Chapter2THE MANIPULATOR & THE SUBSERVIENT
利用する者される者

Contents
『オヴェリア追跡』 貿易都市ドーター アラグアイの森 ゼイレキレの滝 『ディリータとの再会』 城塞都市ザランダ 『機工士』 『オヴェリアの不安』 バリアスの丘 『ダイスダーグの奸計』 『ドラクロワ枢機卿と聖石』 ツィゴリス湿原 機工都市ゴーグ ゴーグのスラム街 『聖石に群がる者ども』 『ベスロディオ救出』 『ディリータの忠告』 『枢機卿の怒り』 バリアスの谷 ゴルゴラルダ処刑場 『利用する者される者』 ライオネル城城門前 ライオネル城城内 『獅子戦争勃発』 Chapter 3

オヴェリア追跡

『オヴェリア追跡』
 豪雨の中、騎士アグリアスはオヴェリアを取り戻すため、王女を誘拐したゴルターナ軍を追跡することを決意した。ゴルターナ軍の中にジークデン砦で死んだはずの親友、ディリータの姿を見たラムザも追跡に加わった…。

 (襲撃直後の礼拝堂前)

剣士ガフガリオン
「なンだ、ラムザ、さらっていった奴を知っているのか?

剣士ラムザ
「…………。

 (礼拝堂からアグリアスが出てくる)

騎士アグリアス
「オヴェリア様を連れているのだ、そう遠くへは行けないだろう。

剣士ガフガリオン
「追いかけるつもりか?

騎士アグリアス
「当然だ! このままでは王家に対して顔向けができん!

剣士ガフガリオン
「おれたちは手伝わンぞ。契約外だからな!

騎士アグリアス
「正式な騎士でもない輩の手助けなどこちらから断る!
「自分の失敗は自分の力で補うのが騎士というもの。これは我々護衛隊の役目だ!
「行くぞ、ラヴィアン、アリシア!

 (礼拝堂から神学者シモンが出てくる)

騎士アグリアス
「大丈夫ですか、シモン殿!

神学者シモン
「…姫は、姫はどうなされた?

 (アグリアスが首を振る)

騎士アグリアス
「申し訳ございませぬ。オヴェリア様は必ず私が…!

神学者シモン
「い、いかん…、それでは…アグリアス殿が……。

騎士アグリアス
「心配召されるな。騎士の名誉にかけてお助けすることを誓いますッ!

剣士ラムザ
「僕も、僕も行きます! 足手まといにはなりません!

剣士ガフガリオン
「何を言ってンだ! オレたちには関係ねぇことなンだぞ!

剣士ラムザ
「確かめなきゃいけないんだ! この目で確かめなきゃいけないんだ!

剣士ガフガリオン
「…さっきの小僧か?

 (ラムザがうなずく)

剣士ガフガリオン
「チッ、仕方ねぇなぁ。どうなっても知らンぞ、オレは…!

利用する者される者
CHAPTER2 THE MANIPULATOR & THE SUBSERVIENT

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貿易都市ドーター

騎士らしき男(ヴォルマルフ)
「…首ひとつにつき500ギル出そう。それでどうだ?

傭兵(シーフ・男)
「ダメだ。話にならん。2000だ。首ひとつ2000だ。

騎士らしき男
「貴様たちを“異端者”にするのは簡単なことなんだぞ。

傭兵
「オレたちを脅す気か? …1000ギルでどうだ?

騎士らしき男
「700だ。それ以上は出せん。

 (傭兵は少し考えるようにして、ヤレヤレというように手を広げる)

傭兵
「わかったよ。それで手を打とう。

騎士らしき男
「よし。やつらはすぐにやってくる。一人残らず殺すんだ。いいな。

 (ラムザたちがやって来た物音がする)

騎士らしき男
「フン。噂をすればなんとやらか…。
「よし、やつらがターゲットだ。 しっかりやるんだぞ!

 (ヴォルマルフが立ち去る)

 (傭兵がラムザたちのやって来た方を見やり、驚き目をみはって帽子を地べたに叩きつける)

傭兵
「あいつはガフガリオンじゃねぇか! くそッ! 700じゃ少なすぎだぜ!

 (傭兵が口笛を吹き、仲間を集める)

剣士ガフガリオン
「チッ、待ち伏せか! ご苦労なこったぜ!!

騎士アグリアス
「嫌なら帰ってもよいのだぞ。

剣士ガフガリオン
「金にならンことはしない主義なンだが ま、これはサービスだな!

騎士アグリアス
「恩着せがましいことを!

勝利条件 すべての敵を倒せ!
READY!

【戦闘終了後】

騎士アグリアス
「こんなところで時間を費やしている場合ではない…
「早くオヴェリア様をお助けせねば…。

剣士ガフガリオン
「どこへ行こうっていうンだ。どこへ逃げたかわからンだろうが?

騎士アグリアス
「奴らが逃げるところは1ケ所だけだ。あそこに決まっている!
「難攻不落の要塞…、ベスラ要塞だ。

剣士ラムザ
「ベスラ要塞……。

CONGRATULATIONS!
THIS OPERATION IS COMPLETED!

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アラグアイの森

ブラックゴブリン
「ゴブゴブ! ゴブゴブゴブッ!!

チョコボ(ボコ)
「ク、クェ〜ッ!!

 (ゴブリンたちの一匹がラムザたちに気づく)

ゴブリン
「ゴブゴブーッ!!

 (チョコボ、ゴブリンたちがそちらへ振り返る)

騎士アグリアス
「こんなところにチョコボが!

剣士ガフガリオン
「ゴブリンの森に迷い込むとはマヌケなチョコボだぜ!

【選択】
1.早く森を抜けなければ…。
2.大事な戦力になるかも?

1.早く森を抜けなければ…。

剣士ラムザ
「こんなところで無駄な時間を費やすわけにはいかない。
「早く森を抜けなければ…。

剣士ガフガリオン
「まったくそのとおりだ。金にならんことはするもんじゃない。

騎士アグリアス
「可哀想だが、今はオヴェリア様をお救いするのが先決だ。すまない。

勝利条件 すべての敵を倒せ!
READY!

【ボコが戦闘不能になった時】

チョコボ
「ク…クェ〜ッ!!

2.大事な戦力になるかも?

剣士ラムザ
「飼い慣らされたチョコボより野生のチョコボの方が強いって、
「以前、ディリータが言ってたっけ。大事な戦力になるかも?

剣士ガフガリオン
「助けるつもりか、ラムザ? 金にはならんぞ!

騎士アグリアス
「オヴェリア様をお救いするのに役立つかもしれないが……。

勝利条件 チョコボを救助せよ
READY!

【ボコが戦闘不能になった時】

チョコボ
「ク…クェ〜ッ!!

剣士ラムザ
「しまった!!

GAME OVER

【戦闘終了後・共通】

チョコボ
「ク…クェ〜ッ!!

剣士ラムザ
「無事なようだな。

剣士ガフガリオン
「よかったな、おまえ。ラムザに感謝しろよ。

CONGRATULATIONS!
THIS OPERATION IS COMPLETED!

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ゼイレキレの滝

北天騎士団騎士(男)
「もう、あとがないぞ! 観念するんだな!
「おとなしく王女を引き渡すんだ。そうすれば、おまえの命だけは助けてやろう!

騎士ディリータ
「白々しいウソを! おまえたちの目的は王女の生命だろ?
「王女を殺害したとき、その真相を知るオレを、このまま生かして帰したりはしないはず!

北天騎士団騎士
「何をバカなことを! 我々は王女を助けに来たのだ!
「何故、王女の生命を奪わねばならん? 貴様たちゴルターナ軍に王女を渡すわけにはいかんのだよ!

 (オヴェリアが後ずさる)

 (ラムザたちがやって来る)

騎士アグリアス
「オヴェリア様ーッ!!

王女オヴェリア
「アグリアス!!

北天騎士団騎士
「チッ! 余計な連中がやってきたか!
「ガフガリオン! そいつらを殺せッ!! 一気にカタをつけるぞッ!!

剣士ガフガリオン
「どういうことか、よくわからンが、これも契約だ。仕方ないな!

騎士アグリアス
「ガフガリオン、貴様、裏切る気かッ!!

剣士ガフガリオン
「裏切る? とンでもない。こいつらはホンモノさ。
「オレたちの仕事は、お姫さまが“無事に”誘拐されるようにすることだ。
「そして、こいつらの任務は誘拐したやつらを口封じのためにここで始末することなのさ!

騎士アグリアス
「どういうことだ?? 誘拐が狂言だとでもいうのか??

剣士ガフガリオン
「邪魔なンだよ、そのお姫さまはな!
「正統の後継者はオリナス王子だけでいいんだ。お姫さまが生きていると担ぎ出すヤツがあらわれるからな!

