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糸数慶子さん講演会ご報告

 7月15日(日)、札幌市教育文化会館を会場に参議院議員で沖縄社会大衆党(社大党)委員長の糸数慶子さんを招いて、護憲ネットワーク北海道主催講演会『沖縄ー普天間ー辺野古の今!』が開催されました.
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 糸数さんは1947年沖縄県読谷村生まれ.読谷村は1945年4月1日にアメリカ軍が上陸し,まだ糸数さんが生まれる前の一家は名護ー辺野古の山中をさまよい,生後7日の「お姉さん」と3歳の「お兄さん」を相次いで亡くされています.
 糸数さんは皆さんご存じのようにバス会社で「平和ガイド」として活躍されていましたが,沖縄戦の際の一家の出来事を聞かされたのはお母様が亡くなった後の1周忌の席だったとのこと.ちょうど糸数さん自身,お子さんが3歳の時だっただそうで,以来平和ガイドをされる時の心が変わったそうです.さすが,バスガイド出身のことあって,大変話しがわかりやすい上に,非常に貴重な話しが多かったので,短くまとめることが出来ません.少々長くなりますが,以下は講演の抜粋です.


 委員長をしている社大党は結党62年.屋良朝苗琉球主席の時代から平和憲法を擁する日本に復帰すれば沖縄は変わると信じていたが,残念ながら逆に基地問題等は酷くなっている.交通事故,女の子対するレイプ事件等アメリカ軍の軍人・軍属による事件事故が絶えない.沖縄の米軍が起こす事件事故数は,他国の基地より2倍多いというアメリカ側のデーターすらある.しかし日米基地協定のためまともに裁判にかけることができない.
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 そして基地問題.アメリカ側も辺野古に海兵隊の基地を移設するのは難しいと考え始めている.財政問題もさることながら,基地を作らせない民衆の力が大きい.ところが,肝心の日本政府が移設をあきらめていない.
 オスプレイの配置計画も4年前にアメリカ側から配置計画が日本政府に知らされていたのに,日本政府は公式には認めない.とにかく,日本政府は沖縄県民の事を考えていない.振興特別措置法で約9兆円の金が沖縄に投入されたが,実際は全て本土の大手企業に吸い取られる.全く持って「植民地的政策」と言わざるを得ない.
 「自立できないので,基地に依存するだろう」というもくろみも見え隠れしている.今年度は初めて2900億円県に一括交付された.県内世論は辺野古移設への懐柔策ではないかと危惧している.その最中行われたのが6月の県議会選で,県政野党が勝利したが選挙はこのような状況で行われていた.
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 先日,東京の大学で90分学生達に話しをする機会があった.感想文の中に「被害者意識が強すぎる」「基地のそばで生まれる赤ちゃんが低体重児が多いなんて,非科学的」などというものもあった.沖縄の生の声をメディアが伝えていないせいだと考える.でも,高江でがんばっている若いお父さん,お母さん達は実際に親になってからがんばるようになった.そこに希望がある.平和憲法で沖縄,そして福島を守って欲しい.自分の子ども・孫の時代には沖縄の問題は解決していると思っていたが,まだこのような現状.沖縄の闘いを全国で共有して欲しいと思う.


 会場からの,北海道で何ができるかの質問に糸数さんは「平和を発信する人に選挙では投票して欲しい」と呼びかけていました.民主党政権になってからも宇宙基本法,尖閣問題,先島諸島への自衛隊駐屯問題等,タカ派的な動きが続いており,地元の議員の国政報告会などで,ぜひ質して欲しいとのことです.
 沖縄戦での北海道出身の戦死者数は1万人.これは地元沖縄県人につぎ2番目の多さです.沖縄戦の際の沖縄県人とアイヌの人びとに対する差別問題もよく知られています.これからも沖縄と北海道の連帯を深めて行きたいと思いました.
 糸数さんは,スケジュールの関係で急遽,北海道ー沖縄日帰り往復という強行軍のなか来札していただきました.100人の参加者と共に厚くお礼申し上げます.