第7回労働政策審議会安全衛生分科会議事録
2003年9月19日、労働政策審議会安全衛生分科会で、主要なアスベスト製品の禁止を盛り込んだ、労働安全衛生法施行令の改正についての審議が行われ、改正案が承認されました。審議の経過は次のとおりです。
厚生労働省HPより、関連部分を抜粋させていただきます。
詳細は、次のページでご確認ください。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/09/txt/s0909-3.txt
第7回労働政策審議会安全衛生分科会議事録
1 日時 平成15年9月19日(金) 10:00〜11:10
2 場所 経済産業省別館10階 第1012会議室
3 出席者 (委員) 公益代表 今田委員、北山委員、櫻井委員、名古屋委員
労働者代表 鈴木委員、徳永委員、仲田委員、芳野委員、
龍井委員(代理)
使用者代表 伊藤(輝)委員、加藤委員、金子委員、讃井委員、
山ア委員
(事務局)安全衛生部 恒川安全衛生部長、中沖計画課長、
西本安全課長、中林労働衛生課長、
飛鳥化学物質調査課長、川島国際室長、
高橋建設安全対策室長、高橋環境改善室長
労災補償部 菊入補償課長
4 議題
・ 労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱(石綿関係)について(諮問)
(略)
5 議事録
(中略)
○櫻井分科会長
(中略)
それでは、今日の最初の議題に移ります。第1の議題は、「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱」についてです。本件は、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛の諮問案件でありまして、当分科会で審議を行うことにしたいと思います。まず事務局から説明をお願いします。
○安全衛生部長
それでは、御説明させていただきます。本日の第1の諮問案件は、「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱」です。本件は、発がん性が指摘されている石綿について、国民の安全確保等の観点から、石綿の使用が不可欠なものではなく、かつ技術的に代替化が可能である石綿製品について、その製造等を禁止するため、労働安全衛生法施行令についての所要の政令改正を行うものです。詳細は担当から説明させますので、よろしく御審議のほどお願いいたします。
○化学物質調査課長
お手元の資料番号No.1−1は、第1点目の諮問文です。次の頁の別紙は、「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱」で、諮問の内容ですが、第一の「製造等の禁止」は、今回の政令の一部改正の内容に関するものです。第二は、「施行期日等」で、附則の関係のものです。
説明については資料番号No.1−2を用いていたします。資料番号No.1−2は、労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案の諮問の背景、趣旨等です。石綿は人に肺がん、悪性中皮腫、石綿肺といった重篤な疾病を発生させることが、かなり前からはっきりしており、WHOの国際がん研究機関等においても、その評価が確定しているところです。そういったことに鑑みて、特にWHO等から使用等の禁止を世界に勧告されていた、石綿の一種のアモサイトおよびクロシドライトについては、平成7年にすでに政令を改正して、使用等を禁止しております。
その他の種類の石綿については、石綿が持つ耐腐食性や耐磨耗性、強度が強いなど非常に優れた物性がいろいろありますが、そういったことにも鑑み、なかなか代替化が困難であったことから、現在に至るまで使用等の禁止までは行わずに、発散抑制措置などを徹底するということで、いわゆる管理使用をしているところです。
しかし、石綿自体について、アモサイトおよびクロシドライト以外についても、人に対する発がん性等がはっきり指摘されているという現状、その後の技術開発の進捗状況によって代替品の開発が相当進んできているという状況があります。そういう状況を踏まえて、国民の安全等にとって、石綿製品を使わないと問題が出るものを除いては、原則として使用等を禁止する方向で対処することにして、学識経験者による委員会を設けました。
この委員会は平成14年12月から今年の3月まで行いましたが、ここで関係業界等のヒアリング等も含めて、どういったものが石綿を使わないものに代替できるか、どういったものができないかという区分けというか絞り込みを行ってまいりました。その結果、代替化が可能であるとされたものが絞り込めましたので、今回はその内容を基本にして労働安全衛生法施行令を改正し、使用等を禁止することを意図しているわけです。
