Chapter3 THE VALIANT
偽らざる者

Contents
『雷神シド』 炭鉱都市ゴルランド 『占星術士オーランとの出会い』 『ザルバッグとの再会』 ルザリア城裏門 『“異端者”として』 『シモンの告白』 地下書庫 地下二階 地下書庫 地下三階 地下書庫 地下一階 『魔人ベリアス』 『ゲルモニーク聖典』 貿易都市ドーター 『オヴェリアとディリータ』 グローグの丘 『雷神シドの息子』 城塞都市ヤードー 『天道士ラファ』 ユーグォの森 『バリンテン大公の野望』 リオファネス城城門前 『脱出するアルマ』 リオファネス城城内 『惨劇の痕』 リオファネス城屋上 『もうひとつの力』 『偽らざる心』 Chapter 4

雷神シド

『雷神シド』
 獅子戦争勃発から3ヵ月。戦線の拡大とともに戦闘は日増しに激化し、戦局は決定づけられぬまま、ラーグ・ゴルターナ両軍とも次第に疲弊を重ねつつあった。
 飢えと重税にあえぐ民衆を憂う南天騎士団の将“雷神シド”ことオルランドゥ伯は、ゴルターナ公に和平工作を進言するが…。

ベスラ要塞

ボルミナ男爵
「死亡者は昨日までに約2万、両軍を合わせると倍の約4万…。
「負傷者はわが軍だけでも軽く20万は超えます。

エルムドア侯爵
「問題は死傷者だけではない。
「兵糧の蓄えもあとわずかになってきたが、これは計画どおり。厄介なのは今期の干ばつだ。
「兵糧を買い付けようにも、モノがない有り様で、税収の大幅減と合わせて通年の半分以下しか備蓄できん。

ブランシュ子爵
「それについてはラーグ公も同じであろう。
「あちらはこの収穫時期に長雨が続いたおかげで、刈り取る前に穂が腐ってしまったそうだ。

オルランドゥ伯
「むしろ問題なのは、この戦乱によって職や住む処を奪われた民だろう。
「オーランの調べによると王都ルザリアにはすでに10万人を超える難民が流入しているとか。

ブランシュ子爵
「ハハハッ、それはよい。ラーグ公側も食料の買い付けに苦労するだろうよ。

オルランドゥ伯
「笑いごとでなないぞ! 戦線が拡大すれば我々とて同じ。
「大量の難民がいつこちら側に流れ込んできてもおかしくないのだ!
「…やはり、そろそろ、和平工作を始めるべきではないだろうか…?

ゴルターナ公
「貴公らの心配はもっともだ。だが、この戦いをやめるわけにはいかぬ。
「通年より3割ほど増税しよう。また、穀物などを高値で売買する輩が出ぬよう監視を厳しくするのだ。
「また、難民についても同様だ。ランベリーの境界を越えぬよう監視をより一層厳しくしようぞ。

オルランドゥ伯
「苦しいのはラーグ公も一緒。今なら和平的解決もできましょう。

ゴルターナ公
「くどいぞ、オルランドゥ。和平的解決などありえん話だ。

オルランドゥ伯
「民あっての国家! 民あっての我々なのです。
「五十年戦争でもっとも苦しんだのは民百姓ではございませんか! これ以上の増税はいかがでしょう。
「民だけではございません。前線で戦っている兵たちは満足な食事にありつけない有り様。
「これ以上、戦いを維持し続けるのは物理的にも精神的も不可能です。

ゴルターナ公
「精神的にだと? 貴公ともあろう者が臆病風に吹かれたか?

オルランドゥ伯
「五十年戦争では鴎国の侵略から祖国を守るという大義がございました!

ゴルターナ公
「この戦いにはそれがないと申すかッ?
「いつから貴公はそのような“偽善”を口にするようになったのだ?
「甘くすればつけあがるのが奴らだ。我々が戦っているのは民のためでもある!
「これ以上、腐った王家の行いによって民に迷惑をかけぬためにもこの戦いをやめるわけにはいかんのだ!

ブランシュ子爵
「閣下のおっしゃるとおりですぞ。あとわずかではございませんか!
「“雷神シド”とまで称えられたオルランドゥ伯のおっしゃることとは思えませんな、まったく。

オルランドゥ伯
「あとわずかだと? 何を見てそう申すのだ?
「この状況のどこを見てそのように楽観的になれるのだ? 貴公の目は節穴ではないのか!

ブランシュ子爵
「そ、それは暴言でございましょう!!

ゴルターナ公
「もう、よい、やめよ!
「見損なったぞ、オルランドゥ。これ以上の暴言は 貴公の身を危うくするぞ!

オルランドゥ伯
「…………。

ゴルターナ公
「よいか、二度とは言わぬ。
「これ以上、わしの方針に不服があるならば早々にここを立ち去るがいい!
「よいな、オルランドゥ!!

偽 ら ざ る 者
CHAPTER3 THE VALIANT

ディリータは僕に言った。
“大きな流れがあり、
それに逆らっている”と…。

この戦乱の世が避けようのない
運命のような
“大きな流れ”だとしたら、
僕はその流れに
逆らうことができるのだろうか?

僕は兄ザルバッグに
戦乱を影で操る者がいることを
告げるため
王都ルザリアを目指していた…。

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炭鉱都市ゴルランド

 (オーランが屋根の上で逃げ道を捜している)

どなり声
「どこだ! どこへ逃げやがった!?

どなり声
「上だ! 屋上だッ!!

 (家屋から盗賊たちが出てくる)

占星術士オーラン
「囲まれたか…!

 (屋根の上に首領らしき者が現れる)

盗賊(話術士・男)
「何者だか知らないが、オレたちの隠れ家に入ったのが間違いだったな。

占星術士オーラン
「今度から入り口に書いておいてくれ。ここが『盗賊のアジト』だってね。

盗賊
「ククク…。減らず口もそこまでだ。さあ、観念するんだな。

 (ラムザたちが登場)

剣士ラムザ
「何か様子がヘンだな…?

盗賊
「今日は来客の多い日だな。まあ、いい。皆殺しにしてやるぜ!

勝利条件 占星術士オーランを救助せよ
READY!

【オーラン死亡時】

占星術士オーラン
「しまった……! ち、義父上……。

GAME OVER

CONGRATULATIONS!
THIS OPERATION IS COMPLETED!

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占星術士オーランとの出会い

『占星術士オーランとの出会い』
 王都ルザリアへの途上、炭鉱都市ゴルランドで盗賊に襲われていた一人の若者を救出した。オーラン・デュライと名乗ったその占星術士は何故かラムザ・ベオルブの名に反応する。
 同行の申し出を丁重に辞退したオーランは、再びの出会いを匂わせ去っていった。

剣士ラムザ
「大丈夫かい?

占星術士オーラン
「ありがとう。きみたちのおかげで助かったよ。
「オレの名はオーラン。オーラン・デュライだ。きみは?

剣士ラムザ
「ラムザ・ベオルブだ。

占星術士オーラン
「!!

剣士ラムザ
「どうかしたかい?

占星術士オーラン
「いや、なんでもない。気にしないでくれ。
「それより、きみたちはこれからどこへ行くんだい?

剣士ラムザ
「王都ルザリアだ。…きみも王都かい? よかったら僕らが一緒に行くけど?

占星術士オーラン
「それは残念、逆方向なんだ。気持ちだけもらっておくよ。

剣士ラムザ
「そうか…。じゃ、気をつけて。

占星術士オーラン
「ああ、そっちこそ。

 (オーランが手をさしだす。二人は握手を交わす。オーランが去りかけて振り返る)

占星術士オーラン
「機会があったら、また会おう。それまで死ぬなよ。

剣士ラムザ
「あ、ああ…。

 (オーランが去る)

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ザルバッグとの再会

『ザルバッグとの再会』
 王都ルザリアで次兄ザルバッグに再会し、戦乱を裏で操る者の存在を説くラムザ。
 しかしザルバッグはその言葉に耳を貸さず、王女誘拐に関する長兄ダイスダーグの不正を告発する弟を、逆に厳しく非難する。
 そこへ南天騎士団の“雷神シド”がドグーラ峠を突破したとの報が入った…。

 (ザルバッグの執務室?)

聖騎士ザルバッグ
「…どうした、座らないのか?

聖騎士ザルバッグ
「驚いたぞ。おまえがルザリアに来ているとは思わなかった…。
「アルマもここに来ている。会っていくといい…。

剣士ラムザ
「…兄さん。

聖騎士ザルバッグ
「なんだ?

剣士ラムザ
「戦いをやめることはできませんか?

聖騎士ザルバッグ
「…何をばかなことを!

剣士ラムザ
「この戦いにどんな意味があるっていうんですか?
「ベオルブ家は王家を守るために戦うのではなく、民を守るために戦ってきました。
「なのに今は、私利私欲のために戦っている…。

聖騎士ザルバッグ
「おまえに何がわかるというのだ!

剣士ラムザ
「兄さんこそ何もわかっていない!
「この争いは誰かが企んだもの! ラーグ公とゴルターナ公は何者かに利用されているんだ!!

聖騎士ザルバッグ
「…利用されているだと? いったいおまえは何を言っている?

剣士ラムザ
「僕にもよくわからない…。
「ただ、ダイスダーグ兄さんがゴルターナ公を摂政にさせないために王女誘拐の狂言を仕組んだとき、
「暗殺されるはずだったオヴェリア様をゴルターナ公のもとへ連れ去った奴らがいるんです。
「もし、あのとき暗殺されていたら、ゴルターナ公は王家に逆らう国賊として誅伐されていたでしょう。

 (ザルバッグが椅子を蹴立てて立ち上がる)

聖騎士ザルバッグ
「兄上が王女誘拐の狂言を仕組んだだと?
「ラムザッ! おまえは、実の兄がそのような謀略を用いたというのかッ!

剣士ラムザ
「ザルバッグ兄さんは何もご存じないのですかッ!?

聖騎士ザルバッグ
「このたわけ者めッ!!
「おまえは肉親を信じることができないのかッ!!
「ええいッ! ここから立ち去れッ!! さっさとイグーロスへ戻るんだッ!!

剣士ラムザ
「兄さん、兄さんこそこの僕を信じてはくれないのですか!

聖騎士ザルバッグ
「勝手な行動ばかりとるおまえの何を信じろというのだ!
「腹は違えど同じ血を分けた兄弟と思い今日まで目をかけてきたが、所詮、下賎(げせん)の血は下賎。
「高貴なベオルブの名を継ぐには相応しくないということかッ!!

剣士ラムザ
「…兄さん。

 (騎士が駆け込んでくる)

北天騎士団騎士(男)
「たいへんです、将軍閣下!
「ドグーラ峠を雷神シドの軍勢に突破されたとの知らせがたった今、届きましたッ!!

