お茶のダイオキシンの分析方法が非開示とされたことについて、お茶振興室が審査会に提出した非開示理由説明書です。




公文書の一部開示理由説明書


(1)異議申立ての対象となった公文書の件名
  平成10年度荒茶ダイオキシン類分析業務結果報告書

(2)対象公文書の内容又は性質

      本文書は、茶に含まれる有害なダイオキシン類の濃度を測定するために業者に分析を委託した業務の報告である。
      これは、大きく分けて二つの部分からなっている。
      一つは、分析結果を証明する部分であり、本事業の目的とするものである。これには、分析結果証明書、計量方法および計量結果が含まれ、ダイオキシン類の毒性を、示す数値と分析精度を示す最低下限値が記載されている。
     二つ目は、本業務をどのように行なったか解説する部分で、目的を達成するための手段を報告したものである。これには、分析の手順を示すフローチャート、試料を分析機械にかけて得られたチャート図(クロマトグラム)、濃度を測定するための検量線やそれらを求めるための基礎数値等からなっている。

(3)非開示とした部分
  非開示としたのは、上記二つ目の分析緒果を得るための手法および基礎データの部分である。

  ア 分析結果チャート図
   ・チャート図(クロマトグラム)の内グラフ部分

  イ 茶試料の分析フロー
   ・茶試料の分析フロー(全量分析)(熱湯抽出)全体
   ・回収率測定結果(標準物質の回収率)の測定数値部分
   ・G C/MSの測定条件(測定機械の使用条件)
   ・使用標準物質と内標準物質および設定質量数
   ・標準物質クロマトグラムのグラフ部分
   ・ブランク試験クロマトグラムのグラフ部分
   ・ダイオキシン類分析検量線作成記録の数値部分
   ・装置の感度変動の数値部分
   ・検量線


(4)非開示とした理由

      今回の業務委託の内容は、お茶のダイオキシン類濃度を測定することであり、分析手法の開発ではない。つまり、分析業務は、企業の分析能力や実績また施設の状況から判断して信頼出来る企業を指名して委託したもので、分析手法は、その企業独自のノウハウによるものである。
      特に、茶のダイオキシン類分析は公定法が定まっていないため、分析方法によっては企業秘密を含むことが考えられることから、計量証明書、計量方法及び計量結果以外の分析フロー等分析手法の詳細部分は、第3者情報に係る意見聴取が必要と判断し受託会社の意見を聞いた。
      その結果、受託会社からは、食品中ダイオキシン分析法を基本に、同社が独自のノウハウを加え実施しており、企業秘密が含まれるために開示には支障があると回答があった。

     今回非開示とした基礎データは、グラフであったり、データの表であったり個別には二単純な資料であるが、一連の資料となった場合には企業秘密である分析法が明らかになる。
     このデータを分析しようとすれば、分析の専門家や業者に作業を依頼しなければならないが、そうした場合には、他の業者に企業秘密が明らかにされることも考えられ、本件本人の事業運営上の地位が損なわれると認められる。

     なお、異義申立人は「分析方法が示されないまま数値だけが公表されても、分析結果の信頼性を判断することはできないので、分析結果の数値自体が意味の無い情報となる。」と主張するが、今回の業務委託は、分析担当者の経験、分析機器の性能や施設の整備状況、過去の実績等から判断して信頼できる業者を選定したものであり、分析値の信頼性は確保されているものと考える。
     また、分析結果の信頼性の確認や判定結果の検討のためとはいっても企業のノウハウである分析法を明らかにすることはできない。
     さらに、今回のダイオキシンの測定と分析結果の公表が公益上必要であっても、企業のノウハウである分析法を明らかにすることが公益上必要であるとは言えない。

     これらのことから、測定結果については開示し、その測定手法の細部に至るデータは非開示事項に該当すると判断した。(第9条3号該当)


(5)一部開示決定通知書の効力

      本件文書は、分析業務を委託した「株式会社 静環検査センター」から提出された報告書であり本件非開示部分には、当該法人の事業活動情報が記載されているものであるから、本件処分の開示しない理由として「環境分析業務を営む個人の事業運営上の地位を損なうものと認められる。」とした部分は、本来「〜を営む法人又は個人の〜」とすべきであったことは指摘のとおりである。

      ただし、開示しない理由として「事業運営上の地位を損なうものと認められる。」と記載しているのであるから、本件の非開示部分が条例第9号第3号に規定する「事業活動情報」に該当することは明らかであり、理由付記に欠けるものではなく条例第7条第4項の要件を満たしていると考える。


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