宗政報告No.34(2015年7月3日)
           第61回 宗 議 会 報 告


安全保障関連法案に強く反対する

宗務総長は、議会招集一週間前の5月21日、先の大戦において国家体制に追従し、 戦争に積極的に協力して、多くの若者を死地に送りだした過ちの歴史をもつ教団として、戦争行為を再び可能とする安全保障関連法案に強く反対し、憂慮する多くの人々の共感を結集したいという宗派声明を発表しました。
 そして、今議会の宗務総長演説では、冒頭において、この度の集団的自衛権の行使容認を柱とする安保法制は、平和憲法の精神を蹂躙するものであり、70年遵守してきた不戦の国是を根本から破壊する暴挙であると重ねて強く反対の意を表明しました。 誠に時宜を得た声明であり、表明であると大いに賛意を送りたいと思います。
 しかし、同時に、今後の宗門の課題は、多くの人々の共感を結集し、立憲主義をかなぐり捨てて暴走する現内閣にN Oを突きつける流れをつくるために、如何なる具体的な施策と方途を講じようとするのかが問われています。


非 戦 決 議 2015 ( 資 料 )

宗議会・参議会は、戦後50年にあたり、不戦決議を採択し、宗門が犯した罪責を検証し、戦争の惨事を未然に防止する努力を惜しまないことを不戦の誓いとして表明しました。 20年が経過して、この間、どのように宗門の戦争責任を検証し、非戦にむけて、いかほどの努力をしたと言えるでしょうか。現今の安倍政権が進めようとしている諸情況を想い合わせる時、今こそ、戦争を引き起こすことに繋がる恐れのある事態に明確に異議を唱え、改めて不戦決議を確認し直す意味からも、戦後70年決議を宗・参両議会で出すことの意義は大きいといえます。それは同時に、宗門内外への周知と課題の共有が求められることでもあります。
 そしてまた、そのことを受けて、全国の教区会、教区門徒会に於いても、共に課題化されることが期待されます。

 
【 主 な 施 策 に つ い て 】


1.真宗教化センター

 イ.教化センターの設置目的
  真宗教化センターの竣工式が6月4日に執り行われました。すでに、その建物のなかに入る教学研究所、解放運動推進本部、そして青少幼年センターの引っ越しは終わっていて、それぞれ、業務を始めています。
 ところで、教化センターが立ちあげられたといっても、何をするところなのか、何故必要であったのか、どうもはっきりしないと  いう声を聞きます。 あるいは、箱モノばかり造ろうとしているのではないか、教研を宗務行政の中に取り込もうとしているので はないか、等々の批判さえも聞こえてきます。
 そもそも、何故教化センターが立ちあげられねばならなかったのでしょうか。それは、宗務所は、本来同朋会運動の展開を推 し進めるために設けられている組織の総体を指すものといえます。そのためには、教化に関わる部署や機関の相互連携が重 要であると思われます。 しかし、それぞれの部署では、その部署が果たすべき業務を着実に果たしていても、部署間の連携 協働が十分であったとはいえないものがありました。
 例えば、教学研究所、解放運動推進本部、そして青少幼年センターという、時代社会が抱える多くの問題と向き合うことを通し て、私自身を問う眼を明らかにすることを課題とする、これらの三機関が連携協働することはあまりなかったのです。三機関が 協働して一つの業務を担当するということが無いだけではなく、各機関がそれぞれこれまで蓄積した知見や資料は、相互に活 かしあうということもこれまではなかったわけです。各機関が有する資料、データや諸書籍が、すべて宗門の財産でありながら、各機関止まりになっていたわけです。その弊害を克服するために、三機関を同じフロアーに設置し、一つの業務を三機関が協 働して実施する、あるいは日常的な人的交流と資料等の共有化をはかることで、三機関の総合力が発揮できるようにすること が目指されたのです。
  そのことについては、その他の諸部署間においてもいえることであり、その連携と協働をはかるのが教化センターの主要任 務の一つであります。連携と協働は、宗務所内の部署間だけではなく、寺院と寺院、組と組、教区と教区を結ぶことでもありま す。 そして、それらの連携協働によって、寺院・教会、そして組という教化の現場が必要とすることに応えようとすることが、教 化センター設置の一番の眼目であります。

