早過ぎた「安全宣言」の謎−その6−

早過ぎた「安全宣言」と県民の資格



茨城県に、10月1日に行われた野菜の安全宣言については、まだ事故が継続している時点で採取された野菜だということなので、それをもとに安全であるという判断をすることはできなかったのではないかということと、対象となった野菜がいつどこで採取されたものであるかなど、採取時期や検査の経過を公表してほしいと言っている。

電話では、検査対象となった野菜の種類については説明されたが、採取された時期については、事故直後から1日にかけて採取されたものという答え以外は、今のところ得ることができない。

もう少し詳しく採取された時間と場所なども公表してほしいというと、どこの野菜かということは所有者の個人情報になるので公表できないという。名前は必要ないから時間と場所を特定してくれというと・・・
それ以上詳しいことは自分でもわからない、ホームページで安全であるという情報を流している、専門家の判断に基づいて行われているものだ、それ以上どのような情報が必要なのか、なぜそのようなことまで聞く必要があるのか・・・非難とも冷笑ともつかないような説明が続く。
激しい敵意はかろうじて剥き出しにされてはいないものの、単純と思えるような疑問自体が拒否された形だ。

4日の説明では、対策本部の担当者は、それ以上詳しいことが知りたければ情報公開請求をすれば結果は公表されると言っていた。しかし、金曜日には、その説明は混乱した状況で、間違った情報を流してしまったもので、県外からの情報公開請求はできないと改めて伝えられた。

茨城県の情報公開条例は、請求権者を「狭義の県民」としており、県内に住所を定めている個人か、事業所などに対して請求権が認められているだけである。

請求ができると聞いたときは、「狭義の県民」であるのに認められているのなら、任意提供などの特例があるのかと考えた。
しかし、たとえば東京都や静岡県などで、情報公開請求が県民以外の人からの請求に対しても、一定の制限つきで(非開示事項についての不服申立てができないなど)認められているのに対して、茨城県ではそのような任意公開の制度自体もない可能性が高い。
最悪の場合には、県外の消費者の立場では安全といわれている根拠を具体的に入手しようとしても、まったくその方法はなくなることになる。

「いたずらに騒ぎ立てする」のはよくないこと。しかし、そうしないために、自分たちで納得できる説明を求めようとしても、私たちにそれを得るすべはないのだ。

そして、このようなやり方では、自分たちの安全性は十分に確保されない、公的な機関が公の安全に対する配慮を十分にしていないと感じて、自分たちの安全を守るため、やむを得ず安全とは言いきれないと考えられるものをなるべく摂取しないように努めるとすると、それは「風評被害」という別の問題として捉えられることなる。

現時点では、なぜその段階で安全宣言が出されることになったのかについて質問をしたりすること自体が、いたずらに混乱を招くことにつながるという非難の対象になりかねない印象だ。
私たちは自分たちの安全を守るために、どのようにすればいいということなのだろう。


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