要 望 書

1996年5月8日   

静岡県総務部職員厚生課長 様
静岡県警察本部警務部会計課長 様

丸子職員住宅取り壊しに伴うアスベストの飛散   
について適正な対策を求める住民有志一同   

私たちは、静岡市丸子三丁目2の静岡県丸子職員住宅の取り壊しと建て替えに伴うアスベストの飛散について、次のことを要望します。

  1. 県が、平成8年2月6日に行った事前調査によれば、取り壊し予定の建物には、吹き付け アスベストなど容易に飛散するものはないということですが、調査は、廃棄物処理の観点か ら、どのような対策が必要かについて行われたものであり、取り壊し工事によるアスベスト の飛散を問題としたものではありません。

    また、その調査が行われたのは、取り壊し予定の建物の内の数棟で、しかも、その中のほ んの数箇所に限られており、このような調査では、他の事例でみられるような、調査段階で 吹き付けアスベストがないといわれながら、工事に入ってから発見されるような事態が懸念 されます。

    ビル解体の事前調査には,昨年4月に改正された、労働安全衛生法に基づく特定化学物質 等障害予防規則第38条の10によって、吹き付けアスベスト、保温材等だけでなく、すべ てのアスベスト含有製品の調査、記録が義務づけられているので、この規則に従って、他の 棟の、他の部分についても、住民の立ち会いの上、確実に調査し、それぞれの材料を特定し、 それを一覧表にして公表して下さい。

    なお、調査書の中で、ロックウールとかかれている箇所は、アスベストの誤りであるとい う点について、調査者に確認し、訂正を求めて下さい。


  2. 同調査によって、アスベストを含むボードなどの建材が、所々で使われている事が確認さ れています。それらについて、電話での問い合わせに対して、担当者が行った説明によれば、 アスベスト建材については法律による規制がないので、水をかけて一括して壊す予定という ことでした。しかしながら、

    1. 特定化学物質等障害予防規則等によって、アスベストを含む建材の取り扱いに対しては、 吹きつけアスベストと同様に、事前に撤去しなければならないだけでなく、飛散防止をは じめとする様々な対策を取ることが義務づけられていること
    2. アスベスト建材を含む建物の取り壊しについては、労働省が出した「石綿のあらまし」 の8頁、「石綿に関して事業者が講ずるべき主な労働衛生対策」の6に、石綿粉じんの発 散源を密閉する設備、または除じん装置付の局所排気装置を設けなければならない旨の記 載があること

    3. 建設省が行った調査で、アスベスト建材の一種である石綿スレート屋根の解体の際、作 業員が多量のアスベストにさらされており、周囲の大気中にも、そのアスベストが飛散し ていることが明らかにされていること

    4. 他にも、アスベスト建材の撤去工事の際、作業中、相当高い濃度のアスベストが測定さ れているという報告があり、吹き付けアスベストでないとしても、周辺環境に与える悪影 響は同様であると考えられること

    5. 東京都等の自治体で、学校等の建物のアスベスト建材について、解体処理の際、密閉し て負圧にし、アスベストが飛散しないような対策をして撤去している例があること

    6. 丸子職員住宅の場合、取り壊しと建て替えが5年にものぼる長期間続き、敷地内に公園 もあり、子供たちが多い密集した住宅地域である上に、取り壊される建物の数も多く、 20パーセント以上もアスベストを含む石綿スレートやその他のアスベスト建材もあって、 それらを総合すれば相当多量のアスベストになることが考えられるので、水をかけただけ の工事では、多量のアスベストが飛散し、周辺の住民の健康や生活に大きな被害が及ぶ事 が予想されること


    以上の6点から、単純な水をかけただけの工事ではなく、完全密閉して、負圧にした上で、 アスベスト建材を個別に取り除く方法で工事を行って下さい。


  3. 上記の方法で、アスベストが飛散していないことを確認するために、工事前、工事中、工 事後を含み、随時、アスベスト濃度を測定し、その数値を一般に公表して下さい。

  4. これらの点に関しての周辺住民の不安が大きいので、その不安を無くすために、具体的な 解体計画に入る前に、早急に、住民に対する説明会を開いて、この工事でアスベスト対策が どの様になされていくかについて説明し、住民の十分な納得を得た上で、工事の計画、実行 をして下さい。この際の説明会は、広い範囲の住民を対象にして、十分広報活動をした上で 行って下さい。

  5. 今回の工事に際し、アスベストの危険性に対する認識を一致させるため、住民、工事を請 け負う団体の作業員、および管理責任がある県の担当職員等を対象とした、アスベストにつ いての講演会を、住民が適任と認める専門家を講師として、早急に開いて下さい。

  6. 取り壊し後に建てる建物の建築には、アスベストを含まない製品を使用することとし、そ のことを、製品の内容を含め、文書にして公表して下さい。

    以上     


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