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「原発ゼロ」を機に脱原発社会への転換を(談話)


2013年9月15日

「原発ゼロ」を機に脱原発社会への転換を(談話)



社会民主党幹事長
又市 征治

1.本日、国内で唯一稼働していた関西電力大飯原子力発電所の4号機(福井県おおい町)が定期検査のために運転を停止し、1年2カ月ぶりに、国内50基の原発の全てが止まる「原発ゼロ」の状態となった。この間、首相官邸前の抗議デモをはじめ「再稼働反対」の声は全国に広がり、世論の大勢を占めている。福島第一原発は収束するどころか、いまも放射能の拡散や汚染水漏れなど深刻な状況が続く事故まっただ中にあり、故郷に戻れない被災者の苦痛も止むことはない。今こそこれまでの原発政策を見直し、安全なエネルギー政策に転換する時である。

2.今年7月、原子力規制委員会による福島第一原発事故の教訓を踏まえた新たな規制基準が施行された。電力各社はこぞって再稼働を申請しているが、免震対策や緊急時対策は場当たり的な対策ばかりである。そもそも電力各社が、電力供給の必要性からではなく、経営上の必要性から再稼働を急いでいる点に問題の本質がある。原子力規制委員会には、電力会社の経営や地元の状況などへの配慮を排し、科学的な見地から徹底的に安全側に立って、厳格に判断されるよう求めたい。

3.安倍首相は五輪招致の演説で、福島第一原発の汚染水海洋流出問題について、東電すら否定しているのに、汚染水は「完全にブロック」されており「コントロール下にある」と断言した。そして、「対策を講じていく」ことを国際社会に約束した。これが五輪招致のための詭弁であってはならない。世界からの厳しい注視を肝に銘じ、汚染水対策や除染、被災者救済と復興の加速に本腰を入れて取り組むことを政府に強く要求する。また、「国が前面に出る」と宣言した以上、これまでのように再稼働ありきの姿勢で事故を矮小化し、隠蔽と受け取られかねない事後的な対応は許されない。政府は「収束宣言」を撤回し、収束を前提とした復興計画や賠償のあり方も見直すべきである。

4.原発に「絶対の安全」は無い。地震大国日本においてはなおさらである。「原発ゼロ」の今日を境に「脱原発」を宣言し、豊かな自然と安全な生活環境を守っていくことを世界に発信するべきである。社民党は、太陽光・風力・水力・地熱発電、燃料電池など再生可能な「自然エネルギー社会」への早期転換を要求する。「核と人類は共存できない」と考える多くの人々とさらに運動を進め、原発再稼働を阻止するとともに、「脱原発社会」の実現に全力を挙げる決意である。
以上