 例えば、門徒の新生児の初参りを行事として始めたいがどうすればいいか、あるいは、同朋の会がどうもマンネリ化してき  たように思われるが他の寺院ではどのような活動をしているか、子供会を始めたいがどのようなことに留意すればいいか、組 で男女平等参画をテーマとして研修会を持とうと思うが良い参考例はないか、等々に応えることが教化センターの大きな役割 であり任務であります。つまり、我々が、教化センターを十二分に活用することが教化センターを教化センターたらしめる鍵と  いえます。

ロ.教学研究所の主体性・独自性の確保  
  これまでの教学研究所条例では、設置場所をわざわざ、「京都市内に置く」となっていました。そこには、教研は宗務所と一 つになるのではなく、そこから距離を置き、宗政を照らし、糺すことを期待されてきたからだと思われます。今回その教研が、  教化センターの建物の中に入ります。それには、前述のように教研の持つはたらきを、他の機関や部署と連携することでより 発揮できるようにするためです。しかし、同時に、宗務行政と共にありながら、その独立性ともいうべき性格は維持されなけれ ばなりません。
  そのことに関しては、これまで通り、教研所長が、研究所に勤務する研究職員及び宗務役員を指揮監督し、研究業務を総理 することに何ら変更はありません。
  そして、教研だけではなく、解推、青少幼年センターの三機関についても、その主体性と独自性を旦保する規定として、この 度の教化センターの基本条例第4条には、「各機関の設置の目的や取り組みの方向性、並びにこれまでの実績と成果はどこ までも尊重される」と条文に明記されています。

ハ.高倉会館・総会所について

  これまで高倉会館で開催されてきた日曜講演や親鸞聖人讃仰講演会、彼岸会仏教講座、高倉市民講座、そして総会所で  行われている毎日の聞法会を教化センターに移行して実施することになります。総会所は、老朽化が著しく、使用するには、  かなりの修復が必要と思われます。ただ、大変趣のある建物ですので、壊すには忍びないものを感じます。今後、どうするか ということは現時点では明確になっていない中、総会所としての閉所式を6月29日に行うようです。
  高倉会館につきましては、これまでの歩みを顕彰するメモリアルホールとして、また大谷幼稚園の講堂として使用し続けて  いくようですが、これまで果たしてきた実績からも、もっと積極的活用を目指すべきであるという意見もあります。

ニ.教学会議
  総長の教学上の諮問機関として、総長が委嘱した若干の教学員で構成される教学会議が新しく設けられます。その教学会 議は、教研所長が議長となり、教学・教化に関わる基本方針の策定や宗派声明の発信等の他、総長との定期的な懇談を行  い、現代の要請に呼応し念仏の教えを社会に発信するとともに、教化の推進に宗政が的確に対応できる要件を整えようとす  るものであります。
  また、必要に応じて、課題別委員会をおき、「何々に関する教学委員会」とし、具体的な課題に明確な指針を提示できる態勢 を整えようとするものです。
  なお、教学会議、課題別委員会には、広く宗門外の先生方の参画要請もぜひ検討してもらいたいところです。

ホ.レストラン オリゾンテ
  真宗教化センターを「しんらん交流館」とも称します。その入り口右側に、京都ホテルオークラ直営のレストラン オリゾンテが あります。「しんらん」と聖人も付けず、ひらがな表記にしたところに、広く世間の人々に親しみを持って受け容れられ、ここに集 うことで、友と出会い、師と出会い、そして自分自身に出会うことの出来るような場でありたいという想いが込められてのことと 了解します。つまり、あらゆる人々が集われることを目指しているはずです。
  ところが、このレストランのメニューには、セットメニューは2,000円前後、単品のパスタで千円近くします。この業者を選定し  たところに、どのような来館者が想定されていたのか不思議でなりません。

