早過ぎた「安全宣言」の謎−その7−

早過ぎた「安全宣言」を問う




以下は、茨城県広報公聴課( http://www.pref.ibaraki.jp/opinion/send.htm )を通じて、10月12日に茨城県農林水産部と情報公開担当に質問した内容です。

−−−−−−−−−−−−−−−−−

農林水産部 御中

1 まずはじめに、貴県が10月1日に行ったとされている農産物の「安全宣言」についてお尋ねします。

朝日新聞の報道によれば(10月2日朝刊「農産物を県が検査「放射性物質検出されず」)、10月1日に、貴県が、事故現場の半径10キロ圏内の農産物を、緊急でサンプリング検査した結果を公表し、いずれも放射性物質は検出されなかったことから、「安全性が確認された」として、スーパーや消費者にPRしていくという内容の発表をしたとのことです。

    (1)新聞では、これらのサンプルは事故発生当日の午後採取されたものだったとのことです。この時点でサンプリングを行った農産物は、どのような種類の野菜であり、いつどこで、どのように採取されたものですか。
    サンプリングされた場所は畑ですか、それとも集荷場などの、収穫された農産物が集められている室内ですか。

    (2)このサンプリングが行われた時点では、臨界事故はまだ継続しており、一部報道によれば、午後5時ころから再び臨界が起った可能性があることが当日の夜には伝えられていました。 さらに、モニタリングポストの測定値の変化から、30日の午後5時頃から放射性物質の放出が顕著になっている可能性を示すデータが、この宣言が行われた頃には公表されているらしいということも聞きました。

    ごく一般的な判断として、事故当日の午後採取したサンプルでは、事故の影響をほとんど受けていない場合や、それ以降の反応による影響があまり反映されていない場合がほとんどではないかと考えられるのですが、この点についていかがでしょうか。

    (3)4日にお電話でご説明いただいた時のお話では、サンプリングは事故直後から1日にかけて行われたとのことでした。この採取時期は新聞報道とは違っていますが、どちらが正しい情報ですか。

    (4)4日のご説明では、安全宣言の際のサンプルは13品目18検体だったということでした。 13品目とは、さつまいも、さつまいも(加工用)、ねぎ、ピーマン、小松菜、大根、白菜、大豆、なす、ぶどう、そば、トマト、にらの13品目(さつまいも、大根など、いくつかは葉と根の部分などに分けている。)とのことでした。この説明でよろしいでしょうか。

    (5)この放射能測定を行うことはいつ、どのように決定したのですか。 何らかの会議などを行ってサンプルの数や種類、サンプリングする場所や検査機関などを決定したとすれば、会議に参加した人の所属部署と人数、会議の内容はどのようになっていましたか。 また、今回のような放射能漏れ事故の際には、どのような方法で測定をするか、どこに検査を委託するのかなどについて、マニュアルや取り決めなどが決められているのですか。

    (6)会議を行っていない場合、どのような経過でこの測定をすることや、サンプルの種類やサンプリングする場所、方法などが決められたのか教えてください。

    (7)安全宣言を行うにあたって、このデータの分析や検討などはどのように行われたのですか。 国に意見を求めたり、相談をしましたか。その場合、いつどこに相談をして、どのようなアドバイスを受けましたか。
    検討する過程で、これらのデータが、安全宣言の根拠として不充分ではないかという意見は出ましたか。

    (8)1日の安全宣言はどのような資料に基づいて行われましたか。(報道発表資料の内容を教えてください。)

    (9)報道では1キロから、8キロの地点の農産物を検査したとのことですが、1キロ以内の農産物のほうが汚染の可能性は高いと考えられます。1キロ以内のサンプルをとらなかった理由をお聞かせ下さい。

    (10)今までに伝えられていることをまとめると、事故の影響をあまり受けていないときに採取されたり、1キロより遠い場所から採取された農産物が、事故の後、最も放射能の影響を受けた時点で採取されたり、もっとも汚染が考えられる1キロ以内の地点から採取された農産物の安全を保証する結果となってしまうわけですが、この点について、どのように考えますか。

