お茶のダイオキシン測定について、分析方法が非開示とされたことから、以下のように異議申立てをしました。
1999年6月25日
静岡県知事 石川嘉延 様
アスベストについて考える会
異 議 申 立 書 次のとおり、異議申立てをします。
1 異議申立人の氏名、年齢、住所
(略)2 異議申立てに係る処分
静岡県公文書の開示に関する条例(以下、「条例」という。)第7条第1項及び第10条の規定による、平成11年4月28日付生茶第109号-1に係る公文書一部開示決定処分(公文書の件名「平成10年度ダイオキシン類荒茶分析結果報告一式」)
3 異議申立てに係る処分があったことを知った年月日
平成11年4月30日4 異議申立ての趣旨、及び理由
(1) 異議申立ての趣旨
ア 「2に記載した公文書一部開示決定処分を取消し、全部開示とする。」との決定、又は、「2に記載した公文書一部開示決定処分を取消し、非開示とされた部分のうち、企業秘密として保護されるべき情報であることが明らかで、公益上開示する必要性がないと認められる特定の情報を除き、他の全ての情報を開示する。」との決定を求める。(ここでいう「特定の情報」とは、今後の審議において、限定的に開示しないことが認められた情報を指す。)
イ 「2に記載した公文書一部開示決定通知書は、条例第7条第3項の規定による決定通知書とは認められない。」との決定を求める。
(2) 異議申立ての理由
アについて
2に記載した公文書一部開示決定通知書には、「開示しない理由」として、「茶のダイオキシン類濃度の分析は、国で定められた分析方法が設定されておらず、食品中のダイオキシン濃度分析法を基本に各分析機関が、独自の経験に基づく手法を加えて実施している。これらの手法は、社内機密に属する部分であり、開示することは、環境分析事業を営む個人の事業運営上の地位を損なうものと認められる。」と記載されている。
しかしながら、この理由により非開示とされている「分析結果チャート図」や「茶試料の分析フロー」などの情報の中には、単に開示された測定結果の数値を読み取るもとになっている資料にすぎないと思われる部分や、簡単な作業手順を示しただけの情報が含まれている。
少なくとも、このような情報が社内機密に属するとは考えられない。
非開示部分が多いため判断できることが限られているので、現段階では、社内機密として非開示とするべき情報が全く含まれていないとは断定できないが、今回非開示とされた部分が全て社内機密に該当すると判断することはできず、そのほとんどは数値の説明に必要な資料となっていると考えられる。
したがって、これらの情報が開示されたとしても、法人又は個人の事業運営上の地位を損なうとは認められない。さらに、非開示とされた部分は、開示されている分析結果についての検証や評価を行う上で必要不可欠な情報である。
分析方法が示されないまま数値だけが公表されても、分析結果の信頼性を判断することはできず、他のデータと比較することもできないので、分析結果の数値自体が意味のない情報となる。言いかえれば、測定結果について検討するためには、どのような方法によって測定したのかがわかるようにして開示されなければ意味がないので、これらの情報はどうしても開示されなければならない情報と考える。
また、この決定では、非開示の理由として、国で定められたダイオキシンの分析方法が設定されていないことを挙げているが、国などが統一した分析方法を定めている場合にはむしろ開示の必要性は低く、統一した分析方法が決められていない状況にあるからこそ、どのような方法に基づいて得られた数値であるのかを示す必要がある。このように、数値の信頼性と評価にかかわるこれらの情報を開示することが公益上必要であることは、今回のダイオキシンの測定と分析結果の公表が必要だと判断されていることからみて、当然のことである。
以上の2点から、非開示とされた情報は、全部開示とするか、若しくは、今後特定される非開示とされるべき情報を除いて他の全てを開示するべきであると考える。
イについて
2に記載した公文書一部開示決定通知書には、開示しない理由として、条例の何条何項に該当し非開示とされたかということが示されていない。
また、記載されている内容から判断しても、法人の事業運営上の地位を損なうのか、個人の事業運営上の地位を損なうのか、明白でない部分がある。
条例の第7条第4項には、決定通知書に非開示とされた理由を記載しなければならないとしているが、これは理由が記載してあればよいという意味ではなく、最低限、条例のどの条文に該当するために開示されなかったかがわかるようなものでなければならないと考えられる。また、理由が明確でない場合には、異議申立て人に対して、申立て理由を明確に示すことを困難にさせるなどの不利益や過分な負担を強いることになり、結果として、不服申立ての権利を行使する際の妨げとなる。
このような不備がある決定通知書は、適正な行政手続にそったものとはいえず、条例第7条第4項によって求められている要件をも満たしていないと考えられるので、条例第7条第3項の規定よる決定通知書として認められない。5 処分庁の教示の有無及びその内容
「この処分に不服があるときは、この処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に、知事に対して異議申立てをすることができる。」との教示があった。