アスベスト新法:不作為の結末(目次)

アスベスト新法:不作為の結末(その2)

〜賛助金値上げ〜


(社)日本石綿協会の平成12年度の通常総会議事録の中に、次のような記載がある。

第5号議案 賛助金値上げの件(報告)
 議長から石綿輸入量の減少により、協会運営上AIA(※後述)との関係を維持することが財政的に困難となり、石綿輸入協議会に賛助金の値上げをお願いしたところ、厳しい経済情勢にも拘らずトン当たり50円の値上げの承諾を頂き、新賛助金はトン当たり350円となった旨報告があり了承された。

会費の細かな区分は定款に書かれていないので、詳しくはわからないが、(社)日本石綿協会の会費収入は、「通常会費」、「賛助金」、「賛助会費」、「協力会費」の4つに分かれていたようだ。

ちなみに、平成12年度の会費収入総額は4千百万円あまりで、内訳は次のようになっていた。
 会費収入     41,289,500(円)
 (内訳)通常会費 2,250,000
     賛助金  32,800,000
     賛助会費   850,000
     協力会費  5,389,500
「社団法人 日本石綿協会 平成12年度収支決算書」より抜粋)

これでみると、会費収入のうち、アスベストの輸入量にもとずく「賛助金」が、石綿協会の通常会費の4分の3以上を占めていたことがわかる(新しい賛助金は、トン当たり300円から350円になった)。

平成9年度の「収支決算報告(案)」には、次のような記載がある。

平成9年度収入は68百万円であり、その主なものは賛助金48百万円である。当初予定した石綿輸入量を16万トンで計算したが、ほぼ予定とおりの実績となった。
(「平成10年度通常総会議事録」より)
会費収入の大きな割合を占める「賛助金」は協会の主要な財源で、石綿協会は、毎年、次の年のアスベスト輸入量を推定して、予算を立てていた。
アスベスト輸入量の減少によって、(社)日本石綿協会は、財政上の困難に直面せざるを得ないことになる。

ついに、平成13年度の通常総会では、このような話も出た。
一方、石綿輸入量の減少による賛助金の減収で、このまま放置すれば協会は数年後に破綻してしまう。
丁度、AIA会合がカナダで開催中であるが、藤田前副会長に出席をお願いし伊藤忠商事の協力も頂いて、AIA会費の値下げを申し入れを行っている。こういった支出切り詰め他、会費の値上げ等、この総会後早急に検討を始めたい。
(「平成13年度通常総会議事録」より)

経済産業省や他の省庁は、このような(社)日本石綿協会に、委託事業をさせ、アスベスト政策についての協力を求め、時には肩代わりもさせてきた。
その一方で、代替化を進めてきたといっている。
こういうことがどうして言えるのかと思うのだが、どうだろう?

つづく                          (2006.1.4)K.OUCHI


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