春歌セリフ集 3/5〜3/11

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3/5 Mon 3/6 Tue 3/7 Wed 3/8 Thu 3/9 Fri 3/10 Sat 3/11 Sun 次週

3/5 Mon

放課後

(河原)

≪Scene 1:不定≫

春歌
「兄君さまっ、春歌が参りましたわ!

(おお、春歌だ……。

春歌
「兄君さま、ご安心下さい! ワタクシがついてます!
「いつ倒れても大丈夫ですから、力の限りがんばって走ってくださいませ!
「男子の本懐を、ご立派に遂げてください! ああっ、なんてステキなのでしょう!
「くれぐれも悔いを残さぬように、力一杯走ってくださいませぇっ!

(……ありがとう、春歌。

≪Scene 2:ゴール≫

春歌
「兄君さま!

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3/6 Tue

放課後

(若草学院)

兄君さま
「おや……この桜吹雪は……。

春歌
「兄君さま、ご機嫌うるわしゅう存じます♥

兄君さま
「や、やぁ、春歌。お稽古の帰り?

春歌
「はい。今日は着物の着付け教室ですのよ。

兄君さま
「着物の着付け? ……でも春歌、いつも着物を着てるのに、今さら着付けの教室なんて……。

春歌
「着物の着付けって奥が深いんですのよ。ワタクシ、免許皆伝をめざしてますの♥

兄君さま
「免許皆伝って……?

春歌
「うふふ、免許を取ると着付けの先生になれるんですのよ。
「ワタクシ、留袖や振袖といった正装は一通り修得してますけど、着こなしや作法となるとまだまだですもの。
「いずれは十二単のような宮廷衣裳まで着こなせるようになりたいですわ。

兄君さま
「そ、そうなんだ……。
(十二単って……いつ着るんだよ、そんなの……。

春歌
「そうですわ、いいことを思いつきました♥ 兄君さまにも着付けをして差し上げますわ。

兄君さま
「え?

春歌
「兄君さま、失礼いたします。動かないで下さいましね♥

(あっ……。い、いきなり春歌が僕に抱きついてきた……。黒髪の香り……とても甘い香りがする……。

春歌
「失礼いたしましたわ♥ ちょっと寸法、計らせていただきましたの。
「……あの、兄君さま……? どうかなさったんですの……? お顔がなんだか紅うございますが……。

兄君さま
「い、いや……その……。春歌が抱きついたから……。

春歌
「……!? まぁ、ワタクシったら……♥♥ なんてことでしょう……恥ずかしいですわ〜♥♥♥

(って……気づいてなかったのか……。夢中になると後先考えずに行動しちゃうんだなぁ。……それだけ一途な性格なんだ……。

春歌
「本当はワタクシ、自分で兄君さまに着物を仕立てて差し上げたくて……。お裁縫も習ってるんですけど……。
「なかなか上手く作れないですの……。まだ単衣の浴衣も満足に作れなくて……。

[そんなこと、気にしなくていいよ]

兄君さま
「そ、そんなこと、気にしなくていいよ。僕は春歌が着物を仕立ててくれるだけで満足さ。

春歌
「本当ですか!? ……なんてお優しい兄君さま。
「やはり兄君さまは春歌が一生かけてお仕えするにふさわしいお方……。一生ついていきますわ。

兄君さま
「そ、そう……ありがとう。

春歌
「はい♥

(やれやれ。いつもながらオーバーだなぁ。……ま、悪い気はしないけど……。

[早く上手くなってね]

兄君さま
「そうか……。だったら早く上手くなってね。一緒に着物を着ようよ。

春歌
「はい! ……嬉しいですわ〜♥♥♥ 兄君さまが春歌とのお揃いの着物……。
「ああ……考えただけで、ワタクシ、胸の鼓動が高まりますわ……。
「兄君さま……。春歌は生涯かけて兄君さまにお仕えいたしますね♥

兄君さま
「そ、そう……ありがとう。

春歌
「はい♥

(やれやれ。いつもながらオーバーだなぁ。……ま、悪い気はしないけど……。

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3/7 Wed

放課後

(河原)

兄君さま
「あ、またいつもの桜吹雪……。ということは……。

春歌
「兄君さま!
「このようなところで兄君さまとお会いできるなんて…。今日は本当にいい日ですわ。

兄君さま
「そ、そうだね……。あははは。
(どう考えても待ちかまえてるよなぁ……。ま、いいけど。
「春歌は今日もお稽古なの?

