非開示とされた部分の決定は取り消され、ダイオキシン測定方法の詳細も含め、全部開示されることになりました。
生茶第109号
平成11年11月5日(氏名等略)
静岡県知事石川嘉延
公文書の一部開示決定に対する異議申立について 平成11年6月25日付けで提出された平成11年4月28日付け生茶第109号−1に係る公文書一部開示決定処分(公文書の件名「平成10年度ダイオキシン類荒茶分析結果報告書一式」)に対する異議申立書について全部を認容することとし、別添決定書謄本のとおり決定します。
決 定 書異議申立人 (氏名等略)
上記異議申立人から平成11年6月25日付けで提起された静岡県公文書の開示に関する条例第7条第1項及び第10条の規定による公文書の一部開示決定に係る異議申立てについては、次のとおり決定します。
主 文 静岡県知事が平成11年4月28日付け生茶第109号−1で異議申立人に対して行なった公文書の一部開示決定により非開示とした部分は、これを取り消します。
理 由 1 事実
(1)平成11年4月9日、異議申立人は、静岡県公文書の開示に関する条例(以下「条例」という。)第6条の規定により、静岡県知事(以下「知事」という。)に対し、平成10年度ダイオキシン類荒茶分析業務結果報告書の開示を請求しました。
2 異議申立人の主張要旨
(2)知事は、この開示請求に対する公文書として、平成10年度ダイオキシン類荒茶分析業務結果報告書(以下「本件文書」という。)を特定しました。
(3)平成11年4月28日、知事は、本件文書のうち、次に掲げる部分については条例第9条第3号に該当するとの理由で非開示とし、その他の部分は開示するとの一部開示決定(以下「本件処分」という。)を行い、異議申立人に通知しました。
ア分析結果チャート図
イ茶試料の分析フロー
(4)平成11年6月25日、異議申立人は、本件処分を不服として行政不服審査法第6条の規定により知事に対し、異議申立てを行いました。
(5)平成11年7月16日、知事は条例第12条の規定に基いて、本件異議申立てに対する決定について、静岡県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に諮問しました。
(1)異議申立ての趣旨
3 判断異議申立ての趣旨は、本件処分を取り消し、本件文書の開示を求めるというものです。
(2)異議申立ての理由
異議申立人が異議申立書等で主張している理由を要約すると、次のとおりです。
非開示とされた部分には、単に開示された測定結果を読み取るための資料等も含まれ全て企業秘密とは思われない。
公定法が無い状況で、開示された内容を検証評価するためには、非開示部分のデータが必要であり、数値の信頼性を評価するための情報開示は、公益上必要である。
異議申立ての内容を審査した結果、以下のように判断します。
条例第9条第3号は、「事業に関する情報であって、開示することにより、競争上又は事業運営上の地位その他社会的な地位が損なわれると認められる」情報については、「ア 人の生命、身体1又は健康を事業活動によって生ずる危害から保護するため、開示することが必要であると認められる情報」、「イ 人の生活を違法又は不当な事業活動によって生ずる支障から保護するため、開示することが必要であると認められる情報」、「ウ ア又はイに掲げる情報に準ずる情報であって、開示することが公益上必要であると認められるもの」を除き、開示しないことができる旨を定めています。
本件処分において、茶のダイオキシン類分析は公定法がなく各分析業者がそれぞれに工夫して行なっている現状にあっては、その分析データは企業秘密であり非開示とすべきであると判断したところです。
しかしながら、平成11年9月7日厚生省が食品中のダイオキシン類調査について精度を高めた測定指針を定めると公表したため、委託業者に対し開示について支障の有無を再度確認したところ、本件非開示部分の機密としての重要性が薄れたとの回答を得ました。
このため、本件処分を改めて検討した結果、本件非開示部分は、現在においては、これを開示しても、法人の競争上又は事業運営上の地位その他社会的な地位を損なうと認められる情報には当たらず、条例第9条第3号に該当しないと判断します。
よって、本件異議申立てについては、行政不服審査法第47条第3項の規定を適用し、「主文」のとおり決定します。
平成11年11月5日
静岡県知事 石川嘉延