 (ディリータがちらりとラムザたちの方を見やって)

騎士ディリータ
「どうせ殺すことになるのなら役に立ってもらおう…。
「ゴルターナ軍に誘拐されたことにしてそのまま殺してしまえば、邪魔なライバルを失脚させることができ、
「邪魔なお姫さまも処分できる…。ラーグ公が書いたシナリオはそんなところだろう。
「…いや、そのシナリオを書いたのはきっとダイスダーグだな。
「ラムザ おまえもそう思うだろ?

剣士ガフガリオン
「そういうわけだ、ラムザ。こいつらを皆殺しにするぞ!

剣士ラムザ
「また、力の弱い者を犠牲にしようというのか……。
「…そんなことを許しはしない! これ以上、ティータのような犠牲者を出してはいけないんだッ!!

勝利条件 王女オヴェリアを死守せよ!
READY!

 (ラムザのターン)

剣士ラムザ
「ディリータ! 生きていたのか、ディリータ!

騎士ディリータ
「こんなところで再会するとはな! あいかわらず兄キたちの言いなりか?

剣士ラムザ
「ばかな! 僕は何も知らない! こんな計画なんて知りもしない!
「それより、ディリータ、きみこそ兄さんたちの計画に荷担しているのか!?

騎士ディリータ
「冗談を言うな! オレはお姫さまを助けにきたのさ!
「お姫さまを利用しようというやつらの手から、お姫さまを自由にするためにな!!

剣士ガフガリオン
「ウソを言うンじゃねぇ! おまえも雇われたンだろ?
「金のために王女誘拐という仕事を請け負ったンだろ! 今さらシラを切るンじゃねぇッ!!

騎士ディリータ
「貴様と一緒にするな! 金のためにやっているわけではない!

剣士ガフガリオン
「じゃ、誰だ? オレの仕事を邪魔するヤツは?
「計画をかぎつけたガキが正義感に駆られて王女を救出に来たとでもいうのかッ!?
「おまえは誰に雇われている? 誰からこの計画を聞いた? 言えッ!

騎士ディリータ
「それは貴様の知るところではない!

 (オヴェリアのターン)

王女オヴェリア
「貴方は何者なの? 味方、それとも敵?

騎士ディリータ
「あなたと同じ人間さ!

 (アグリアスのターン)

騎士アグリアス
「オヴェリア様ッ! 今、お助けいたしますッ!!

剣士ガフガリオン
「そうはさせるか!

騎士アグリアス
「自分が何をしようとしているのか 貴様はわかっているのかッ!?
「オヴェリア様は養女といえども王家の血筋。そのような方を貴様は手にかけようというのだぞッ!

剣士ガフガリオン
「ああ、わかっているさ! よぉく、わかっているとも!
「王女といえども邪魔なら排除される! それが頂点に立つ“王家の血筋”ってヤツなンだろ?

騎士アグリアス
「貴様ッ、オヴェリア様を愚弄するか!

剣士ガフガリオン
「邪魔なら殺される…、オレたち平民と変わらんってことさ!
「違うのは、おまえのような頭の固いヤツらが何も考えずに忠誠を誓うってことぐらいか!!
「生きていたって、頂点に立たない限り利用されるだけなンだ。だったら今、殺された方がマシだぜッ!

騎士アグリアス
「ならば、私が護ってみせる!!

 (次のラムザのターン)

剣士ラムザ
「あなたはこの計画を知っていたのか! 何故、こんな汚い仕事をッ!!

剣士ガフガリオン
「汚いだと!? 金を稼ぐのに奇麗もクソもあるか!
「オレはプロの傭兵なンだぞ! 請け負った仕事はどんな内容でもやり遂げる、それがプロってもンだ!

剣士ラムザ
「何故、僕に話してくれなかった! どうしてッ!!

剣士ガフガリオン
「話したらどうした? オレを止めたか?
「オレたちがやらなくても誰かがこの仕事を請け負うンだ! わかるか!
「おまえの知らないところで誰かが死ぬンだ! それが現実だ!
「おまえは、おまえの知らないところで起きていることを止められるとでもいうのか!?

剣士ラムザ
「しかし…、しかし、こんなこと、許されるっていうのか!

剣士ガフガリオン
「“しかし”って言うンじゃねぇ!
「おまえは“現実”から 目を背け、逃げているだけの子供なンだよ!
「それがイヤなら自分の足で誰にも頼らずに歩けッ! 独りで生きてみせろッ!!
「それができないうちはオレにでかい口をきくンじゃねぇッ!

【ガフガリオン瀕死時】

剣士ガフガリオン
「くそッ!

 (ガフガリオンが戦闘から離脱する)

【オヴェリアが戦闘不能になった時】

王女オヴェリア
「か、神よ……。

剣士ラムザ
「しまったッ!!

騎士アグリアス
「オヴェリア様ーッ!!

GAME OVER

CONGRATULATIONS!
THIS OPERATION IS COMPLETED!

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ディリータとの再会

『ディリータとの再会』
 ゼイレキレの滝でオヴェリアを誘拐したディリータが北天騎士団に襲われていた。その戦いの中で、王女誘拐はゴルターナ公を失脚させると同時に、王位の第二継承者である王女の暗殺を狙ったラーグ公の狂言であることが発覚した。その関係に一枚かんでいたガフガリオンは敵にまわるが、ラムザは王女の味方についた…。

騎士ディリータ
「オヴェリア王女をオレに預けるんだ。その方がお姫さまのためだぞ。

 (アグリアスがオヴェリアを護るように手で遮る)

剣士ラムザ
「ディリータ、きみはいったい何を企んでいるんだ…?

騎士ディリータ
「企む? とんでもない。オレは真実を言っているだけさ。
「そうだろ? 北天騎士団を敵にまわしたおまえたちがお姫さまをどこへ連れて行くっていうんだ?
「すぐにおまえたちを捕らえるために北天騎士団の精鋭たちがやってくることだろう。
「いったいどこへ逃げるつもりなんだ?

剣士ラムザ
「そ、それは…。

騎士ディリータ
「よく考えてみろ。
「ラーグ公の計画ということは王妃も知っているってことだ。つまり、王家は味方じゃない。
「なら、ゴルターナ公か? いや、それも無理だ。自分の疑いを晴らすためにおまえたちを処刑するぜ。

騎士アグリアス
「おまえならどうするというんだ?

騎士ディリータ
「おまえたちにはできないことをするだけさ。

剣士ラムザ
「どういう意味なんだ?

騎士ディリータ
「さあな…。

 (ディリータが背を向ける)

騎士ディリータ
「おまえたちにお姫さまをもう少し預けておくことにしよう。

剣士ラムザ
「ディリータ… また会うことができて嬉しいよ。

 (ディリータは目を瞑り、思い出すように空を見上げる)

騎士ディリータ
「ティータが助けてくれた…。

剣士ラムザ
「え?

騎士ディリータ
「あのとき、ティータがオレを守ってくれたんだ…。

剣士ラムザ
「………。

 (ディリータが去りかける)

王女オヴェリア
「感謝いたします、ディリータさん。

 (ディリータ、立ち止まって)

騎士ディリータ
「また会おう、ラムザ。

 (ディリータが立ち去る)

騎士アグリアス
「ラムザ、加勢してくれたことに感謝する。
「しかし、よいのか? 北天騎士団を敵にまわしたのだぞ。

剣士ラムザ
「気にしないでください。自分で選んだ道です。
「それより、これからどうします? ディリータの言ったとおり、僕らを助けてくれる人はいない…。

騎士アグリアス
「ドラクロワ枢機卿に助けを求めてみようと思う…。
「ライオネルはグレバドス教会の所轄領だ。教会ならなんとかしてくれるのではないだろうか…。

剣士ラムザ
「たしかにライオネルなら北天騎士団もうかつに手を出せない…。
「行きましょう。僕らにはそこへ行くしかない。

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城塞都市ザランダ

 (逃げてきた若者(ムスタディオ)が壁際に追いつめられる)

剣士(ナイト・男)
「どこへも逃げられんぞ! 命が惜しければおとなしく渡すんだ!

若者(ムスタディオ)
「何を渡せっていうんだ? オレには何のことだかさっぱり…。

剣士
「しらばっくれるんじゃない! ムスタディオ!
「自分の親父がどうなってもいいのか? 素直に『聖石』を渡すんだ。渡せば親父を解放してやろう。
「…よし、捕らえるんだ!

 (ムスタディオがひらりと壁の上に逃げる)

ムスタディオと呼ばれた若者
「ルードヴィッヒのヤローに言っておけ!
「親父に指一本でも触れてみろ! 『聖石』は二度と手に入らないことになるってなッ!!

