about : 浅草が新宿2丁目に見えた日

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一昔前から火が付いた人力車家業も、外国人旅行者や下町町人文化等に
傾倒している方から大変な人気を得ている様で、日ごと車夫の数も
増えている様にみえる。

そのためか浅草雷門付近は、人力車の客待ちでごった返している。

しかもそれがこの時期、夏服だ。

車夫というのは元来股引きという、ぴちりとしたタイツ状のモノを
下半身に身に付けているのだが、夏になるとこれが半ズボンになるらしい。
そのぴちりとした半ズボンに、上半身は半袖で、日々の力仕事のせいか
肉体はマッスル隆々で、もひとつおまけに日に焼けている。

そんな車夫が道端に立ち、俺に乗れと囁きかける。料金はきっと
1本とかそんな感じの。

これを文字だけで伝えようとすると、どうしてもハードゲイにしか
読み取れない文章ばかりが出来上がる。どうしても。どうしても。

どの様に書いてみても、車夫の掛け声はこれしか思い当たらない。

乗らないか?

ダ、ダメだ。この人にホイホイ付いて行ったりしたらきっと、
トイレに直行してしまうに違いない。そしてきっとこんな台詞を言うんだ。

"俺はノンケでもかまわず乗せちまう人間なんだぜ"
"ところで俺の人力車を見てくれ。こいつをどう思う?"


でも僕は予備校に通ってもいないしごく普通の男の子じゃないから
そんな事にはならないのだ。
−以上−

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