(教室)
(うん、ひとりでのんびり帰ろうかな。
(ええと、忘れ物はないかな……。
四葉
「兄チャマ、チェキ!
兄チャマ
「わっ、ビックリした! ……四葉じゃないか。
四葉
「兄チャマをチェキしていたら、こんなとこまで来ちゃったの♥
兄チャマ
「いや、それはいいんだけど、どうやって窓から入ってきたんだい? ここ、3階なんだけど……。
四葉
「それは女の子のヒミツよ、兄チャマ♥
兄チャマ
「なんだかなぁ……。
四葉
「それより兄チャマ♥ 四葉に隠しごとをシテモ無駄デス!
兄チャマ
「か、隠しごと?
四葉
「言ったでしょ、兄チャマのヒミツは、四葉がみ〜んな暴いちゃうの♥
「……ズバリ、兄チャマはいまおウチに帰るところネ!
兄チャマ
「あ、そうだけど。隠しごとって……それ?
四葉
「ふふふ、兄チャマ♥ 負け惜しみはよすデス。
「四葉の推理には、サスガの兄チャマもタジタジね!
兄チャマ
「うん、四葉には別の意味でタジタジだよ。
四葉
「えへへ、今日のチェキもバッチリ! とっても楽しかった♥
兄チャマ
「あ、四葉! 帰りは窓からじゃ危ないって!! こら、よつ……!
(……って、もう下まで降りてるし。
四葉の声
「兄チャマ、バイバ〜イ!
(……なんか、スゴイなぁ……。
(かしのき公園)
(……あ〜あ。散歩も飽きたなぁ。そろそろ帰ろうかな。
(それとも、このへんで何か暇つぶしは……。
四葉
「兄チャマ、チェキ!
兄チャマ
「ああ四葉。ちょうどいいや。
四葉
「なにがちょうどいいデスか?
兄チャマ
「いやいや、気にしないで。四葉も散歩かい?
四葉
「ううん、ちがうの♥ きょうの四葉は、お天気をチェキしてたのよ♥
兄チャマ
「天気を?
四葉
「お天気をチェキして、推理するの。探偵の練習なのよ♥
兄チャマ
「そ、そういうもんなのか……。
「……それで、明日の天気はわかる?
四葉
「うふふ、兄チャマがそう言うだろうと思って、ちゃあんと推理してあるデス♥
「ズバリ、明日は気温が40℃! あと、台風が3つ来るデス!
兄チャマ
「………………。
「……それ、どうやって推理したの?
四葉
「四葉のひらめきデス!
兄チャマ
「…………あは、あはは……。
(……当たったら、地球は滅ぶな……。
兄チャマ、チェキ!
名探偵四葉の登場よ♥
今日はネ、兄チャマにとってもスペシャルなモノを見せてあげるの♥
どんなのだと思う?
なんとなんと、四葉のムービーなのよ♥
このメールに添付したから、かならず見てね、兄チャマ♥
うふふ、感想が楽しみダナ♥
よつば
(ムービー、だって?
(ホントだ。添付ファイルがある。
(ちょっとサイズが大きいみたいだけど……再生してみようかな?
(もちろん見なくっちゃ。再生して、と。いったいどんなのかな……。
(………………。
(……あ、あれ? おかしいな……パソコンが反応しないぞ?
(……しまった、フリーズしてる! どうなってんだよ、このファイル〜。
(わぁ、再起動してもダメだぁ! とほほ、これじゃ他のメールも見られないし、返事も出せないよ……。
(明日、徹底的に修理しなくちゃ……。今日はもう寝ようっと……。
(あ〜あ、四葉のせいじゃないけど、ツイてないなぁ……。
(まいったなぁ。パソコン、明日までに直るかなぁ……。
(ヘタしたら、修理に出さないとダメかも……。
(……とりあえず、今日は寝よう……。
(やめておこう。イヤな予感がする。
(たとえば、パソコンがフリーズして再起不能になるとか……。
(ま、それはオーバーにしても、とりあえず見なくてもいいや。
(返事は…ムービー見なきゃ書けないか。今日はパスだな。
(かしのき公園)
(今日も寒いなぁ。日が傾いてきたら、さらに冷えてきたよ。
(誰か妹に会えるかと思って来たけど、さすがにみんな家であったまってるのかな。
(もう一回り散歩したら、帰ろうっと……。
(……って思った途端に会っちゃった。鈴凛、なにしてんだろ。
兄チャマ
「おーい、りんり・・・…。
四葉
「兄チャマ、シーッ!
兄チャマ
「わっ、四葉!?