春歌
「はい! 一日も早く立派なヤマトナデシコとなって、兄君さまにお仕えするためですわ♥♥♥
「その日のことを考えると……。日々の稽古も苦にはなりません。

兄君さま
「そ、そう……。がんばってね。

春歌
「はい♥ 兄君さま♥

(うーん……。その日が来るのが楽しみなような、怖いような……。おや?
(春歌の服、袖口に糸くずがついてるぞ。

[無視する]

兄君さま
「……うかつに触って誤解されても困るしな。見なかったことにしよう。

春歌
「あら、兄君さま。どこをご覧になってますの?
「……あ、こ、これは……。ワタクシ、袖口がほころんでましたわ。こんな姿を兄君さまにお見せしてしまうなんて……。
「は、恥ずかしいですわ〜。

兄君さま
「あれ……。行っちゃった。

[取ってあげる]

兄君さま
「あ、春歌……。ちょっと、袖口のところに……。

春歌
「まぁっ、いけませんわっ、兄君さま♥♥♥♥ こんな所で……。人が見てますわ♥♥
「でも……ワタクシ、兄君さまにだったら何をされても仕方ありませんわ……♥ きゃっ、こんなこと言ってしまうなんて……♥
「恥ずかしいですわ〜♥ もう、兄君さま、罪なお方ですわ♥♥♥

兄君さま
「あ、あの……。袖口に糸くずがついてるんだけど……。

春歌
「え!? まぁ、そうでしたの。……いやだ、ワタクシったら……てっきり……。
「恥ずかしいですわ〜♥♥♥

兄君さま
「あれ、行っちゃった……。いったいどんな勘違いをしたんだろう……?

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3/8 Thu

放課後

(お菓子店)

兄君さま
「う〜、寒い。もう春間近だってのに、すごい大雪だなぁ。あんまり積もらない内に帰ろうかな……。
「うーん、この雪の中だと、せっかくの桜吹雪もインパクトないなぁ……。

春歌
「兄君さま!
「この吹雪に閉ざされた町の中、偶然にも兄君さまにお会いできるなんて……。なんてワタクシ、僥倖に恵まれているのでしょう。

兄君さま
「そ、そう……。
(ほんとに偶然かなぁ……?

春歌
「兄君さま、見れば季節はずれの豪雪で難儀されておられるご様子。……でもご安心下さいまし。春歌が来たからには兄君さまをお護りいたします。
「一命を賭しましても兄君さまをご自宅までお送りいたしますわ♥

兄君さま
「そ、そんな……大丈夫だよ。

春歌
「いいえ、油断してはなりませぬ。春先は雪が緩んでいてとても危ないとよく聞きます。

(って、それは雪山の話だと思うけど・・…。

春歌
「さ、参りましょう。たとえどんなことがありましても、春歌が命をかけて兄君さまをお護りいたしますわ♥♥

兄君さま
「そ、そうだね……。行こうか。

春歌
「…………。

兄君さま
「どうしたの?

春歌
「兄君さま……この雪の中に長いこといらしたのですね。……おかわいそう……。

兄君さま
「……!?

春歌
「兄君さまの手……こんなに冷えてしまって……。ワタクシが温めてさしあげます!

兄君さま
「は、春歌……。
(春歌の手……。小さいのに柔らかくて、すごく温かいな……。それに優しい息づかい……。
(なんだか……体まで火照ってきた……。

春歌
「うふふっ♥ どうですか兄君さま……少しは温まりましたかしら?
「あら……? 兄君さま……なんだかお顔が赤くおなりですわ。はっ……まさかお風邪を召してしまわれたのでは!?

兄君さま
「い、いや……。そんなことないよ。

春歌
「……本当でございますか?