聖騎士ザルバッグ
「なんだとッ!? ヤツはベスラではなかったのかッ!
「すぐに軍議を開くッ! 皆を集めよッ!! 私も行くッ!!

北天騎士団騎士
「ハッ!

 (騎士とザルバッグが出ていく)

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ルザリア城裏門

 (ラムザが門を開けて出ていこうとする)

アルマ
「ラムザ兄さん、待って!

 (アルマが追いかけてくる)

剣士ラムザ
「アルマ…。

アルマ
「黙って行くなんてひどいじゃない。

剣士ラムザ
「別れは…苦手なんだよ……。

アルマ
「もう戻らないのね…?

剣士ラムザ
「…ディリータが生きていたんだ。

アルマ
「え?

剣士ラムザ
「王女誘拐の実行犯の中にディリータがいたんだ。

アルマ
「どういうこと?

剣士ラムザ
「…最初は、僕らに復讐するためにゴルターナ軍に入ったと思ったけど
「もっと…そう、 何か厄介な奴らと行動を共にしているみたいだ…。
「暗殺されるはずだったオヴェリア様を助けたのは、ディリータの背後にいる奴らの思惑みたいだ…。

アルマ
「…ダイスダーグ兄さんが誘拐を仕組んだのは本当なの?

剣士ラムザ
「ああ、本当だよ。
「兄さんには兄さんなりの考えがあるのだろうけど、僕には納得できない……。

アルマ
「ティータは…ティータはやっぱり……?

剣士ラムザ
「ああ…。

剣士ラムザ
「アルマ、よく聞いてくれ。
「ディリータの背後にいる奴らが何者かはわからない。だが、奴らはとても危険だ。
「この戦乱を利用して何か邪悪なことを成し遂げようとしている…。

アルマ
「…ディリータも荷担しているの?

剣士ラムザ
「それはわからない…。
「ディリータにはディリータなりの思惑…というか、何か狙いのようなものがあるみたいだったけど……。

アルマ
「ラムザ兄さんはそうした人たちと戦おうというのね?

剣士ラムザ
「………。

アルマ
「私も一緒に行くわ。

剣士ラムザ
「何を言っているんだ!? ダメに決まっているだろ!!

アルマ
「兄さんの言っていることが本当だってことを証明したいのよ!

剣士ラムザ
「ダメだ、ダメだ。

アルマ
「私だって、ティータみたいなコを出したくないのよッ!!

剣士ラムザ
「アルマ……。

男の声(ザルモゥ)
「ラムザ・ベオルブだな?

 (ザルモゥと騎士たちが現れる)

僧侶らしき男(ザルモゥ)
「我が名はザルモゥ・ルスナーダ! 異端審問官である!
「ドラクロワ枢機卿殺害、及び邪教崇拝の容疑により、異端審問会への出頭を命ずる!
「このままおとなしく我々に従え! 抵抗する場合は、“異端者”としてこの場で処刑を執行するッ!

剣士ラムザ
「異端審問官!!

アルマ
「逃げて! 兄さん!!

異端審問官ザルモゥ
「そうはさせん! 行けッ! “異端者”を殺せッ!!

勝利条件 異端審問官ザルモゥを倒せ!
READY!

【ザルモゥHP半減時】

異端審問官ザルモゥ
「我々に刃向かうということは神を冒涜する行為に等しい!
「今からでも遅くはない! 悔い改めよ!! さすれば命だけは助けよう!!

剣士ラムザ
「なぜ、僕が“異端者”なんだ!! 僕は何もしていないッ!

異端審問官ザルモゥ
「シラをきるつもりかッ!
「聖石を邪神に捧げるためにドラクロワ枢機卿を殺害し、聖石を奪ったのは貴様であろう!

剣士ラムザ
「言いがかりも甚だしい!
「そもそも聖石は伝説と違い邪悪な力を有する“魔石”だった!
「しかも、枢機卿はその邪悪な力によって伝説の悪魔、ルカヴィになっていたんだぞ!!

異端審問官ザルモゥ
「この期に及んで、枢機卿の名誉まで傷つけようというのか!
「なんと嘆かわしい! ベオルブの名が泣くぞ!!

アルマ(次のターン)
「兄さん! 早く逃げてッ!!
「異端審問官に連れていかれた者は絶対に帰ってこれない!! 早く、早く逃げてッ!!

剣士ラムザ
「アルマこそ逃げるんだ!!
「このままでは、おまえまで“異端者”の烙印を押されてしまう! そうなる前に早く逃げるんだ!

アルマ
「そんなことできるわけないじゃない! 兄さんを置いて一人で逃げるなんて!

【ザルモゥ瀕死時】

異端審問官ザルモゥ
「神をも畏れぬ“異端者”めッ!! この借りは必ず返すぞッ!!

 (ザルモゥと敵部隊が姿を消す)

CONGRATULATIONS!
THIS OPERATION IS COMPLETED!

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端者”として

『“異端者”として』
 ルザリア城裏門で異端審問官ザルモゥを退けたラムザは“異端者”の宣告を受ける。
 教会に不審を抱くラムザ。
 再会した妹アルマから聖石『ヴァルゴ』がオーボンヌ修道院にあることを聞かされるが、“異端者”の身では修道院に入れない。止むを得ずアルマを伴うこととなった。

アルマ
「大丈夫、兄さん?

剣士ラムザ
「ああ…。お互い大丈夫なようだな。
「それにしてもあの審問官、どこで聖石のことを聞きつけたんだ?
「まさか…、ディリータの背後にいる奴らとはグレバドス教会なのでは…?
「でも、なぜ教会が…?

アルマ
「兄さん、聖石って、あの伝説に登場する聖石のこと?
「聖石って実在するものなの? だとしたら、私、見たことがあるかもしれない……。

剣士ラムザ
「なんだって!? いったいどこで?

アルマ
「その前に、私も一緒に連れていくって約束して!

 (ラムザが背を向ける)

剣士ラムザ
「まだ言っているのか。今みたいに目に遭うんだぞ!
「絶対に連れていくことはできない!

 (アルマも背を向け、腕を組む)

アルマ
「じゃ、私も教えてあげない!

剣士ラムザ
「子供みたいなことを言うなよ。命を失うかもしれないんだぞ!

アルマ
「もう遅いかもね。だって異端審問官に逆らったのよ。
「きっと私も“異端者”だわ。 兄さんと同じように追われる身ね。
「そうなったら、ダイスダーグ兄さんはベオルブ家を守るために私を見捨てるかもしれない…。

剣士ラムザ
「たしかに、ダイスダーグ兄さんならやりかねないな…。
「いや、ダメだ。 危険すぎる!
「理由をザルバッグ兄さんに説明して教会の許しをもらうんだ!

アルマ
「私が見たのはオーボンヌ修道院よ。
「そう、たしか…処女宮の紋章が刻まれたクリスタルだったわ。

剣士ラムザ
「ヴァルゴだ……。
「奴らの手に渡る前に……。
「ありがとう、話してくれて。さあ、おまえはザルバッグ兄さんのところへ戻るんだ!

アルマ
「どうやってオーボンヌ修道院に入るつもり?
「兄さんは“異端者”なのよ。グレバドス教の修道院に入れるわけないじゃない!

剣士ラムザ
「う……。

アルマ
「ね? 私が必要でしょ?

剣士ラムザ
「いいか、オーボンヌ修道院までだぞ。その後は必ず戻るんだ。

アルマ
「…いいわ。

剣士ラムザ
「絶対だぞ!

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シモンの告白

『シモンの告白』
 オーボンヌ修道院はすでに聖石を求める者たちの襲撃を受けていた。地下書庫に倒れていた神学者シモンは、戦乱の陰で聖石による“ゾディアックブレイブ”伝説の復活を狙うグレバドス教会・教皇フューネラルの謀略を告白する。
 ふたつの聖石と負傷したシモンをアルマに託しラムザは襲撃者の跡を追った…。

アルマ
「シモン先生ッ!!

アルマ
「先生、しっかりしてくださいッ!!

神学者シモン
「う…う…アルマ…様……何故……ここに?

アルマ
「いったいどうしたんですか? 何があったんですか?

神学者シモン
「こ…、ここは…危険です…。早くお逃げなさい…。
「やつらが…聖石を……聖石『ヴァルゴ』を奪いに……。

剣士ラムザ
「聖石!? アルマの言ったとおりだ…。

神学者シモン
「…あの聖石は王家に伝わる秘宝の一つ……。
「オヴェリア様をこの修道院に…お迎えした際…、王女の証にと王家よりお預かり…いたしました…。

剣士ラムザ
「奴らとはいったい? 聖石を狙う奴らとは何者なんですか?

神学者シモン
「…あなたは…アルマ様の兄君…ラムザ様ですね…?
「これ以上…、彼らに関わるのはおやめなさい……。命を失うことになる……。

男の声
「聖石はどこだッ!!

別の男の声
「あわてるなッ! 必ずあるはずだッ!! 探せッ!!

さらに別の男の声
「ここから地下へ降りれるようだ! 行くぞッ!!

剣士ラムザ
「僕は教会から“異端者”の汚名を受け命を狙われています。
「それも僕の持つ聖石のためですか? 教えてください。彼らはいったい何者なんですッ!?

神学者シモン
「…教皇フューネラルとその一派は失った教会の威信を取り戻すために
「まずはラーグ公とゴルターナ公を争わせ、軍事力を削ぎ落とそうとしています…。
「戦乱が長引けば軍事力を失わせるだけでなく、民からの王家に対する信用を落とすこともできるでしょう。

剣士ラムザ
「聖石を集め、伝説のゾディアックブレイブを復活させる真意は?

神学者シモン
「…むろん、民からの信望を集めるためです……。

剣士ラムザ
「だが、枢機卿はルカヴィとの融合を遂げていました。
「あれが聖石の力だとしたら騎士団に代わる恐ろしい軍事力になります。
「教皇が欲しているのはその力…?

神学者シモン
「あなたは、兄上たちとは違う…。亡きバルバネス様に似ている……。
「あなたなら……彼らの野望を打ち砕くことができるのかもしれない……。

剣士ラムザ
「おまえはここに残れ。僕は奴らを追う。

アルマ
「私も一緒に行くッ!

剣士ラムザ
「シモン殿を一人にしておけない。安全なところに隠れているんだ!

アルマ
「……わかったわ、そうする。

 (ラムザが二つの聖石を取り出し、アルマに手渡す)

剣士ラムザ
「もしもの時のために聖石を預けておく。
「僕が戻ってこなかったら必ずバグロスの海に捨てるんだ。いいな?