騎士アグリアス
「もめ事か? あの若者が誰かに追われているようだが…?

【選択】
1.関わりたくはないが…。
2.放ってはおけないな!

1.関わりたくはないが…。

剣士ラムザ
「関わりたくはないが、見過ごすこともできない。
「彼を助けよう!

勝利条件 すべての敵を倒せ!
READY!

【ムスタディオが戦闘不能になった時】

機工士ムスタディオ
「せ、聖石を…やつらに渡しては…ダメだ……。

2.放ってはおけないな!

剣士ラムザ
「このままでは彼はやられてしまう! 放ってはおけないな!
「彼を助けよう!

勝利条件 機工士ムスタディオを救助せよ
READY!

【ムスタディオが戦闘不能になった時】

機工士ムスタディオ
「すまない…、親父……。

GAME OVER

【戦闘終了後・共通】

剣士ラムザ
「大丈夫かい?

機工士ムスタディオ
「ああ、なんとかな。ありがとう。助かったよ。

CONGRATULATIONS!
THIS OPERATION IS COMPLETED!

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機工士

『機工士』
 城塞都市ザランダでバート商会の追撃を受けていた若者は、ムスタディオと名乗った。機工都市ゴーグで『銃』をはじめとする“失われた文明”の復興に尽力する機工士の一人である。
 囚われた父を案ずる若き機工士は、追撃の理由を明かさぬまま、ドラクロワ枢機卿の庇護を求めライオネル城へ向かう一行に同道を願い出る。

 (ある家屋)

機工士ムスタディオ
「…やつらはバート商会に雇われたごろつきどもさ。

騎士アグリアス
「バート商会? 貿易商として有名なあのバート商会?

機工士ムスタディオ
「知っているのか? だが、ただの貿易商じゃないぜ。
「裏では阿片の密輸から奴隷の売買まで悪どいことを手広くやっている犯罪組織なのさ、バート商会は。

剣士ラムザ
「そんな奴らに何故、追われていたんだい?

機工士ムスタディオ
「…オレたちがなんで機工士って呼ばれてるか知っているかい?

 (ラムザは首を振る)

騎士アグリアス
「機工都市ゴーグの地下には“失われた文明”が遺されているそうだな…。
「聖アジョラがまだこの世にいた時代、空には無数の飛空艇が浮かび、街には機械仕掛けの人間がいたという。
「しかし、時代の流れと共にそうした技術は失われ、今では本当にそんな技術があったのかどうかすら不明だ。

機工士ムスタディオ
「でも、そうした文明があったのは確かなんだよ。
「ゴーグの地下には飛空艇の残骸や得体の知れない機械の破片がたくさん埋まっているんだ。
「オレたち機工士はそうした“過去の遺産”を復元しようとしている技術者なのさ。

剣士ラムザ
「さっきの戦いで、きみが使ったそのヘンなモノが機械なのか?

機工士ムスタディオ
「ああ、これかい?
「これは『銃』と呼ばれているモノで、火薬を使って金属の『弾』を飛ばし相手をやっつける武器なんだ。
「こんなのは一番シンプルなもので昔は『魔法』をつめて打ち出すこともできたらしい…。

剣士ラムザ
「ふ〜ん…。

騎士アグリアス
「おまえがバート商会に追われている理由はなんだ?

機工士ムスタディオ
「…あんたたちはドラクロワ枢機卿に会いに行くと言っていたな。
「枢機卿は五十年戦争で戦った英雄だ。ライオネルの人間は今でも枢機卿を英雄として尊敬している…。
「オレの親父も同じだ。この混乱した畏国をまとめられるのは枢機卿だけだって話している。
「枢機卿だったらあんたたちの頼みを聞き届けてくださることだろう。お姫さまはもう安心さ。

騎士アグリアス
「…何が言いたい?

機工士ムスタディオ
「一緒に連れていってくれないか? オレも枢機卿に会いたいんだ。

騎士アグリアス
「何故だ?

機工士ムスタディオ
「親父を助けるためだ!
「バート商会に囚われた親父を助けるには枢機卿のお力を借りるしかないんだ!
「でも、ただの機工士のオレなんかに枢機卿は会ってくれないだろ? お願いだ。連れていってくれ!

騎士アグリアス
「だから、おまえが追われている理由はなんだと聞いている!

 (ムスタディオがうつむく)

機工士ムスタディオ
「…今は話すことができない。

騎士アグリアス
「では、ダメだ。おまえを連れていくことはできない。

機工士ムスタディオ
「お願いだ! オレを信用してくれ! 枢機卿に会わなきゃいけないんだ!

 (オヴェリアが入ってくる。アグリアスとラムザは膝をつく)

王女オヴェリア
「わかりました。一緒に参りましょう。

機工士ムスタディオ
「ホントかい? ありがとう、お姫さま!

騎士アグリアス
「王女の御前ぞ!

 (ムスタディオが慌てて膝をつく)

王女オヴェリア
「よいのです。さあ、面を上げてください。

騎士アグリアス
「わかった。おまえを信用しよう。

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オヴェリアの不安

『オヴェリアの不安』
 ライオネル城への道中、束の間の休息を求める一行。王女の身を気遣うアグリアスにオヴェリアは自らの生い立ちを語るとともに、自分を政略に利用する権力者たちへの不信を口にする。
 拭いきれぬ不安を抱く王女に、かけるべき言葉すら見つけられず、ただ思い出の草笛を鳴らしてみせるラムザだった…。

騎士アグリアス
「オヴェリア様、ごらんになれますか? あの山の向こうがライオネル城です。

王女オヴェリア
「この城塞からは、まだ遠いのね…。
「ドラクロワ枢機卿は本当に私たちを助けてくれるのかしら…?

騎士アグリアス
「枢機卿殿は王家に対する忠誠心がとても高いお方と聞いております。
「それに、今のところラーグ公とゴルターナ公の政争に対し中立の立場をとっておいでとか。
「オヴェリア様をどちらかに引き渡すような不義はなさらないでしょう。

王女オヴェリア
「そうだとよいのだけれど……。

 (オヴェリアが木の葉をちぎる)

騎士アグリアス
「それに枢機卿殿はグレバドス教会の信望も厚く、
「枢機卿殿の願いなら教会側もオヴェリア様を受け入れてくれましょう。

王女オヴェリア
「…王女になど、生まれてこなければよかった。

 (葉を落とす)

騎士アグリアス
「オヴェリア様…。

 (ラムザがやって来て、こっそり話を聞く)

王女オヴェリア
「私は修道院の壁しか知らない…。塀で囲まれた空しか外を知らない。
「アグリアスは知らないと思うけど、私は、オーボンヌ修道院へ行く前は他の修道院にいたの。
「亡き国王の養女に迎えられたと聞いたときも、その後も、ずっと修道院で暮らしていたのよ。
「ううん、それがイヤだって言っているんじゃないわ。ただ…。
「ただ、私が王女であるばかりに私のために死んでゆく人たちがいる。それがとてもつらいの…。

騎士アグリアス
「オヴェリア様がご自分を責めることはございません。
「オヴェリア様のせいではなくオヴェリア様を利用しようとしている奴らが悪いのです。

 (オヴェリアが再び葉をちぎって落とす)

王女オヴェリア
「オーボンヌ修道院で知り合ったコがいるの。
「彼女も生まれてからずっと修道院で暮らしているって言ってたわ。
「同じような境遇だねって二人でよく笑ってたの。ふふふ、おかしいでしょ。

騎士アグリアス
「ベオルブ家の令嬢のアルマ様ですね。

王女オヴェリア
「私のたったひとりの友だち…。
「…ドラクロワ枢機卿は私を利用したりしないかしら?

騎士アグリアス
「…………。

ムスタディオの声
「ラムザッ! どこだ? そろそろ出発するぞ!

 (ムスタディオがやって来る)

機工士ムスタディオ
「こんなところで何やってんだ?

 (ラムザが慌ててひとさし指を唇にあてる)

騎士アグリアス
「どうだったか?

機工士ムスタディオ
「大丈夫。今のところ北天騎士団がこの街に来た様子はない。

 (オヴェリアが草笛を吹こうとしている)

王女オヴェリア
「以前、友だちが教えてくれたんだけどなかなか上手くいかないわ。

 (ラムザが鳴らしてみせる)

剣士ラムザ
「こうするんですよ。

王女オヴェリア
「こう?

 (オヴェリアが吹く)

王女オヴェリア
「あ、鳴ったわ。

 (オヴェリアに合わせてラムザも草笛を吹く)

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バリアスの丘

ルードヴィッヒの傭兵(ナイト・男)
「おまえたちが何者だか知らねぇが、そこにいる小僧を置いてゆけ!
「オレたちだって争いたくはねぇんだ! おとなしくムスタディオを引き渡せば手荒なマネはしないぞ! どうだ?