 2.本廟奉仕施設建設

イ.当初より50%アップの予算
 ここで言う本廟奉仕施設建設というのは、同朋会館と研修道場の改修とその中間に研修部事務所と風呂場、食堂の機能を持った共有施設を新築しようとするものです。
 ところで、何故、同朋会館を新築とせず改修なのかということについては、新築の場合には、あの場所は高さ制限が設けられていて2階建てしか建てられないこと、さらには、現在の建物の新築当時の耐用年数は、110年で、すでに55年経過しているのですが、それでもあと55年あり、今回改修工事を施すことで10年の延長が見込め、今後65年の使用が可能であるということのようです。一方、新築の鉄筋コンクリート造の耐用年数は50年ということのようです。当時に比して、これだけ科学技術が進んでいるはずであるのに、とも思いますが、川砂と海砂の違いであるということらしいです。
  さて、当初、2012年の見積もりでは20億6千万円であったものが、この度の経費見積もりでは31億円となっています。同じ設計事務所が担当したにもかかわらず、この50%の増額には納得出来ないものがあります。
  高騰した要因として挙げられたのが、建設資材と人件費の高騰。あるいは、同朋会館と研修道場との間に共有施設を建て、三つの建物を廊下で繋ぐことになるのですが、そのことによって、一つの広い面積を持つ建物と見なされることで、スプリンクラー等の設置義務が生じ、改修工事が大掛かりになることによるもの等が挙げられています。
  ここで、改修工事の同朋会館や研修道場では他との比較もし難いということもあり、新築の共有施設の坪単価について見てみることにしましょう。このたび提示されている坪単価は、154万円です。共有施設には、風呂場や食堂という水回りの部分が多く含まれますので、単純な比較はできませんが、現在、建設中の専修学院の坪単価は、100万円です。
 あるいはまた、スプリンクラー設置等で工事仕様が変更になり高くなったとされている同朋会館の坪単価は、12年に比して、1.36倍となっているのに、共有施設については、12年当時と異なるのは事務所が加わったくらいであるが、12年に比べて坪単価が1.4倍になっていることについての明解な説明はありませんでした。
 この度の工事の設計に関しては、複数の設計管理業者による、コンペやプロポーザル方式を取らず、日建設計に特命発注しています。その理由として、日建設計が両堂修復事業をはじめ、宗派との関係が深く、プロポーザルを行っても他業者にその認識が強く、そのため競争は生じず、時間と経費の無駄。あるいは、日建設計以外の業者になれば、同社が10年近く蓄積してきたデータ類も活用できず全てが一からになる等の意見が財務部非常勤嘱託、一級建築士人長信昭氏から報告され、それを受けて審議の結果、日建設計に特命発注することになったようです。
 我々は、内局も宗務役員も含めて、素人でありますから、坪154万円の施設が必要なのか、そしてそれが、高いのか妥当なのか、それを判断する基準を持ち合わせていません。そこで、複数の業者による提案をもとにして判断するという方途を用いることを条例で規定してきたのではないでしょうか。
 実際の建設費は、これから、建設業者による入札によって決まっていくことに違いないのですが、予算計上の根拠となる設計見積もりの持つ意味は決して軽くはないことは言うまでもありません。