兄君さま
「うん、大丈夫。……春歌のおかげで、なんだか体中が温かくなってきたよ。

春歌
「……まぁ、兄君さまったら……♥

兄君さま
「……だからね。

[さ、もう行こうか]

兄君さま
「それじゃ、あまり雪が積もらない内に帰ろう。

春歌
「……そうですわね。参りましょう♥

[もう少しこのままで居たいな]

兄君さま
「もう少しだけ……春歌の温もりを感じていたいんだ…。

春歌
「兄君さま……。そう言っていただけるとワタクシ……♥
「このままずっと……雪に埋もれてもいい……。兄君さまと一緒なら……雪が溶けるまでずっと……。
「……いいえ、それはいけませんわ。兄君さまをお護りするのがワタクシのお役目。さ、参りましょう……。
「ワタクシでよろしければ、いつだって兄君さまを温めて差し上げますわ♥

兄君さま
「春歌……。
(感激だなぁ……。

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3/9 Fri

放課後

(喫茶店)

≪Scene 1:喫茶店前≫

兄君さま
「お、いつもの桜吹雪……。ってことは……。

春歌
「兄君さま! ご機嫌ようございます♥ いまお帰りですか?

兄君さま
「うん、まぁね……。春歌は?

春歌
「はい。ワタクシもちょうど、稽古が終わったところですわ。兄君さまはどちらに参りますの?

兄君さま
「いや、別に……。

[もう帰るところだよ]

兄君さま
「特に用事はないからね。もう帰るところなんだよ。

春歌
「そうなんですの。ではワタクシ、ご自宅までお送りいたしますわ♥

兄君さま
「そ、そう……。ありがとう。

春歌
「はい。それではご一緒いたしましょう♥

≪Scene 2:住宅地≫

春歌
「今日は兄君さま、ご無事でしたか? 何かご不自由なこと、ございませんか?

兄君さま
「うん、大丈夫だよ。……いつも春歌は心配してくれるんだね。

春歌
「はい! 兄君さまのご無事をお護りいたしますのがワタクシの勤めですもの♥♥

兄君さま
「そ、そう……。ありがとね……。

春歌
「そんな……当然の勤めですわ♥♥

兄君さま
「でも……。春歌は毎日お稽古ごとをやってるんだろ? その上、僕の心配までしてくれなくても……。

春歌
「いいえ……。少しでも長く兄君さまとご一緒できれば、もうそれだけで十分。
「ワタクシにとって無上の喜びですわ。

兄君さま
「そ、そうなんだ……。あははは……。

春歌
「あの……ワタクシね、兄君さま。ドイツのお祖母様がいつもおっしゃってたんですの。
「今は外国にいるけど、春歌は日本の娘なんだから、日本の心を忘れてはいけませんよって……。
「それからいつも日本の婦女子は、一生一度の背の君の大事にお仕えするために、いざというときに鋼のように強くなれなくちゃいけないって。

兄君さま
「へえ、そうなんだ……。
「っていうか、春歌はいざという時でなくても、十分強いような気がするけど……。

春歌
「でも私、小さい頃はとても臆病で弱虫だったんですの。

兄君さま
「え? 本当に?

春歌
「ええ……。お恥ずかしいですけど……。
「異国の地で、友と呼べる者もなく、たった一人で過ごしてきましたから……。
「そんなワタクシを心配して、お祖母様はそのようにおっしゃったのですね。
「だから、とても小さい頃から、剣道やなぎなた、柔道、それから踊りに、お茶やお習字にお花……。とにかくいろいろなことをしてきたんですの。
「とってもツライこともあったけど、……でもやっぱり、お祖母様のおっしゃった通りでした♥
「今、こうして兄君さまにお会いできて……。ワタクシ、本当に兄君さまをお護りするために生まれてきたんだって……思えるんです♥♥

兄君さま
「そ、そう……。

春歌
「ワタクシ、いつまでも兄君さまにお仕えして、兄君さまをお護りいたしますわ♥♥

兄君さま
「う、うん……。ありがとう。

春歌
「はい♥

≪Scene 3:玄関≫

春歌
「もう兄君さまのお家に着いてしまいましたわね。……楽しい時って、あっという間に過ぎてしまうものですわ……。
「それでは兄君さま。失礼いたしますわ。ご機嫌よう♥♥

[ヒマだから喫茶店に寄ってかない?]

兄君さま
「特に用事はないからね。……そうだ、ヒマ潰しに喫茶店に寄ってかない?

春歌
「ええっ!? ほ、本当ですの!?

