about : 歳月を経るという事

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歳月を経る、これほど悲しい事はない。
僕は今年 34歳だ。それだけで悲しい。
しかも上の文を書いている時にうっかり "24" と打ってしまい、
"ダメだ、僕はもうそんな年じゃない" と自分にダメ出しをしてしまい、
それがまた更なる悲しみを僕に運んでくれる。
(It brought me another sadness.)

さて、歳月を経る悲しみは生きとし生ける者だけに感じるのではない。
生命を持たぬ物にもそれを感じるときはある。
そう、例えばこれ、今穿いているスウェット (下) だ。

買ったばかりの頃の君は、ゴムも良く張り、
僕の腰元をタイトに掴んで放さなかったね。
しかし歳月を経て、君は少々年をとり過ぎたみたいだ。
ゴムはすっかり緩み、今では腰を抑える事すらままならない。

昨日だってそうさ、僕が歯磨きをしている時、
君は僕にすがっている事ができず、
足元まですっかり落ちてしまったね。
あの時、家には僕一人だったからよかったけれど、
誰かに見られたりしたら、"ああ、やっぱりそうなんだ"
と誤解 (むしろ確信) されてしまうところだったよ。

あの時、僕は君をもう一度腰まで上げる事も出来たけれど、
きっと君はまた、足元まで落ちてしまうだろうと思ったから、
君をそっとそのままにしておいたんだ。
歯磨きが終わるまで。

でもそれは、別にその方がおいしかったからとか、
趣味だとか、
そういう事じゃなかったんだ。
どうかそれだけは信じて欲しい。
−以上−

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