ここには内容への言及があります。今後映画観賞の予定のある方はご覧にならない事をお勧めします。
まずこの、"世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す" というタイトルを味わいつくさぬ事にはこの映画は語れない、いやさ語ってはいけないでしょう。ああもうどう突っ込んでいいのか。東スポの見出しでもここまではいかないと思います。何と言いましょうか、俗世を離れた孤高の存在、そんな風格すら感じるタイトルです。詳しくは雑言で触れていますのでどうぞそちらを。
多分この映画に言葉は必要ないと思いますので、画像でお楽しみ下さい。
まあその、あまり突っ込んじゃいけないとは思うんですが、宇宙人登場で即攻撃ってのはどういう事ですか? しかも拳銃とかじゃなくて機関砲ですよ。でもまあ、宇宙人の衣服はかなり動きずらそうというか、ヘタに動くと敗れてしまいそうなのでかなり動きが鈍くなっていますから、一発即命中ですけどね。
そうしたら宇宙人もう本気モードで手からビームだしなー。機関砲は乗組員ごと消しちゃうし、ロケット発射場をメチャクチャに破壊して去っていくんですよ。しかもちょっとエラそうな軍人 (ヒロインの父設定) を拉致って。で、何か不思議な光線を捕虜に当てると、脳が透けるんだこれが。どういう理屈かは不明だけれど、これがマインドコントロール装置らしく、以後軍人さんは宇宙人の手先として働くハメに。
でまあ、宇宙人的には地球を明け渡せ的な事を要求する訳ですよ。ぶっちゃけ地球人全員殺すのメンドイからとか言って。う〜ん現実的だなぁと。この辺りはさすが SF だなぁと思いましたよ。
しかし地球人も黙って地球を明け渡すなんて事には応じない。いや、正確には地球人と言うよりアメリカ人が。ほらヤツら頭がアレだから。双頭鷲の名の元にやっちゃう訳ですよ。そこで、主人公が対宇宙人兵器を作る訳です。そのやり取りがね、秀逸で。とりあえず気になったフレーズを抜粋しておきましょう。
電気的衝撃を超高周波音に変える装置
これまでにない高周波音を作るんだ!
断続的な強い電場を生成して敵の磁場を弱める装置
敵の超音波を遮って宇宙船を落とそう
どうやら宇宙人は磁場をコントロールして UFO を飛ばし、撃っているビームは超音波という事になっているらしいのですよ。UFO が飛ぶ原理はまあいいとして、問題は超音波攻撃ですね。そんな攻撃で、機関砲や人が消えたりロケット発射場を火の海にできたりするんだから、宇宙人の科学というのは恐ろしいものです。できれば戦いたくないですね (音波なら簡単に打ち消せると思うんだけどまあそういう事は言わない方向で)。
ただよく分からないのは、"敵の超音波を遮って宇宙船を落とそう" です。磁場で UFO を飛ばしている筈なのに、超音波を遮ると宇宙船が落とせるという事になっています。磁場と勘違いしたのか、ハナッからテキトーなのか (なんて大人気ない事を言ってはイケマセン)。
さて、地球人の悪あがきもいずれ宇宙人にバレてしまいます。そこで宇宙人、怒って地球を総攻撃です。UFO の底から例のアンテナ状のものを出し、そしてやはり出ました、ビィ───ムッ!。効果音は何となくウルトラシリーズのそれと似ていました。ショワーンって感じの音で。
そこへ丁度開発の間に合った超音波銃がやってきます。そして空を自由に動き回り恐ろしい破壊力のビームを放つ UFO とジープに括り付けられた超音波銃での戦いが繰り広げられるのです。そんなもん、普通考えたら UFO の圧勝だと思うのですよ。相手は高機動力と破壊力を持っているのに、超音波銃は機動性も低いし、超音波が UFO に当るかどうかも微妙な代物。
だのにこれが HIT! HIT!! HIT!!! UFO を片っ端から落としてゆきます。やるなあアメリカ人。この勢いが日本にあったら、前の戦争もどうなっていたか分からないぞ!? (いやそんな事は無いとか、そういう夢を壊す様な事を言ってはいけない)
長らく語ってまいりましたが、何をか言わん、この映画の一番素晴らしいのはエンディングです。UFO との戦いが一段落した次のシーンがいきなり海辺でこれです。
この美しい世界が滅びずに良かった
私たちのものだ
こんな素晴らしいエンディング、今まで出会った事がありません。ああ、いいな。これぞアメリカン。こういう人たちがアメリカン牛たたきとか喰ってるんでしょうね。
素晴らしい。いやぁ映画って本当に素晴らしいものですね。正直ナメてました。思いあがってました。ホンットスイマセン。
アメリカ・イズ・ナンバーワン!
2006-10-09