目と目が合ったとか、ちょっと肩が触れたとか、 別に自分のせいでもないのに因縁を付けられ、 路地裏にでも連れ出されたとしよう。 こんなシチュエーションでは、相手はたいがい ロクデナシだし、もしそんなヤツに手を出して 警察沙汰にでもなれば、人生に傷が付くというものだ。 かといって、逃げに走れば男の沽券に関わる。 そこで、一計を案じた。 因縁を付けられ、路地裏に連れ出された場合、 "さあ来い" と掛け声一声ののち、すかさず |
鶴の構え |
を取る。ただしここで笑ってはいけない。 ただひたすら、真顔で相手を見据える。 相手はきっと、次の様に考えるだろう。
まずい相手に戦いを挑んだ事に、後悔し始めるだろう。 そこでこの台詞だ。 |
"お互い無益な争いだ、止めにせぬか?" |
これだ。間違いない。 渡りに船と、相手は申し出に応じるに違いない。 戦わずして勝つ、これこそが、真の達人というものである。 |
−以上− |