抜け落ちた「監視と参加」−2−


要綱案 第1 目的

この法律は、国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する国民の権利につき定めることにより、行政運営の公開性の向上を図り、もって政府の諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民による行政の監視・参加の充実に資することを目的とするものとすること。

(2月21日付朝日新聞で、報道された)「政府原案」要旨 第1条

この法律は、国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定める等により、行政機関の保有する情報のいっそうの公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とする。

「国民による行政の監視・参加の充実に」資することを目的とする
「国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に」資することを目的とする

「要綱案と」、これ以外の違いはほとんどない「政府原案要旨」だったわけだが、これについて、情報公開法制定準備室の説明の概略は、およそ次の通り (これは回答された内容の趣旨をまとめた概略です)。



<朝日新聞に載った原案は、政府案として考えていいか>

(とんでもない。)現在は協議中の段階で、今後各省庁での協議が整ったら、その後与党審査をして、原案が決まる。それを国会に提出するわけだが、その段階で公表できる政府案になる。

(朝日の記事は、その途中の段階で、どこからかリークされた情報に基づいているようだ。どのような情報に基づいているのか、見ることができないのでわからない。)


<すでに政府案としては固まっているような印象を受けるが>

(役所が勝手に法律を作るような時代ではない。)最終段階にあることは間違いないが、国会段階に入るまでには与党審議に時間がかかる。朝日の記事もそのようなニュアンスで書かれていたように思う。
「原案」という言葉遣いの違いがある。


<目的から「監視」と「参加」という表現がなくなっているようだが>
<要綱案は、審議過程での議論を経て、あえてそのような表現を入れていると思う。それをわざわざ書き換えて、「監視と参加」という言葉をなくした理由は何か>

要綱案は立法案の趣旨を述べているもので、言葉の表現の問題よりも、内容が重視されなければならないと考える。
情報公開の趣旨は、政府のアカウンタビリティを明確にして、実態をさらけ出すというか、国民が行政情報の生の情報にアクセスできるようにするというところにある。


<このような表現を入れないと主張した意見には、「監視」と「参加」が、現在の統治機構に反しているように考えている意見もあったようだ。抜いた理由は、そのような考えとどう違うのか>

日本が代表民主制(間接民主制、議院内閣制)を取っていることは確かだ。
国会のはたらきが主だが、それだけではなく、国民主権という原則から、説明する責任があるということが要綱案の趣旨である。

「要綱案の考え方」をよく見てくれればわかると思うが、このような趣旨で書かれたものであり、「監視・参加」という言葉使いが重要ではない。
それに「監視・参加」などという「・(ぽつ)」が入った言葉は法律用語には使えない。

ともかく現在は確定した案ではないので、これ以上のことはいえない。
我々は要綱案の趣旨を踏まえて、それを法律化するのが仕事なので、趣旨を十分生かした形で考えている。
「要綱案と違う」という批判を受けるようなことはできない。

いずれにしても今は途中の段階である。もう少し待って、案ができ、国会に提出する段階になれば、公表してそれについて説明できる。それまで待って欲しい。


<政府案になる段階で、情報公開部会の承認は得ることになるのか>

それは形式的には無理だが、当然、先生方には納得していただける内容になっていなければならないと考えている。


<話を聞くことはできるか?>

できないわけではないが、今は調整中で時間的にも無理がある。
自分たちは、今までも広く意見を求めてやってきたし、意見を聞くことは必要だと思っている。しかし、調整中という段階では内容は示せない。もう少し待ってからなら、アポを取ってもらうこともできるので、そのようにお願いしたい。

もどる     つづく


このホームページに関する御意見、御感想は
ヘパフィルター(E-mail:hepaf@ag.wakwak.com)
までお願いします。

(C) 1997 HEPAFIL

メール 目次にもどる 次ページ ホームページ