〜 有害物質を排出する側の責任−情報提供という責任−について考える 〜


二つの異議申立て

保護される法人情報(1)−黒塗りの企業とは


 各都道府県などは、大気汚染防止法上、アスベスト製品を製造する事業所などを監視する権限を与えられており、届出を受け付けたり、それらの施設の立ち入り検査をしたりしている。

 そこで、私たちが、そのような事業所から届け出られている書類や、立ち入り検査をした結果を見せてもらえば、自分たちの地域で、どのような企業が、どのようにアスベストを管理し、それに対して、地域の行政が、立ち入り検査を含め、どのような形で監視をしているのか、簡単にわかりそうな気がする。

 しかし、現実には、立ち入り検査結果の公開を求めても、事業所名とその所在地などの法人情報は非開示扱いにされるのである。

 どうしてこのような情報が公表されないのだろうか。担当者に理由を聞いてみた。

 担当者は、公表することによって企業に迷惑がかかると困るからと言う。つまり「事業を営む法人の名誉、社会的評価、社会的活動の自由等に支障があると認められるため」という理由である。

 開示された結果を見て、近くでアスベストを使った工場があるということを知った周辺住民が、どういう反応をするのか考えてみてほしいというのだ。「5本/リットル」とか「3本/リットル」という数字をみても、どういう意味かわからず混乱するだろうという。過剰反応をするかも知れず、そう言うことになれば、企業の活動が制限されることもあるかもしれないというわけだ。

 しかし、普通に合法的に企業活動をして、法に定める自主測定などもしっかりやっていながら、アスベストを使用していることが、あたかも、法人の名誉や社会的評価に影響するような判断をされるのはおかしなことである。

 県はこれを、立ち入り調査した事業所などに意見を聞いたのではなく、内部で検討して出した結論だという。
 一体どのような理由で、このような情報は保護されてしまうのだろうか。


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