兄君さま
「う、うん……。

春歌
「……うれしいですわ。兄君さまがお誘い下さるなんて……。
「ワタクシ、この場で落雷に打たれて息絶えても、悔いはありませんわ♥♥♥

兄君さま
「そ、そう……。
(そんな、オーバーだなぁ……。

≪Scene 2:喫茶店内≫

春歌
「今日は兄君さま、ご無事でしたか? 何かご自由なこと、ございませんか?

兄君さま
「うん、大丈夫だよ。……いつも春歌は心配してくれるんだね。

春歌
「はい! 兄君さまのご無事をお護りいたしますのがワタクシの勤めですもの♥♥

兄君さま
「そ、そう……。ありがとね……。

春歌
「そんな……当然の勤めですわ♥♥

兄君さま
「でも……。春歌は毎日お稽古ごとをやってるんだろ? その上、僕の心配までしてくれなくても……。

春歌
「いいえ……。こうやって時に兄君さまがご一緒していただければ、もうそれだけで十分。
「ワタクシにとって無上の喜びですわ。

兄君さま
「そ、そうなんだ……。あははは……。

春歌
「あの……ワタクシね、兄君さま。ドイツのお祖母様がいつもおっしゃってたんですの。
「今は外国にいるけど、春歌は日本の娘なんだから、日本の心を忘れてはいけませんよって……。
「それからいつも日本の婦女子は、一生一度の背の君の大事にお仕えするために、いざというときに鋼のように強くなれなくちゃいけないって。

兄君さま
「へえ、そうなんだ……。
「っていうか、春歌はいざという時でなくても、十分強いような気がするけど……。

春歌
「でも私、小さい頃はとても臆病で弱虫だったんですの。

兄君さま
「え? 本当に?

春歌
「ええ……。お恥ずかしいですけど……。
「異国の地で、友と呼べる者もなく、たった一人で過ごしてきましたから……。
「そんなワタクシを心配して、お祖母様はそのようにおっしゃったのですね。
「だから、とても小さい頃から、剣道やなぎなた、柔道、それから踊りに、お茶やお習字にお花……。とにかくいろいろなことをしてきたんですの。
「とってもツライこともあったけど、……でもやっぱり、お祖母様のおっしゃった通りでした♥
「今、こうして兄君さまにお会いできて……。ワタクシ、本当に兄君さまをお護りするために生まれてきたんだって……思えるんです♥♥

兄君さま
「そ、そう……。

春歌
「ワタクシ、いつまでも兄君さまにお仕えして、兄君さまをお護りいたしますわ♥♥

兄君さま
「う、うん……。ありがとう。

春歌
「はい♥
「あ、いけない。もうこんな時間ですわ……。兄君さま、ワタクシ、次のお稽古がありますの。
「卒爾ながらワタクシ、ここで失礼いたしますわ。……本当に申し訳ございません……。
「兄君さまをこのような場所に残し、立ち去るのは断腸の思いですが……。どうかワタクシのご無礼をお許し下さいませ……。

兄君さま
「そ、そんな……。

[そんなの気にしてないよ]

春歌
「兄君さま……本当にお優しいお方ですわ……。そのお言葉だけで、春歌はもう……。もう一生悔いはございませんわ♥♥

兄君さま
「そ、そう……。
(……つくづくオーバーな子だよなぁ。悪い気はしないけど……。

春歌
「それではワタクシ、失礼いたします。……お名残惜しゅうございます……。ご機嫌よう、兄君さま……♥♥♥

[いいから早く行きなよ]

春歌
「は、はい……。申し訳ありません、兄君さま。
「一生懸命修行に励み、一日も早く立派なヤマトナデシコとなって兄君さまにお仕えいたしますわ。

兄君さま
「う、うん……。まぁ、頑張ってね。

春歌
「はい! 兄君さまの温かいお言葉、痛み入りますわ。春歌はそのお言葉を胸に、さらなる精進に励む所存にございます……♥

(……つくづくオーバーな子だなぁ。悪い気はしないけど……。

春歌
「それではワタクシ、失礼いたします。……お名残惜しゅうございますが……。ご機嫌よう、兄君さま……♥♥

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3/10 Sat

午前中

(かしのき公園)

兄君さま
「ん、いつもの桜吹雪だ。それじゃ……。

春歌
「兄君さま、ご機嫌ようございます♥
「どちらへお出かけですか?