騎士アグリアス
「そちらこそおとなしく引き上げたらどうだ!
「ルードヴィッヒ殿に伝えるがいいッ! 争いに乗じて人身をたぶらかす輩は必ず討ち果たしてみせるとな!

ルードヴィッヒの傭兵
「ならば仕方ねぇ。力ずくで奪うまでよ。いくぞッ!!

勝利条件 すべての敵を倒せ!
READY!

【戦闘終了後】

剣士ラムザ
「何故、奴らはきみを追う? 理由を話してくれないか?

機工士ムスタディオ
「すまない…。今はまだ話すことができないんだ…。

CONGRATULATIONS!
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ダイスダーグの奸計

『ダイスダーグの奸計』
 オヴェリアの狂言誘拐に失敗したダイスダーグは、ただちに一行を捕らえ王女以下全員を抹殺するよう、ガフガリオンに再度命令する。無論、実の弟ラムザとて例外ではなかった。
 そしてまたオーボンヌ修道院での一件から、ダイスダーグは自分たちの計画を妨害する者の存在を知る…。

イグーロス城執務室

ダイスダーグ卿
「なんとしてもオヴェリアを捕らえるのだ。
「むろん、オヴェリアと行動を共にするアグリアスらも同様だ。捕らえてその場で処分せよ!

剣士ガフガリオン
「ラムザもか?

 (ダイスダーグが席を立って葡萄酒をグラスに注ぐ)

ダイスダーグ卿
「ベオルブの名を汚すばかりか我らの邪魔をする愚かなヤツめ。
「現実世界の厳しさを知るには丁度よい機会と考え、放っておいたがそこまで愚鈍だとは思わなかったぞ。

剣士ガフガリオン
「正義感の強さは親父譲りってことか?

ダイスダーグ卿
「父上も甘やかしすぎだ…。
「おとなしく従えばよし、抵抗するなら、そのときは仕方ない…。

 (ダイスダーグが葡萄酒を飲む)

剣士ガフガリオン
「実の兄とは思えン台詞だな。胸くそが悪くなるぜ。

剣士ガフガリオン
「…しかし、ライオネルの枢機卿が邪魔したらどうする?
「教会がバックについたらラーグ公といえどもうかつには手出しできンぞ。

ダイスダーグ卿
「それについてはすでに手を打ってある。
「心配するな。

剣士ガフガリオン
「すべて準備が整っているってワケか。つくづく恐ろしい人だな、アンタは。

ダイスダーグ卿
「そう思うなら、少しは言葉を慎むんだな、ガフガリオン。
「貴公の首など簡単に切り離すことができるのだぞ。それを忘れるなよ。

剣士ガフガリオン
「おいおい、よしてくれよ。オレはアンタの忠実なる僕だぜ。
「かの聖騎士殿のように頭が固いわけでもない。それを忘れないでくれよ。

ダイスダーグ卿
「ならば、これ以上のヘマを踏まぬようにするのだな。

剣士ガフガリオン
「それなンだが、オヴェリアの誘拐をどこのどいつに命じたンだ?
「オヴェリアを追いかけるときドーターで何者かに襲われたンだぜ。ありゃ、どういうことだ?

 (ダイスダーグが窓辺に歩み寄る)

ダイスダーグ卿
「本物の実行犯たちは修道院の近くの林の中で死体で発見された。
「何者かが、我々の計画をかぎつけて邪魔をしようとしているようだな…。
「いずれにせよ、オヴェリアがまだアグリアスの下にいる間は大丈夫。奪うチャンスはいくらでもある…。

剣士ガフガリオン
「そう願いたいもンだな。

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ドラクロワ枢機卿と聖石

『ドラクロワ枢機卿と聖石』
 ライオネル城に居を構えるドラクロワ枢機卿はオヴェリアらを暖かく迎え入れ、ラーグ公の謀略を教皇へ報告することを約束する。
 さらに枢機卿は古より畏国に伝わる伝説の聖石『ゾディアックストーン』を示す。ムスタディオの件にも聖石が関係していた。王女たちに別れを告げ、、ラムザはゴーグへと向かう。

ライオネル城騎士(男)
「何者だ! ライオネル城に何用か?

騎士アグリアス
「私はルザリア聖近衛騎士団所属の騎士アグリアス・オークス。
「神の御子・聖アジョラの救済を求めオーボンヌより参上いたした。開門を願う!

ライオネル城騎士
「聖アジョラの救済はすなわち猊下(げいか)の御心である。
「猊下の救済を求める者には皆等しく、ライオネル城の入口は開かれるであろう。
「開門せよ!

 (門が開く。ラムザたち一行が入城する)

 (執務室)

ドラクロワ枢機卿
「なるほど、事情はよくわかりました、アグリアス殿。
「そういうことであれば、このドラクロワ、手を貸さぬわけにはいきますまい。
「早速、聖地ミュロンドへ使者を差し向けましょう。教皇猊下に直奏するのです。
「ラーグ公の不正を暴き、オヴェリア様の命が狙われることのないよう手を打ちましょうぞ。

騎士アグリアス
「猊下、フューネラル教皇猊下はお聞き届けくださいますでしょうか?

ドラクロワ枢機卿
「心配召さるな、アグリアス殿。この私がついております。
「貴公がそのように心配されてはオヴェリア様のお心も休まらぬというもの。
「古く汚らしい城ではありますが、聖地より返事がくるまでの間、ゆるりとくつろいでくだされ。

王女オヴェリア
「猊下、お心遣いに感謝いたします。

ドラクロワ枢機卿
「すべては聖アジョラのお導きです。ご安心召されよ。
「…ときに、若き機工士よ。そなたの願いも承知しました。
「バート商会を壊滅させるために、わがライオネルの精鋭たちを機工都市ゴーグへ送りましょう。

機工士ムスタディオ
「ありがとうございます、猊下。

ドラクロワ枢機卿
「が、その前に、何故、そなたら親子が狙われるのか説明してくれぬか。

機工士ムスタディオ
「そ、それは……。

 (ムスタディオはうつむく)

ドラクロワ枢機卿
「よいよい…。これであろう?

 (ドラクロワ枢機卿が赤い石を取り出す)

騎士アグリアス
「そのクリスタルは……??

ドラクロワ枢機卿
「“ゾディアックブレイブの伝説”をご存じかな…?

騎士アグリアス
「子供の頃、教会でよく聞かされたあのおとぎ話ですか…?

ドラクロワ枢機卿
「これはこれは。…アグリアス殿は教会が嘘を言っているとでも…?

騎士アグリアス
「そ、そのようなことは決して…。

王女オヴェリア
「…太古の昔、まだ大地が今の形を成していなかった時代、
「ルカヴィ(悪魔の意)が支配するこの大地を救わんと12人の勇者がルカヴィたちに戦いを挑みました。
「激しい死闘の末、勇者たちはルカヴィたちを魔界へ追い返すことに成功し、大地に平和が訪れました。
「12人の勇者たちは黄道十二宮の紋章の入ったクリスタルを所持していたため、
「人々は彼らを黄道十二宮の勇者…、ゾディアックブレイブと呼ぶようになったといいます。
「その後も、時代を超えて、私たち人間が争いに巻き込まれる都度勇者たちが現われ世界を救ったとか…。

ドラクロワ枢機卿
「さすがはオヴェリア様、よくご存じですな…。

王女オヴェリア
「オーボンヌ修道院でシモン先生に教わりました。…そういえば、
「聖アジョラは彼らを従えて、混乱したイヴァリースをお救いになったと聞いております。

ドラクロワ枢機卿
「勇者たちが所持していたクリスタルを我らは『聖石』と呼んでいます。
「そして、今、我らが目にしている石こそ、伝説の秘石、『ゾディアックストーン』…。

 (聖石が輝く。ムスタディオがうつむく)

王女オヴェリア
「まさか…、聖石が本当にあったなんて…。

ドラクロワ枢機卿
「聖石にはルカヴィたちを凌ぐほどの“御力”が備わっているとか…。
「たしかに不思議な力を感じますが、私にはただの大きなクリスタルにしか見えませんが…。

剣士ラムザ
「どうしたんだ、ムスタディオ。顔色が悪いみたいだけど…?

ドラクロワ枢機卿
「…ゴーグの地下でこれと同じ石を見たのではないかな…?

機工士ムスタディオ
「地下には壊れて動かない機械がたくさん埋まっています…。
「でも、あの石を近づけると死んでいるはずの機械がうなり始めるんだ…。

ドラクロワ枢機卿
「バート商会が狙っているのはその聖石ですね…?

