アスベスト新法:不作為の結末(目次)

アスベスト新法:不作為の結末(その6)

〜過去の会員〜


(過去の事実は、記憶のように消えてしまうわけではない。本当にそうならどんなに楽だろう。)

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社団法人日本石綿協会の、平成12年度末の会員数は75だった。
(年度当初は84、年度途中で9会員が脱退)

内訳は、平成12年3月1日現在で、次のようになっていた。
   正会員  67
   石綿輸入・販売業者 11
   関連団体 7

その時点の会員は、次の資料にある。
 会員名簿−平成12年3月1日現在
 社団法人日本石綿協会

  (情報公開開示資料)

1998年度(平成10年度)4千500万円だった(社)日本石綿協会の賛助金は、2004年度には約100万円になった。
そして、2005年度の予算額ではついに0円になった。

アスベストの輸入促進をはかり、輸入トン数に応じた賛助金を基盤に、反アスベスト団体にあからさまな敵意を向けていた過去の(社)日本石綿協会と、アスベストの輸入量ゼロを前提とした今の石綿協会とは違う。

昨年8月の発表によれば、(社)日本石綿協会会員は、29社2団体。
内訳は次のようになっている。
   石綿処理会社 4社
   商社・代理店  2社
   石綿製品の輸入・販売会社 数社
   過去に石綿製品を製造した会社(それ以外)

平成16年度の事業報告では、「臨時総務委員会による石綿新時代に適応した定款の改定作業」があげられ、「新定款の示すところに拠り、また社会の求めるところに従って、「協会のあり方」を模索していく」との計画が示されている。

中を見ると、「経済産業省の協力を得ながら」や「経済産業省のご指導を仰ぎながら」ばかりが目につく。

10年前に、石綿協会の総会で、協会会長が反アスベスト団体の動きを、あからさまな敵意を持って話すのを、来賓席で黙って聞いていた経済産業省が、アスベストの輸入量がゼロになろうとする今になって何を指導するのか。

業界団体と一体になって進んできたことを反省することもなく、「石綿新時代」に合ったあり方を、ともに模索していこうとしているのだろうか?

昨年(2005年)12月、公益法人制度は改革に向けた、新制度の案が示された。

アスベスト新法ができ、新たな公益法人制度のもとで、「石綿新時代」にあったあり方で進もうとしている。その時には、以前の石綿協会の姿は想像もできなくなっているだろう。

過去の事実は、消したり書き換えたりすることができるのかもしれない。
業界も行政もそのことを望んでいる。

権力があるなら簡単にできるのだ。

つづく                          (2006.1.4)K.OUCHI


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