宗政報告No.21(2008年11月3日)
去る10月8日、熊谷宗務総長が、唐突に辞意を表明。それを受けて、10月30日・31日の会期で第49回宗議会が開催され、宗務総長選挙が行われました。 《 不可解な熊谷総長の辞任 》 真宗寺院の多くは、10月下旬から11月にかけて、真宗寺院にとって最も肝要な法要である報恩講を勤めています。その時期に臨時宗議会を開催するということは、報恩講をどのように心得ているかということにもなるかと思います。それは、取りも直さず、この時期に辞意を表明した熊谷氏にその責任は帰せられるべきであります。なぜ、この時期なのかと。 そして、合わせて、もっと聞きたいのは、辞任の理由は何かということであります。 30日の本会議に先立ち、三派代表者会議を開催し、そこで、三点の確認を行いました。 @ 熊谷総長の辞任理由を明確にするということ。 それについては、本会議場での総長退任挨拶ではっきり述べていただくということになりました。 しかし、その挨拶は、何故、今辞められるのかという我々の疑問に、全くと言っていいほど応えるものではなく、御影堂ご修復事業がほぼ完了に近づき、宗務改革も一定の方向が定まり、自分の仕事が一区切りついたからという、通り一遍のものでしかありませんでした。それなら、今年の6月の常会でもよかったのではないかという思いは残ります。 辞め方の難しさは、あるのでしょうが、議会の指名で総長に就任したのですから、議会に辞任理由を明確に開陳する責任があるはずです。それが、宗門全体に表明することにもなるのですから。 《 議会軽視はいい加減にしてもらいたい 》 A 「議会軽視」について、与党会派の見解を求めたいということ。 臨時宗議会に先立つ29日、与党会派は、議員総会で、安原氏を代表として選出しています。与党会派は、議員の60%強を占めることから、与党会派の代表が総長として選出されるということになります。代表選挙は、残念ながら実質上の総長選挙という意味を持ちます。 ところで、安原氏は、現職の宗議会議長であります。議長は、宗門の最高議決機関を代表する職分であり、行政府の長である宗務総長と、等しい重さを有する要職といえます。その議長職にある安原氏を選出するということは、会派の意思として安原氏は議長職を辞任せざるを得ません。事実そうなりました。 会派内の事情を優先させて、議長職にある人を選出することが、議会を私物視し、そのことが議会の信頼を大きく傷つけていることに与党会派は気付くべきであります。 この度のことが議会軽視にあたることの確認を与党会派に求めたところ、迷惑をかけたことは認めましたが、議長を辞任させることの持つ、事の重大さには思い至っていないようです。多数による一方的な議会運営を長年してきたために、議長職とは何か、あるいは議会の使命は如何にあるべきかが、不鮮明になっている結果によるものと言わざるを得ません。 《 副議長人事について 》 B 武宮副議長が辞意を表明された事に伴い、正副議長選出について、副議長は野党会派から選ぶことを確認。 議長は与党会派から、副議長は野党会派から選出するのが、議会制の常道であると考えますが、これまで、必ずしもそのようになっていなかったということがあります。 今回は、その確認が取れましたので、議長選挙については、我々の会派は、与党会派の推す候補に投票しました。 総長選挙に先立ち、30日、正副議長選挙が行われ、投票結果は以下の通りです。 【 議長選挙 】 長久寺 徳 瑞 氏 47票 大 城 雅 史 氏 11票 安 原 晃 氏 1票 白 票 3票 【 副議長選挙 】 新 羅 興 正 氏 58票 白 票 4票 《 総長選挙 》 翌31日には、参議会も招集されていて、総長選挙が行われました。 我々の会派は、それぞれが意見を述べ、出来るだけ合意を目指して議論を尽くしますが、見解を統一したり、党議拘束をかけたりはしません。議論を重ねて、一つになれない時は、違いは違いとして認め合うということを会派運営の基本としています。 総長選挙については、与党候補の安原氏に投票するという意見と、野党で統一の候補を擁立するという意見にわかれました。 ところで、なぜ、与党の安原氏に投票するのかという疑問をお持ちかと思いますが、かつて、能邨総長のときには、野党からも積極的に企画や意見の聞き取りを行い、それを施策に生かしていったということがありました。安原氏には、与野党越えての宗門運営を目指して頂きたいという、大いなる期待を込めて投票するというものです。 結局、どちらにも合意に達することが出来ず、各人の判断に任せての投票ということを選びました。 以下が、総長選挙の結果です。 安 原 晃 氏 49票 釈 氏 政 昭 氏 1票 玉 光 順 正 氏 1票 無 効 票 1票 白 票 10票 安原総長には、与野党横断しての、宗門運営を是非お願いしたいと思います。 ただ、ご遠忌を間近にすると、挙宗一致ということを耳にすることが多くなるかと思います。しかし、その言葉は、多数者が少数意見を無視し、邪魔になるものの如く扱うことの御旗として機能することが危惧されます。宗門のご遠忌という一大事に、ややこしいことを言わず、みんな一丸となって事に当たろうと。 果たして、挙宗一致による宗門運営が目指されるべき方向なのでしょうか。そうではなく、宗憲に謳われているように、同朋公議こそが、いよいよ願われるべき運営方針であることを再確認せねばならないかと思います。 以 上 |