機工士ムスタディオ
「あの石にどんな力があるのか、オレにはわかりません…。
「しかし、ルードヴィッヒはあの力を解明して兵器にしようとしています…。
「親父は、聖石を渡してはならないと言っていました…。だから、親父はやつらに…。

ドラクロワ枢機卿
「心配いたすな、若き機工士よ。
「教会が責任を持って管理しましょう。我らの兵が悪漢どもと戦っている隙に一刻も早く聖石を持ち帰るのです。

機工士ムスタディオ
「は、はいッ。猊下。

剣士ラムザ
「僕もいっしょにゴーグへ行こう。

機工士ムスタディオ
「ありがとう。ラムザ。

騎士アグリアス
「ここまで来れたのは貴公のおかげだ。感謝するぞ、ラムザ。

王女オヴェリア
「何の力にもなれないけど…。気をつけてくださいね。

剣士ラムザ
「ご心配なく。王女様のお言葉だけで十分です。

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ツィゴリス湿原

剣士ラムザ
「こんな湿原でモンスターと出会うなんて、ツイてない…。

機工士ムスタディオ
「足場が少ない上にこの雨だ。用心してかかろうぜ!

勝利条件 すべての敵を倒せ!
READY!

【戦闘終了後】

剣士ラムザ
「大丈夫か、ムスタディオ?

機工士ムスタディオ
「ああ、たいしたことはない。
「この湿原を越えれば海が見えてくる。機工都市ゴーグまではもう少しだ。

CONGRATULATIONS!
THIS OPERATION IS COMPLETED!

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機工都市ゴーグ

機工士ムスタディオ
「バート商会のやつらの姿は見えないな…。
「とはいえ、ライオネル騎士団と争ったようにも思えない…。何か様子がヘンだぞ…?

機工士ムスタディオ
「ちょっと探りを入れてくる。あとで落ち合おう。

剣士ラムザ
「落ち合うってどこで?

機工士ムスタディオ
「あっち側がスラム街だ。あそこなら目立たないだろう。

剣士ラムザ
「わかった。気を付けろよ。

機工士ムスタディオ
「ああ、まかせておけって。

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ゴーグのスラム街

剣士ラムザ
「遅い…、遅すぎる……。

 (雨が降り出す)

剣士ラムザ
「ムスタディオのヤツ…、捕まったんじゃないのか…?

男の声
「おまえがムスタディオの仲間か?

剣士ラムザ
「誰だッ!

人相の悪い男(ルードヴィッヒ)
「おい、連れてこい!

 (ムスタディオが追い立てられてくる)

機工士ムスタディオ
「す、すまない、ラムザ。

剣士ラムザ
「大丈夫か、ムスタディオ!!

人相の悪い男
「おっと、そこまでだ。それ以上、動くんじゃねぇ!

剣士ラムザ
「おまえがルードヴィッヒかッ!! ムスタディオを離せッ!!

ルードヴィッヒ
「おとなしく『聖石』を渡せばこの小僧を離してやろう。

ルードヴィッヒ
「さあ、言えッ! どこに隠したッ! 白状するんだッ!

機工士ムスタディオ
「…………。

ルードヴィッヒ
「だんまりか? だが、これを見てもそう黙っていられるかな?
「おいッ!

 (縛られたベスロディオが連れてこられる)

機工士ムスタディオ
「親父ッ! 大丈夫かッ!!

機工師ベスロディオ
「わしは…大丈夫だ……。『聖石』を渡してはならん……。

ルードヴィッヒ
「中へ放り込めッ!

 (ベスロディオが家屋の中に突き飛ばされる)

ルードヴィッヒ
「どうだ、おとなしく白状する気になったか?

機工士ムスタディオ
「煙突の中だ……。ラムザの足下の……。

ルードヴィッヒ
「よし、貴様が拾え! こいつの命を助けたいならな!!

 (ラムザが煙突を探って聖石を手に取る)

剣士ラムザ
「これか……??

剣士ラムザ
「二人を離せッ!!

ルードヴィッヒ
「その前に『聖石』をよこせ!

剣士ラムザ
「二人が先だッ!!

ルードヴィッヒ
「『聖石』をこちらへ投げろ! そうしたら二人を解放しよう!

 (ラムザが聖石を放る。ムスタディオが解放されてラムザの方に駆け寄る)

ルードヴィッヒ
「これぞまさしくゾディアックストーン!
「ようやく手に入れたぞ! 枢機卿様も喜ばれることだろう!

ルードヴィッヒ
「ご苦労だったな。おまえたちは用済みだ!
「あとはおまえたちが片づけろ。生かしておくな!

 (ルードヴィッヒが去る)

剣士ラムザ
「枢機卿もグルだったのか…!!

勝利条件 すべての敵を倒せ!
READY!

【戦闘終了後】

機工士ムスタディオ
「親父は…、親父は無事なのか…。

CONGRATULATIONS!
THIS OPERATION IS COMPLETED!

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聖石に群がる者ども

『聖石に群がる者ども』
 機工都市ゴーグの地下で発掘されたクリスタルは伝説の聖石『ゾディアックストーン』だった。聖石の力を悪用されることを恐れたムスタディオの父・機工士ベスロディオは、安全な場所に隠すよう聖石を息子に託す。
 ムスタディオが聖石を受け取ったその時、バート商会の追跡の手が…。

 (ベスロディオの家)

機工師ベスロディオ(杖をついている)
「いいか、ムスタディオ。 これを持って逃げるんだ!

 (ベスロディオがムスタディオに聖石を手渡す)

機工士ムスタディオ
「逃げろって言ったっていったいどこに…!?

 (扉がダンダンと叩かれる)

ルードヴィッヒの傭兵
「ここにいるのはわかっているんだッ! さっさとドアを開けろッ!!

 (ムスタディオがベスロディオの手を引っ張る)

機工士ムスタディオ
「親父ッ! いいから、一緒に逃げるんだッ!

機工師ベスロディオ
「この足では逃げることができんッ! さぁ、行くんだッ!!

機工士ムスタディオ
「親父だけ残して逃げるなんてできるわけないだろッ!!

機工師ベスロディオ
「その聖石には国一つを滅ぼすほどの強大な力が秘められているという!
「そんなモノをやつらに、ルードヴィッヒに渡すことはできん! どこか安全なところに隠すんだッ!
「そして、ドラクロワ枢機卿に助けを求めろッ! 枢機卿ならきっと助けてくれるッ!!

 (扉が破られ、ルードヴィッヒと傭兵二人が入ってくる)

ルードヴィッヒ
「手間をかけさせたな…。さあ、『聖石』を渡すんだ!

機工師ベスロディオ
「行けッ! ムスタディオ!!

 (ムスタディオがためらっている間に、傭兵たちが近づく)

機工師ベスロディオ
「早く行くんだッ!!

 (ムスタディオが逃げる)

ルードヴィッヒ
「その小僧を追えッ!! 逃がすなッ!

 (傭兵たちが追っていく)

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ベスロディオ救出

『ベスロディオ救出』
 バート商会を裏で操りゴーグの聖石奪取を画策したのは、ドラクロワ枢機卿その人だった。
 ムスタディオの機転により、聖石を敵の手に渡すことなくベスロディオの救出に成功するも、枢機卿のもとにはオヴェリアとアグリアスが。
 二人を救うため、聖石を携えライオネル城へと急ぐラムザ…。

 (ある家屋)

機工士ムスタディオ
「…大丈夫か、親父?

機工師ベスロディオ
「わしのことは心配するな…。それより聖石を奪われてしまった。
「ルードヴィッヒは聖石の力を使いゴーグの地下に眠る機械の力を復活させようとするだろう。
「それどころか、聖石に秘められた神の力を解明しようとするかもしれない…。
「しかも、頼みの綱であった枢機卿がバート商会と結託しているとあっては我々にはなす術がない…。

機工士ムスタディオ
「ふふふ…。 それなら大丈夫さ。

機工師ベスロディオ
「どういう意味だ?

 (ムスタディオが聖石を取り出す)

機工士ムスタディオ
「こんなこともあろうかと思い、ニセモノを用意しておいたんだ。

剣士ラムザ
「じゃあ、僕が奴らに渡した聖石はニセモノだったのか!

機工士ムスタディオ
「そういうことさ。きっと今頃、泡を食ってるぜ。

剣士ラムザ
「…ということは、オヴェリア様やアグリアスさんが危ない…!

機工士ムスタディオ
「それは、どういう意味だ??

剣士ラムザ
「枢機卿はバート商会と手を組んででも聖石を手に入れようとしたんだ。
「この聖石を手に入れるためにオヴェリア様やアグリアスさんを人質にするかもしれない…。

機工士ムスタディオ
「バカな! そんなことをしたら、 王家を敵に回すことになる!

