野口建築事務所 |
Noguchi Architect & Associates |
「それはね、遠い遠い昔のお話なんだよ」 私の好きなジョニー・デップが出演する『シザーハンズ』は、雪の夜、眠りつけない少女が、おばあさんからどうして雪が降るようになったかを聞かせてもらうお話だ。 発明家の老人が死んだため、手がハサミのまま残された人造人間、エドワード(ジョニー・デップ)は、親切な夫婦の家に住まわせてもらう。 天使のような心を持つエドワードだが、ハサミで何でもカットするので、次々トラブルを起こしてしまう。心配したパパが、世の中の決まりを教えようとする。 「もし道にお金が落ちていたらどうする?」。じっと考え込んでいたエドワードは、こう答える。「愛する人のために贈りものを買ってプレゼントする。」 エドワードは、その家の娘キムに恋をしてしまったのだ。純真無垢なシザーハンズ、エドワードと、ウィノナ・ライダー演ずるキムとの何とも切ない恋の物語だ。雪が静かに舞い降りる夜に見たい映画である。 |
さて、話は変わるが、四国各県の県民性の違いを示す例え話がある。 「もし一万円札が道に落ちていたらどうする?」。高知県人は、それをつかんで酒屋に走る。香川県人は、銀行に貯金する。愛媛県人は警察に届ける。 それでは徳島県人は?答えは「ほかにも落ちていないか、あたりを探す」である。 他県の人のもなるほどとうなずけるが、抜け目がなく、利にさとい徳島県人の特徴がよく表れているのではないだろうか。 つい先日、徳島県職員の給料が7−10%カットされると発表された。その翌日に、ある提案書を持って県庁を訪れた。県の担当者は、その提案を受け入れると費用がかかる、自分たちの生活費をカットしたものが使われることになるので難しい、との返事であった。訪れた十数人の者たちは開いた口がふさがらなかった。 ここで次の質問。「もし一万円札を落としたらどうする?」。高知県人は、やけ酒を飲む。香川県人は、昼食のうどんを大盛りから並みに替える。愛媛県人は、やっぱり警察に届ける。では徳島県人は?力が抜けて、ふて寝する・・・であろうか。 その提案はとても有意義なので、八十万県民のために、私たちの給料をカットした分をプレゼントしましょう、と言ってほしかったのであるが・・・。 建築家 野口政司 2007年11月27日(火曜日) 徳島新聞夕刊 「ぞめき」より |
カットに負けないで! |