはきわめて危険である。

4.そもそも靖国神社は、過去のアジア侵略戦争を正義の戦争、アジア解放の戦争だったと宣伝し美化する特殊な神社である。かつてわが国が引き起こした侵略戦争や植民地支配によって、甚大な被害を被った中国、韓国をはじめとするアジア諸国民の心情ばかりでなく、国の間違った戦争で犠牲にされたわが国国民の心情をも大きく逆なでするものである。領土問題等で中国や韓国との関係が悪化しているなか、周辺諸国との信頼関係を大きく損ねることは必至である。また、日米関係にも影響を及ぼしかねない。10月に来日したケリー国務長官、ヘーゲル国防長官が靖国神社ではなく、千鳥ヶ淵戦没者墓苑を訪れ献花した意味を重く受け止めるべきである。

5.確かな歴史認識と相互信頼こそ平和外交の基本である。アジアの国ばかりでなく、アメリカからも疑念を抱かれる偏向した歴史観を持つ安倍首相は、我が国のリーダーとしてふさわしくない。「英霊の冥福を祈る」と本気で思っているのであれば、二度と無謀な戦争を引き起こすことがないよう、戦争への深刻な反省の上に制定された平和憲法の三原則をさらに深化、実現することが筋道である。社民党は安倍首相の靖国参拝を強く批判するとともに、改憲阻止の闘いに全力を挙げる決意である。

以上