中越地震被災地報告
           (2004年11月22日)


             中越地震で被災されましたすべての方々に、
                 心よりお見舞い申し上げます。


 私たち、グループ恒沙は、11月18・19日、被災地長岡にある願興寺を会場に総会を開き、宗門としてなすべき復興支援のあり方について検討するとともに、長岡市と小千谷市の大谷派の六ケ寺をお見舞いさせていただきました。
 ところで、宗門ができる支援は、極めて限界がありますので、どうしても被災寺院の復興が中心とならざるを得ません。しかし、そのような中、非力ではありますが、全国の御門徒から頂いた義援金の一部を被災自治体にお届けすること、あるいは、現地スタッフによる、今も避難所生活を余儀なくされている人々への炊き出しをしたり、全村非難された山古志村の方々の入居される仮設住宅が、願興寺近くに建てられる予定でありますので、その方々への心のケアが検討されています。
 従いまして、ここでは、大谷派、それも寺院中心の報告となることをお断りしなければなりません。

◎被害状況
 被害は、甚大であります。外観から、被害の酷さが分かるところも多くありますが、外観はそれ程被害があるように見えなくても、中に入ると、柱に横に亀裂が入っていたり、壁がすっかり崩れ落ちていたり、梁が大きくズレていたりしているのには驚きました。一部の建物が、全壊している寺院もあります。ゆれの大きさを感じさせられたのは、障子紙が、障子の桟に沿って四角に切れ目が入っているのをみたときです。上下・左右に障子紙が破れる程激しく揺れたのであろうと想像するに恐怖をおぼえます。お見舞いさせて頂き、復興の困難さを改めて感じると共に、復興支援の確かさがいよいよ求められていることを実感しました。(写真参照)

◎救援体制
 宗門の救援体制としては、宗務所に災害救援本部が立ち上げられ、現地救援本部が三条教務所に、教区ボランティア対応事務所が三条別院に、そして、現地支援支部が長岡・願興寺に設置され、復興支援に臨もうとしています。
 ここでは、現今の支援体制の問題点、特にボランティアの対応のあり方と、被災寺院の声を伝えたいと思います。

◎ボランティアの対応
 現在、宗門関係のボランティアとしては、三条教区の佛青と児連のメンバー30名ほどが中心となり、そこに鹿児島・神戸・東京その他の地域から駆けつけた若手寺族のボランティアが加わって活動しています。活動内容としては、被災寺院の本堂を中心としたあと片づけ・清掃、見回り、そして、11月12日からは、避難所での炊き出しも行っています。支援活動をはじめて、のべ300名近くのボランティアが作業に従事したそうです。
 ボランティアは、基本的に食事や宿泊についても自身で調達をすることを求められるのかもしれませんが、それにしても、宗門の取っているボランティアにする対応は、はなはだ不十分であるとしか言えません。
 しかも、現在、宗門が行っている支援活動として実働しているのは、このボランティアだけであると言っても過言ではありません。にも関わらず、ボランティアの方々が、十二に活動できるような受け容れ体制には、残念ながらなっていません。
 それは、「やりたい人がやればいい」とでも受け取っているのではないかと疑うばかりです。ボランティア対応は、実質的には、現地支援支部となっている願興寺で行われていますが、その運営は、すべて願興寺さんの善意と熱意によってのみ支えられている状況です。
 さらに、危険な作業に従事するからこそ、保険に入っているべきであるのに、「余震による被害を対象とした適当な保険がないため、宗派として加入していない」というのが、現況です。自治体加入の保険があるのに、どうして、宗門では加入できないのかよく理解できません。どうも、本気でボランティアを受け容れたいという意思がないように受け取られても仕方ないような対応です。
 ボランティアの対応については、内局に強く改善を要求していきたいと思います。

◎救援金について
 つぎに、救援金についてであります。救援金については、共済制度によるものと、全国から寄せられた義援金とがあります。共済については、何時頃、被害実態調査に入り、何時頃、救援金を支給できるのかという大まかな予定を示すこと。また、義援金については、如何に分配するのかというルールを明確に示すこと、それも早急に被災寺院にお知らせする事が肝要であると思われます。
 この報告を閉じるにあたり、被災住職が、「こんな状況では、経常費も御遠忌志もお願いなどできない。そこらを、当局はどう考えているのか」と仰った言葉が重い。減免についても、できるだけ早くお知らせすべきであろうと感じました。