ロ.平衡資金から10億円を使用
 当初予算からの不足分10億円を平衡資金から支出しようということにも賛成できません。
平衡資金は、もともと歳計の不足が生じたとき、あるいは、災害等で緊急の事態に対応せねばならないときのため、つまり、非常事態に備えての金員であります。ところが、昨年は専修学院建設にあたり、やはり不足分22,500万円を平衡資金からの融通で補いました。大地震が高い確率で予測されている中、多くの資金の蓄えが望まれるときに、如何にも簡便な不足分の補い方であります。
 平衡資金の遣い方には、融通と使用の方途があります。融通の場合には返済が必要になりますが返済といっても、同じ宗派の会計内での処理ですので、実質的には、融通も使用も何ら変わりがないといってもいいでしょう。ただ、その承認の手続きは全く違います。使用の場合には、宗議会・参議会の三分の二以上の賛成を必要としますが、融通の場合には、参与会・常務会の議決が必要なだけです。そして、どちらにするかは、内局の判断一つであることが、この度わかりました。
 様々な要因で大幅な収入不足に陥ったとしても、宗門運営に支障をきたすことが無いように、年間予算に近い80億円ほどを平衡資金として保管したいという方針に変更はないようですが、それであればなお、不足の生じないように再検討をすることも必要ではなったかと思われます。因みに、13年度決算(宗派の決算は一年遅れになります)では、52億円あまりが平衡資金として保管されていて、そこから、昨年度の専修学院に22,500万円、そして今回10億円が遣われることになります。


3.復興支援事業
 

 昨年同様、教区からの嘆願が聞き入れられ、教区へのご依頼額は800万円の減額となりました。また、昨年実施された5ケ寺を対象とした除染経費のうち、9割以上にあたる4,101万円が東京電力から支払われましたので、東日本大震災復興支援資金に繰り入れられました。復興支援費としては、臨時部に5.750万円が計上されました。内容としては、保養事業に対する補助、帰還困難区域内寺院門徒の集い、仮本堂建立支援、県外避難者支援、そして現地復興支援センター経費であります。
 今後共なる、手厚い支援を望むものであります。

4.親鸞仏教センター

 親鸞仏教センターの現在の建物が手狭で十分な活動が出来ないと問題になり、隣接土地の購入を目指しましたが、契約にまで至らず、相応しい物件を探していましたが、文京区湯島に、鉄筋コンクリート造、6階建て、延べ床面積640u、築25年の物件を、14.700万円で購入しました。6階建てとは言え、5.6階はかなり狭くなるようですが、1〜4階のうちのワンフロアーを、谷大の真宗総合研究所が占め、谷大の東京における拠点としたいということです。
 親鸞仏教センターは、現代の思想と向き合い、発信することが願われる施設であります。ところで、宗門の学事施設でありながら、教研や谷大、地元の東京教区との連携が模索さえされていないのが現状ではないかという声さえ聴きます。幸いに、この度の移転で、谷大の真総研とは同じ建物になりますので、そこに自ずと人的交流が期待できることは結構なことであります。
 今後の親鸞仏教センターの業務展開については、この度の移転を契機として、真宗教化センター、東京教区、大谷大学等の関係者を交えた検討委員会を起ち上げる時期ではないでしょうか。

5.首都圏開教

 開教というのは、これまで念仏の教えに触れることのなかった人々に教えを手渡す縁づくりということでしょうが、ここで言う首都圏開教は、もう少し具体的で日本の人口の三分の一が集中する首都圏に大谷派の寺院・教会を一つでも多く建立しようとするものです。これまでにも多くの開教を目指した方々のご苦労がありますし、今も努力されている方々が多くおられます。そのなかでも、これは、宗門が、寺院を建立しようとする施策のことです。
 2010年、川崎市にある三門徒派の重蓮寺を6.500万円で譲り受け、入寺する人を公募し、その方には給与を宗派から支給し、そこでのお布施等の収入は全額、購入資金の返済に充てるとし、ほぼ完済される見通しがたちましたので、法人化を進めようとしています。5年ほどで完済にこぎつけられたというのも、お内陣のお仏具もそのまま使えたこともありましたが、所属門徒をそのまま譲り受けることができたことが、主要因であったと言えます。
 そこで、次に、千葉県内に、土地付きの一般住宅を購入し、東本願寺○○真宗会館と名乗り、寺院化を目指そうとするのが、この度の首都圏教化推進条例一部改正の内容です。購入資金として5.000万円を計上しています。川崎の場合と全く違うのは、一軒も所属門徒がいない中で経済的にも自立して購入資金の返済にまでこぎつけるにはどれ程の期間を要することか、寺院化そのものが可能かどうかも不透明なところでもあります。