四葉
「声がおおきいデス、兄チャマ! ビーサイレントなのよ!
兄チャマ
「ご、ごめん。でも、どうして?
四葉
「ここだけの話だけど、四葉、鈴凛ちゃんをチェキしてるの。
兄チャマ
「鈴凛を? そりゃまたどうして?
四葉
「兄チャマの情報をゲットしたいから、前から兄チャマのそばにいる妹ちゃんをチェキするコトにしたんだけどネ。
「咲耶ちゃんと千影ちゃんはコワいし、花穂ちゃんと雛子ちゃんは役に立たないし、鞠絵ちゃんは遠くにいるし……。
「衛ちゃんは足が速くて追いつけないし、白雪ちゃんは料理のコトしか考えてないし、あとは可憐ちゃんと鈴凛ちゃんしかいないの♥
兄チャマ
「なるほどねぇ。それで、なにかわかったの?
四葉
「ええと、いま電気街ではウインターセールをやっているコトがわかりマシタ♥
兄チャマ
「は?
四葉
「あと、洗濯機が安かったデスね。食器洗い機も手ごろになってきたので、四葉もほしくなりマシタ。
兄チャマ
「それって、鈴凛を調べていたことになるの?
四葉
「もちろんよ!
兄チャマ
「………………。
四葉
「それじゃ兄チャマ、四葉はまた鈴凛ちゃんをチェキするのでシーユーアゲンね!
兄チャマ
「いや、それはいいけどさ。
「鈴凛、とっくにどっか行っちゃったみたいだよ。
四葉
「チェキっ!?
「サ、サスガ鈴凛ちゃん。この四葉のカンペキな尾行をまくなんて、信じられマセン……。
「とにかく、捜すデス! チェキチェキチェキ〜っ!!
(……あの子だけは、わからんなぁ……。
(自宅)
(そうだ、メールチェックしなきゃ。また誰かから来てるかも知れないし……。
(……っと、忘れてた。パソコンおかしくなってたんだっけ。
(弱ったなぁ。修理に出すの、すっかり忘れてたよ。
(とりあえず、電源入れてみるか……。
(おっ、動いた!
(よかったぁ、なんともないみたいだ。ちゃんと起動したよ。
(これでメールチェックが出来るな。今日は誰から来てるだろう……。
(若草学院)
(ぶらっと白雪たちの学校まで来たけど、別に用もないんだよなぁ。
(………………。
(……ん、なんか視線を感じる……?
(……おかしいな、誰もいないのに。気のせいかな。
(………………。
(……ヘンだな。やっぱり見られてる気がする。
(最近、疲れてるのかな。とくに何かしたおぼえはないんだけど。
(……帰って寝よう。こういう時には睡眠がいちば……。
「あいたっ!
(な、なんだ?
四葉
「いたたた、デス……。
兄チャマ
「あれっ、四葉!?
「……どうしたんだよ、大丈夫かい? ケガしてないか?
四葉
「あ、兄チャマ! あの、えと……。
兄チャマ
「あーあ、大事な虫眼鏡なんかもばらまいちゃってるじゃないか。ほら、いっしょに拾おう。
四葉
「あうう、アリガト兄チャマ……。
四葉
「ありがとう兄チャマ♥ 助かりマシタ♥
兄チャマ
「いや、お礼なんかいいんだ。ただ気をつけなくちゃダメだよ。
「あちこち走り回ってる四葉は僕も元気で好きだけど、気をつけなくっちゃね。
四葉
「うん、四葉気をつける。これからは、転んでも見つからないようにしなくちゃ!
兄チャマ
「え?
四葉
「尾行は名探偵の第一歩だもの! 四葉、もうミスしないんだから。兄チャマ、カクゴしてネ!
「それじゃ、チェキようなら〜ッ!
(……そうじゃないんだけどなぁ。
(ま、ともかく視線を感じてたのは気のせいじゃなかったってわかったし。四葉にも会えたし。
(……しかし、どうだろう。「チェキようなら」ってのは……。
(自宅)
(……今朝はいい天気だなぁ。休みの日がこれだと、やっぱり気分もいいよ。
(……そうだ。たまには朝刊でもゆっくり読むかな……。
(新聞、新聞っと。なんかニュースはあるかな……。
(……あれっ、ドアに何かはさまってる。宅配便の不在票かな。ずっと家にいたのに……。
(……違うな、封筒だ。郵便じゃないみたいだけど、いったいなんだろう……?
(はさみで封を切って……と。これでよし。
(何が書いてあるのかな…………あれっ?