アルマ
「…こんな時に何もできないなんて本当に悔しい……。
「私も兄さんみたいに男に生まれたかった……。

剣士ラムザ
「…ばかだな。心の許せる肉親はアルマだけさ。

アルマ
「兄さん……。

剣士ラムザ
「シモン殿を頼んだぞ!

 (ラムザが降りていく)

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地下書庫 地下二階

神殿騎士イズルード
「おまえたちはここに残れ! いいな!

神殿騎士団魔道士(時魔道士・男)
「ハッ!

 (イズルードが地下三階に降りていく)

剣士ラムザ
「これ以上、奴らの好きにはさせない! 聖石を奴らの手に渡すなッ!!

勝利条件 すべての敵を倒せ!
READY!

【戦闘終了後】

神殿騎士イズルード(階下で)
「おおッ、これが聖石『ヴァルゴ』か! 美しいッ!!

剣士ラムザ
「地下か! 進むぞッ!!

CONGRATULATIONS!
THIS OPERATION IS COMPLETED!

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地下書庫 地下三階

神殿騎士イズルード
「ここを嗅ぎつけるとはな! …だが、ちょうどよかった。
「異端者ラムザよ、貴様の持っている聖石をこちらに渡してもらおうか!

剣士ラムザ
「残念だが、そうはいかない。そちらこそ聖石を置いていくんだ!
「おとなしく従うならば、このままきみたちを見逃すとしよう!

神殿騎士イズルード
「我々に勝てると思っているのか! ならば、力ずくで取り返すまで!!

勝利条件 神殿騎士イズルードを倒せ!
READY!

【イズルードHP減少時】

神殿騎士イズルード
「異端者ラムザよ、何故、貴様は我々に逆らうのだ!
「貴様はベオルブ家の人間でありながらダイスダーグやザルバッグに従おうとしない…。
「それは何故だ!!

剣士ラムザ
「僕はベオルブの人間だ! だからこそ兄さんたちには従えない!
「ベオルブの名は私利私欲のために使うものではない! 天が定める“正義”のために使うべき力!
「五十年戦争のとき、父上は鴎国の侵略から民を守るために戦い、そして死んでいった…。
「腐敗した王家の…、いや、貴族全体の利権を守るためだけにベオルブ家は戦ってはならないのだ!

神殿騎士イズルード
「ならば、我々と共に戦え! 目指すものは我々と同じはず!
「異端者ラムザよ、よく聞けッ!!
「我々グレバドス教会が理想とする世界は、身分の差など気にせずに皆が平等に暮らせる世界だ!
「それは聖アジョラが唱えた理想境にほかならない! それはすなわち“神の国”!
「民の心はすでに王家や貴族から離れている! それは貴様も十分承知のはず!
「今、我々が正しい道を示さなければイヴァリースは滅んでしまう!!

剣士ラムザ
「この戦乱を起こさせたのはおまえたちではないかッ!
「それが神の意志だとでもいうのかッ!

神殿騎士イズルード
「大きな変革のためにはある程度の犠牲も必要なのだ!
「腐りきった王家や貴族の豚どもはその罪を贖わねばならない!! それが民のためなのだッ!
「さあ、我々に協力しろ! かつて、おまえの友であったディリータがそうしたようにな!

剣士ラムザ(次のターン)
「民のためといえば聞こえはいいが、結局、おまえたちが欲しているのは
「騎士団を超えた強大な軍事力ではないか!
「聖石に秘められた恐るべき力で民を支配しようというのだろうッ! あの忌まわしき“悪魔の力”でッ!

神殿騎士イズルード
「“悪魔の力”だと? ばかな、聖石は“神器”だぞ!
「我々は神の奇跡によって民を導こうというのだ! けっして“悪魔の力”ではない!

剣士ラムザ
「枢機卿がルカヴィになったことを 知らないわけではないだろう?
「あれを“悪魔の力”と言わずして なんというッ!?

神殿騎士イズルード
「なんのことだか、さっぱりわからんな!
「聖石を奪うために貴様が枢機卿を殺害したのではないのか!?
「もっとも、枢機卿は我々に内緒で聖石を集めようとしていたからな、死んで当然だったよ!

【イズルード瀕死時】

神殿騎士イズルード
「くそッ!! 奴の強さを認めろというのかッ!!
「…ここで死ぬわけにいかない。聖石を持ち帰らねば……!
「異端者ラムザよ、おぼえておけ! 次に会ったときが貴様の最期だッ!!

 (イズルードと敵部隊が消える)

剣士ラムザ
「待てッ! イズルード!!

CONGRATULATIONS!
THIS OPERATION IS COMPLETED!

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地下書庫 地下一階

アルマ
「イヤッ、離してッ!!

神殿騎士ウィーグラフ
「イズルードよ、ここは私に任せろ! さっさとその娘を連れていけッ!!

神殿騎士イズルード
「さあ、こっちへ来るんだッ!!

アルマ
「助けてッ! ラムザ兄さんッ!!

 (アルマがイズルードに連れ去られる)

神殿騎士ウィーグラフ
「来たか、ラムザめ!
「よいか、子供だと思ってなめてかかると痛い目にあうぞ! 用心してかかれッ!!

勝利条件 神殿騎士ウィーグラフを倒せ!
READY!

神殿騎士ウィーグラフ
「…ミルウーダよ、今こそ、おまえの仇を討ってやるぞ!

 (ラムザのターン)

剣士ラムザ
「おまえはウィーグラフ!! 生きていたのか!!

神殿騎士ウィーグラフ
「久しぶりだな、ラムザ。また会えて嬉しいぞ!!

剣士ラムザ
「…理想の実現に燃えていた戦士が教会の犬に成り下がったか!

神殿騎士ウィーグラフ
「実現することの難しさを知らぬおまえに何がわかる?
「理想がどんなにすばらしいものでも実現されなければそれはただの夢にすぎない!
「では、どうやったら実現できる? この世の中、力がなければ何もできない!
「私はそれを悟った!! 力を持たぬ者は何をやっても夢を実現化することはできん!
「おまえには私が教会の犬に見えよう! なんとでも言え!! 私はいっこうに構わん!
「どんなに蔑まれようとも最後に笑うのは私だ!! 必ずおまえたちを屈服させてやる!

【ウィーグラフHP半減時】

剣士ラムザ
「…ウィーグラフ、あなたは悲しい人だ。
「たとえ、夢敗れても、人々はあなたのことを忘れなかったはずだ!
「あなたの思想や行動は人々の価値観に影響を与え、それは我々貴族の古い慣習にも一石を投じた!
「あなたは、あなたの考えで行動するところに意義があったのだ!
「ミルウーダやあなたの仲間だった人はたとえその選択しかなかったとしてもあなたの行動を残念に思うだろう。
「夢や理想は、誰かの手を借りて実現しても価値が半減してしまう! そうじゃないのか、ウィーグラフ!

神殿騎士ウィーグラフ
「ならば、おまえは違うとでも言うのか? おまえは独りで生きているとでも?
「“持たざる者”の気持ちなどおまえにわかろうはずもない!
「たとえ理屈でわかっていたとしてもおまえにはその実感がない! それがおまえの限界だ!
「“現実”はもっと厳しいものなのだ! おまえが考えている以上にな!
「おまえに責められる覚えはない! おまえたちに責められる理由など何もないのだッ!!

【ウィーグラフ戦闘不能時】

神殿騎士ウィーグラフ
「くぅ……! …だが、私は…負けぬ……!
「私は…『アリエス』を…持つゾディアックブレイブの……一員…! 負ける…わけには…いか…ぬ…!

 (ウィーグラフが姿を消す)

剣士ラムザ
「どこだッ! ウィーグラフッ!

CONGRATULATIONS!
THIS OPERATION IS COMPLETED!

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魔人ベリアス

『魔人ベリアス』
 聖石『ヴァルゴ』を奪った神殿騎士団はアルマまでも連れ去った。“力”を欲し騎士団の一員となっていたウィーグラフは死の間際、聖石『アリエス』と契約を結び伝説のルカヴィ・魔人ベリアスへと転生、姿を消す。
 神学者シモンは幻の書『ゲルモニーク聖典』をラムザに手渡し、息を引き取った…。

 (修道院の外)

 (イズルードがアルマを連れてチョコボに騎乗している。その傍らに重傷を負ったウィーグラフが倒れている)

神殿騎士イズルード
「大丈夫か、ウィーグラフ!!

神殿騎士ウィーグラフ
「わ…私に…構うな…ゆ…、行け……!

 (ラムザが出てくる)

剣士ラムザ
「アルマ!!

神殿騎士ウィーグラフ
「行け……イズルード……。

神殿騎士ウィーグラフ
「すまないッ、ウィーグラフ!!

 (イズルードがアルマを連れてチョコボで走り去る)

剣士ラムザ
「待てッ! イズルード!!

神殿騎士ウィーグラフ
「グホッ!

神殿騎士ウィーグラフ
「くそ………こんな……ところで…死ぬのか……
「ミルウーダの…仇も…討たずに…。このまま…死んでは……死んでいった仲間たちに…申し訳が立たん……。
「いやだ……死にたくない……。このままでは…あまりに……。

 (力尽きたウィーグラフの懐から聖石がころがり落ちる。と、その聖石が中空に浮かび輝きを放つ)

 聖石を持つ者よ…
 我と契約を結べ…

剣士ラムザ
「なんだ…? 聖石が…喋ったのか…?

 聖石を持つ者よ…
 我と契約を結べ…
 さすれば汝の魂は我が肉体と融合し
 永遠の生を得ることができよう…

神殿騎士ウィーグラフ
「これが……聖石の秘密……?

 汝の絶望と悲憤が我を喚びだした…
 さあ、我と契約を結べ…

剣士ラムザ
「ダメだッ! ウィーグラフ!! 聞いちゃいけないッ!!

神殿騎士ウィーグラフ
「助けて……くれ………

 (聖石が輝き、発せられた光がウィーグラフを包み込む)

 我が名は魔人ベリアス……
 汝の願いを聞き届けよう……

 (ウィーグラフが異形のものへと姿を変える)

魔人ベリアス
『これが聖石の力か……!

剣士ラムザ
「ウィーグラフ……!

魔人ベリアス
『ラムザ、素晴らしいぞ、この力は…!
『いや、力だけではない。時空を超えて幾百年分の知識が頭に刻み込まれていく……。

 (ラムザが剣を構える)

魔人ベリアス
『クククク……、あわてるな……楽しみは後にとっておけ……!

魔人ベリアス
『クククク……、素晴らしい……素晴らしい力だ……!

 (ベリアスが消える)

 (教会からシモンが出てくる)

剣士ラムザ
「シモン先生ッ!! しっかり…、しっかりしてください!