実際の禁止の範囲は、「2.措置の内容」にあります。アモサイトおよびクロシドライトは、現在、製造等が禁止されていますので考慮する必要はありませんが、それ以外の石綿を、「その重量の1%を超えて含有する以下に掲げる製品を、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用してはならない」ということで、委員会での結論を得た(1)〜(10)までの10の製品について、製造等の禁止を行う予定にしています。
このうち(1)〜(5)は、建材等に使用されるもの、(6)〜(9)は、摩擦材ということでクラッチやブレーキに使われるものです。
この政令案が成立してからの施行日ですが、平成16年10月1日を予定しております。いま述べた10品目についても、すぐに代替化が可能なものもありますが、そうではないものもあります。そういったことで代替化の技術開発、代替品の生産や供給体制の確立、一般国民への周知期間を勘案して、平成16年10月1日と考えているところです。
6頁です。今回の措置に対応する労働安全衛生法関係条文です。上欄に法律の関係条項、下欄に政令の関係条項があります。今回、改正になるのは下欄の政令の第十六条ですが、その根拠となる法律は第五十五条です。これによりますと、労働者にがん等の重度の健康障害を生ずるもので政令で定めるものは、製造、輸入、譲渡、提供、又は使用を何人も行ってはならないということで、第五十五条に基づき、政令でそういった製造等禁止物質の範囲を定めることができるとなっています。ただし、試験、研究等の場合を除外しています。
それを受けて政令第十六条で、現に9物質が決まっておりますが、その中で第十六条第一項を見ますと、黄りんマッチから始まり、四と五にアモサイト、クロシドライトとあります。これは先ほど申しました平成7年の改正で挿入したものです。
これは化学物質としてのアモサイト、クロシドライトそのものですが、これらを含有する混合物としての製剤については、同じ項の第十号に、「第二号から第八号までに掲げる物をその重量の一パーセントを超えて含有する製剤その他の物」と規定があります。現在はこうなっていますが、ここにただ今の10の製品を加える。技術的には例えば、第十号から、また10項目並べるということではありませんが、考え方はそういうことです。
2頁に戻り、石綿そのものについて、また石綿の現在の使用状況、その他について簡単に補足いたします。石綿は天然物で、天然に産する繊維状のケイ酸塩鉱物ということですが、その種類は、WHOやILOによりますと、クリソタイル以下、6種類があります。クリソタイルだけが蛇紋石系で、他は角閃石系ですが、そのうち特に有害性、発がん性が強いと言われているクロシドライト、アモサイトは製造・輸入等が禁止されており、その他の4種類は管理使用になっています。ただし、実質的にはアンソフィライト、トレモライト、アクチノライトは、ほとんど産生されず、現在、製造等を続けているのは、クリソタイルと考えていただいて結構だと思います。
「2.石綿の有害性」ですが、石綿肺、肺がんや悪性中皮腫の原因物質になることがはっきりしています。特に最近、悪性中皮腫について労災認定件数等がやや上がる傾向があります。
3頁は、「石綿の使用状況」です。石綿については、日本でも産生しないというわけではないと聞いておりますが、戦時中に輸入が止まった時期、このカーブでは1940〜1950年辺りが空白になっていますが、その辺りで日本でかなり生産された実績がありますが、現在では実質的には、ほぼ全量を輸入に頼っていると考えていただいて結構です。
ここにありますのが輸入量ですが、1960年代ぐらいから、日本の経済復興と期を一にして輸入量が増えており、ピークが1974年(昭和49年)の35万トンです。それから凸凹が続き、1990年代になってから減少の一途で、2002年の輸入量は4万3,000トンで、カナダ等から輸入しています。
「(2)石綿品の用途」で、その用途を見ますと、9割以上が建材に使用されています。そういう意味では蓄積量が1,000万トン近くになる計算ですが、それらについてのかなりの部分が建材に使われた形で存在していることになります。その他は化学プラント設備用のシール材や摩擦材等の工業製品として使われています。そういう意味では、今回、建材について製造等を禁止するという措置により、この政令が施行されると、現在の輸入量の9割以上が削減される見込みになるわけです。
