静生環第91号
平成11年5月18日


非 公 開 理 由 説 明 書


静岡市情報公開審査会
 会 長 (氏名略)様

静岡市長 小嶋善吉
 (環境保全課扱い)

 異議申立人(氏名略)(以下「異議申立人」という。)が、平成11年4月9日に提起した静岡市情報公開条例(以下「条例」という。)第7条第1項の規定による公文書部分公開決定処分に係る異議申立てにつき、非公開とした理由を次のとおり説明します。

1 異議申立ての理由に対する認否

     異議申立書に記載された異議申立ての理由は、認められない。

2 本件の経過

    (1) 異議申立人は、平成11年1月21日、静岡市長(以下「実施機関」という。)に対し、条例第6条の規定により、「平成9年度及び10年度受付の大気汚染防止法第18条の15に規定する届出書(特定粉じん排出等作業実施届出書)」の公文書の公開請求を行った。

    (2) 実施機関は、平成11年2月3日、本件請求に対応する公文書として「特定粉じん排出等作業実施届出書」(以下「本件公文書」という。)と特定し、「特定工事の場所がわかる部分、注文者の氏名又は名称、特定建築材料の使用箇所に係る見取図」の部分(以下「本件非公開部分」という。)を除いて公開するとの部分公開の決定(以下「本件処分」という。)を行い、公開しない理由を次のとおり付して異議申立人に通知した。

    条例第10条第2号に該当
     法人等の事業活動情報で、公開することにより当該法人等又は当該事業を営む個人の競争上若しくは事業運営上に不利益を与え又は社会的信用が損なわれると認められるため

    条例第10条第1号に該当
     犯罪の予防、その他公共の安全と秩序の維持に支障が生じるおそれがあると認められるため(犯罪の目標となることが予想される施設等の所在に関する情報)

    (3) 異議申立人は、平成11年4月9日、本件処分を不服として、行政不服審査法第6条の決定により、本件処分(のうち「特定工事の場所がわかる部分、注文者の氏名又は名称」を非公開とした部分)を取消し、公開を求める異議申立てを行った。


3 本件処分をした理由

    (1) 本件公文書における事業の背景

     特定粉じん(大気汚染防止法施行令第2条の2により「石綿」と規定されている。)は、石綿製品等を製造する工場・事業場から大気中に飛散するだけでなく、吹付け石綿等を使用する建築物の解体等の際にも飛散する恐れがあり、平成7年1月の阪神・淡路大震災後には、震災で被害を受けた建築物の解体撤去の際飛散する石綿による大気汚染が大きな社会問題になった。

     さらに、吹付け石綿等が使用されている建築物の多くが築後30年程度を経過しており、今後建築物の建て替えのための解体等が増加すると予想されることから、石綿飛散防止対策の徹底を図っていく必要があるため、平成8年5月に大気汚染防止法が改正され、建築物の解体等に伴う石綿の飛散防止について法的規制措置が講じられ、平成9年4月1日より施行された。

     本件公文書による届出は、大気汚染防止法第18条の15の規定に基づいて、届出が必要な建築物の解体作業等を行う事業者(以下「工事施工者」という。)に対し、その作業の内容が作業基準に適合するものであるか否かを審査するため、あらかじめ必要事項を届け出させるものである。これにより、市は特定粉じん排出等作業の行われる場所その他の必要な情報を把握するとともに、作業内容を審査し、特定粉じん排出等作業による大気汚染の防止を図ることになる。

     なお、審査の結果、基準に適合していないと認められる場合には、あらかじめ作業を開始する前に計画の変更を命じ、適正な作業を行わせることができ、違反した者には罰則規定が適用される。  また、この届出は、建築物の所有者等の工事発注者ではなく、作業工程を管理している工事施工者が行うこととされている。

    (2) 条例第10条第2号に該当することについて

     本件公文書の届出者である工事施工者と注文者の間には他の業者には知られたくない商取引上の関係が存在しているとともに、特定工事の場所がわかる部分の公開によって注文者所有の建築物が公になった場合、利用客である一般市民に対して不安を煽ることとなるなど、公開することによリ当該法人等の競争上若しくは事業運営上に不利益を与え、又は社会的信用が損なわれると認められるため。

     また、本件公文書による届出は、適正な作業が行われているか否かを審査するためのものであり、注文者の氏名又は名称や特定工事の場所を問うものではないことと作業基準どおりの作業が行われた場合には大気汚染の恐れはなく、一般市民への健康影響はないものと考え、本号ただし書きアには該当しないものと判断した。

    (3) 条例第10条第1号に該当することについて

     特定建築材料の使用箇所に係見取図については、犯罪の目標となることが予想される施設等(特定粉じん排出等作業実施届出書(平成10年2月4日受付G-2)にあっては、金庫等、同届出書(平成10年9月10日受付F-3)にあっては、事務所を含むバックヤード部分等)の所在に関する情報が含まれているため。

 以上のとおり、本件処分は、違法、不法な点はない。



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