兄君さま
「うん、ちょっと散歩にね。

春歌
「まあ、それは結構ですわね♥ 天気も上々ですし、公園を散策するに絶好の日和ですわ。
「それでは……その……。もしお邪魔でなければ……。私、ご一緒してもよろしゅうございますか?

[ごめん、一人にして欲しいんだ]

兄君さま
「ごめん……今日は一人にして欲しいんだ。

春歌
「そうですか……。
「そうですわね……。兄君さまも一人になりたい時がおありですわね……。
「そんなことに気が付かず、兄君さまのお邪魔になってしまうなんて……。ワタクシ、一生の不覚でしたわ。
「かくなる上は、一命をもって償うよりございません! この場で見事、自害して果てる所存ですわ! どうか兄君さま、お許し下さいませ……。

兄君さま
「あ、いやいや……。そんなことまでしなくてもいいって。気にしてないから。

春歌
「兄君さま……。なんてお優しいお言葉。やっぱり兄君さまは、春歌が生涯をかけてお仕えするお方ですわ♥
「たとえ兄君さまに疎んぜられようと、春歌は陰となりて兄君さまに付き従い、あらゆる艱難からお護りいたしますわ♥
「それでは兄君さま……。どうかお気をつけて……。

兄君さま
「陰となりって……。それってつまり……。物陰から見守ってるってこと?
(ううっ、なんか視線を感じる……。……とりあえず、いったん家に帰ろう……。

[うん、いいよ]

春歌
「……本当でございますか……♥ 嬉しいですわ……♥♥
「兄君さまにそのお言葉をいただけて、春歌はもう……他に何もいりませんわ……♥♥

兄君さま
「あはは……。本当にオーバーだなぁ、春歌は。

春歌
「それでは兄君さま……。ご一緒いたしましょう♥

兄君さま
「う、うん。そうだね……。

春歌
「あ、あの……。兄君さま……。

兄君さま
「ん? なに?

春歌
「あの……。その……。もしよろしければ……。お手を繋いでも……よろしゅうございますか?

[いいよ]

兄君さま
「あ、ああ……。いいよ。

春歌
「本当でございますか……。……春歌は嬉しゅうございますわ♥
「あ、あの……。春歌のこと、無作法な娘と思わないで下さいましね。
「……ただ一時だけ、この手で直接に、兄君さまの温もりを感じとうございます♥♥

兄君さま
「うん……もちろんだよ……。

春歌
「はい……。ワタクシ、今日この日のことを生涯忘れませんわ。
「兄君さまのお肌に包まれたこの喜び……。末代まで語りついでゆきますわ♥♥♥

兄君さま
「そ……そう……。あははは……。そんなに喜んでくれると嬉しいよ。
(ちょっとオーバーすぎるけど……。でも、本当に喜んでくれてるんだなぁ……。

[それはちょっと……]

兄君さま
「そ、それはちょっと……。いい歳して兄妹で手を繋ぐなんて恥ずかしいよ。

春歌
「そ、そうですわね。……申し訳ありません、兄君さま。
「自分の立場もわきまえず、不躾なことを……。本当に申し訳ございません……。
「ただほんの一時、この手で直接に、兄君さまの温もりを感じとうございました……。

兄君さま
「あ、あのね……。

春歌
「かくなる上はワタクシ、一命をもって償うより……。

兄君さま
「わー、わー! そ、それはいいから!

春歌
「それでは兄君さま……。春歌をお許し下さいますか……?

兄君さま
「許す許す! もう完全に許しちゃう!

春歌
「ありがとうござます、兄君さま……。やはり兄君さまは、春歌が生涯をかけてお仕えするお方……♥
「たとえ兄君さまに疎んぜられようと、春歌は陰となりて兄君さまに付き従い、あらゆる艱難からお護りいたしますわ♥
「それでは兄君さま……。どうかお気をつけて……。

兄君さま
「陰となりって……。それってつまり……。物陰から見守ってるってこと?
(ううっ、なんか視線を感じる……。……とりあえず、いったん家に帰ろう……。

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3/11 Sun

午前中

(商店街)

≪Scene 1:商店街≫

兄君さま
「お、いつもの桜吹雪。てことは……。

春歌
「兄君さま、ご機嫌ようございます♥ どちらへお出かけですか?