(……あれ、あれあれ? なんだこれ、真っ白の紙が一枚入ってるだけだ。
(手紙、入れ忘れたのかな。でも白い紙は入ってるなんてなんだかヘンだし……。
(封筒にも手がかりは……ない。
(う〜ん、こりゃどうなってんだ。目撃者もないだろうし……。
(……って、僕もなんだか四葉みたいになってきたな。
(……四葉!
(そうだ、こういうことをするのは四葉しかいない。きっと、また探偵ごっこをしてるんだ。
(となると、これはおおかた秘密の通信ってとこだな。ふふふ、楽しいこと考えるなぁ、四葉は。
(よーし、それじゃ解読作業だ! ……なんちゃってね。
(でも、これどうやればいいのかな。ん〜、こういうときは……。
(あぶり出しだな。なんだかなつかしいよ。
(レモンの汁なんかで字を書いて乾かすと、こういうふうに見えなくなるんだ。
(それから、その紙をガスコンロとかストーブの上であぶると字が出てくるってわけだよね。
(よーし、早速チェキっとやってみよう!
(……いけね、口ぐせまで似てきた。
(……あ〜あ、大失敗しちゃった。
(まさか、紙が燃え出すなんて思わないもんなぁ。字が出ないから、火に近づけ過ぎちゃったよ。
(結局、秘密の通信はわからずじまいか……。しかたない、あきらめよう。
(……でもあれ、ホントに四葉のしわざだったのかなぁ……?
(水につけよう。うん、きっとそうだ。
(水につければ、文字が浮かんでくるんだよ。透かしみたいにね。
(……ええと、まず洗面器に水を張って、と……。
(……あ〜あ、大失敗しちゃった。
(まさか、水につけると紙が溶けるとは思わなかったなぁ。……スパイメモじゃあるまいし。
(結局、秘密の通信はわからずじまいか……。しかたない、あきらめよう。
(……でもあれ、ホントに四葉のしわざだったのかなぁ……?
(エンピツでこすってみよう。うん、間違いないよ。
(こう、サラサラっとこすると、白く文字が浮き出てくるんだ。
(早速やってみよう。ええと、鉛筆を用意して、と……。
(サラサラサラ……。
(……おかしいなぁ。ただ真っ黒になるだけだよ。
(やり方が、間違ってたのかな? う〜ん……。
(……もう、いいや。あきらめよう。
(これだけ真っ黒になっちゃ、他のこともできないし……。
(あ〜あ、どんな通信だったのかなぁ。読めないとなると気になるよ……。
(いやいや、これでいいはずだ。根拠のない自信がわいてきた。
(まだ裏はこすってないし、もっとしっかりこすらないとダメなのかも知れないし……。
(………………。
(……ダメだ。紙も机も、手も真っ黒になっただけ……。
(……さすがにもういいや。捨てちゃおう。
(ええと、封筒は……。
(……封筒! まだ封筒はこすってない!
(ここまできたら、同じだ。最後まで貫き通してやる!
(あそーれサラサラサラサラ……!
(………………。
(……出たっ!! 文字が出たぞっ! なんて書いてあるんだ!?
「兄チャマ、よくわかりマシタね♥
(………………。
(……これ、だけ?
(あはは、四葉もなかなか凝った遊びを……。
(…………疲れた。
(若草学院 / 朝の通信を読めなかった場合)
(……ヒマだなぁ。やることはあるけど、率先してやりたくないし……。
(かと言って、なにか面白いことがあるわけでもないし……。
(これは困ったなぁ。いまどきの若者らしくないぞ。なにか見つけないと……。
四葉
「兄チャマ、チェキ!
兄チャマ
「わぁ、四葉! グッドタイミングだ。
四葉
「ねぇねぇ兄チャマ♥ とつぜんだけど、名探偵の条件って知ってマスカ?
兄チャマ
「名探偵の条件? ううん、なんだろう……。
「推理力と、観察力……とか?
四葉
「ザンネン、違うデス。
「四葉、探偵小説をたくさんチェキして、やっとわかったの。その条件が……♥
兄チャマ
「なんだい? 教えてよ。
四葉
「兄チャマ、それはネ……。
「探偵小説の主人公になるコト!!
兄チャマ
「……は?
四葉
「だって、ホームズさんもポアロさんも、みんなみんな小説になってるのよ♥
「だから四葉も、探偵小説の主役になれるようなダイカツヤクをして、小説家サンに書いてもらわなくちゃ♥
「えへへ、たのしみデス♥ 早く名探偵になりたいデス……♥
兄チャマ
「ふふっ、夢が叶うといいね。
四葉
「ありがとデス、兄チャマ♥
兄チャマ、スゴイ!
