院長
新しいメカを好みます。ELPの特徴である、どんなに古くても傷があっても黒いレコード盤なら針なしで聴けるという新しいメカに注目しました。レーザー光線を用いて溝をトレースして音を出すメカなのです。発売当初から注目していました(1989年発表)。しかし発売当初は高額であり静観せざるを得ないものでした。大学や公共の図書館、博物館などの団体、あるいはマニアが購入する価格帯でした。
しかし、その後個人が入手できる価格帯に下がってきたのです。そこで、2年前(2004年)にネットを通じて試聴会参加を申し込み、土曜日に工場の一室で行っている不定期開催の試聴会に参加しました。そこでELP千葉社長に出会い、直接交渉しました。患者さんのための音楽療法用の機械として新古品を手いれました。
ELPによってレコードに色々な音が入っていたことを新発見する。デジタルと違うのは、製作者にも予想出来なかった音が入っていることであろうか。昔何気なく聴いていたレコードをもう一度聴いてみている。新しい発見があるのでは、とついつい厳粛な気持ちで臨んでしまいます。ノイズと思われる音にも意味があるのではと聞き入ってしまうのです。
これはCDを聴くのとは違っています。CDでは、ノイズは既に製作者に検証されています。そしてその人にとって無意味と認定されたノイズはカットされます。レコード盤では演奏者が演奏する、製作者が録音する入り口段階でも、最後に出口の再生段階でも、どこで入ってきてもノイズは聴者に提供されるのです。誰かの恣意性が入りにくいシステムなのです。文化的にSN比が低い、しかしその分リアリティ性の高いシステムなのです。SN比は聴者個人に大きく任されるのである。
ELPの購入とともにレコード盤の購入を再開した。CDの登場とともに、それまで収集したレコード盤はすべて廃棄していた。ELPが発明されることは想像していなかったので、レコード盤は過去の遺物と誤認して、バイト先病院近くの精神科共同作業所に寄付してしまった。プレイヤーは行方不明である。
さて、レコード盤の主な入手先はヤフーオークションである。廃棄物として出品している人もいれば、収集家として商業ベースでオークションしている方もいる。最近はELPの登場のためか、レコード盤の再評価が見られてその相場は高価傾向である。そのために、廉価で入手できるバザーにてレコードが展示・販売されていれば快哉を叫ぶ。
SACDやDVDオーディオにも関心がある。しかし、結局は柔らかい音のレコード盤を聞くと精神的に和む。それはデジタル音源がノイズをカットし過ぎた結果であろう。恣意性の少ないDVDやSACDが出てくればいいのであろうか?
しかし、レコード盤の収録時間が短いことに辟易している。片面30分以内であり、レーザーディスクのような自動チェンジャー搭載、両面再生されるようなメカを望んでいる。なお、廉価版のELPの企画はあるという。30万円くらいのものという。レコードの新作が出ない状況のもとで普及するのであろうか?しかし、今は継代的に身近な文化的なものを楽しむ時代になっている。たとえば、テレビ番組やおもちゃ、アニメ・漫画である。ウルトラマンというヒーローTV番組はDVDやCSで再放送されると次の世代に新たなファンを作り出している。怪獣番組の原点であり、撮影法やアイデアは原始的で幼いのであるが、その方がオリジナリティが豊富ということで愛されるのである。レコード盤にもそのような継代的文化性や娯楽性を持つと評価されるならばELPの普及が考えられるであろう。現在出荷累計台数は1200ということである。 |
ELP千葉社長
ELP社の創設者であり、現社長である。私財をなげうってアメリカ人の発案したレーザーターンテーブルを商業ベースのものにした。
JR武蔵野線・南浦和に工場兼事務所がある。ELPの現物を見るなら、その工場に足を運ぶといいと思います。うまくいけば、千葉社長に会うことも出来るでしょう。 |
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