行政情報公開部会第16回審議概要
日時平成7年7月14日(金) 14:00〜16:45
フリートーキングにおけるその他の主な意見は次のとおり。
(情報公開法の目的)
○情報公開法の目的としては、「行政の監視」と「行政への参加」を主たる直接目的とし、「公正で民主的な行政運営の実現と行政に対する信頼の確保」を究極目的としてはどうか。なお、「国民の権利利益の救済」と「行政情報の有効利用」については、この段階ではそれを排除するものではないという理解に止めることにしてはどうか。
○「行政の監視」と「行政への参加」は、直接民主制的な色合いがあるが、地方公共団体の場合はともかく、国の場合については、そのような考え方が果して現在の憲法構造と調和するかどうか、やや問題があるのではないか。
○現状では、およそ国政に関する情報が行政機関の下に集積しているわけであ
り、そういうものを公開することにより、狭い意味での行政だけでなく、国政全般を透明にしていくことが大事なのではないか。憲法構造との関係で言えば行政情報公開は、選挙権を始めとする政治的な諸権利、諸事由を実質化していくための前提であると捉えるべきであり、そのように考えると主たる目的は、「行政」というよりはもう少し広く、「国政の民主的な運営」となるのではないか。
○日本では立法過程が行政に集中しているため、「行政への参加」と言った場
合、立法過程への参加を含みうること、及び、本部会の検討対象から国会、裁判所が除かれることから考えると、「およそ日本の国政」といった議論が可能かどうか。
○議院内閣制では行政は、国会に対して責任を負うが、「行政への参加」というと、情報を開示された人がどういう形で行政に参加するのか分かりにくい。むしろ、行政の公正確保などが直接目的であり、「行政への参加」などを究極的目的と捉えるべきではないか。
○行政への参加は選挙だけではない。情報を与えられた者が色々なところで意見を言い、その意見が参考にされ、その結果行政が透明化され、行政も目的を達成するということになる。その意味で「行政への参加」がより重要ではないか。
○一般的に意見を言うこと、陳情、あるいは他の法律で定められている参加手続による参加というものはあるが、それが「行政への参加」の意味なのか、もう少し議論する必要があるのではないか。
○「国民の権利利益の救済」「行政情報の有効活用」も重要ではあるが、例え
ば、消費者保護の観点からの公開の問題は、消費者保護のための法体系の中で処理されるのが本筋であろう。
○究極目的は「公正で民主的な行政運営の実現と行政に対する国民の信頼確保」にあることはきちんと押さえておく必要があるのではないか。
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行政情報公開部会第19回審議概要
日時平成7年9月29日(金) 14:00〜17:00
○ポリシーに国民が参加していくことは非常に大切であるが、行政情報公開法というものが、今の憲法、基本的な国家の制度、法秩序を踏みにじって、直接民主主義の極端なものを認めることになってはならないのではないか。
○参加という言葉の問題であろうが、情報公開制度の導入は日本の統治構造を変えようということではないだろう。従来の統治制度は、基本的には代表民主制であるが、国民には政治的行動の自由、表現の自由などもあり、それらが合わさって日本の統治機構が動いている。情報公開法をもって直接民主化しよういうわけではないが、逆に間接民主制の枠にとどまって、その中でのみ考えなければならないというわけでもないだろう。出発点は、やはり行政機関に秘密が多すぎるということであり、秘密をできるだけとりはらったときに、統治原理にどう働くかは別ではないか。
○民主制という言葉の問題かもしれないが、意思形成過程情報を途中で見たいということは、やはり民主的参加が契機としてあるからではないか。ただ、担当局長などに手紙を出すために資料を欲しいということだけで、今の統治体制を壊すほどのものではないと考える。
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行政情報公開部会第30回審議概要
日時平成7年12月22日(金) 14:00〜17:00
(情報公開法の目的)
○要綱でどのように書くかは別として、情報公開法の目的としては、公開性
(openness)、責任性(accountability)が重要であるというのが、部会における大方の意見ではないか。
○国民の側から見た行政への参加、行政の監視を、政府のあるべき姿として言いかえれば、公開性、責任性という言葉になるのではないか。
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行政情報公開部会第32回審議概要
日時平成8年3月22日(金) 14:00〜17:00
(法の目的等)
○「監視」と「参加」という言葉を法文として書くことの問題であるが、「監
視」というと、良くないことを監視するとか、こと細かにクレームをつけるという感じがするし、「参加」というと、訴訟参加とか、そういうものが想起され、本来の趣旨と考えられる国民も一緒になって見ていく、一緒になって考えていくということにはとどまらないのではないか。
○「監視」については、法律用語例として広狭二様あり、気をつけて見守るという意味もある。「参加」についても、国民が行政に対していろいろ意見を言うというような広い意味でとらえることもできる。「監視」「参加」を実効的にする、しかも資するということであれば、若干違和感があっても、意義があるのではないか。
○資するという場合は既存の仕組みが前提であるが、情報公開制度の場合、少しなじまないのではないか。
○少なくとも広狭二つの意味がある場合、狭い意味の立法例もあるから、そちらの方で解されて意味が二つになってしまったり、別の考え方が生じたりするおそれがあるので、適切な言葉が見つからなければ報告書できちんと説明すべきではないか。
○行政は無謬ではなく、過ちを冒すこともあり得るから、利害関係や関心のある人が意見を言って、行政自体もよくなっていくというのが、この制度の背景であ
るので、言葉はきついが、「監視」や「参加」という言葉を敢えて入れること
は、大変重要なことではないか。
○監視、参加に関して、「行政」か「国政」かという点について、「国政」の方が適当と考えられるが、対象が行政文書に限られるので、「行政」でやむを得ないのではないか。
○行政について様々な権能を持つのは国会でもあるし、行政に関する国の機関の権限行使の在り方をwatchするという意味で考えれば、それほど意味は違ってこないのではないか。
○「監視」「参加」の趣旨自体は基本的に問題ないが、言葉としてなお他に適切なものがあるかどうか検討すべきではないか。