とある休日の朝、朝食には遅いが昼食には早い、そんな時間。 私は、朝一番に欠かす事のできないコーヒーを入れました。 昼間では腹が持たないぞ、そう思った私は、もちを焼きました。 取り合わせは微妙ですが、朝のルーティンと空腹をほのかに満たす 素敵なコンビネーションです。 焼きあがったもちに醤油を付け、海苔を巻き、コーヒーと共に 自室へ持ち帰ります。 もち用の皿を持ってこなかった私は、そのもちをコーヒーカップの 縁に置きました。パリッとした海苔にくるまれたもちは案外しっかりと カップの上でその身を持ち堪えています。 "これならきっと大丈夫だ" その時はそう思いました。 そして PC を起動し、パスワードを入力、そこでもちとコーヒーの方を向くと そこには恐ろしい光景が広がっていました。 もちはコーヒーカップの中に。 コーヒーの中に、真っ白なもちが、踊っています。 醤油がコーヒーの表面に程よく油膜を張っています。 もちを取り出すと、半分は醤油色、半分はコーヒー色です。 コーヒー色の部分を口に含みますと、最初はコーヒーの味が、 後から沁み込んだ醤油の味がします。 コーヒを飲みます。すると、いつもとは違う香ばしさがあり、 ほのかに海苔の香りが漂います。 カップの上にもちを置いた時、もちは案外固いのだな、 これならきっと大丈夫だ、そう思ったのですが、 それは過信だったのです。私のせいなのです。 その思いをコーヒー味のもちと共に噛み締めつつ、 醤油味のコーヒーでそれを胃袋へ流し込みました。 |
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