剣士ラムザ
「枢機卿が何のために聖石を手に入れようとしていると思う?
「長く続いた戦乱は人々を疲れさせ、醜い政権争いは人々を不安にさせた。今、人々は救いを求めている…。
「ドラクロワ枢機卿は“ゾディアックブレイブの伝説”を利用するつもりなんだ。
「聖石を集め、おのれの意のままに操れる“ゾディアックブレイブ”を誕生させようとしている…。

機工師ベスロディオ
「…彼のいうとおりだ。枢機卿に聖石を渡してはならない。

剣士ラムザ
「二人を助けに行こう!

機工士ムスタディオ
「わかった。だが、ライオネル城への道はすでに封鎖されているはず。
「正面からじゃダメだ。船を使ってライオネル城の背後から侵入しよう。

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ディリータの忠告

『ディリータの忠告』
 貿易都市ウォージリスでディリータと再会。
 ディリータはオヴェリアや聖石に関する一切から手を引くよう忠告し、この争乱の背後にひそむある意志の存在を暗示する。
 「時として、最良の方法が最善の結果を生むとは限らない」…別れ際にディリータの残した言葉がラムザの心に重くのしかかる…。

 (ウォージリスの港)

剣士ラムザ
「…ウォージリスにライオネル軍はいないみたいだな。

 (ラムザが船から下りる。と、ディリータが姿を現す)

剣士ラムザ
「ディリータ! どうしてここに!?

騎士ディリータ
「オレたちの情報網を甘くみないでもらいたいな。

剣士ラムザ
「オレたち?

騎士ディリータ
「…悪いことはいわない。イグーロスへ戻るんだ。
「これ以上、首を突っ込まない方が身のためだぞ。王女のことにも、聖石のことにも…。

剣士ディリータ
「ディリータ、いったいきみは何を知っているんだ?

騎士ディリータ
「おまえは王女を救えると考えているようだが、
「それは目先の問題を解決するにすぎない。
「真の意味で彼女を救うことができるのはこのオレだけだ。

剣士ラムザ
「何を言っているんだ? 僕にはさっぱりわからない。

騎士ディリータ
「時として、最良の方法が最善の結果を生むとは限らない。
「たとえ、おまえがどんなに頑張ったとしてもおまえには救うことができない。
「それを覚えておくんだ。

 (ディリータが去りかける)

剣士ラムザ
「待ってくれ、ディリータ。

剣士ラムザ
「きみはいったい何をしようとしているんだ。いったい何を…?

騎士ディリータ
「ラーグ公もゴルターナ公もおまえの兄キたちも、皆…
「ひとつの大きな流れの中にいることに気付いていない…。そう、気付いていないんだ。
「オレはその流れに逆らおうとしているだけ。それだけさ……。

 (ディリータが背を向けて、目を瞑る)

騎士ディリータ
「生きていたら、また会おう。

 (ディリータが去る)

剣士ラムザ
「ディリータ……。

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枢機卿の怒り

『枢機卿の怒り』
 ダイスダーグとドラクロワ枢機卿は王女と聖石を手中にするための密約を交わしていた。ダイスダーグより遣わされたガフガリオンは、オヴェリアを囮(おとり)にして聖石の奪取と王女誘拐の真相を知るラムザらの抹殺を目論む。
 一方、任務遂行に失敗したバート商会ルードヴィッヒには枢機卿の制裁が下される…。

 (ライオネル城執務室)

剣士ガフガリオン
「その盗まれた宝石を取り戻すためにお姫さまを囮に使おうって魂胆か。
「聖職者の考えることじゃねぇな。

ルードヴィッヒ
「なんだと! この野郎!
「そっちがあの小僧どもを取り逃したりするからこんなことになったんだろうが!

剣士ガフガリオン
「こっちの手違いには違いねぇが、オレの責任じゃねぇンだよ!

ドラクロワ枢機卿
「やめなさい、ルードヴィッヒ。
「ダイスダーグ卿には約束どおり、オヴェリア王女を引き渡しますよ。こちら側の意志でもありますしね。
「ただ、王女誘拐の真相を知る者たちを始末しなければならないと困るのはそちらではないのですかな?
「宝石を盗んだ者も彼らと行動を共にしています。
「王女を囮に使うだけで、あの者たちを一網打尽にできるのです。一石二鳥ではありませんかな…?

剣士ガフガリオン
「たしかにそのとおりだ。だが、万が一ってことがある!

ドラクロワ枢機卿
「ずいぶんと弱気ですな。

剣士ガフガリオン
「“用心深い”って言ってもらいてぇな。
「戦場で生き延びるには慎重すぎるぐらいが丁度いいンだよ。

ドラクロワ枢機卿
「わかりました。回避策をとりましょう。
「更に、確実に罠にハマってもらうためにエサもまきましょう。

剣士ガフガリオン
「いいだろう。エサにはあの女が丁度いいな。
「それから、やつらの始末はオレに任せておきな。そこにいるヤツよりは安心だぜ!

ルードヴィッヒ
「なんだとッ!

ドラクロワ枢機卿
「よいでしょう。貴方にお任せしましょう。

ルードヴィッヒ
「猊下、本気ですかッ!

ドラクロワ枢機卿
「では、頼みましたよ、ガフガリオン殿。

剣士ガフガリオン
「任せておけ。宝石も取り返してやるさ!

 (ガフガリオンが退出する)

ルードヴィッヒ
「猊下、なにもあのようなヤツに…!

 (ドラクロワ枢機卿が立ち上がりルードヴィッヒに歩み寄る)

ドラクロワ枢機卿
「おまえは何度もしくじった。その責任をとってもらいましょう…。

ルードヴィッヒ
「げ、猊下、な、何を……!

 (物音。断末魔の叫び)

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バリアスの谷

 (アグリアスが逃げてくる)

男の声(ライオネル軍騎士)
「どこにいる!! どこへ逃げても無駄だぞーッ!!

ライオネル軍騎士(男)
「こんなところにいたのか!

 (ライオネル軍騎士の口笛の合図で追手の部隊が現れる)

ライオネル軍騎士
「さあ、観念するんだな!

 (ラムザたちが現れる)

ライオネル軍騎士
「ん!?

剣士ラムザ
「アグリアスさんを守るんだ! いくぞッ!!

勝利条件 騎士アグリアスを救助せよ
READY!

騎士アグリアス
「ラムザ! どうして、ここに!?

剣士ラムザ
「あなたたちを助けるために城の裏側から攻めようと思って。
「アグリアスさんこそ、どうしてここに?

騎士アグリアス
「枢機卿が裏切った! いや、最初からラーグ公と内通していたようだ!
「城から脱出しようとしたがオヴェリア様だけ捕らえられてしまった!!
「なんとかお救いしようとしたんだがこの有様だ…!
「奴らはオヴェリア様を処刑しようとしている…。早くお救いせねば…!!

剣士ラムザ
「まずは、こいつらをなんとかしないと……!

【アグリアス死亡時】

騎士アグリアス
「オヴェリア様……

GAME OVER

【戦闘終了後】

剣士ラムザ
「アグリアスさん、大丈夫ですか?

騎士アグリアス
「ああ、私は大丈夫。それより急がねばッ!!
「この先のゴルゴラルダ処刑場でオヴェリア様の処刑が 行われるんだ! 急ごうッ!!

剣士ラムザ
「わかりました。急ぎましょう!

CONGRATULATIONS!
THIS OPERATION IS COMPLETED!

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ゴルゴラルダ処刑場

処刑執行人
「何か言い残すことはあるか…?

 (処刑台にいるオヴェリアらしき娘は何も言わない)

処刑執行人
「そうか、何もないか。

ライオネル軍騎士
「ん…?
「て、敵襲ッ!!

剣士ラムザ
「そこまでだ! オヴェリア様を返してもらおうか!

処刑執行人
「くくく…。かかったな!

剣士ラムザ
「!?

 (処刑執行人はガフガリオン、オヴェリアは弓使いへと正体を現し、さらに敵の伏兵が現れる)

剣士ガフガリオン
「あいかわらず、素直すぎるぜ、小僧。

剣士ラムザ
「オヴェリア様はどこだッ!

剣士ガフガリオン
「ライオネル城さ。それより宝石はどこだ?

剣士ラムザ
「宝石?

剣士ガフガリオン
「しらばっくれるンじゃねぇよ。枢機卿から盗んだ宝石だ。
「宝石を盗んだヤローと一緒なンだろ? いいから、さっさとこっちに渡しな!

剣士ラムザ
「欲しければ力ずくで奪うんだな!