神学者シモン
「こ……これを………。

剣士ラムザ
「この本は?

神学者シモン
「これは…聖アジョラの弟子……ゲルモニークが記した本です……。
「長い間、行方不明…でしたが…私がここの地下書庫で…発見しました……
「ここにはゾディアックブレイブ伝説の真相が…詳細に…記されています…。

剣士ラムザ
「先生、もうしゃべらないで!

神学者シモン
「いいのです、もう……。
「私は罪深い男です……。教会の不正を知りながら……ただ黙って傍観していました…。
「この本さえあれば…教会の不正を…暴く…ことができる!
「この本を利用して……アルマ様を……取り戻すのです……。

剣士ラムザ
「先生ッ!!

神学者シモン
「ふぅ……これで楽になれる……。
「あとは……頼みましたよ……、ラムザ様……。
「あ……あなたは……若い頃の……バルバネス様に……ほ…本当に…そっくり……だ……。

剣士ラムザ
「シモン先生ーッ!!

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ゲルモニーク聖典

『ゲルモニーク聖典』
 聖アジョラの弟子・ゲルモニークが記した聖アジョラの活動記録ともいうべき書物。幻の書物といわれていた。

…僕はシモン先生から委ねられた『ゲルモニーク聖典』を手にとりページをめくった…。
文章は古代神聖語で書かれている。
ところどころに挿し絵があるが、中身の破損が激しく文字の判別も難しい。
いったいこの本には何が書かれているのだろうか?

そのとき、慣れ親しんだ畏国語の文字が僕の目に飛び込んできた。
ところどころに、畏国語による注釈が書き加えられていたのだ。
いったい誰が?

注釈に使われたインクからすると、古いものは十数年前、新しいものは数日前に書かれたようだ。
指で触ってみると、少しにじむ。やはり、インクが完全に乾いていない。
文字の筆跡は同一人物。つまり、シモン先生が十数年の歳月をかけて少しずつ、少しずつ解読していたのだ。

…断片的な注釈を頼りに読み進めてみた。

…どうやらこの本は聖アジョラの弟子、ゲルモニークが書き記したものらしい…。
ゲルモニーク…?
どこかで聞いたことがある…。歴史の授業で習ったはずだ…。

そうだ、思い出した。
ゲルモニークといえば、師である聖アジョラを裏切り、神聖ユードラ帝国に聖アジョラを売り渡した裏切りの使徒…。
そのゲルモニークの書き記した書物がこの世に残っていたなんて、これはすごい!

…興奮する自分を抑えながら頁をめくる。
しかし、歴史的遺産を手にした興奮をはるかに上回るような衝撃が僕を襲った。

この本は、聖アジョラの語った言葉をゲルモニークがまとめたものと僕は考えていた。
しかし、その考えは甘かった。
これは聖アジョラの活動の記録…、
しかも、僕らが知っている聖アジョラとは違う一人の人間としてのアジョラの行動が記されていたのだ…。

そもそも聖アジョラは人間ではない。
僕は兄・ザルバッグほど敬虔(けいけん)なグレバドス教信者ではないが、聖アジョラは、混乱した人間界を救おうと神の国より遣わされた“神の御子”であると信じている。
いや、信じていた…。
そう…、この本を読むまでは…。

…かつて、何艘もの飛空艇が大空を飛び、天を埋め尽くしていた黄金の時代…。

ルザリアのベルベニアに生まれた聖アジョラは生まれるとすぐに立ち上がり、井戸まで歩くと、
「この井戸はもうすぐ災いがふりかかる。今のうちに封印し、人が飲まぬようにしなければならない。」
と予言したという…。

数日後、ベルベニアを黒死病が襲い、汚染された井戸水を飲んだ人々は次々に病に倒れて死んだ…。
しかし、聖アジョラの言葉を信じた家族だけは病にかからずに生き延びることができた。
以後、聖アジョラは“奇跡の子”“神の御子”と崇められることになった。

そんな聖アジョラが“救世主”となり、“神の一員”として天に召されることになったのは、二十歳のときだ…。

イヴァリースが現在のように統一される遥か昔、
この地はゼルテニア、フォボハム、ライオネル、ランベリー、ルザリア、ガリオンヌ、ミュロンドの7つの小国に分かれており、それぞれ自国の版図を広げようといつ終わるともしれない争いを続けていた…。

数百年続いた争いの中、ミュロンドに一人の野心溢れる若き王が誕生した。
若き王はイヴァリース全土を手中に収めるべく大軍を率いて戦ったが、勝利への道は険しく厳しかった。
そこで、王は古文書より解読した秘法を用いて魔界より魔神を召喚し、その力を利用しようとした。
しかし、地上に降臨した魔神は王を殺すと、世界を滅ぼそうとした…。

勇者は魔神に対抗すべく、
十二人の使徒とともに世界に散らばった“ゾディアックストーン”を集め、ゾディアックブレイブを復活させた。
彼らはまたたくまに悪魔たちを倒すとついに魔神を魔界へ戻すことに成功した。
こうして彼らは“世界の救世主”となった。

ここまでが有名なゾディアックブレイブの伝説だ。
ゾディアックブレイブたちはその後も世界に危機が訪れるとそれに対抗すべく忽然と姿を現し、忽然と消えていった。

聖アジョラの生きていた時代にも似たような危機が訪れた。
イヴァリースの覇権を狙うランベリーの王が魔神を召喚し世界に混乱を招いた。
聖アジョラは伝説と同様に十二個の聖石を集めるとゾディアックブレイブを結成し、魔神を倒したのである。

しかし、いつの世にも執政者にとって“英雄”ほど邪魔な存在はいない…。

神の国の到来を説く聖アジョラの台頭を恐れた神聖ユードラ帝国はその一派を捕らえるために挙兵した。
当時、もっとも大きな宗教であったファラ教の司祭たちは聖アジョラの力を恐れたのだ。
結局、金に目のくらんだ十三番目の使徒・ゲルモニークの密告によって聖アジョラは捕らえられ、
ゴルゴラルダ処刑場で処刑された。

しかし、聖アジョラは“神の御子”…、
神の怒りがファラ教の司祭たちを襲った。
処刑の直後、ファラ教の本拠地ミュロンドは天変地異により海中に没したのである。

…こうして、聖アジョラは“神の御子”として天界に迎えられ、“神の一員”になったのである…。

ここまでが僕の知っている…いや、畏国に住む者ならば誰もが知っている聖アジョラの“神話”だ。
だが、この『ゲルモニーク聖典』に書かれているせいアジョラはまったくの別人であった……。

アジョラは“神の御子”などではない。
僕たちと同じただの人間だ。
野望を抱き、おのが夢の実現のために戦った革命家なのである。
しかも、彼は平和を愛し、他人のために命を賭して戦うような勇者ではなかった。

…ゲルモニークの記したところによるとこうである。

新興宗教の教祖として信者を増やしていたアジョラは、当然のように、帝国にとってはただの厄介者でしかなかった。
しかし、アジョラはそうした宗教家としての“顔”だけではなかったようだ。
敵国に侵入し情報収集と撹乱を行う工作員。
帝国と敵対する国家の間者(スパイ)だったのだ。

とにかく、帝国はアジョラを恐れた。
帝国はアジョラが間者である証拠を掴むためにゲルモニークを送り込んだ。
そう…、ゲルモニークもまた、アジョラの動向を探るために帝国から送りこまれた工作員だったのだ。

…アジョラがゾディアックブレイブを再結成しようとしていたのは事実らしい。
実際に聖石を数個、発見したことをゲルモニークは確認している。
だが、再結成に何の意味があるのか?

若きランベリー王が本当に魔神を召喚したのかどうか、僕にはわからない…。
少なくともこの本にはそうした記録が1行たりとも記録されていないらしい。
ただし、アジョラの死とほぼ同時期にミュロンドを天変地異が襲い、
ミュロンドの大半が海中に没したのは事実であった…。

ここで、僕は注釈とは別の、
おそらくシモン先生の個人的な考えであろう記述に興味を引かれた…。
“これまで、その存在が語られていたにも拘わらず、
 誰の目にも触れることのなかった幻の書『ゲルモニーク聖典』…。
 この本が真実を語っているのか、
 それとも聖アジョラの偉業を貶めるために捏造されたのか、
 その真偽を私は知っている…。”

“私がかつて異端審問官として教会の仕事に従事していた際、
 多くの異端審問官たちはこの本が世に出ることを恐れていた。
 それは教皇も同じ思いであっただろう。
 なぜならば、この本が語っていることはすべて『真実』だからである…。”

“逆にいえば、聖アジョラの死後、
 彼の偉業を利用し権力を手にしてきた教会がなさねばならぬことはただ一つ、
 聖アジョラを神格化し、神と一体化させることであった。
 それには都合の悪い点を歴史に残してはならない。
 聖アジョラは『神の御子』でなければならないのだ…。”

“そのために、畏国で幅広く信仰されているゾディアックブレイブの伝説を利用したのは賢い手段であった。
 ありもしない魔神を倒したのは聖アジョラ率いるゾディアックブレイブだと民衆に信じ込ませることは簡単だ…。”

“私がこの本を手にしたとき、私は信仰を失ったことに気付いた。
 だが、悲しくはない…。
 何故なら、真実を追求しようとする好奇心がすでに私の心を支配していたからだ…。”

“だが、同時に私は罪も犯した。
 教会が民衆に対して嘘を吐いているにも拘わらず、
 それを糾弾する気が起きないからだ。
 それは何故か?
 もし、私がこの本を世に出したら、私はこの書庫を取り上げられてしまうだろう…。”

“私にとって、
 私の知識欲を満足させるこの書庫を取り上げられることほどの苦痛はない。
 私は、私の好奇心に負けたのである…。”

シモン先生は“ありもしない魔神”と語った…。
だが、聖石の邪悪な力を目の当たりにした僕は教皇の企みとは別の、
邪悪な何者かの思惑を感じていた…。

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貿易都市ドーター

 (ラムザが歩いてくる。その前にマラークが立ちふさがる)

異国の風貌を持つ魔道士(マラーク)
「異端者ラムザだな?

剣士ラムザ
「…アルマはどこだ?

異国の風貌を持つ魔道士(マラーク)
「妹を返して欲しければリオファネス城まで来い。
「ただし、修道院で手に入れた『ゲルモニーク聖典』を持ってくることが条件だ。

剣士ラムザ
「あんな古文書にどんな意味がある?

異国の風貌を持つ魔道士(マラーク)
「『ゲルモニーク聖典』を読んでいないわけではないんだろ?