4頁は、「石綿の代替化等検討委員会報告書の概要」です。簡単に触れたいと思います。これは消防研の平野理事長を委員長に、8名の専門家の先生で構成し、平成14年12月から7回にわたって業界ヒアリングも含めて、石綿の代替化のできるもの・できないものの絞り込みを行ったものです。
1は建材、2は摩擦材、3は断熱材用接着剤、4はシール材、ジョイントシート、5は耐熱・電気絶縁板、6が石綿布、石綿糸ということで結論を書いています。1、2、3は代替化が可能であると結論付けられたものです。その考え方は、すでに代替品が商品化されているものがあったり、その見通しがついている。また国民の安全の観点から石綿を使わない品物に替えても、特に国民の安全等に大きな支障が生じるものではないという考え方に基づくものです。
4、5、6は、今回は代替化が困難であると整理されたものですが、これについての考え方は、例えば、4の化学工場でよく使われているシール材、ジョイントシート等で見ますと、それぞれの化学設備が多様性に富んでおり、またそこを流れる化学品も腐食性の液体があったり、酸、アルカリがあったり、高温・高圧とか、いろいろな条件があります。そういった温度等の使用限界、使用される機器との組み合わせなどから、非常に多くの組み合わせが考えられます。例えば温度が何度から何度まで、あるいは、配管に使用するもの、と代替品の使用可能な範囲を特定することが現時点では困難である、ということから見送ったものです。5も同じ考え方です。
6の石綿布、石綿糸は、そういったシール材等に使われる材料的な立場にあるもので、シール材等が代替化が困難であることと連動して、今回は禁止等の措置を見送っています。以上、よろしく御審議をお願いいたします。
○櫻井分科会長
ただいまの説明について御意見、御質問がありましたら御発言ください。
○中桐氏(龍井委員代理)
時間をいただいて私どもの基本的な考え方、要望等についてお話いたします。現在、地球規模で確認されているアスベスト関連の疾患があります。我々も含めて、世界の労働組合が参加する国際労働団体では、WTOなどに対して、この問題に対し、地球規模でのアスベストの使用の全面禁止や輸出入についての禁止を働きかけてまいりました。
すでにEUは全面禁止を加盟国に指令しています。
これまで世界全体の約10%近くを使っていた日本もやっと危険の実態と地球市民の責任を自覚して、使用禁止措置を決めることについて歓迎したいと思っています。連合としても、来年12月に国際労働団体を日本に招致して、世界大会を開催しますが、そこにおける議論でも、長年の連合としての要求だった国際的な労働安全衛生課題が1つ前進したということで、高く評価したいと思います。
しかしながらアジアでは、現在、中国など高度成長を続けている国々でアスベストの使用が急増しております。こういった国々に対して今回の日本政府の措置が、良い影響力を果たしていくことを期待している次第です。
次に今後の国の施策に関して、少し意見、要望を申し上げたいと思います。製造などが禁止されても、次のような問題が発生するのではないかと予測し、また危惧しております。第1番目に、国内に残されている多量のアスベストの危険性を、勤労者や国民が知らずにばく露しないようにすることです。そのための国民的な啓発のキャンペーン活動を継続的に実施する必要があるのではないかと考えています。
またアスベスト関連疾患の半数が建設労働者に発生している実態を踏まえて、そのような事業者団体などを通じたアスベストの取り扱いの指導が必要ではないかと思っています。
2番目に、アスベストによる肺がん、ならびに悪性中皮腫は、20〜40年の長い潜伏期間があるとされています。がん発生のピークは、先進国では2010〜2020年、途上国では21世紀半ばまで続くと学者の間では予測されていますが、日本の場合は発見された患者数はまだ少なく、今後急速に増加すると指摘する研究者もおられます。そういったことを踏まえ、早期発見のための研究や体制づくりが重要だと思いますし、患者の治療と家族の生活を守るための措置がまた必要です。
さらに事業者、労働者、その家族、医師、健診機関、労災病院や大学などの研究者、また労働基準監督官などが、正確な知識の下に、適切な行動ができるような国による行動計画を立てるべきではないかと考えております。
最後に、今回禁止措置を猶予された製品についてですが、国際的に代替製品の開発研究を急ぐ必要があると思いますし、国として、それを支援する必要があるのではないかと考えます。また関係省庁と連携し、例えば、来年の10月まで、それ以降もそうですが、在庫のアスベスト製品等々を海外輸出することの防止、ならびに適切な国内での廃棄処分を監視する措置などが重要であると考えております。
○櫻井分科会長
大変適切、かつ広範な問題を御指摘いただきました。事務局のほうで何かございますか。
○化学物質調査課長