 現在、16.000万円が開教資金として準備されていますが、完済すれば、その資金を次の施設購入に充てるというものです。この度のケースで言えば、完済までには20から30年を要するのではないでしょうか。そうなれば、限られた資金の中で、次から次の展開を望むには無理があり、多くの寺院の建立はあまり望めないのではないかと思われます。
 このような方途が、果たして宗門がなすべき開教でしょうか。宗派が直接、寺院建立を目指すのではなくて、意欲ある多くの開教者を育て、あるいは現在、活動中の開教者に経済的支援を含めてのバックアップを展開することこそが必要であると思いますが如何でしょうか。

6.共済条例改正

 当局から住職、主管者、代務者及び名簿に登載された坊守を対象とした傷害保険に宗派として加入し、障害の程度に応じ補償金を支給するという傷害保険が、共済制度の一つとして提案されました。対象者が病気を除く事故等で死亡、もしくは重度の後遺障害を伴う時には最高30万円、障害の程度によって補償金を支給。一人当たりの掛け金は400円の3割引きの280円。対象者となる13,000人分の掛け金、370万円が計上され、共済条例の一部が改められました。さらに、各自が任意でがん保険等に加入すると、団体割引、3割引きが適応されるというもの。取扱い保険会社は東京海上日動。
 気になることが何点かあります。
 宗門にとっての共済のあり方はどうあるべきか。そのことを十分検討したうえで、それを実現するために保険会社の持っている財力や知見を活かすというなら了解もできますが、この提案はただ保険会社の商品を宗派で購入したに過ぎないとしか思えません。しかも、この商品は素人眼にも、保険会社が最も売りたがっているものでないかと思われるものです。よく、カード会社から頻繁に今年一年は無料でと売り込んでいる傷害保険であることを思うと、当局がこれこそ宗門にとって看過できない大事な課題との認識で加入したとは思えません。というのは、この五年で事故により死亡、あるいはけがをされた方は宗派にどれくらいおられるのかという質問に対して、調査はしていないという答弁。どうも、宗派が寺院・教会の福利厚生のために必要なものとして導入したというより、保険会社に勧められて購入したとしか思えません。
 しかも、改正された共済条例第26条には、任意のがん保険等に加入することを奨励するとあります。何故、がん保険等に加入することが、わが宗門の共済につながるのか。そこには、保険代理店が受け取る手数料を保険料3割引きとして加入する寺院・教会に還元することをもって共済と考えているふしがあります。保険会社にとっては、これで同時に9千ヶ寺を顧客として囲い込めたことにもなります。
 また、共済条例の第4条では、第一種共済の対象に前住職、前坊守が含まれています。しかし、今回の傷害保険の対象からは除外されています。前住職や前坊守こそ高齢で、ちょっとした事故でケガをし易い方で、寺院・教会の立場に立つなら除外すべきではありません。そのことからも、寺院・教会に立った発想とは思えません。
 住職の立場で言えば、事故で障害を負った時に、本山が加入している保険で見舞金が出るというのは結構なことではないかという評価もあるかと思いますが、本山が加入するということは、我々一人ひとりが負担しているということです。保険に加入するかどうかはどこまでも、我々一人ひとりが判断すべきことであり、宗派が代行加入して、それを以て共済とするというのは、全く筋が違います。
 今回の条例改正は、宗派が手数料を取らずに保険会社のお先棒を担いで、代理店化しようとするものと言わざるをえません。少し紙面を取りすぎましたが、宗門は様々な業種の業者に助けられないと活動できません。その関係が、上手に業者を活かすのではなく、業者にうまく遣われているのではないかと今議会では感じさせられることが多くありました。本廟奉仕施設の建設費のことであり、保険の問題であり、レストランについてもしかりであります。業者との関係は、公明性、公開性、公平性の原則を改めて思わされます。