【選択】
1.読んだ。
2.読んでいない。

1.読んだ。

剣士ラムザ
「…教会の不正を暴かれたくなかったらアルマを返せッ!

異国の風貌を持つ魔道士(マラーク)
「おまえは条件を出せる立場にいない。選択する余地はないんだ。

 (ラムザがうつむく)

異国の風貌を持つ魔道士(マラーク)
「確かに伝えたぞ。

 (マラークが去ってゆく)

2.読んでいない。

剣士ラムザ
「…いや、まだ読んでいない。重要な文書らしいな…?

異国の風貌を持つ魔道士(マラーク)
「お気楽な奴だ。
「ただでさえ、命を狙われているというのに、持っている文書の重要さすら認識していないとはな…。

 (ラムザがうつむく)

異国の風貌を持つ魔道士(マラーク)
「まぁ、いい。…確かに伝えたぞ。

 (マラークが去ってゆく)

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オヴェリアとディリータ

『オヴェリアとディリータ』
 ゼルテニア城。ゴルターナ公の意志により女王の座に即位したオヴェリアは、偽りの生を生かされてきた事実に深く傷ついていた。
 悲嘆に暮れる女王にディリータは、利用されることのない人生と新しい王国を約束する。次第にディリータに心を開き始めるオヴェリア…。

ゼルテニア城の教会跡

 (オヴェリアが座っている。そこへディリータが歩いてくる)

騎士ディリータ
「…こんなところにいたのか、皆が捜していたぞ。

騎士ディリータ
「なんだ、元気がないな。
「おっと、こんな口の利き方は失礼なのかな。
「女王陛下におわしましては御機嫌も麗しく存じ……

女王オヴェリア
「やめてッ!!

女王オヴェリア
「……お願い、やめて。

騎士ディリータ
「…悪かったよ。すまない。

女王オヴェリア
「…貴方たちは私をどうしようというの?
「私はオヴェリアじゃないのよ。貴方たちにとって 何の価値もないはず。
「そう…、私には生きる価値なんてない……。

 (オヴェリアが顔を伏せる。ディリータは後ろを向く)

騎士ディリータ
「そうだな、たしかにおまえはオヴェリアじゃない。
「それどころか、本当の名前すらわからない。貴族なのか平民なのかも不明だ…。

女王オヴェリア
「…私の生きてきたこれまでの時間はいったい何だったの?
「王女の身代わりとして育てられ生きてきた……。
「ふふふ…、おかしなものね。
「王女なのに王都から離れた修道院で一生ひっそりと暮らさなければならないなんて…、
「どうして、私だけがそんな風に生きなければならないんだろうって、ずっと考えていた…。
「でも、私一人が我慢することで畏国の平和が続くならそれでもいいって思ってたわ。
「あの悲しみ、あの寂しさ…、いったい何だったの?

騎士ディリータ
「おまえはオレと同じだ…。
「偽りの身分を与えられ生きてきた哀れな人間だ…。
「いつも誰かに利用され続ける。
「努力すれば報われる? そんなのウソだ。
「努力しないでも、それに近いヤツだけが報われるのが世の中の構造だ。
「多くの人間は与えられた役割を演ずるしかない…。
「…もっとも、大半の人間は演じていることすら気付いていないけどな。
「オレはそんなのまっぴらゴメンだ。オレは利用されない。利用する側にまわってやる!
「オレを利用してきたヤツらにそれ相応の償いをさせてやる!

女王オヴェリア
「貴方は何をしようというの?

騎士ディリータ
「オレを信用しろ、オヴェリア。
「おまえに相応しい王国を用意してやる! オレがつくってやる!
「おまえの人生が光り輝くものになるようオレが導いてやろう!

 (ディリータがオヴェリアのもとに歩み寄り、肩に手を置く)

騎士ディリータ
「だから…、そんな風に泣くのはよせ。

女王オヴェリア
「信じていいの……?

騎士ディリータ
「オレはおまえを裏切ったりはしない。
「死んだ妹…、ティータに誓おう…。
「だから、もう、泣くな…。

 (オヴェリアがしがみつく。それをディリータが抱きしめる)

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グローグの丘

南天騎士団脱走兵(見習い戦士・男)
「くそッ、ここまで逃げてきたのに追撃部隊と遭遇するなんて!!

剣士ラムザ
「南天騎士団の斥侯か!?

南天騎士団脱走兵
「もう戦争はたくさんだ! オレたちは故郷へ帰りたいんだ!
「どんなに貧乏でも泥にまみれて暮らしていた方がいいに決まっている!
「もう人殺しはたくさんだ! 故郷へ戻って家族と一緒に暮らしたいッ!!

剣士ラムザ
「待ってくれ! 僕らはきみたちを追いかけているわけじゃない!
「きみたちと戦う意志はない! 勘違いしないでくれ!!

南天騎士団脱走兵
「ウソをつくなッ! 信じられるものかッ!!
「そうやってオレたちを安心させておきその隙に殺すつもりだろッ! その手にのるものかッ!

南天騎士団脱走兵(アイテム士・男)
「お、おい! あいつ…、手配書で見たヤツだ!

南天騎士団脱走兵(見習い戦士)
「なに? …だから何だというんだ!?

南天騎士団脱走兵(アイテム士)
「間違いない! あいつは“異端者”だぜ!
「あいつを捕まえて戻れば脱走を許してくれるんじゃないのか?

南天騎士団脱走兵(見習い戦士)
「おまえ…、 騎士団に戻るつもりなのか?

南天騎士団脱走兵(アイテム士)
「“異端者”の首は敵将の首に匹敵する手柄なんだぜ!
「あいつの首を手みやげに持ち帰れば、恩賞として除隊させてくれるんじゃないかな?

南天騎士団脱走兵(見習い戦士)
「たしかに、敵将の首と引き替えに除隊を許されたやつらがいたな…。

南天騎士団脱走兵(アイテム士)
「どうせなら、大手を振って故郷に帰るんだ!
「このまま故郷に帰っても脱走兵として命を狙われながら暮らさなくちゃいけないからな!

南天騎士団脱走兵(見習い戦士)
「おまえの言うことはもっともだ! よし、あいつを捕まえよう!
「いや、殺したって構わない! どうせ“異端者”なんだからな! 遅かれ早かれ処刑されるんだ!
「あいつを殺すだけで、オレたちは故郷へ戻れるんだ!! これが最後の戦いだ!!

勝利条件 すべての敵を倒せ!
READY!

【戦闘終了後】

剣士ラムザ
「…自分の命が大切なのはわかる。わかるけど…、そういうものなのか!

CONGRATULATIONS!
THIS OPERATION IS COMPLETED!

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雷神シドの息子

『雷神シドの息子』
 雨にぬれるグローグの丘で、占星術士オーランが再びラムザの前に姿を見せた。
 南天騎士団将軍・オルランドゥ伯の義理の息子にあたるオーランもまた、聖石を求める教皇の陰謀を知る者の一人であった。オーランの言葉は、戦乱の流れを変えられず自分の無力さに苦悩するラムザを勇気づける。

剣士ラムザ
「…父さん、父さんならどうしたんだろう……。

 (何者かの一団がやってくる物音がする)

剣士ラムザ
「きみは……。

 (チョコボにまたがったオーランと騎士4人がやってくる)

占星術士オーラン
「また会ったな。

剣士ラムザ
「黒獅子の紋章…きみは南天騎士団の人間だったのか。

占星術士オーラン
「きみが脱走兵を片付けてくれたのか。
「ベオルブ家の人間が我々に手を貸してくれるとは思わなかったよ。

剣士ラムザ
「…好きで彼らと戦ったわけじゃない。

占星術士オーラン
「わかっているさ。きみが望んで戦うはずがない。そうだろ?
「僕らも同じさ。好きで脱走兵を追っているわけじゃないんだ。わかるだろ?

剣士ラムザ
「きみは僕のことを知っていたんだな…。

占星術士オーラン
「ああ、手配書の中にきみの名前と似顔絵があったよ。
「しかも第一級の“異端者”だ。…いったい何をしでかしたんだい?

剣士ラムザ
「……僕を捕らえるのか?

占星術士オーラン
「どうして、そんなマネをしなけりゃいけないんだ?
「僕らの任務は脱走兵を捕らえることで肉親に追われているきみを捕らえることじゃない…。
「後ろの連中がきみの首を欲しいと言い出す前に、さっさと行くんだな。

 (ラムザが去りかけて、振り返る)

剣士ラムザ
「…なぜ、きみたちは戦いを続けるんだ?

占星術士オーラン
「きみの兄さんが剣を僕らに突きつけている限り、戦いは続く…。

剣士ラムザ
「ラーグ公が剣を引けばゴルターナ公も引くのか?

占星術士オーラン
「……いや、それはないだろう。

剣士ラムザ
「南天騎士団の将軍オルランドゥ伯に会う機会があるなら伝えてくれ。
「ラーグ公とゴルターナ公を煽り“利”を得ようとする奴らがいる。
「僕らは奴らの手の中で踊っているにすぎないってね。…倒すべき相手はそいつらだ。

占星術士オーラン
「なぜ、オルランドゥ伯なんだ?

剣士ラムザ
「父上が言っていた…。友と呼べる人は彼だけだったと。

占星術士オーラン
「オルランドゥ伯は僕の義父だ。伝えておこう…。

剣士ラムザ
「信じてくれるのか?

占星術士オーラン
「奴らがなぜ聖石を集めようとしているのかは知らない。
「それが民のために役立つことなら僕らは口出しするつもりはない。
「ただし、おのれの“利”のためだけに伝説を利用しようとしているのなら義父は黙っていないだろう。
「“雷神シド”の名にかけて誅伐することを約束するだろう。

剣士ラムザ
「きみたちは教皇の陰謀に気付いているのか!?

占星術士オーラン
「証拠をつかんでいるわけじゃない。
「僕らも内偵を進めているが、むしろ、きみの方が 詳しいんじゃないのかい?

剣士ラムザ
「陰謀の証拠をつかめば戦いをやめてくれるのか?

占星術士オーラン
「証拠でもあるのか?

剣士ラムザ
「ここに『ゲルモニーク………いや、なんでもない。

占星術士オーラン
「…戦いが終わるかどうかなんて誰にもわからない。
「だが、義父は必ず剣を引くに違いない…。

南天騎士団騎士(男)
「オーラン様、参りましょう!

占星術士オーラン
「わかった、今、行く!

占星術士オーラン
「お別れだ、ラムザ。死ぬなよ。

 (オーランが途中で立ち止まる)

占星術士オーラン
「ラムザ、 きみは独りじゃない!
「きみには仲間がいる! 命を賭して戦ってくれる仲間がいる!
「僕もその仲間の一人だッ!