ただいまいくつか御指摘をいただきましたが、個々に現状の考え方をお答えしたいと思います。1番目については、いわゆる一般国民も含めた周知の問題ですが、大変重要な観点だと考えております。私どもの所管から言いますと、国民に対する周知を直接所管してはおりませんが、この問題は労働者を超えて家庭に、一般国民に繋がっている問題でもありますので、周知・広報については、関係省庁とも連携し、積極的に進める必要があると考えております。例えば、新聞の広告や政府広報なども視野に入れて検討したいと考えております。
2番目の建設労働者への対策の徹底ですが、まさにおっしゃるとおり、現在建材として使われて存在しているものの解体や回収などの過程でのばく露が、今後の主要なばく露になると思いますので、その辺については、建設業労働災害防止協会、建設業関係の団体、石綿工業界などと十分連携をとり、対策を徹底していきたいと考えております。
中皮腫等の早期発見、補償措置ですが、一部労災補償部の所掌になるかと思いますが、私どもの持ち分として、特殊健康診断や健康管理手帳などがありますので、その辺をきちんと施行していきたいと考えております。
行動計画と言われましたが、これについて、現時点ですぐに考え方を整理することはできないのですが、1つの提言として、私どもに何ができるか整理することも必要だと思いますし、受け止めさせていただきたいと思います。
禁止措置を除外されるもの、化学工場等でのシール材等についての今後の措置ですが、今回はやや技術的な問題もあって、全体として一括りで禁止を除外せざるを得ない面がありましたが、個々に見ていきますと、すべてが石綿製品でなければいけないという状況でもないと考えております。
そういう意味では、少し努力すれば現在でも非石綿製品に替えられるものについては、今回の禁止を除外されたからということではなく、関係業界に早期に代替化を進めていただくように要請していくことはもちろんですが、技術的にかなり難しい問題を含んでいるものについても、メーカーとの関係もあると思いますので、そういった所とも連携しつつ、目標時期というか目標年度を定めて代替化について努力していただくように要請したいと思います。またそういった進捗については、私どもはそのような分野、あるいは外国のEUなどの動きや実態にも詳しい専門家にお願いして、専門家の委員会みたいなものを構成し、動きをモニターしていくことも考えてみたいと思っています。
石綿製品で今回禁止されたものを、処分に困ってアジア諸国等に輸出をしないようにしてほしいという問題ですが、建材等では粉状の石綿等と違って、即、非常にばく露が広がるという危険な状態にあるわけではないとは思いますが、おっしゃる趣旨はよく分かります。厚生労働省として輸出をコントロールすることは権限を超えておりますが、例えば、そういった余剰品をいたずらに作ることがないように、関係業界に対して、今後のニーズを見越して余剰品が出ないように、今後の生産計画を十分組んでもらうように強く要請したいと思います。
業界の方々から前に聞いたことがありますが、日本の製品はいろいろコストがかかっておりますので、東南アジアに輸出するのはコスト的には非常に見合わないので、企業の行動としては、そういうことはないだろうという見方もいただいておりますが、ご指摘の点を踏まえて、我々のできることをしていきたいと考えております。
○櫻井分科会長
ただいまのご質問に絡んで、あるいはそれ以外でも結構です。
○徳永委員
いま中桐委員から発言がありましたが、私もまさにそのとおりだと思っております。いま答弁のあった課題については積極的に今後進めてほしいと思います。今回の措置は率直に申し上げて、私ども建設関係は石綿の用途の9割を占める建材によって作業過程の中で被ばくをしてきた部隊です。建設労働者は実際には20数年、もっと前からばく露されて悪性中皮腫を含めて、こういう実態は相当出ていました。いま中桐委員が、来年国際規模の全国大会を連合中心でやると言われました。その中で一緒に参加させてもらっている石綿対策全国連絡会議があって、私どももそこでやっていますが、そこでもそういうことに取り組んできたという経過があります。今回は、率直に申し上げて、ようやくこういう形で全面禁止の方向が出たなと思っており、これはこれで非常に歓迎します。
問題は、すでに1960年代から急速に輸入され、具体的にはいろいろな建材製品として出てきている、例えば石綿でもそうですが、建物であれば、今後はこういうものが解体などでどっと出てくると思います。となると、これからの対策としては、おっしゃっていることを含めて、具体的にやっていかなければいけないと思いますが、すでに20何年間の歴史の中で石綿にばく露され、作業に取り掛かる部隊は、今後は危険性が非常に強いのではないかと思っていますので、そういった面での取り組みも強化が必要だろうと思います。