 【議 員 発 議 三 件】

1.宗議会議員選挙の被選挙資格を25才以上のすべての有教師に付与する。

2.坊守の規定を寺族、又は帰敬式を受けた門徒で、住職、責任役員、及び総代とともに願い出た者とする。

3.教区会議員選挙の被選挙資格を25才以上の有教師に、選挙資格をすべての有教師に付与する。

残念ながら、3議案とも賛成少数で否決されました。しかし、今後とも、上記の実現のために活動をしていきたいと思います。


《副議長選挙》

 すべての議事が終了して、副議長の江尻静哉氏が辞意を表明され、副議長選挙が行われました。私たちの会派の四国教区選出の釈氏(キクチ)政昭氏が選ばれました。これで、正副議長を与党が独占するという歪な議会運営のあり方が解消されたことになります。選挙結果は次の通りです。

     釈氏政昭氏  58票     林 治氏 1票    白票 5票


 [ 組門徒会員の男女構成 ]

3月の組門徒会員改選は、昨年の宗会で可決されました、各寺必ず一人の女性枠による選出をお願いする条例に基づいてなされました。その結果、全国では、組門徒会員における女性会員の占める割合が、前回12年比で5.5%から28.1%と5倍以上の増加となりました。仙台教区については、6.4%から37.5%になっています。教区門徒会員については、仙台では、はじめて2名(13名中)の女性教区門徒会員が誕生しました。ただ、全国的には、2.2%から5.6%という低い伸びにとどまりました。なお、参議会議員は、3名(65名中)と前回と変化なしであります。

[ 資 料 ]

     非 戦 決 議 2 0 1 5

私たちは過去において、大日本帝国の名の下に、世界の人々、とりわけアジア諸国の人たちに、言語に絶する惨禍をもたらし、佛法の名を借りて、将来ある青年たちを死地に赴かしめ、言いしれぬ苦難を強いたことを、深く懺悔するものであります。
 この懺悔の思念を旨として、私たちは、人間のいのちを軽んじ、他を抹殺して愧じることのない、すべての戦闘行為を否定し、さらに賜った信心の智慧をもって、宗門が犯した罪責を検証し、これらの惨事を未然に防止する努力を惜しまないことを決意して、ここに「不戦の誓い」を表明するものであります。
 さらに私たちは、かつて安穏なる世を願い、四海同朋への慈しみを説いたために、非国民とされ、宗門からさえ見捨てられた人々に対し、心からなる許しを乞うとともに、今日世界各地において不戦平和への願いに促されて、その実現に身を捧げておられるあらゆる心ある人々に、深甚の敬意を表するものであります。
 私たちは、民族・言語・文化・宗教の相違を越えて、戦争を許さない、豊かで平和な国際社会の建設にむけて、すべての人々と歩みをともにすることを誓うものであります。
                                           『不戦決議』(1995年)

戦後50年を経た1995年6月、真宗大谷派は、人類の願いを「不戦の誓い」として表現しました。
 私たちは、この決議の重みを再確認し、あらためて平和の意味を問いたいと思います。
決議より20年、戦争の悲惨さと愚かさに対する人々の感覚は風化してきています。その風化は、現在も、基地問題で苦しむ沖縄の人たちの心に向き合おうとせず、戦争に向かう状況を生み出そうとしています。
 私たち人間の生きざまを憐れんで「国に地獄・餓鬼・畜生あらば、正覚を取らじ」と誓い、法蔵菩薩は、浄土を建立されました。
 永い人類の歴史は、人が人を殺し、傷つけ合う悲しみの連続でありました。如来の願心は、自我愛を正当化して「賜ったいのち」を奪い合うことを悲しみ、私たちに「共に生きよ」と呼びかけておられます。
 この呼びかけに応じ、「殺してはならぬ、殺さしめてはならぬ」という仏陀の言葉を如来の悲願と受け取り、あらためてここに「非戦の誓い」を表明いたします。
 そして、世界の人々と積極的な対話を通じて「真の平和」を希求してまいります。
 上記決議いたします。

2015年6月9日
                                     真宗大谷派 宗議会議員一同