 (オーランたちの一隊が去る)

剣士ラムザ
「…ありがとう、オーラン。

 (ラムザはリオファネス城の方へと歩き始める)

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城塞都市ヤードー

異国の風貌を持つ魔道士(マラーク)
「自分が何を言っているのかわかっているのか、ラファ!!

ラファと呼ばれた魔道士
「兄さんこそ、わかっていない!
「私たちは道具じゃない! 人殺しの道具じゃないのよ!
「あそこにいたら死ぬまで私たちは“道具”として扱われることになるのよ!
「ね、行こう、マラーク兄さん。一緒に逃げよう!

マラークと呼ばれた魔道士
「戦争で親を失ったオレたち兄妹が生きてこれたのは誰のおかげだ!
「あのとき拾われていなかったらオレたちはきっと野垂れ死んでいただろう…。
「大公殿下はオレたちを可愛がってくれた…。その恩を仇で返すつもりか!!

ラファと呼ばれた魔道士
「兄さんは騙されているのよ!
「…私は聞いてしまった。戦火に乗じて村を焼き払ったのはバリンテン大公なのよ!
「何故だと思う? あいつは私たち一族だけが知っている一子相伝の秘術を手に入れるため、
「私が受け継いだ天道術と兄さんの天冥術、この二つの術を手に入れるため村を焼いたのよ!
「私たちの父さんや母さんを殺した張本人はあいつなのよッ!! 目を覚まして兄さんッ!!

 (マラークがラファの頬を叩く)

天冥士マラーク
「バカなことを言うなッ!!

天道士ラファ
「…兄さんだって知っているでしょ?
「私があいつに何をされたか…!
「知っているクセにッ!!

天冥士マラーク
「それ以上言うな! それ以上言うと、オレはおまえを…!

 (リオファネス軍忍者が現れる)

リオファネス軍忍者
「こんなところにいたのか、マラーク。そろそろヤツがやって来るぞ。

 (その他のリオファネスの部隊も配置につく)

天冥士マラーク
「わかっている。準備は万全だ…。

天道士ラファ
「兄さん……。

リオファネス軍忍者
「来たぞ! 異端者ラムザだ!

 (ラファがラムザたちの方に駆け寄る)

天冥士マラーク
「ラファ!!

天道士ラファ
「助けてッ!!

勝利条件 天道士ラファを救助せよ
READY!

剣士ラムザ
「おまえはあの時のッ!
「…リオファネス城で待っているんじゃなかったのかッ!!

天冥士マラーク
「あれは大公殿下の言葉を伝えたまでのこと!
「おまえごとき剣士など神殿騎士団の力を借りなくとも倒せることを証明してやる!!

 (次のターン)

リオファネス軍忍者
「マラーク、いったいこれはどういうことだ!?
「ラファはオレたちを裏切ったのか!?

天冥士マラーク
「ラファのことは気にするな! 妹の始末はこのオレがつける!!
「おまえはラムザを殺すことだけ考えていればいい!

リオファネス軍忍者
「しかし、大公殿下にはどう説明するつもりだッ!?

天冥士マラーク
「余計なことを考えるなと言っているだろ!
「ラファのことを大公殿下に一言でも喋ってみろ! 二度とその口で息を吸えないようにしてやるッ!

剣士ラムザ
「妹だと? 妹を殺すというのか!?

【マラーク瀕死時】

天冥士マラーク
「チッ、退散しなければならないなんて!

 (マラークが戦闘から離脱)

【ラファ死亡時・マラークがいる場合】

天道士ラファ
「に……、兄さん……。

天冥士マラーク
「クッ…!!

GAME OVER

【ラファ死亡時・マラークがすでに退却している場合】

天道士ラファ
「に…、兄さん……、助けて……。

GAME OVER

【戦闘終了時】

剣士ラムザ
「大丈夫かい?

天道士ラファ
「え、ええ…。ありがとう…。わ、私は……。

剣士ラムザ
「奴らが戻ってきたら厄介だ! とにかく今は身を隠そう!

CONGRATULATIONS!
THIS OPERATION IS COMPLETED!

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天道士ラファ

『天道士ラファ』
 城塞都市ヤードーで救出された少女・天道士ラファは、戦乱に乗じ畏国王の座を狙うフォボハム領主・バリンテン大公の野心と非道を語った。
 しかし、未だ大公に服従を誓うラファの兄・天冥士マラークはアルマの身柄と引き替えにラファとラムザの出頭を要求する…。

 (ヤードーの武器庫)

天道士ラファ
「バリンテン大公の狙いはただ一つ、畏国王の座よ。
「“武器王”と異名をとるほどの強力な兵器を開発したり、数多くの魔道士を育成したりするのもそのためなの。

剣士ラムザ
「王家と血縁関係にある大公殿下をそそのかす奴らがいるんだよ。
「ラーグ公とゴルターナ公を亡き者にし摂政の座を大公殿下に、そのお膳立てをする…という奴がね。

天道士ラファ
「なぜ、あなたは“異端者”の汚名まで受けて戦うの?
「ううん、もちろん理由を知っている。でも、やつらを倒したとしても誰にも感謝されないわ。

剣士ラムザ
「僕は誰かに感謝されるために戦っているわけじゃない。
「ベオルブの名を継ぐ者である以上、自分の名誉と誇りのために戦っている…。

天道士ラファ
「それはウソね…。あなたはそんな人じゃない。
「あなたは目の前で繰り広げられている不正や悪事を見捨てておけないだけ。そこに代償なんて求めない…。

剣士ラムザ
「それは買いかぶりすぎだよ。僕はそんなに立派な人間じゃない。
「…それより、きみはどうする? 僕は妹のアルマを助けるためにリオファネス城へ行かねばならない。
「でも、きみはやっとの思いで逃げ出してきたんだろう?

天道士ラファ
「兄さんを連れ出さなきゃ……。

剣士ラムザ
「…どうして、彼ときみが争っているんだ…?

天道士ラファ
「私たちは五十年戦争で親や住む処を失った戦争孤児なの…。
「今でも忘れない…。死臭のただようガレキの山の中を、食べ物を求めてさまよい歩いたあの日々を…。
「そんな私たち兄妹を拾って育ててくれたのがバリンテン大公。神様って本当にいるんだと思ったわ。

剣士ラムザ
「大公殿下は戦争孤児のために孤児院など数多く建設されている。
「その裏側で“才”を持った子供をプロの暗殺者に仕立て上げるために英才教育をほどこす…。
「それがきみたちというわけか…。

天道士ラファ
「私たちガルテナーハ一族には一子相伝の“秘術”があるのよ…。
「私が受け継いだ天道術と兄さんの天冥術…、この二つの術はどの魔法体系とも異なる技…。
「あいつはそれが欲しかった。だけど、一族の長老は協力を拒んだ。だから、あいつは村を焼いた…。
「自分のものにならないのならいっそのことこの世から消してしまおう…そう考えたのね。
「戦争孤児たちの中に私たち兄妹を見つけた時、あいつは心の底から喜んだでしょうね。

剣士ラムザ
「その事実に気付いたきみは逃げようとしたってわけか…。

天道士ラファ
「そんなことを知らない私と兄さんは本当の父親のように慕ったわ。
「それなのに……!!

剣士ラムザ
「…………。

マラークの声
「こんなところに潜んでいたのか…!

天道士ラファ
「マラーク兄さん!

 (カエルが現れる)

マラークの声
「聞けッ、異端者ラムザよ! リオファネス城へ急げ!
「さもなくば、おまえは物言わぬ屍(しかばね)となった妹と対面することになるぞ!

剣士ラムザ
「アルマに指一本でも触れてみろ! ただではおかないぞ!

マラークの声
「ラファよ、おまえも一緒に来るのだ!
「もし、従わぬ場合はおまえのせいでラムザの妹が死ぬことになる!!

天道士ラファ
「卑怯よ、兄さん! 彼らとは関係ないじゃないッ!!

マラークの声
「これは警告ではなく命令だ! わかったな!!

 (カエルが爆発する)

天道士ラファ
「行きましょう、ラムザ!

剣士ラムザ
「すまない、ラファ。僕らのために…。

天道士ラファ
「あなたが謝ることじゃないわ。気にしないで。

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ユーグォの森

 (アンデッドたちが行く手を遮っている)

天道士ラファ
「五十年戦争で命を失った者たちが未だ成仏できないようね…。
「現世に残した未練と共にもう一度、黄泉の国へ戻りなさい!!

勝利条件 すべての敵を倒せ!
READY!

【戦闘終了後】

剣士ラムザ
「死霊の森か…、二度と足を踏み入れたくはないな…。

CONGRATULATIONS!
THIS OPERATION IS COMPLETED!

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バリンテン大公の野望

『バリンテン大公の野望』
 リオファネス城執務室に神殿騎士団を迎えたバリンテン大公は取引を持ちかける。神殿騎士イズルードから強奪した聖石『タウロス』と『スコーピオ』、そして『ゲルモニーク聖典』の所在を武器に、教会の後ろ盾を得ようというのだ。
 だが、ヴォルマルフは大公の申し出を断ると、その無礼な言いぐさに怒りをあらわにする…。

 (執務室)

バリンテン大公
「ようこそ参られた。我が城はいかがですかな?
「ルザリア城と比べるといささか無骨な造りとなっていますが私は気に入っている…。
「統治のために建設された平城とは違い戦争のために造られたこの城の方がよほど美しい…。
「イヴァリースは常に“力”を持つ者によって統治されてきました。
「このたびの戦乱はひとえに王家がその“力”を失ったことの証でしょう。

神殿騎士ヴォルマルフ
「…用件を伺いましょう。

バリンテン大公
「…せっかちですな。

バリンテン大公
「単刀直入に申しましょう…、手を結びませんか?

神殿騎士ヴォルマルフ
「…どういう意味ですかな?

バリンテン大公
「今、申したとおり、イヴァリースを支配する者は“力”を持つ者です。
「では、今、“力”を持つ者とは誰なのか? 北天騎士団を持つラーグ公?
「それとも南天騎士団を持つゴルターナ公ですか?
「いや、それは、ゾディアックストーンを持つあなたたち神殿騎士団です…。

神殿騎士ヴォルマルフ
「!!

バリンテン大公
「聖石は、それ一つで大いなる魔力を備えていると聞きます。
「いにしえの伝説によると、かつてミュロンドを襲った天変地異も聖石によるものとか…。

神殿騎士ヴォルマルフ
「ハハハハハ…。…いや、失礼。
「それにしても、大公殿下ともあろうお方がそのようなおとぎ話を信じているとは思いませんでしたな。

バリンテン大公
「おや…、では、あなたたちは 信じていない…?
「それは変ですね…。ライオネル城の枢機卿が亡くなったのも聖石をめぐるトラブルと聞きますが?

