浜岡原発差止裁判に参加して−こんなことがよくわからない−(目次)


(9):モデル?

(2002.10.9)

地球の活動に付き合うのはたいへんだ。やっぱり、10万年くらいの寿命が必要だ。でもいくら地球が大切といっても、地割れにのみこまれたりして、地球に食べられるのはあまり気がすすまない。ひっそりと栄養分になるくらいがちょうどいいかな?

3号炉の設置許可申請書に出てくる「シュミレーション津波解析に基づく最大波高の推定」の中で、仮定した断層モデルは、「安政東海地震の石橋モデル」とされている。

これは昭和52年の「東海地方における大地震の再検討」という論文に基づいているらしい。

解析に使用した水深図は「海上保安庁水路部の当該範囲の水深図」で、解析結果は、最大波高約4.5mとなっている。

一方、5号炉増設の際のヒアリングでは、同じく安政東海地震に基づくシュミレーションだが、5号炉の取水塔位置の解析結果は、最大水位が+4.9m(満潮を考慮して+5.8m、文献を考慮して+6.0m)になっている。

ということは、同じ安政東海地震の断層モデルを用いても、シュミレーション結果は、最大水位が+4.5メートルと+4.9メートルという違いがあるわけだ(注)。

さらに、静岡県が平成13年5月に発表した「第3次地震被害想定結果」では、津波の想定には、「安政東海地震津波を最も良く再現できる1976年石橋モデルを採用している」が、浜岡町の想定波高はT.P.4.3〜7.0mとなっている(*)。

これでいくと、同じ安政東海地震の石橋モデルを用いているのに、最終的に、1mもの違いが出てくることになる。

また、石橋教授は、過去の講演で、東海地震のモデルについて、「この広大な震源断層面に沿って4〜5m、僕のモデルでは4mで計算しましたが、非常に大ざっぱにいって平均して4mくらい、面の上側と下側がくい違うであろうと予想されます」と述べられている(*)。

そうだとすれば、石橋モデルが、原子力発電所の安全性を評価する際に用いることができるような、最大限のズレ破壊を想定するためにつくられているモデルではないということも考えられる。

結論的に言えば、津波のシュミレーションといっても使われるモデルや計算式によって結果にかなりの幅があるし、浜岡原発の津波の想定はかなり控え目なものではないかということである。

少なくとも、今の津波の想定は、過去の津波をもとにした平均的な予測を示すもので、原子力発電の安全性の評価に使えるものではない・・・それだけは、間違っていないような気がするけれど??

−つづく−   →浜岡原発差止裁判に参加して(目次)




*注:
下記想定で、この場所で予想されている津波の高さは、浜岡から9キロほど東にある御前崎の先端まで、海岸沿いに4.3m、4.9m、7.0m、8.2m、3.6mと、かなりの変化がある。だが、3号炉の取水塔は5号炉のほぼ直近にあるから、これは、取水塔の位置による違いではない。

*参考:
「第3次地震被害想定結果」平成13年5月 静岡県
この石橋モデルを用いたわけは、波原域が広く隆起量も大きく最も大きな津波被害が予想されるからだという。

*参考:
「浜岡原発を未然に防ぐために−議員会館内学習会講演録」
 2001年2月1日発行 東海地震を考える市民ネットワーク



「浜岡原発差止裁判に参加して〜こんなことがよくわからない〜」発表レジュメ


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