抜け落ちた「監視と参加」−その9−

 総務庁情報公開法制定準備室宛の質問についての回答
以下、参加者のメモと、いただいた資料をもとにお話をまとめてみました。
内容に聞き違いなどがある場合があります。内容については直接ご確認ください。


日時:1998年4月16日(木)14:00〜15:00
場所:総務庁一階会議室
出席者:情報公開室(室長ほか計2名)アスベストについて考える会(2名)


(大まかなまとめ)

情報公開法制定準備室は、主に次の3つの理由から、「監視と参加」をなくしたことは行政改革委員会の「情報公開法制の確立に関する意見」(要綱案・要 綱案の考え方)の変更にあたらないと説明した。

     「監視と参加」を他の表現に変えたことは、単に言葉だけの問題であり、内容は要綱案で言っていることと同じなので要綱案を変えたとは考えていない。
       (言葉だけの問題で、内容に変化はない)

     要綱案の作成過程では、「監視と参加」について、はじめから議論されていた。審議の内容から判断すれば、政府案は審議委員の言っていた意味を十分反映している。したがって、政府案で書かれいている意味は要綱案の中で言っている意味と同じである。
       (審議過程からみれば、政府案の内容は要綱案と同じ)。

     「監視と参加」を除いたわけは、要綱案の中で、これらの用語が今まで他の法律で使われてきた意味と異なった使われ方をしているので、権利義務を定めている法律の用語としては使えないと判断したためである。
       (曖昧な意味になってしまうと混乱を招くから、異なる意味で使うことは避けるべきであると判断した)。


(これに対して、こちらでした主な反論は次のとおり)

     「参加」は、多くの情報公開条例でも目的とされており、環境基本計画でも中心的な柱となっているなど、他の言葉には置き換えることのできない、それ自体の意味を持っている。他の言葉では表せない言葉であるし、政府案で書き換えた内容は、要綱案の「参加」の意味とは違う内容になっており、変更されている。

     審議過程での議論を踏まえて、それでも入れるべきであるという結論に達 し、要綱案に入れたという判断が重要。「要綱案の考え方」では、「目的」で 「このようなことから監視と参加を掲げることとする」と、はっきりと書いている。それをあえて書き換えてしまうことは、審議過程を無視し、この判断に反することになる。

     情報公開法は(説明のように)全く新しい法律なので、その目的について書くとき、これまで使われていた法律用語の意味だけにとらわれて書こうとすることに無理がある。新しい法律ならば、今までにない意味を持った言葉が使われていいのではないか。


総じて、根拠は同じところをあげているのに、結論が全く違うということがおもしろい特徴。

    たとえば、制定準備室では、「要綱案の作成過程では議論があった、だから、その議論を踏まえて内容を反映させている」と主張し、こちらは「要綱案の作成過程では議論があった、だから、その議論を踏まえた結論は尊重しなければならない」と主張している。
    また、事実認識の相違、つまり、準備室では「変えているとは考えていない」と言い、こちらでは「変えていると考えている」と言っている点が全く違っていた。

以下詳細について報告する。


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