2 さらに最近では、事故があった施設周辺や近隣の土壌やヨモギなどの植物からヨウ素131などの放射性物質が検出されており、現在でも、施設から放射性物質の放出が続いているという報道がなされています。

    (1)4日の説明では、貴県では上記の13品目以外には検査を行っておらず、今後の検査の予定は未定とのことでしたが、1日の安全宣言以降、農産物の放射性物質に関する検査はどのように行われていますか。
    これまで何回検査が行われているか、検査の日や品目、採取の時期や場所方法、検査結果をすべて教えてください。

    (2)ホームページに載せられている野菜のサンプリング検査 http://www.pref.ibaraki.jp/news/99news/n991001_08.htm では、9月30日に発生した東海村の臨界事故に関連して、貴県がこれまでに行っている農産物7品目(6品目)の放射性物質の検査結果について公表されています。
    この品目数は4日の説明にあった13品目とは違うのですが、すべての品目について掲載されていない理由は何ですか。(採取時間が記載されていないことについては上記で質問しています。また、距離の単位が抜けています。)

    (3)今後の検査予定はどのようになっていますか。

    (4)その他、国や他の自治体、関連団体等から検査結果などが得られている場合には、どこから、どのような報告を受けているか教えてください。

3 その他の質問です。

    (1)半径1キロ以内の範囲から市場に出荷されている農産物の種類、量を教えてください。

    (2)半径350メートル以内から市場に出荷されている農産物の種類、量を教えてください。

    (3)これまで、半径350メートル以内など、事故施設の周辺で農産物を栽培している人に対して、たとえば、収穫の制限や市場に出すことを自粛するようにという指導や、呼びかけなどを行ったりしたことがありますか。それはいつ行って、いつ解除しましたか。また、今後行う予定がありますか。

    (4)11日の報道で、電気事業連合会が、茨城県産の農作物を購入する動きがあることが伝えられています。
    この場合、市場に出ている農産物や売れ残ったものを購入するのではなく、たとえば、危険性が比較的に高いと考えられる一定の地域や種類を決めて、その範囲の場所で収穫された該当する農産物を買い上げてもらうようにする動きはありませんか。

現時点で教えていただきたいことは以上です。

−−−−−−

情報公開担当 御中

1 ホームページに掲載されている各サンプルの採取時期をはじめ、13品目の検査結果や上記の農林水産部に対してお尋ねしている点についてお聞きしたところ、4日のご説明では、情報公開請求をすれば、詳しい検査結果が提供されるというお話でした。 しかし、これは間違いで、貴県の情報公開条例は、県内に住所を定めている個人や事業所等以外は請求権者に含めていないので、請求はできないとのご説明でした。

    (1)静岡県の公文書開示条例や東京都の現行条例では、請求権者に該当する以外の人からの請求に対しても請求を認めており、一定の制約(不服申立てができないなど)はあるものの、ひとまず情報公開制度を利用することができます。
    貴県の場合、条例によれば、このような任意公開の制度はないようですが、条例ではどのように定めていますか。

    (2)条例の規定がない場合でも、運用によって請求が可能となる方法はありますか。 また、今後、多少の検討の余地はありますか。

    (3)これまで、県外からの情報公開や情報提供などの求めに対しては、どのように応じておられましたか。

    (4)一般的な請求が可能な場合でも、情報提供によって文書が公開される場合があると思いますが、今回の場合、情報提供の対象とはなりませんか。

2 貴県では情報公開条例の改正を検討されているということです。

    (1)改正の手続きは具体的に始まっていますか。改正の見通しはたっていますか。
    (2)現在は、どのようなことを検討していますか。
    (3)今後、請求権者が現行条例よりも拡大する見通しがありますか。
    (4)これまでの運用で、請求権者が狭いことに対する苦情や意見が届いていますか。
    (5)情報公開の利用状況についての年次報告書を見せていただきたいのですが、どのようにしたらいいでしょうか。

今のところ以上です。


お問い合わせは
ヘパフィルター(E-mail:hepafil@ag.wakwak.com)
までお願いします。

(C) 1999 HEPAFIL
E-mail 目次 次ページ ホームページ