もう1つは、今から死亡者も含めて多くの労災補償面の関係が出てくるだろうと言われていますが、迅速に的確に救済する方向で、今後の整備をしてほしいと思っています。
もう1つは、作業現場で解体も含めて建設労働者は作業でいろいろ関わってくるわけです。その場合に特化則による作業主任者という形で働くことになっていますが、石綿そのものに対する知識を含めて、広範囲ではなく、少し整理をして、そういった人たちを作業主任者に当たらせる工夫はないのかどうかです。少し広すぎるのではないかと思います。全部勉強してやればいいということになりますが、かといって、ほかのいろいろな知識がなければ石綿関係の対策はできないのかというと、そうでもありません。そこはそこできちんとやっていけば、それなりの作業主任者の配置はできるのではないかと思いますので、工夫をお願いしたいと思います。
いずれにしても委員会はありましたが、これからが課題だろうと思いますので、ここを1つの足掛かりにして、さらにお互いに努力していく部分があるわけですが、進めていただきたいと思います。若干くどくなりますが、建設労働者は、非常に関わり合いが強く、現実に犠牲者が出て、苦労もしています。感想を含めて申し上げました。
○補償課長
ただいま労災の補償面の話が出ましたので、それに限ってお答えしたいと思います。ご指摘のように、石綿による中皮腫等の労災認定に当たっては、昭和53年に策定した「石綿ばく露作業従事者に発生した疾病の業務上外の認定基準」に基づいて処理を行っています。
しかしながら、認定基準に具体的に認定要件を定めていなかった心膜、あるいは精巣鞘膜の中皮腫についての労災認定事案があったこと、中皮腫等に係る労災請求は、今後も増加をするだろうという予測等もありましたので、心膜の中皮腫等を含めた中皮腫に係る認定要件について検討を行う必要があるだろうということで、専門家による検討会を昨年の10月に設置し、今年8月26日にその検討結果がとりまとめられました。
その報告に基づいて石綿との関連が明らかな疾病として現行の認定基準に示されていない心膜、精巣鞘膜の中皮腫等を追加するという認定基準の改正を行い、本日付で都道府県労働局長に通達をしたところです。今後、私どもとしては、先ほどの徳永委員のご説明にもありましたように、この認定基準の周知等を図り、関係の労使、あるいは医療関係者等の理解を一層深めていきたいと考えているところです。
○櫻井分科会長
いかがでしょうか、何かご発言ございますか。
○山ア委員
お願いですが、これは厚生労働省だけの問題ではなく、国土交通省は建材が多いわけですし、通産などの関係省庁とも十分連絡をとっていただく。特に中小企業の場合などは、生産性が落ちることと、下請けなどいろいろ関係があり、その対策も十分ではないと思いますので、スムーズに代替物に移行ができるように、十分指導なり対応をあらゆる面から講じていただきたいと思います。
○櫻井分科会長
ほかにはいかがでしょうか。ほかにご発言がないようです。大変大きな過去の遺産を背負って、今後の課題が多々ある中ですが、大きな一歩ではないかというご発言は、全くそのとおりだと感じております。
当分科会の意見として「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱」について、妥当と認める旨の報告を、私から労働政策審議会会長宛に行うことにしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(委員一同異議なし)
○櫻井分科会長
それでは、そのようにさせていただきます。なお、報告文については、私に一任させていただくということでよろしいでしょうか。
(委員一同異議なし)
○櫻井分科会長
ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。安全衛生部長からご挨拶をお願いします。
○安全衛生部長
貴重なご意見ありがとうございました。そのご意見を踏まえながら、対策を進めていきたいと思っております。
また、ただいま「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱」について、妥当と認める旨のご報告をいただき、ありがとうございました。労働政策審議会運営規程により、本分科会の議決をもって審議会の議決とされることから、労働政策審議会として妥当である旨、ご了承いただいたことになります。本政令案要綱に基づき、速やかに改正作業を行い、その円滑な施行に努めてまいりたいと考えております。今後ともご協力のほど、よろしくお願いいたします。
(後略)