2002年 新年の言葉
高度成長時代に確立された終身雇用制・年功序列制は終わりを迎え、離職・転職の時代となりました。
この大きな変革の時代に、忘れてならないことは健康問題です。つまり、健康障害、病気をもちながら、次のステップに進めるかということです。自分の健康問題を意識できていてリスクを客観的に評価できる場合は違っています。しかし、病気という認識、意識が身体疾患問題ほど判然としない精神科問題では、離職、転職する前にその存在の有無、そのような問題を持って次のステップに移る危険性をチェックする必要があります。また、離職・転職の動機が精神科問題である場合がありますので大きな注意が必要です。
以下に、具体的な状態を提示して、その対策を示します。
1)突然の出社拒否、その後ずっと休んでいる社員の場合。
明らかな、サボり、怠業、反社会的行為ということでなければ、緊急に精神科受診する。診察の上に、「病休」の診断書をうけ、職場に提出する。提出しなければ職場放棄となり、その処分、特に懲戒免職の重罰になり易いのです。それを回避するとともに、精神科の精密検査を受ける時間を設ける必要があります。医学的には鬱病、気分障害といった問題が考えられます。
2)今勤務している会社をやめることが自分の生きがいと、密かに思っている人。
リストラ、失業の時代に影響されて、長年勤めた今の仕事がつまらなくなり、熱中できている趣味を仕事にしたい。今の仕事をやめないと、自分が生かせない、と深刻に考えている。今の仕事をやめることを考えることが多く、生きがいになっているともいう。しかし、上司には相談していない。しかし、親しい人々には転職宣言している。周りから、強がっている、粋がっているとも言われる。
「世の中、そんなに甘くない」ということが分かっている人の場合は、鬱病や気分障害が疑われます。辞表を出す前に精神科に受診して、その疾患、健康問題のチェックを受けて下さい。病休をとってのんびり安静をとって、自分を見つめなおす必要な場合が多いようです。勿論、自分だけで考え込まずに、精神療法・カウンセリングを定期的に受けてください。
以上、職場のメンタルヘルス管理を担当した経験から、二つの特徴的なものを掲げました。精神科問題は身体問題と同等であり、所定の手続きすることで福利厚生を受けられます。精神科への偏見は考える以上に少なくなっています。上のような悩みを持っている方、身近な人がそのような悩みを持っているといった場合には、是非当院院長までお尋ねください。丁寧な指導を心掛けます(2001年11月25日
記入)。