神殿騎士ヴォルマルフ
「…さて、枢機卿は病死なさったと聞いておりますが…。

バリンテン大公
「では、あのベオルブ家の末弟を追っているのは何故ですか?
「わざわざ“異端者”にまで仕立てあげて追いかけ回す理由は何ですか?

神殿騎士ヴォルマルフ
「異端審問会の者どもの決めた事などに神殿騎士団は関知しておりませぬ。

バリンテン大公
「おやおや…、あくまでも知らないと申されるのですね…。
「しかし、これならどうですかな…?
「マラークを呼べッ!!

 (マラークがイズルードを連れて入ってくる)

神殿騎士イズルード
「ち、父上、申し訳ございません。

神殿騎士ヴォルマルフ
「…く、そういうことか。

バリンテン大公
「『スコーピオ』と『タウロス』は我々が預かっています。

神殿騎士ヴォルマルフ
「この愚か者めッ!!

 (ヴォルマルフがイズルードを一打ちする)

リオファネス軍騎士(男)
「失礼いたします! 例の者の侵入を確認致しました!

バリンテン大公
「マラーク、おまえに任せよう。

 (報告に来た騎士とマラークが部屋を出る)

神殿騎士ヴォルマルフ
「望みはなんだ?

バリンテン大公
「はじめに申したとおりです。我々も力を貸したいのですよ。

神殿騎士ヴォルマルフ
「…断ると言ったら?

バリンテン大公
「教会の不正を世間に暴くだけのこと。

神殿騎士ヴォルマルフ
「聖石だけでは何の証拠にもならぬ。

バリンテン大公
「たしかにそのとおりですね。
「だが、『ゲルモニーク聖典』ならどうでしょう?
「あれならば、ラーグ公も、ゴルターナ公も、元老院の方々も興味を示すでしょうね…。

神殿騎士ヴォルマルフ
「…どこにある?

バリンテン大公
「さて…。それを教えるわけには参りません。

神殿騎士ヴォルマルフ
「ウィーグラフ、今の魔道士を追え。ここは私が始末する…。

 (ウィーグラフが出ていく)

バリンテン大公
「おかしなマネはおやめなさい! あなたたちに勝ち目はありませんよ!

神殿騎士ヴォルマルフ
「勝ち目だと…?
「おまえたち脆弱な人間どもに何ができるというのだ…!

神殿騎士イズルード
「父上…?

神殿騎士ヴォルマルフ
「我々をなめるなよ、バリンテン…。貴様を殺すことなど容易いのだぞ…。

バリンテン大公
「刃向かう気かッ!?

 (リオファネス軍の騎士たちがヴォルマルフを取り囲む)

神殿騎士ヴォルマルフ
「戦おうというのか…? いいだろう。貴様に聖石の力を見せてやる!

 (ヴォルマルフの持つ聖石が輝き出す。バリンテン大公が部屋から逃げ出す)

 (悲鳴)

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リオファネス城城門前

天道士ラファ
「兄さん、お願い、もうやめよう! 一緒に行こう! ね?

天冥士マラーク
「裏切り者がどうなるか、おまえも知っているはずだ!
「仲間だった者たちに追われ、追いつめられ、最後には殺される!
「たとえ、この場を逃れたとしても一生、怯えながら暮らさなきゃいけないんだ。
「オレはそんな生活なんかまっぴらご免だッ!
「だが、この仕事を無事にクリアすればオレたち兄妹を解放してくれると大公殿下は約束してくれたんだ!

天道士ラファ
「兄さんはあいつの言葉を信用するっていうの!?
「ウソよ! ウソに決まっているわ! ここで逃げなきゃ一生奴隷のままよ!

天冥士マラーク
「オレは大公殿下の言葉を信じるッ!
「そいつを殺し、『ゲルモニーク聖典』さえ奪えば、オレたちは自由になるんだ!!

勝利条件 すべての敵を倒せ!
READY!

剣士ラムザ
「アルマはどこだ!

天冥士マラーク
「妹のことが心配か? そうだろうな。
「おまえがおとなしく『ゲルモニーク聖典』さえ渡すなら命だけは助けてやるぞ!

天道士ラファ
「ラムザ、信じてはだめ!
「マラーク兄さんがそう言っても用済みになればあいつはあなたたち兄妹を殺すわ!
「『ゲルモニーク聖典』を手渡したら最後よ!
「その本を持っている限り、妹さんは安全だわ!

【マラーク瀕死時】

天冥士マラーク
「く…、強い……。やはりオレの力では勝てんのか…!

 (マラークが戦闘から離脱)

天道士ラファ
「兄さんッ! 逃げる気!?

 (ラファもそれを追って離脱)

【ラファ瀕死時】

天道士ラファ
「たしかに、兄さんの言うとおりだわ。逃げても意味ないわ。
「この手できちんと過去と決別しなければ……!

 (ラファが戦闘から離脱)

天冥士マラーク
「待てッ! ラファ! 何をする気だッ!?

 (マラークも戦闘を離脱)

【戦闘終了後】

 (轟音と閃光が響く。門が開き、瀕死の騎士が出てきて力尽き倒れる)

リオファネス軍騎士(男)
「た…、助けて……。ば、ばけものが………。

剣士ラムザ
「ラファ…、アルマ……。無事でいてくれ……。

CONGRATULATIONS!
THIS OPERATION IS COMPLETED!

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脱出するアルマ

『脱出するアルマ』
 リオファネス城に監禁されたアルマはひとり、兄・ラムザを想っていた…。
 突如、静寂を打ち破る悲鳴。驚くアルマの前に現れたリオファネス軍騎士は、恐怖に怯える言葉を残し絶命する。騎士の冥福を祈ったアルマは恐る恐る扉の外へ足を踏み出した…。

 (リオファネス城の牢屋?)

アルマ(心の内で)
「兄さん……。

 (断末魔の叫び)

アルマ
「え!?

 (殺戮の物音と絶叫。扉が開き、負傷した騎士がよろめきながら入ってくる)

アルマ
「……ひどい怪我!

リオファネス軍騎士(男)
「う……う……た…助けて………あんな……バケモノが………

アルマ
「しっかり…、しっかりして!!

リオファネス軍騎士
「に……げろ………ここ…は…危険………だ………

 (騎士が果てる。外では殺戮が続いている。アルマは決心したように外へ出ていく)

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リオファネス城城内

 (辺りにリオファネス軍騎士たちの死体が横たわっている)

剣士ラムザ
「これはいったい…?

神殿騎士ウィーグラフ
「来たか…、ラムザ。

神殿騎士ウィーグラフ
「さあ、剣を抜け、ラムザ。

神殿騎士ウィーグラフ
「どうした、抜かないのか? …ならば、こちらから行くぞ。

剣士ラムザ
「哀れだ…。あなたは本当に哀れな人だ…。
「ルカヴィに魂を売ってまで復讐を果たしたいとは…。
「ミルウーダが知ったらさぞかし嘆き哀しむことだろう…。

神殿騎士ウィーグラフ
「復讐だと? クククク…、そんなことはどうでもいい…。
「私の望みはそんな小さなものではない…。ミルウーダの仇などどうでもよい。
「私が望むのはこの世に“混沌”をもたらすこと…。そう…、脆弱な人間どもの悲鳴を聞くことだ…。
「だが、安心しろ、ラムザ。貴様だけは特別にこの私が殺してやる!

勝利条件 神殿騎士ウィーグラフを倒せ!
READY!

【ウィーグラフHP半減時】

剣士ラムザ
「聖石は悪魔の石…、ゾディアックブレイブは悪魔の騎士団…。
「僕らが信じてきた伝説はすべて嘘だった…!

神殿騎士ウィーグラフ
「ククク…、所詮、“神の奇跡”などそんなものだ…。
「その時々の執政者たちが自分の都合の良いように歴史を改ざんしているだけ。
「だがな、その行為のどこに問題があるというのだ? 彼らが責められる理由は何もない。
「なぜなら“神の奇跡”を望むのはいつでも民衆だ。
「何もせず、文句ばかり言い、努力はせず、他人の足を引っ張る…それが民衆というもの…。
「そうした民衆が望むものを執政者たちが用意する…。歴史などその繰り返しにすぎん。
「たしかに施政者たちはそうした民衆の弱い心を利用していたかもしれん…。
「だが、民衆もまた、利用されることに満足しているのだ…。
「“神”なんぞ、人間のもっとも弱い心が生み出したただの虚像にすぎん…。
「それに気付いていながら その“ぬるま湯”に甘んじている奴らがいけないのだよ…。

剣士ラムザ
「人間としてのその弱い心を克服せずに聖石の奇跡に頼る貴様は何なんだ?

神殿騎士ウィーグラフ
「弱い人間だからこそ“神の奇跡”にすがるのさ…。
「おまえこそ、自分が本当に強い人間と自信を持って言い切れるのか?

剣士ラムザ
「努力はしている!

神殿騎士ウィーグラフ
「ならば、その努力ももうおしまいだなッ!

【ウィーグラフ瀕死時】

神殿騎士ウィーグラフ
「く……、強くなったな……。

 (ウィーグラフが姿を消す)

剣士ラムザ
「逃げるのかッ! ウィーグラフ!!

剣士ラムザ
「出てこいッ! ウィーグラフ!!

 (ウィーグラフが姿を現す)

神殿騎士ウィーグラフ
「ここで決着をつけよう…。

 (ウィーグラフがルカヴィへと姿を変える)

魔人ベリアス
『待たせたな…。

 (ラムザの仲間のアタックチームが登場)

魔人ベリアス
『仲間を呼んだか…。ならば、こちらも呼ぶとしようか。
『出よ、我が忠実なるしもべたちよ!

 (アルケオデーモンが3体現れる)

魔人ベリアス
「さあ、行くぞ、ラムザ! おまえに魔界の力を見せてやろうッ!

勝利条件 魔人ベリアスを倒せ!
READY!

【ベリアス死亡時】

魔人ベリアス
『うおおおおおおッ!! ばかな…、たかが人間ごときに…!

 (ベリアスが消滅し聖石が残る。どこかで女の悲鳴があがる)

剣士ラムザ
「アルマ!!

CONGRATULATIONS!
THIS OPERATION IS COMPLETED!