剣士ガフガリオン
「少しは成長したようだな。…ならばそうさせてもうらおうかッ!

勝利条件 すべての敵を倒せ!
READY!

剣士ガフガリオン
「今からでも遅くはない! オレと一緒にイグーロスへ戻ろう!
「おまえの兄キ・ダイスダーグはすべてを許すと言っていたぞ! さあ、いい加減に目を覚ませ!!

剣士ラムザ
「断るッ! 僕はこれ以上、悪事に荷担するつもりはないッ!

剣士ガフガリオン
「“悪事”というのか!? おまえは“悪事”というのかッ!!
「おまえはベオルブ家の人間だ! ベオルブ家の人間には果たさねばならン責任がある!
「その責務を、おまえは“悪事”というのかッ!! この愚か者めッ!!

剣士ラムザ
「兄さんたちは自分の都合で戦争を起こそうとしている!
「それを“悪事”と言わずしてなんというッ!!

剣士ガフガリオン
「何かを成すためには“犠牲”が必要だッ!
「“犠牲”を支払わない限り、人は前へ進まない! 歴史を作ることはできないッ!
「この腐敗しきったイヴァリースを見ろッ!! 誰かが変えなきゃいかンのだ!
「おまえの兄キはそれを成そうと している! たとえ、それが“悪事”と呼ばれることでもな!

剣士ラムザ(次のターン)
「だからといって、オヴェリア様を見殺しにしろというのかッ!

剣士ガフガリオン
「ジークデン砦のことなら忘れろ! あれは仕方なかったンだよ!
「おまえはベオルブ家の人間だ。おまえは、おまえに与えられた役目を全うしなければならン!
「それがおまえの運命なンだよッ!

剣士ラムザ
「ティータを死なせたのも運命だというのかッ!?
「違うッ! それは違う! 僕らは僕らの都合でティータを…そう、ティータを殺したんだ!
「僕はずっと現実から逃げてきた。僕がティータを殺したんだ…。

剣士ガフガリオン(次のターン)
「何をバカなことを!
「あんな小娘一人死ンだところでなんだというんだ! 我々が第一に考えねばならンことは“大義”だ!

剣士ラムザ
「人を欺き、利用するところにどんな“大義”があるというんだ!
「僕はもう、これ以上、“大義”のために利用され命を落とす人間を見逃すことはできない!
「僕はオヴェリア様を助ける!!

剣士ガフガリオン
「この分からず屋め!

【アグリアスが出撃している場合】

騎士アグリアス
「ラムザ、おまえはベオルブ家の人間なのか?

剣士ガフガリオン
「知らなかったのか、アグリアス。
「そうだ、その小僧の名はラムザ・ベオルブ。あのベオルブ家の一員さ。

剣士ラムザ
「たしかに僕はベオルブ家の人間だ! でも兄さんたちとは違う!
「僕はオヴェリア様の誘拐なんて全然知らなかった! 本当だ!

騎士アグリアス
「今さら疑うものか! 私はおまえを信じる!!

【アグリアスHP半減時】

騎士アグリアス
「オヴェリア様をどうするつもりだ!

剣士ガフガリオン
「オレは王女を契約どおりにガリオンヌへ連れて帰るだけだ。
「そのあと、ラーグ公が王女をどうするのか、オレは知らンよ。

騎士アグリアス
「貴様たちはオヴェリア様を戦争の道具にしようとしている!
「貴様とて一緒だ! ラーグ公やダイスダーグにいいように使われている!
「恥ずかしくないのか!? 犬になりさがっている自分が! 人間としての誇りはないのかッ!?

剣士ガフガリオン
「そんな役に立たないもンはとっくの昔に捨てたよ!

【ガフガリオン瀕死時】

剣士ガフガリオン
「くそッ! これほどまでに強いとは…!
「ええいッ、一時退却だッ!!

 (ガフガリオンが消える)

【戦闘終了後】

剣士ラムザ
「急いでライオネル城へ行かなければ…!

CONGRATULATIONS!
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利用する者される者

『利用する者される者』
 ライオネル城の一室に閉じ込められたオヴェリアはディリータと再会する。ドラクロワ枢機卿と通じていたディリータをなじるオヴェリアの前に、枢機卿と騎士らしき男が現れた。
 抵抗を続けるオヴェリアに、ヴォルマルフと呼ばれた謎の騎士は驚くべき事実を告げる…。

 (ライオネル城の一室)

剣士ディリータ
「食事に手を付けていないのか。食べないともたないぜ。

王女オヴェリア
「………。

騎士ディリータ
「おまえが死んで悲しむヤツなんてひとりもいないぞ。
「それどころか、喜ぶヤツが大半だ。どうせ、死ねやしないんだ。無理せず食べろ。

王女オヴェリア
「…やはり、あなたも枢機卿と結託していたのね。
「私をどうしようというの? ラーグ公に引き渡さないのならどうするつもりなの?

騎士ディリータ
「本来、おまえがいるべき場所におまえを連れていく…、それだけだ。

王女オヴェリア
「あなたも私を利用しようというのね。
「…でも、私はあなたの言うとおりにはならない。

騎士ディリータ
「おまえに選択肢はない。生き延びるためにはそれしかないぞ。

王女オヴェリア
「それはどういう意味?

騎士ディリータ
「それは…。

 (ドラクロワ枢機卿とヴォルマルフが入ってくる)

騎士らしき男(ヴォルマルフ)
「この娘がオヴェリアか…。

ドラクロワ枢機卿
「王女様、ご機嫌はいかがですかな?
「もう少しおとなしくしていただけるならばこの部屋でなくともよいのですがね。

騎士らしき男
「フン、王女の身代わりの娘には十分すぎるぐらいだ。

 (衝撃を受けたオヴェリアが手で体を支えながらヴォルマルフを見る(音楽が止まる))

ドラクロワ枢機卿
「ホホホホ…。ヴォルマルフ殿、この娘はまだ知らないのです。

ヴォルマルフと呼ばれた騎士
「そうか…。哀れな娘よ。

王女オヴェリア
「それは、どういうことなの…?

ヴォルマルフと呼ばれた騎士
「いいか、よく聞け。
「おまえはオヴェリアではない。

王女オヴェリア
「え…?

ヴォルマルフと呼ばれた騎士
「本物の王女はとうの昔に死んでいる。おまえはその身代わりなのだ。

王女オヴェリア
「そんな! ウソよッ!!

ヴォルマルフと呼ばれた騎士
「嘘ではない。おまえはオヴェリアではないのだ。
「ルーヴェリア王妃をよく思わぬ元老院のじじいどもがおまえを作り出した…。
「いつの日か、王位を継がせるために身代わりを用意したのだ。邪魔な王妃を追い出すためにな。
「やつらのやり口は実に周到だったよ。上の二人の王子を病死に見せかけて暗殺し、おまえを王家に入れた。
「病弱なオムドリアに新たな王子ができるとは思えなかったのでな、自動的に王位はおまえのものだ。
「ところがオリナス王子が誕生した。…いや、未だに王子がオムドリアの子であるかどうかなどわからん。
「ラーグ公が実妹を王の母にするために外から“種”を用意したのかもしれん…。
「いずれにしても、元老院のじじいどもの計画は台無しになったのだ。

王女オヴェリア
「ウソよッ! 絶対にウソだわ! 私には信じられない!

ヴォルマルフと呼ばれた騎士
「どう思おうとおまえの勝手だ。
「我々にとってもおまえが王女であるかどうかなどどうでもいいこと。
「我々は『王女』という強力なカードを手に入れた。それで十分だ。

王女オヴェリア
「…あなたたちは私をどうするつもり? いったい何をさせたいの?

ヴォルマルフと呼ばれた騎士
「何もしなくていい。今のまま『王女』でいてくれればよい。

王女オヴェリア
「私はアトカーシャ家の血を引く者! 誰にも命令されたりはしないッ!

ヴォルマルフと呼ばれた騎士
「では、どうする? ラーグ公に捕らえられれば即、処刑だろう?
「我々は手助けをしたいだけだ。おまえが王位につくためのな…。

王女オヴェリア
「…あなたはいったい何者なの?

ヴォルマルフと呼ばれた騎士
「我々はラーグ公の味方でもなければゴルターナ公の陣営の者でもない。
「ただの“協力者”だ。

ドラクロワ枢機卿
「ヴォルマルフ殿、王女様にはもう少し頭を冷やしてもらいましょう。
「現実をきちんと認識すれば我々の“協力”を拒むこともありますまい…。

ヴォルマルフと呼ばれた騎士
「うむ、そうだな…。

 (ドラクロワ枢機卿とヴォルマルフが出ていく。ヴォルマルフが振り返る)

ヴォルマルフと呼ばれた騎士
「行くぞ、ディリータ!