兄君さま
「うん、ちょっとね。……春歌は?

春歌
「はい♥ ワタクシは兄君さまのお供ですわ。

兄君さま
「……え?

春歌
「ワタクシ、兄君さまをお護りするのが勤めですもの。たとえ火の中水の中。地獄の底までお供いたしますわ。

兄君さま
「……そ、そう。
(……やれやれ……。悪い気はしないけど、やっかいだよなぁ……。

春歌
「はっ! この気配は……殺気!?

兄君さま
「え……?

おばあちゃん
「もしもし、ちょっといいですかいのぅ。

春歌
「そこな者! 兄君さまから離れなさい!

おばあちゃん
「……ひいっ! い、命ばかりはお助けを……。ワ、ワ、ワシには十を頭に五人の孫が……。

春歌
「あ……いやですわ。ワタクシったら……。このようなご老体を刺客と見間違うなんて……。
「申し訳ございません、おばあさま。失礼いたしましたわ。

おばあちゃん
「……い、いや。わかればいいんですじゃ……。老い先短い年寄りを、あんまり脅かさんで下され。

兄君さま
「ど、どうもすいません、おばあさん。ちょっとこの子、血の気が多いもんで。……ケガとかしませんでした?

おばあちゃん
「は、はぁ……。ワシなら大丈夫ですじゃ。

兄君さま
「ところで……僕に何か用ですか?

おばあちゃん
「はぁ、三丁目の山田さんはどちらですかいの……。

[知らないな]

兄君さま
「さあ、知らないなぁ。

おばあちゃん
「そうですかいのぅ……。それでは、ワシは失礼いたします。

春歌
「……あの、兄君さま。本当に申し訳ございませんわ。
「かくなる上はワタクシ、この場で自害して……。

兄君さま
「あ、いやいや。それはいいって……。

春歌
「いいえ……。兄君さまをお護りするのが勤めだというのに……。迷惑ばかりおかけして……。
「……春歌は、自分が情けのうございます。あの……勝手ながら、本日はこれで失礼いたします。自宅に戻り、謹慎いたしますわ……。

兄君さま
「い、いや……。そんなに思い詰めなくて……。
「あーあ、行っちゃった……。大丈夫かなぁ? 思いこみの激しい子だもんなぁ……。

[三丁目まで案内するよ]

兄君さま
「うん、三丁目はすぐそこだから、送っていくよ。

おばあちゃん
「は、はぁ……。それはどうも、ご親切に……。

兄君さま
「いや、それぐらい……。
(っていうか、こっちが悪いんだし。……これぐらい仕方ないよな。

≪Scene 2:住宅地≫

兄君さま
「……ここが三丁目だけど……。

おばあちゃん
「はぁ、ここまで来れれば山田さんのお宅まですぐですじゃ。……どうもわざわざすいませんのう。

兄君さま
「いやいや……。……あの、それと妹のことですけど……。

おばあちゃん
「……はい、わかっております。お前さまを案ずるあまり、ついついやりすぎてしまうのですじゃろ。
「今どき珍しいひたむきな娘さんじゃ。大切にしてあげなされ……。

兄君さま
「う、うん……。

春歌
「……あの、兄君さま。本当に申し訳ございませんわ。
「かくなる上はワタクシ、この場で自害して……。

兄君さま
「あ、いやいや。それはいいって……。

春歌
「そ、そうですか……。
「でも……兄君さまは本当にお優しいお方ですわ……。
「ワタクシ、今日は感激しましたわ。見ず知らずのお婆さまに、あのようなお優しい言葉をおかけになり、道案内までして差し上げるなんて……。
「本当に兄君さまは、春歌が生涯をかけてお仕えするに相応しいお方ですわ♥♥♥

兄君さま
「そ、そうかな……。

春歌
「はい!
「ワタクシ、これからも一生懸命、兄君さまをお護りいたしますわ♥♥♥

兄君さま
「そ、そう……あははは……。
(うーん、嬉しいような困ったような……。……やれやれだなぁ。

→ 次週

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