狂言のあらまし

登場人物

主人 演目中、人を使う身分の人です。大名(江戸時代の大名と異なる)もいれば、市中の名主のような身分の人もいます。
太郎冠者・次郎冠者 主人に仕えている人です。演目によっていろいろな性格の者がいますが、気が利かなかったり、間抜けだったり、と、主人にとっては「ちょっと困り者」に描かれていることが多いです。
その他 かみなりさまから動物まで、いろんな役があります。

狂言の登場人物には、原則として名前がありません。主人や太郎冠者は、互いに「頼うだお方」「太郎冠者」と呼び合いますが、第三者を呼ぶとき、しばしば演者自身の名前(例:萬斎どの!など)を名とします。
特定人物を演じない、つまり登場人物がみな「市井の人々」だという庶民性は、狂言の大きな 特徴の一つでもあります。

装束

狂言の装束は、能ほど豪華ではありません。通常、演者は面をつけずに演じます。したがって、茶髪だったり、長髪にしたりすることはできません。女性の役も男性が演じますが、この場合は面をつけます。その他、人間ではないもの(神の類や動物)は面をつけます。

狂言の流派

狂言には大きく二つの流派があり、それぞれ、「狂言共同社」を除いては、古くからの家系が芸を継いでいます。

大蔵流 茂山千五郎家 先ごろ「文化功労者」に認定された茂山千作師から、アイドル的人気でおなじみの「TOPPA!」軍団まで、最も多くの狂言師を抱える家です。京都在住。
大蔵流 茂山忠三郎家 京都在住。
大蔵流 善竹忠一郎家 阪神在住。関西善竹家の中核を担っています。
大蔵流 大蔵弥右衛門家 東京在住。「大蔵会」を主宰しています。
大蔵流 善竹圭五郎家 東京在住。「善竹狂言会」を主宰しています。
大蔵流 山本東次郎家 東京在住。昭和初期に建てられた杉並公会堂を拠点に活動をしています。
和泉流 野村又三郎家 名古屋在住。
和泉流 狂言共同社 名古屋在住。唯一の、古くからの血縁に基づかない狂言師の集まりです。
和泉流 野村万蔵家 人間国宝の野村萬師を要し、「萬狂言」として活動しています。デジタル化にも力をいれています。
和泉流 野村万作家 「違いの分かる男」万作師と、長男萬斎師など、一般に知られた狂言師の方々が多く活動しています。
和泉流 和泉元彌家 自称和泉流20世宗家。元彌師と姉の和泉淳子師、三宅藤九郎師で構成されています。
和泉流 三宅右近家 東京在住。

当然ですが、わたしもすべての一門の狂言を見たわけではありません。むしろ、見ていないほうが多いかも。只でさえ演目が多く、どれもこれも観たいのに、全一門制覇できるのはいつになるやら…

参考文献:『狂言ハンドブック』(小林責監修,油谷光雄編)三省堂

 

Next
Index
Home