 (ヴォルマルフとディリータが出ていき、オヴェリアは一人残される)

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ライオネル城城門前

剣士ラムザ
「そこで待っててくれ。今すぐ、城門を開けるから。

聞き覚えのある声(ガフガリオン)
「そうはいかンな!

 (ガフガリオンが現れる)

剣士ガフガリオン
「忍び込んだまではよかったが伏兵には気付かなかったようだな。

 (ガフガリオンの口笛で敵兵が取り囲むように姿を現す)

剣士ラムザ
「しまった!!

剣士ガフガリオン
「ラムザ! おまえの相手はこのオレだ!
「さあ、いくぞッ!!

勝利条件 すべての敵を倒せ!
READY!

剣士ラムザ
「このレバーを下ろせば……!

 (ラムザがレバーを下ろすと門が開く)

【ガフガリオン死亡時】

剣士ガフガリオン
「むぅ……、こ、このオレが敗れるのか……?

剣士ラムザ
「さよなら、ガフガリオン…。

【戦闘終了後】

剣士ラムザ
「敵の増援が現れる前にオヴェリア様をお救いしなければ…!

CONGRATULATIONS!
THIS OPERATION IS COMPLETED!

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ライオネル城城内

ドラクロワ枢機卿
「ガフガリオンも口ほどにもありませんね…。
「それとも相手が悪かったのですかね? さすがベオルブの血を引く者だけのことはありますね。
「それがたとえ妾(めかけ)の子だとしてもね…。

 (ドラクロワ枢機卿が近づいてくる)

ドラクロワ枢機卿
「しかし、これ以上の邪魔は遠慮願いたいものですね。
「おとなしく聖石を置いて帰ればよし、抵抗するならば容赦しませんよ……。

剣士ラムザ
「オヴェリア様はどこだ?

ドラクロワ枢機卿
「助け出してどうするというのです?
「ベオルブの名を棄て独りで戦うおまえにいったい何ができるというのです?
「無駄な努力はおよしなさい。いかに志が高くとも力を持たない者にはなにもできない…。
「おまえは非力な人間なのですよ。

剣士ラムザ
「オヴェリア様はどこなんだッ!!

ドラクロワ枢機卿
「ここにはいませんよ。ゼルテニアへ向かいました。
「王女はおまえの助力よりも我々の方を選択したのです。

剣士ラムザ
「ウソだッ!!

ドラクロワ枢機卿
「王女は王座につくため自分の足で歩き始めたのです。
「自力で王位に就くにはおまえでは心許ない…。我々を選ぶのは当然です。
「どうです? おまえも我々と手を組みませんか? 兄たちの鼻をあかしてやりたいのでしょう?
「この世界を憂えているのは我々も同じ…。いかがですか?

剣士ラムザ
「僕は世界を変えたいと願っているわけじゃない!
「ただ、一部の人間の思惑のせいで人々が苦しみ命を落としていく…。それが許せないだけだ。
「世界を変える? そんなことが本当にできると思うのか? 僕はそれほど傲慢じゃないッ!!

ドラクロワ枢機卿
「ホッホッホッホ…。聖石を持つ者が何を言う…。
「おまえが手にしたその聖石の力を使えば、世界はおろか万物の真理まで変えることもできるのですよ。
「口で言ってもわかりませんか。ならば愚かなおまえにその素晴らしい力を見せてあげるとしましょうか…。

 (ドラクロワ枢機卿が聖石を掲げると、轟音と閃光と共にその姿が異形のものに変じる)

不浄王キュクレイン
『クククク… どうだ、驚いたか……?
『さあ、この私を楽しませてくれ。おまえの悲鳴を、苦痛を、断末魔を私に聞かせてくれ…!!

勝利条件 不浄王キュクレインを倒せ!
READY!

【ラムザHP半減時】

剣士ラムザ
「ばかな! これが聖石の力だというのか!?
「邪悪な力を討ち滅ぼすために聖石があるのではないのか!?
「しかし、これでは…、あの枢機卿は“邪悪”そのものだ!!

不浄王キュクレイン
『これが、かつて世界を支配したルカヴィの力なのだよ……!

剣士ラムザ
「ルカヴィだと!?
「おまえはいったい何者だ! 本物の枢機卿はどこだッ! どこへやった!!

不浄王キュクレイン
『クククク…、何を言っている…? 私がドラクロワだ…!
『いや、ドラクロワであった者と言った方がよいかもしれんな…。
『私は聖石の力を使い、脆弱な人間を超越したのだよ…。私は“神”になったのだ…!!
『我々の邪魔をする愚かな者たちよ…! 死ぬがいいッ!!

【キュクレイン死亡時】

不浄王キュクレイン
『不死身のこの私が敗れるだと…? そんなばかなことが……。
『あ、あの方の復活まで……死ぬわけには…いかな…い……。

 (キュクレインが消滅し、断末魔の後に聖石が残る)

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獅子戦争勃発

『獅子戦争勃発』
 ゴルターナ公の居城ゼルテニアに、オヴェリアを連れたディリータが姿を現した。公の重臣のひとりを王女誘拐の首謀者に仕立て上げたディリータは、さらに南天騎士団を率いての王都ルザリア上洛を進言する。
 対するラーグ公も北天騎士団を動員。ここに畏国を二分する大乱“獅子戦争”が始まった…。

ゼルテニア城城内

ゴルターナ公
「貴公か…、オヴェリア王女を救出したというのは…。

騎士ディリータ
「グリムス男爵配下の黒羊騎士団、副官ハイラル。名をディリータ。
「グリムス男爵の密命により王女を救出するために身分を偽り出兵。任務を果たし、帰還いたしました。

グルワンヌ大臣
「…ハイラルだと? 聞かぬ名だ。

ゴルターナ公
「男爵は先月、亮目団との戦いで戦死し黒羊騎士団も全滅したはず。

騎士ディリータ
「それ故、急ぎ帰還いたしました。

ゴルターナ公
「王女は?

司教カンバベリフ
「長旅の疲れのためか、死んだように眠っておいでです。

オルランドゥ伯
「…捕虜を連れてきたと聞いたが?

騎士ディリータ
「ハッ。
「捕虜を連れてこい!

 (縛られた捕虜(見習い戦士)が連れられてくる)

騎士ディリータ
「何故、王女を誘拐した?

捕虜
「ゴルターナ公に嫌疑をかけることで王都ルザリアへの上洛を妨げ、
「摂政の位を与えぬためだ…。

騎士ディリータ
「誰がおまえに命じた? ラーグ公か?

捕虜
「…ラーグ公に取り入ろうとするゴルターナ公の側近の一人だ。

グルワンヌ大臣
「バカな! そのような不忠者がおるはずもない!
「ええい、その痴れ者の口を閉じさせよ!

ゴルターナ公
「かまわぬ、聞け。

騎士ディリータ
「…それは誰だ?

捕虜
「…………。

騎士ディリータ
「言えッ、言うんだッ!

捕虜
「オレの命は助けてくれるんだろうな?

騎士ディリータ
「約束しよう。言えッ、誰だッ!!

捕虜
「…そこにいるグルワンヌ大臣だ。

グルワンヌ大臣
「なんだと! ウソを申すな! わしはおまえなど知らぬ!!

騎士ディリータ
「誰にそそのかされた? 王妃か?

グルワンヌ大臣
「ばかなッ、わしには関係ないッ!

騎士ディリータ
「主君を裏切った罪は重いぞ、大臣殿!

 (ディリータが剣を抜く。その場が緊張する)

グルワンヌ大臣
「知らぬッ! わしは知らぬッ!!

 (ディリータがグルワンヌ大臣を斬り捨て、ゴルターナ公の前に膝をつく)

騎士ディリータ
「僭越ながら申し上げます!
「今すぐ南天騎士団を率いて上洛されるべし!
「さもなくば、大臣の謀り事の責任を公爵閣下にとらせようと言い出す輩が出て参りましょう。
「その前に、速やかにオリナス王子と王妃を排斥し、オヴェリア様を御位に!!

王都ルザリアへの上洛を果たした
ゴルターナ公は、
王妃ルーヴェリアを王女誘拐の
首謀者としてベスラへ幽閉し、
オヴェリアを即位させた…。

しかし、ラーグ公は
オリナスこそが
正統の王位継承者であるとして
即位させると同時に
自分は後見人として摂政の座についた。

すぐにラーグ公は王妃救出のために
オリナス王子を総大将とした北天騎士団を
ベスラへ派遣した。
一方、ゴルターナ公も
オヴェリアを総大将とした
南天騎士団を派遣…。

後世“獅子戦争”と呼ばれる
大乱の始まりである…。

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