野口建築事務所
Noguchi Architect & Associates


 あす13日と翌14日にかけて、吉野川の下流と上流で市民が集うフォーラムとシンポジウムが開かれる。ひとつは徳島市で開催される「第三回四国NPOフォーラム」。もうひとつは吉野川の源流、高知県本山町で行われる「四国の森づくりシンポジウム」だ。
 「四国NPOフォーラム」は四国で活動する非営利活動法人が集まり、NPOの地域との連帯の可能性を探る。堀田力氏(さわやか福祉財団)の基調講演「みんなでつくる地域の幸せ」が13日にあり、これを聞き逃すのはもったいない。14日は6つの分科会で「地域通貨」や「山川海の持続的環境」などのテーマで各NPOが発表し討論する(徳大常三島キャンパス)。
 「四国の森づくりシンポジウム」は森林のもつ多くの力(治水、水源、大気浄化、木材供給など)に着目し、その森林の保全のために活動している四国各地の市民団体、NPOが集い交流する。日色ともゑさんの朗読「四国の森を守るために」があり、本県の里山の風景をつくる会などの活動が紹介される。続いて四国4県の知事が「四国はひとつ」を合言葉に「四国の森づくり共同宣言」をだすのも画期的なことだ。森林を保全するための3つのキーワードとして゛森を育てる” “森に親しむ” “森の木をつかう”が示され、本県の新町川を守る会など15のグループの活動が報告される。
 
四国の森づくりシンポジウムの様子

 前日の13日には森林の下草刈や間伐(択伐)作業を体験し、夜は地元の山の人たちとの交流会をもつ。
 これら上下流での催しでは、どちらもNPOが中心となって計画を進めているのが特徴だ。
 市民たちの軽やかなフットワークとゆるやかなネットワークがこれからの社会を動かし、魅力ある町づくりの原動力になっていく予感がする。
 それにしても、同じ13〜14日に、吉野川中流地域の善入寺島では「吉野川まるあそび」がある、脇町では「吉野川の渡し写真展」が開かれる。どれも楽しく面白そうな催しだ。身がひとつしかないのが、うーん、本当に残念。

建築家 野口政司
2004年11月12日(金曜日) 徳島新聞夕刊 「ぞめき」より

市民の力