四葉のヒミツメッセージ、解読しちゃったんだモン……♥
ちょっとビックリよ。
まさか、封筒にメッセージがあるとは思わないものネ♥
四葉は、あらためて兄チャマをリスペクトしてしまいマシタ♥
うふふ♥
だからね、兄チャマ……♥
あした四葉とデイトしてくれないカナ?
兄チャマをチェキしているのもいいケド、ちゃんと会っていっぱいお話もしたいの♥
お返事、まってますネ♥
兄チャマ、大好きデス……♥
よつば
≪選択肢≫
・行かせてもらおうかな
・明日は予定があるから…ごめん
(喫茶店)
≪Scene 1:喫茶店前≫
(わあ、けっこう混んでるなぁ。四葉、もう来てるかな?
(……う〜ん、まだ来てないみた……。
四葉の声
「兄チャマ、チェキ!
兄チャマ
「わっ!
四葉
「グッモーニン、兄チャマ♥
兄チャマ
「お、おはよう四葉。びっくりしたよ、いきなり後ろから声かけるんだもの。
四葉
「えへへ、いきなりじゃないよ♥ 兄チャマがおウチを出てから、ず〜っと後ろにいたんだよ。
兄チャマ
「えっ、ホントに? ……知らなかったよ。四葉は尾行もうまいんだね。
四葉
「あはっ、兄チャマにほめられたデス! 四葉ベリベリうれしいデス……♥
兄チャマ
「あはは、それじゃ出発しようか。今日は四葉の行きたいところに行こうね。
四葉
「うん、兄チャマ! 今日は四葉、日本の伝統を感じたいの♥
「ええと、お寺に行って、神社に行って、川下りをして、それからそれから……♥
≪Scene 2:チャイナドレス≫
四葉
「やっぱり、チャイナドレスで縁日ねッ!
(そ、そうかなぁ……。
四葉
「見て見て兄チャマ♥ このチャイナドレス、似合ってる?
兄チャマ
「うん、とってもよく似合ってるよ。四葉にピッタリだね。
四葉
「わーい、やったデス! 兄チャマにほめられマシタ! わーいわーい!
兄チャマ
「おいおい、はしゃぎすぎだよ、四葉。
四葉
「うれしいときははしゃぐデス! くるくる〜! まわっちゃうデス!
兄チャマ
「あはは、気をつけるんだよ。
「……だけど、四葉は面白い場所を知ってるね。こんなゲーセン、知らなかったよ。
「デザインが中華風に統一されてて、しかも縁日までやってて、おまけにチャイナドレスも貸してくれるなんて。
四葉
「名探偵は、いつもチェキを欠かさないから新しいスポットにもビンカンなのよ♥
「それじゃ兄チャマ♥ 金魚すくい、するデス!
兄チャマ
「よーし、どっちが多くすくえるか競争だ!
四葉
「チェキぃ!
≪Scene 3:自宅前≫
四葉
「あ〜っ、楽しかったデス!
兄チャマ
「そうだね、僕も楽しかったよ。また行こうね。
四葉
「はいチェキ!
「だけどザンネンだったのは、金魚すくいネ……。
「まさか、あのまぁるい紙があんなに破けやすいとは思わなかったデス……。
兄チャマ
「あはは、そうだったね。四葉はあれが破けないと思ってたんだったね。
「でも、僕も一匹もすくえなかったから勝負はあおいこだね。
「また今度、決着をつけようね。
四葉
「のぞむところデス!
兄チャマ、チェキチェキ!
今日はデイトしてくれて、ありがとデス♥
四葉、ベリーとっても楽しかった♥
ほかのダレでもなくて、兄チャマと行ったからこんなに楽しかったのよ♥
金魚すくいはザンネンだったけど、
そのあと兄チャマにもらったコットンキャンディーがとってもおいしかったナ……♥
日本ではなんて言うのかと思ったら、意味はおんなじなのネ♥
でもどうして、ワタなのにあんなにおいしいのカナ?
四葉、前におふとんのコットンを食べたけど、あんまりおいしくなかったよ……♥
フシギなコトもあるものです。
だからこそ、もっと四葉がガンバって、たくさんチェキして、世の中のナゾを解かなくちゃ♥
兄チャマも応援してネ♥
それじゃ兄チャマ、またチェキしようネ♥
≪選択肢≫
・僕も楽しかったよ
・また行けるといいね
・ふとんの綿はやめておこうね