早過ぎた「安全宣言」の意味
茨城県では、「安全宣言」による市場動向について、ホームページに掲載している。
これでゆくと、より早い「安全宣言」は、より早い取引の再開をもたらすことになる。
だとすれば、臨界事故がまだ続いているさなか、事故の状況もわからず、飛散した放射性物質の種類や量も明らかになっていないときに、避難や自宅待機をしようとしていた何十万という人たちをしりめに、はやばやと採集された野菜の検査を行い、「安全」を宣言する理由はあるのかもしれない。別の報道で、9月30日の午後3時半頃に採取されたという野菜は、その後に起ったといわれている「再臨界」の前に採られた野菜ということになるから、実際には、事故の影響はほとんど受けていなかったことになる。
放射性ヨウ素の半減期は8日。それひとつをとってみても、「半減期のことがあるから直ちに採取した」などという説明が、およそばかげた説明であることはわかりきっている。
問題は、なぜ多くの人が、こんな説明がとおるはずはないと感じるような軌道を逸した説明が、さも当たり前のように受け止められ、通用していくのかということである。外国人から見れば、日本人の頭には脳みそが詰まっていないと思うだろう。
その一人としては、脳みそのかわりに電卓が詰まっているか、アルファとかベータとかの、高遠な科学が詰まりすぎていて、誰もが持っている人間的な感覚や、小学生でもわかるようなごく当たり前の常識を押しつぶしてしまったかのように見える。値はとりあえずいいとしよう。風評被害?それは大変だろう。
しかし、やり方が問題だ。結局、誰もがそうは言いきれないとわかっているのに、安全だ安全だという説明をそのまま受け入れて行こうとしているのは、野菜の安全宣言も、原発もまったく同じだということになる。
「安全」であるから「安全だ」と言っているのではない。
「安全」でないと困るから「安全である」と言っているのである。そして、安全でないと困るのは、そう言っている人もそれを聞いている人も同じだから、みんなが黙々とそれを受け入れているのだ。
そういう受け止め方を変えて行かなければならないまさにその時に、またしても同じやり方が立派に通用してしまっている・・・そのことが問題なのである。---------- *以下、茨城県のホームページより引用 ----------
「安全宣言」による市場動向について
平成11年10月3日
(1)米
@「安全宣言」(10月2日午後6時30分)以前の状況 ・10月1日以降,卸売業者は経済連との取引を延期するとともに,系列販売店への出荷も延期した。 A「安全宣言」後の状況
・本県集荷団体(経済連等)を通じての系列卸売業者等へのFax通知によって,経済連と取引を延期していた卸売業者との取引が10月4日以降再開される予定である。(2)青果物
@「安全宣言」以前の状況
・スーパーの一時取引停止により,本県産青果物の入荷が減少する市場があった。
A「安全宣言」後の状況
・農林水産省が,全国の卸売市場へ,本県農畜水産物の安全が確認された旨の通知をした。東京都では,中央卸売市場への搬入差し止めを解除した。
・また,一時取引を停止していた量販店も来週から販売を再開する予定である。(3)畜産物
@「安全宣言」以前の状況
・県酪連では,集荷原乳を保管タンクに保管し,出荷の自主規制措置をとった。
・東京食肉市場では,牛肉,豚肉については,半径10km以内地域の入荷を断った。
A「安全宣言」後の状況
・牛乳については,全メーカーとも取引を再開した。(4)水産物
@「安全宣言」以前の状況
・沿岸漁業全体が操業を自粛した。
・消費地市場や量販店から受入を拒否されたり,セリが中止になったりするケースがあった。
A「安全宣言」後の状況
・安全宣言についての文書を市町村や漁協,水産加工組合等へ送付したことにより,来週からの取引が期待できる。安全宣言後の各青果市場における反応(県職員が直接説明しての聞き取り)
(1)築地
開設者に対し入荷差し止めを解除して欲しい旨申し入れをしている。
茨城ものの入荷がかなり多いので,早く通常の販売をしたい。
1日は影響あったけれども,2日は冷静。週明けには通常に戻るであろう。(2)北足立
仲卸等によく説明したので問題はなかった。(3)豊島・淀橋
早く安全宣言をして通常の販売をしたい。茨城の荷物が入らないと困る。(4)横浜
月曜日から仲卸等も通常どおり取り扱う方針である。----------------引用終わり