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惨劇の痕

『惨劇の痕』
 リオファネス城内の惨劇に言葉を失うアルマ。執務室でアルマは臨終の神殿騎士イズルードから聖石『パイシーズ』を受け取る。
 そこへ現れたヴォルマルフがアルマに迫った時聖石『ヴァルゴ』が激しく輝きだす。それを見たヴォルマルフは、抵抗するアルマを何処かへと連れ去った…。

 (リオファネス城執務室)

 (殺戮の惨状にアルマは呆然とする)

神殿騎士イズルード
「……う、……うう。

アルマ
「しっかりして。

神殿騎士イズルード
「……け、剣はどこだ……? どこにある……?
「あいつを…倒さなければ……。お願いだ……明かりをくれ……真っ暗で…何も見えない………。

アルマ
「…もう大丈夫よ。戦わなくてもいいわ…。安心して…。

神殿騎士イズルード
「……きみの兄貴…に…伝えてくれ…やはり…聖石は…“悪魔の力”…
「父は…、あいつは…父上じゃない…聖石の力によって……ルカヴィに……。ゲホッ!!

アルマ
「お願い、もう喋らないで…。

神殿騎士イズルード
「ラムザの…言っていたことは…正しかった…。
「あいつを…倒さなければ……世界は…滅ぶぞ……
「皆に…伝えて……くれ……戦争なんて…やってる場合じゃない…協力して…立ち向かわないと……
「け、剣はどこだ……! くそ……腕が……動かない……

アルマ
「大丈夫よ、安心して。大広間に『あいつ』の死体があったわ。
「兄さんが倒したのよ。だから大丈夫。あなたが戦う必要はないの…。

神殿騎士イズルード
「本当か……? そうか……なら、安心だ……
「オレの……上着の中に……聖石がある……それを…きみの兄貴に……

 (アルマがイズルードの着衣から聖石を取り出す)

アルマ
「必ず兄さんに渡すわ。

神殿騎士イズルード
「頼んだぞ………。
「……ふぅ、………疲れた…眠い………少し眠るよ……。

 (イズルードが息絶える)

「誰だ、そこにいるのは…?

 (ヴォルマルフが入ってくる)

神殿騎士ヴォルマルフ
「そこにいたのか。貴様もあの世へ送ってやろう。

神殿騎士ヴォルマルフ
「怖がらなくともよい。苦しまずに殺してやるから…。

 (断末魔の絶叫)

神殿騎士ヴォルマルフ
「なんだと…、ベリアスがやられたのか……?

神殿騎士ヴォルマルフ
「貴様の兄はずいぶんと悪運が強いようだな……。

神殿騎士ヴォルマルフ
「さあ、こっちへ来るんだ……。

 (ヴォルマルフがアルマに近づいた刹那、ヴォルマルフの持つ聖石が光を放つ)

神殿騎士ヴォルマルフ
「なぜだ…、なぜ、ヴァルゴが反応するのだ……?
「まさか……、貴様は……。

神殿騎士ヴォルマルフ
「これはいい! 思いがけぬ処で出会うとは…!
「あと百年は必要だと思ったぞ!! まさか、貴様がそうだったとはな…!

アルマ
「やめてッ!! 離してッ!!

神殿騎士ヴォルマルフ
「安心しろ、命を奪ったりはせん。さあ、来るんだ!!

 (ヴォルマルフがアルマを気絶させ共に姿を消す。後にはイズルードが託した聖石のみが転げ落ちて残る)

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リオファネス城屋上

バリンテン大公
「この痴れ者め! 恩を仇で返すとはこのことだッ!
「おまえが生きていられるのは誰のおかげだと思う! わしだ、わしのおかげだ!
「わしがおまえをあのガレキの山から救い出したのだッ! その恩を忘れたかッ!

天道士ラファ
「恩を仇で返すだって? 村を焼いたのはおまえではないか!
「父さんや母さんを殺したのはバリンテン…、おまえだ!
「恩を仇で返す? 違う…、これは正当な復讐だ!

バリンテン大公
「復讐だと? おまえにわしを殺せるのか?
「わしはおまえの父親だぞ? おまえを育てたのはこのわしだ! その父を殺そうというのか?
「さあ、殺してみるがいい!

 (躊躇うラファ)

バリンテン大公
「ククク…、殺せはしまい…。何故、殺せないかわかるか?
「それはおまえの身体が覚えているのだ…。恐怖をな…。
「だが、安心しろ…、次第に恐怖が恐怖でなくなるよ。クックックック。

天冥士マラーク
「その話は本当なのかッ!!

 (マラークが現れる)

天冥士マラーク
「…今の話は本当なのか?

バリンテン大公
「おまえまでわしに刃向かおうというのか…?
「なんと恩知らずな奴らなのだ!

天道士ラファ
「殺してやるーッ!!

天冥士マラーク
「やめろ! ラファ!!

 (マラークが身を挺してラファを守り、バリンテン大公の銃弾に倒れる)

天道士ラファ
「兄さんッ!!

天道士ラファ
「兄さん! しかっりして! 兄さんーッ!!

剣士ラムザ
「ラファ! マラーク!!

バリンテン大公
「おまえがラムザか。…動くなよ。
「さあ、ラファ、マラークを助けたかったら聖石をこちらへ持ってこい。
「マラークが持っているはずだ。捜して持ってくるんだ!

 (ラファがマラークの服から聖石を見つける。と、バリンテン大公の背後に人影が現れる)

バリンテン大公
「そうだ、それを持ってくるんだ!
「早くしろ! ………!!

 (バリンテン大公が振り向く。そこに立っている人物(レディ)が大公をつかみ上げる)

バリンテン大公
「グァッ!!

 (バリンテン大公が屋根から放り投げられる。絶叫が響く)

低い男の声(エルムドア侯爵)
「…その聖石をこちらに渡してもらえないかな?

剣士ラムザ
「あ、あなたは…、エルムドア侯爵…。なぜ、こんなところに…?

 (ラファが聖石を懐にしまい込む)

エルムドア侯爵
「そうではない…。こちらに渡すんだ……。

剣士ラムザ
「ラファ! 気をつけろッ!! そいつらは人間じゃないッ!!

エルムドア侯爵
「…きみが異端者ラムザか。
「…きみには礼を言っていなかったな。いつぞやは世話になった。ありがとう…。
「私はヴォルマルフのように手荒なマネをしたくはないのだよ。その辺りをわかって欲しい…。
「さあ、おとなしく聖石を渡してもらおうか?
「そうしてくれたなら、ヴォルマルフに彼が連れ去ったきみの妹を返してくれるよう頼んであげよう。

剣士ラムザ
「アルマを!? どこだ、返せッ!!

エルムドア侯爵
「私の話を聞いていないのか? まずは聖石が先だよ…。

剣士ラムザ
「……だめだ、渡してはならない。

エルムドア侯爵
「妹を見殺しにするのかね?
「きみは妹を助けるために危険を承知でこの城へ乗り込んで来たのではなかったのかな…?

剣士ラムザ
「……………。

エルムドア侯爵
「いいだろう…。手荒なマネをしたくはなかったのだが。
「セリア、レディ、行くぞ…! 聖石はそこの娘が持っている…。聖石を取り戻すのだ…!

勝利条件 天道士ラファを護れ!
READY!

【ラファ死亡時】

天道士ラファ
「兄さん……、マラーク兄さん……。

剣士ラムザ
「ラファーッ!!

GAME OVER

【エルムドア・セリア・レディ瀕死時】

エルムドア侯爵
「…なるほど、キュクレインやベリアスがやられるわけだ…。
「セリア、レディ、今夜は引き上げるぞ!
「異端者ラムザよ、我が聖石が欲しくば、ランベリー城へ来るがいい!
「待っているぞ…!

 (エルムドア侯爵、セリア、レディたちが消える)

天道士ラファ
「兄さん……。

CONGRATULATIONS!
THIS OPERATION IS COMPLETED!

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もうひとつの力

『もうひとつの力』
 妹をかばいバリンテン大公の凶弾に倒れた天冥士マラーク。兄の遺骸を前に泣き崩れる天道士ラファの胸で聖石『スコーピオ』が光を放つ。神殿騎士ウィーグラフ転生の記憶に、ルカヴィ出現の危険を予感するラムザ。
 しかし聖石の輝きはルカヴィを召喚することなく、マラークの魂を地上に呼び戻した。

天道士ラファ
「兄さん……、ほら、夜が明けたよ。
「よく夜が明けるまでいろんなことを話したよね…。
「旅行したかったな…。ほら、よく話したじゃない。
「戦争が終わって平和になったら私たちガルテナーハ一族の故郷へ行ってみたいって…。
「ねぇ、覚えてる? ねぇ、兄さん…、なんとか言ってよ。兄さん……。

剣士ラムザ(心の内で)
「アルマ……。

 (聖石が音を発し始める)

天道士ラファ
「……なに、これ?

 (ラファが聖石を取り出す。聖石が光る)

剣士ラムザ
「まさか……、ラファの心に反応しているのか……?
「マラークの死を悲しむ心……
「ウィーグラフの絶望と悲憤がベリアスを呼んだ……。
「だとしたら……!

天道士ラファ
「おまえも、悲しんでくれるの…? ありがとう……。

剣士ラムザ
「違う…、ラファ…、それは……。

 (聖石から光が発せられる。マラークに天空から光が降りそそぐ)

剣士ラムザ
「…え?

天冥士マラーク
「う……、う……。

天道士マラーク
「に、兄さんッ!!

天冥士マラーク
「ラファ……? ここは……? オレはいったい……?

天道士ラファ
「兄さん…、兄さん…、兄さん…。よかった……。

天冥士マラーク
「痛いよ……、ラファ……。あはははは……。

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偽らざる心

『偽らざる心』
 リオファネス城内にアルマの姿はなく、惨劇の執務室には聖石『パイシーズ』だけが残されたいた。「聖石の力は、それを使う者の心次第…」 マラークがつぶやく。拾い上げた聖石を握りしめ、ラムザは妹アルマを想う。
 畏国全土に拡大した戦乱は新たな局面を迎えようとしていた…。

 (惨状のリオファネス城執務室)

天冥士マラーク(文字のみ。下の情景とかぶる)
『誰かに喚ばれたんだ…。わからない、聞いたこともない声だったよ…。

天冥士マラーク
『正しき心を持つ者のもとへ戻れ…、その声はそう言ってた……。

剣士ラムザ
「聖石がこんなところに……?

 (ラムザが『パイシーズ』を拾い、傍らに横たわるイズルードの遺体を見る)

剣士ラムザ(文字のみ)
『聖石は神が創ったものではなくもっと邪悪な…、そう…、ルカヴィがこの世界へ出現するために創ったものだと思っていた…。

天冥士マラーク
『誰が創ったのか知らないが要は “使う側”の問題ということか…。

剣士ラムザ
「アルマ……。

膠着状態に業をにやした北天騎士団は
拡大した前線に配置された
騎士団をも動員して
ベスラ要塞の攻略を
実行しようとしていた…。

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